弁護士法人ITJ法律事務所

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主文
1原告ら3名各自に対し,それぞれ,
(1)被告E及び被告Iは連帯して,金505万1477円及びこれに対する

平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
(2)被告F及び被告Iは連帯して,金168万3825円及びこれに対する

平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
(3)被告G及び被告Iは連帯して,金168万3825円及びこれに対する

平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
(4)被告H及び被告Iは連帯して,金168万3825円及びこれに対する

平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
2原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
,,,,
3訴訟費用はこれを3分しその1を被告Iのその1をその余の被告らの
その余を原告らの各負担とする。
4この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求(一部請求)
原告ら3名各自に対し,それぞれ,
1被告E及び被告Iは連帯して,金2100万円及びこれに対する平成12年
5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告F及び被告Iは連帯して,金700万円及びこれに対する平成12年5
月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被告G及び被告Iは連帯して,金700万円及びこれに対する平成12年5
月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4被告H及び被告Iは連帯して,金700万円及びこれに対する平成12年5
月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1高速道路において渋滞低速運転をしていたJ車J運転K同乗にI車被
(,)(
告I運転)が追突した第1事故に続き,2車が停止していたところに後続のL
車(L運転)がI車に激突して,その衝撃でJ,K及びLが死亡する第2事故
が発生した。本件はJ及びKの相続人である原告らが,被告I及びLの相続人
らに対し自賠法3条及び民法709条に基づき第2事故による損害賠償請求
(一部請求)をする事案である。
2争点
(1)事故態様
()
(2)過失相殺被告I及び亡Jの後発事故回避措置義務違反の有無及び程度
(3)亡Kにつき減額するの当否
(4)亡J及び亡Kの損害
第3裁判所の判断
証拠(甲1ないし13,14の(1)ないし(3),15,16の(1),(2),17
ないし20,21の(1),(2),22の(1)ないし(3),23の(1),(2),24な
いし28,乙イ1ないし3,証人M,同N,同O,原告C法定代理人後見人,
被告本人I)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり認められる。
1本件事故の発生(当事者間に争いがない)

次のとおり交通事故(以下「本件事故」という)が発生した。

日時平成12年5月30日午後9時43分ころ
場所岐阜県養老郡g町q自動車道r線(s高速道路)上り線3
78.9キロポスト付近
事故車両①亡J運転の普通乗用自動車(省略,以下「J車」と
()
いう)

②被告I(以下「被告I」という)運転の普通貨物自動

車(省略,以下「I車」という)
()。
③亡L以下亡Lという運転の普通乗用自動車省
(「」。
)(

略,以下「L車」という)
)。
被害者亡J
亡K(J車に同乗)
2本件事故態様
(1)道路状況
本件事故現場は,s高速道路上り線上であり,事故現場付近の道路は上下
(.)
線が幅員約1メートル追越車線との測線までを含めると約44メートル
の中央分離帯により分離された片側2車線の道路であり,車線の幅員約3.
6メートル,上下線とも幅員約2.5メートルの路側帯があり,路側帯の外
側にガードレールが設置されている。中央分離帯の中央はガードレールで遮
断されている。速度制限は毎時80キロメートルで,ほぼ直線道路である。
本件事故発生当時,s高速道路はリフレッシュ工事期間中で上り線側は走
行車線が部分的に通行規制され,本件事故現場付近では2車線通行走行可能
であったが,約1キロメートル先からは工事のため走行車線が通行規制され
ていた。
(2)第1事故及び第2事故の発生状況
上記通行規制のため,事故現場付近はやや交通渋滞しており,亡J運転の
J車はハザードランプを点灯して追越車線を低速走行していた。J車の後続
を進行していた被告I運転のI車はJ車を見つけこれに追随すべくハザード
ランプを点けて減速したが,目測を誤り減速の仕方が遅かったためにJ車に
軽く追突した(以下「第1事故」という。同追突の衝撃でJ車は約7.


4メートル前進して停止し,続いてI車もその後方に停止した。
第1事故発生後直ちに,亡J及び亡K(以下両名を「J夫妻」ということ
がある)はJ車を下車して中央分離帯付近に佇立し,亡Jは下車した被告

Iにつき免許証等で確認し,同被告の氏名や連絡先をメモし,同事故処理に
つき同被告と話し合いをしていた。約8分くらい経過し,その間に,渋滞は
,,
解消され先行の車両はすでになくなり追越車線上にはJ車とI車が残され
追越車線を後続進行してきてJ車・I車に接近した車両は減速することなく
次々と,J車・I車を回避し走行車線に大きく迂回して通過していった。
そして,第1事故から約8分経過したころに,追越車線を進行してきた大
型トラックがJ車・I車に接近し走行車線へ回避し通過していった。その直
,,,
後同トラックの後続を進行していたL車は同トラックの動きに気づかず
追越車線をそのまま進行したため,停止していたI車に激突した。その衝撃
で前方に押し出されたI車は,中央分離帯付近に佇立していたJ夫妻を跳ね
上げ両名を対向車線上に転倒させた(以下「第2事故」という。


(3)被害者等の死亡
第2事故により,事故後間もなく亡Kが,続いて亡Jが死亡した。L車運
転の亡Lも第2事故により死亡した。
3亡Lの責任
亡Lは,L車の保有者であり,かつ先行車両との車間距離を十分にとらずに
進行し,先行車の動静に注意して運転すべき義務があるのにこれを怠り,第2
事故を発生させたものであるから,自賠法3条及び民法709条により,第2
事故による亡J及び亡Kの損害を賠償すべき責任を負う。
4被告Iの責任(後発事故回避措置義務違反)
(1)高速道路における運転では,車道における車両の円滑な運行を確保する
ため,停車,駐車は原則として禁止されており,やむを得ず停車する場合
には,後続車両の安全を確保する配慮が要求される。
したがって,追越車線で停止したI車は,ハザードランプの点灯,停止
表示板の設置,発煙筒の点火等により停止していることの表示を行うとと
もに,速やかに本線車線から移動すべき義務を負う。
(2)被告Iは,第1事故で走行不能となったわけではないから,I車を速や
かに路側帯等に移動してJ夫妻と話し合うべきであったのに,ハザードラ
ンプを点灯しただけの状態で停止表示板の設置及び発煙筒の点火(夜間で
あったので効果的な措置であった)をすることもなく,I車の移動もしな
かった点に過失がある。第2事故は前記亡Lの過失と被告Iの過失が相ま
って生じたものといえる。
よって,被告Iは民法709条により,第2事故による亡J及び亡Kの
損害を賠償すべき責任を負う。被告Iと亡Lの責任は不真正連帯債務の関
係にある。
なお,原告らは,被告Iが右ハンドルを切ってI車を停止した点につい
て過失を主張するが,同事実は認められ,確かに右ハンドルを切っていな
かったならI車がL車の追突の衝撃でJ夫妻を跳ね上げることはなかった
と推測することはできるが,偶然,I車の車輪の方向にJ夫妻が佇立して
いた結果であり,右ハンドルを切って停止した点をもって被告Iの過失を
認めることはできない。
5過失相殺(亡Jの過失)
亡Jは第1事故の被害者であるが,同事故によりJ車の走行が不能になった
わけではないから,前記被告I同様に後発事故回避措置義務を負うものと解す
べきである。
6過失割合
(1)亡Lとの関係においては,亡Lと亡Jの過失割合は,6対4と考えるの
が相当である。
(2)被告Iとの関係においては,被告Iと亡Jの過失割合は,6対4と考え
るのが相当である。被告Iは第1事故を発生させた者として,その適切な
事後処理をすべきであり,亡Iとの関係においてはその責任はより重大で
ある。
その他上記認定を左右するに足りる証拠はない。
7亡Kにつき減額するの当否
亡Kについても亡J同様に減額すべきであろうか。
亡KはJ車に同乗し,第1事故に遭遇し,たまたま夫である亡Jの側に佇立
していただけであると認められ,亡Jと同一ないし同様の後続事故回避義務を
負わせるのは相当でない。
よって,亡Kの損害についてはなんら減額しない。
8亡Jの損害
(1)葬儀費用等認容額206万1421円
,,,,
原告らはJ夫妻分として遺体の運搬葬儀及びこれに付随する諸費用
レッカー代等として合計412万2842円を主張し,証拠によれば,同主
張額の損害があったことが認められる。よって,その2分の1である206
万1421円をもって亡Jの損害と認めるのが相当である。
(2)逸失利益(原告ら主張額5629万0855円)
認容額5186万6040円
亡Jは,第2事故当時48歳の健康な男子であり,家族として妻,子供3
人を扶養していた。1級建築士の資格を有し「Jフレーミング工事」の名

称で建築工事業を自営しており,平成11年度の名目上の収入は527万8
082円であった。よって,将来,同年齢の全労働者の平均賃金である年収
額613万1100円(平成10年度賃金センサス)を得ることができる蓋
然性は十分あると認められる。
よって,逸失利益の算定は,年収613万1100円を基礎に,生活費控
除率30パーセント,67歳までの労働可能期間19年(ライプニッツ係数
12.085)をもって算出するのが相当である。
6131100×(1−0.3)×12.085=51866040
(3)慰謝料認容額2600万0000円
原告らはJ夫妻両名の慰謝料として合計6000万円を主張する。
亡J個人の慰謝料としては,年齢,家族関係その他諸事情を総合して26
00万円が相当である。
(以上(1)ないし(3)の合計7992万7461円)
(4)過失相殺過失相殺後の損害4795万6476円
前記のとおり,亡Jについては,被告I及び亡Lのいずれとの関係におい
ても4割の過失相殺がなされるので,同相殺後の損害は4795万6476
円となる。
(5)損害の填補填補後の損害0円
亡Jに対しては6011万6560円の損害の填補があったので,亡Jの
損害は全額填補された。
9亡Kの損害
(1)葬儀費用等認容額206万1421円
前記亡Jと同様206万1421円である。
(2)逸失利益(原告ら主張額4513万9341円)
認容額3724万1421円
亡Kは,第2事故当時42歳の健康な女子であり,亡Jの経営する前記自
,。
営業を手伝い平成11年度の名目上の収入は254万0000円であった
また,家庭にあっては主婦として家事に従事していたものであるから,逸失
利益の算定は,同年齢の女子労働者の平均賃金である年収額377万480
0円(平成10年度賃金センサス)をもって基礎収入とし,生活費控除率3
0パーセント,67歳までの労働可能期間25年(ライプニッツ係数14.
094)をもって算出するのが相当である。
3774800×(1−0.3)×14.094=37241421
(3)慰謝料認容額2200万0000円
原告らはJ夫妻両名の慰謝料として合計6000万円を主張する。
亡K個人の慰謝料としては,年齢,家族関係その他諸事情を総合して22
00万円が相当である。
(以上(1)ないし(3)の合計6130万2842円)
(4)損害の填補填補後の損害2760万8862円
亡Kに対しては3369万3980円の損害の填補があったので,同填補
後の損害は2760万8862円となる。
(5)弁護士費用(原告らの主張額900万0000円)
認容額270万0000円
本件事案の内容,認容額等に照らし,亡Kの損害請求に関する弁護士費用
として270万0000円が相当であると思料する。
よって,弁護士費用を合わせた亡Kの損害合計は3030万8862円と
なる。
10相続(当事者間に争いがない)

(1)原告らは,いずれも亡Kの子であり,亡Kの上記損害賠償請求債権を各
3分の1の割合で相続した。
よって,原告ら各人の取得額は,1010万2954円である。
(2)亡Lの法定相続人は被告E(相続分2分の1,同F(同6分の1,同
))
G(同6分の1,同H(同6分の1)であり,それぞれ括弧内の相続分

の割合で亡Lの損害賠償債務を相続した(1円未満は切捨て。

よって,原告ら各人に対し,
被告E(相続分2分の1)は,505万1477円
同F(同6分の1)は,168万3825円
同G(同6分の1)は,168万3825円
同H(同6分の1)は,168万3825円
の債務を負担することとなる。
11結論
(1)よって,
①被告Iは,原告ら各人に対し,1010万2954円及びこれに対する
第2事故の日である平成12年5月30日から各支払済みまで民法所定の
年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。
②原告ら各人に対し,
被告Eは,505万1477円
同Fは,168万3825円
同Gは,168万3825円
同Hは,168万3825円
及びこれに対する第2事故の日である平成12年5月30日から各支払済
みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。
,,
③被告Iとその余の被告らの上記支払債務は不真正連帯債務であるから
被告らは上記債務を連帯して支払うべきである。
(2)仮執行宣言の申立については,相当であるので,これを付することとす
る。
岡山地方裁判所倉敷支部
裁判官宮本由美子

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