弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。
 案ずるに、抗告人に対する本件競落許可決定が昭和三六年一二月一一日に云渡さ
れ、右決定は利害関係人から即時抗告の申立てがなくて確定したこと、及び右競落
代金の支払期日は同年一二月二七日であつたところ、抗告人の延期願により昭和三
七年一月八日に延期せられたが、同期日に職権で再び支払期日が延期せられたまま
右代金は未納であることが記録上明らかである。
 しかしてAの上申書、本件競売申立人である住宅金融公庫名義の各払込通帳、同
申立人の競売執行下げに関する上申書を総合すれば、右申立人は昭和三六年一二月
中債務者であるBに対し本件抵当債権中一部月賦金の支払を受けて、その余の債権
につき取立を猶予、すなわち弁済の猶予をしたことが認められる。
 そこで、一般的に競落許可決定の確定後における競売開始決定の取消の可否につ
いて考えてみる。 <要旨>任意競売手続においては、元来競売手続の遂行を妨ぐべ
き法律上の事由があるときは、競売手続の完結前であれば、異議の申立によ
り競売開始決定を取消し得る筋合である。
 しかしながら、競落許可決定が確定した場合にも競売手続が完結していないとし
て競売開始決定を取消し得るか否かは債務者(及び物上保証人)と競落人との何れ
の利益を保護すべきかの問題であり検討を要すべきことがらである。
 競売手続を妨ぐべき事由は、競売開始決定前に存することあり、その後に生ずる
ことあり、そして、その事由は手続上のことあり、実体上のことがある。
 ところで、右事由のいずれにせよ、競売開始決定に対する異議の申立が競落代金
の納入前になされた場合は、債務者と競落人の利益を比較考量上、債務者の利益を
保護すべきものとして異議を許すことが相当である。又異議の申立が競落代金納入
後になされた場合は原則として競落人の利益を保護して異議を許すべきでなく(仮
に異議の申立を許し競売開始決定を取消したとしても競売開始決定の効果に影響を
及ぼさないと解すべきである)例外として債権又は抵当権の無効或いは競落代金納
入前の抵当債務の弁済を異議の事由とするときは特に債務者を救済すべき特段の事
由ある場合として代金納入後でも異議の申立を許すべきである。
 なお、競売開始決定の取消と競落許可決定確定の効果とを別個に考え、許可決定
が確定したときは、その後に競売開始決定が取消されても確定した右許可決定の効
果は影響を受けないとの見解がありこの見解はすぐれた一見解であることは否定し
ないが、右に述べたとおり競落代金納入の前後により原則として異議の申立の許否
が定まるとの考が堅持される限りは、右見解には、にわかに賛同し兼ね競売開始決
定の取消は確定した競落許可決定の効果を失わしめるものと解する。
 ひるがえつて、本件を観るに、本件抵当債務は弁済せられたわけでなくて弁済の
猶予に過ぎず、しかも競落許可決定確定後弁済の猶予となつたものであるが、代金
支払期日の延期にて未だ競落代金は納入されていない。
 そうとすれば右弁済の猶予を理由とする債務者の本件競売開始決定に対する異議
の申立は理由があるから本件競売開始決定は之を取消し、本件競売申立は之を却下
すべきである。
 よつて右申立を許容した原決定は相当であつて本件抗告は理由がないから之を却
下すべく、抗告費用の負担につき民訴九五条、八九条に則つて主文のとおり決定す
る。
 (裁判長裁判官 坂本収二 裁判官 西川力一 裁判官 渡辺門偉男)

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