弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を福島地方裁判所(平支部)に差し戻す。
         理    由
 検察官福田正男の陳述した控訴趣意は、記録に編綴の福島地方検察庁平支部検察
官樋口直吉名義の控訴趣意書の記載と同じであるから、これを引用する。
 同控訴趣意について。
 原判決は、鉱山保安法(昭和二七年法律第二七六号による改正前のもの)第五六
条第五号は一種の身分犯であつて、鉱業権者(又は鉱山労働者)だけを処罰の対象
としていると解すべきであり、また同法第五八条は違反行為者が本来前三条により
処罰の対象となり得る場合に、前三条により当該違反行為者を罰するほか、事業主
である法人又は人をも更に処罰できることを定めた規定に過ぎないのであつて、前
三条の違反行為をしたけれども元来処罰の対象となり得なかつた者をも処罰できる
趣旨に解すべきではないから、鉱業権者ではなく鉱業代理人であつた被告人の所為
は罪とならない旨説示して、被告人に対し無罪の言渡しをしている。
 <要旨>ところで、同鉱山保安法第二条一項は「この法律において『鉱業権者』と
は、鉱業権者及び租鉱権者をいう」とし、同法第四条は「鉱業権者は、左の
各号のため必要な措置を講じなければならない。……」と規定し同条の規定に違反
した者に対する罰則規定として、同法第五六条は同条第五号の「第三十条の規定に
よる省令に違反して、第四条に定める措置を講ぜず、又は第五条(同条は「鉱山労
働者は、鉱山においては、保安のため必要な事項を守らなければならない」と規定
する)に定める事項を守らない者」に該当する者は、六箇月以下の懲役又は三万円
以下の罰金に処することを定めているのであつて、右同条同号前段の犯罪の主体
は、右各条の関する限りでは、鉱業権者である。しかし、同法第五八条は「法人の
代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の
業務に関し、前三条(第五五条、第五六条、第五七条)の違反行為をしたときは、
行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する」と規定して
おり、その前身(鉱山保安法は旧鉱業法、鉱業警察規則、石炭坑爆発取締規則等の
鉱山保安関係法規に代るものとして制定された)というべき旧鉱業法第一〇四条の
「法人又ハ人ハソノ代理人、同居者、雇人ソノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ本
法ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルル
コトヲ得ス」との立法形式をとる規定につき、法人の業務に関しその従業者が法令
違反の行為をしたことにつき法人を罰すべき場合には、別段の規定のない限り従業
者を罰することを得ない旨の大審院判例(昭和九年四月二六日第一刑事部判決等)
が出た後、前記鉱山保安法第五八条にいわゆる両罰規定が採用された立法経過、及
び右第五八条が「行為者を罰する外」云々と定めていること等に鑑みれば、両罰規
定は直接にはその法人又は人に直接責任があるものとした立法形式とみられるとし
ても、同法第五八条により同法第四条及び第五六条が同法第二条第一項の鉱業権者
に対してのみならず鉱業権者たる法人又は人の代理人、使用人その他の従業者に対
しても適用せられる法意であると解するのが相当であり、即ち、鉱業権者の代理
人、使用人その他の従業者が同法第四条の違反行為をしたときは、同法第五八条第
五六条第五号前段により罰せられるものと解すべきである(最高裁昭和三〇年一〇
月一八日第三小法廷決定・同昭和三三年七月一〇日第一小法廷判決各参照)。そし
て、被告人は原判示株式会社Aの鉱業の実施に関し鉱山保安法及びこれに基く省令
によつて鉱業権者が行うべき一切の手続その他の行為を委任されていた鉱業代理人
であつたことは原判決も認めているとおりであつて、法人の代理人に当り、鉱業権
者と同様鉱山保安法上の遵守義務を負担していたものといわねばならない。
 以上の次第で、原判決は法令の解釈適用を誤つたものというべく、その誤りが判
決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は破棄を免れない。論旨は理由
がある。
 そこで、刑訴法第三九七条第三八〇条により原判決を破棄し、同法第四〇〇条本
文により本件を原裁判所である福島地方裁判所(平支部)に差し戻すべきものと
し、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 門田実 裁判官 細野幸雄 裁判官 有路不二男)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛