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平成18年(行ケ)第10300号審決取消請求事件
平成19年1月30日判決言渡,平成18年11月13日口頭弁論終結
判決
原告ユーエスピーエープロパティーズインク
訴訟代理人弁理士広瀬文彦
被告特許庁長官中嶋誠
指定代理人矢代達雄,田中敬規
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
第1原告の求めた裁判
「特許庁が不服2003−2627号事件について平成18年2月7日にした審
決を取り消す。」との判決。
第2事案の概要
本件は,商標登録出願についての拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした
審決の取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯
(1)原告は,平成13年5月7日,「USPOLOASSOCIATION」
の文字を標準文字で横書きしてなり,指定商品を商標法施行令別表の区分による第
9類「眼鏡,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転
変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画
機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気
通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン
発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用
シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘア
カーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路
標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手
袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消
防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防
毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,
スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリ
ンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬
貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は
図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカー
ドシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装
置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き
板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装
置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品と
する商標登録出願(商願2001−40996号,以下「本願」といい,その商標
を「本願商標」という。)をした。
(2)原告は,平成15年1月7日付けで,本願について,本願商標が商標法4
条1項15号に該当するとして拒絶査定を受けたので,同年2月19日,拒絶査定
に対する不服審判を請求した(不服2003−2627号事件として係属)とこ
ろ,特許庁は,平成18年2月7日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決をし,同年3月1日,その謄本を原告に送達した。
2審決の理由の要点
審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,本願商標が商標法4条1項1
5号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって,これを取り消
すべきかぎりでない,というものである。
(1)審判において,ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」
ないし「POLO」の文字よりなる標章,「byRALPHLAUREN」の文字よりなる標
章,「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以
下,これらをまとめて「引用商標」という。)に関して行った職権による証拠調べにより,以下の事
実を発見したので,その旨を請求人に通知し,相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
ア株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」(184頁)及びサンケイマ
ーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『'84ザ・ブランド』」(208頁)
の記述によれば,以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは,1967年に幅広ネクタイをデザイ
ンして注目され,翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立,ネク
タイ,シャツ,セーター,靴,カバンなどのデザインをはじめ,トータルな展開を図ってきた。19
71年には婦人服デザインにも進出し,アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」
を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ,数々の賞を受賞した。1974年に映画「華
麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから,ア
メリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
そして,前記の記述には「Polo」及び「byRALPHLAUREN」の文字並びに「馬
に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ,これらの標章は単に「ポ
ロ」と略称されて紹介されている。
イ株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」
の「ポロ/Polo」の項(123頁,195頁,221頁,224頁,281頁)及びボイス情報
株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」の「ポロ・バイ・
ラルフ・ローレン」の項(223頁)の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事
(5頁)によれば,我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け,昭和5
2年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服,紳士靴,サングラス等,昭和53年から婦人服
の輸入,製造,販売を開始したことが認められる。
ウラルフ・ローレンに係る紳士服,紳士用品については,昭和53年2月16日付日本経済新聞
(夕刊)の広告(6頁),前出「男の一流品大図鑑」(184頁),株式会社講談社昭和54年5月
20日発行「世界の一流品大図鑑'79年版」(147頁),株式会社チャネラー昭和54年9月2
0日発行「別冊チャネラー79−9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」(61頁,130
頁),「男の一流品大図鑑'81年版」(12頁昭和55年11月20日発行),「世界の一流品
大図鑑'80年版」(131頁昭和55年6月20日発行),「世界の一流品大図鑑'81年版」
(87頁昭和56年6月20日発行),前出「舶来ブランド事典『'84ザ・ブランド』」(20
8頁),株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」(63頁)のそれぞれにお
いて,メガネについては,前出「世界の一流品大図鑑'80年版」(200頁,201頁),「男の
一流品大図鑑'81年版」(171頁),「世界の一流品大図鑑'81年版」(259頁,260頁)
のそれぞれにおいて,「POLO」,「ポロ」,「Polo」,「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/
ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
エ平成3年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」には,「POLOポロ」の見出し語の下に
「⇒PolobyRalphLauren」との記載があり,「PolobyRalphLaurenポロバイラルフローレン」
の見出し語の下に「米国のデザイナーRalphLauren(1939−)がデザインした紳士物衣料品。通
例Poloと略されて呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞,翌年には婦人服で受賞。・
・・1974年の映画TheGreatGatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣裳を担当して,人気が急
上昇した」と記載されている。
平成11年1月10日株式会社小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には,「polo」の見出
し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalphLaurenデザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒PO
LOBYRALPHLAUREN」の記載があり,「PolobyRalphLauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバ
イラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
オラルフ・ローレンの「Polo」,「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の
図形等を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が,例えば,平成元年5月19日
付朝日新聞(東京版)夕刊(16頁),同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊(16頁),同
5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊(30頁),同11年6月8日付朝日新聞(西部版)夕
刊(6頁),同11年9月9日付日本経済新聞朝刊(39頁)に報道されている。
カラルフ・ローレンの「Polo」,「POLO」,「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図
形等について,上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として,東京高裁平成2年(行ケ)1
83号(平成3.7.11言渡),東京高裁平成11年(行ケ)250号,同251号,同252号,
同267号,同290号(以上平成11.12.16言渡),同268号,同289号(以上平成1
1.12.21言渡),同288号(平成12.1.25言渡),同298号,同299号(以上平
成12.2.1言渡),同333号,同334号(以上平成12.3.29言渡),平成12年(行
ケ)5号(平成12.9.28日言渡),同140号(平成12.10.25言渡),同112号
(平成12.11.14言渡),同162号(平成13.2.8言渡),平成11年(行ケ)420
号(平成13.4.19言渡),平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡),同119
号(平成13.11.29言渡),平成16年(行ケ)33号(平成16.5.27言渡)等がある。
キ以上の事実を総合し,上記判決をも併せ考慮すると,「Polo」ないし「POLO」の文字
よりなる標章,「byRALPHLAUREN」の文字よりなる標章,「馬に乗ったポロ競技の
プレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は,我が国においては,遅くとも本
願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして,被服類,眼鏡等の
いわゆるファッション関連の商品分野の取引者,需要者の間において広く認識され,かつ著名となっ
ていたものであり,その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
(2)かかる事情の下において本願商標をみると,本願商標は,「USPOLOASSOC
IATION」の文字よりなるものであるところ,これよりは,全体として親しまれた熟語的意味合
いを看取させるものではなく,また,特定の団体名称を表示するものとして我が国において広く知ら
れているともいえないものである。
しかして,被服類,眼鏡等のいわゆるファッション関連商品について使用をする商標として周知・
著名な引用商標と同一の「POLO」の文字をその構成中に有する本願商標を,引用商標の使用する
商品と同一の商品である「眼鏡」を含むその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,
需要者は,その構成中の「POLO」の文字に着目し,周知・著名となっている引用商標を連想,想
起し,該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る
商品であるかのごとく,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
また,本願商標が,請求人の主張するアメリカ合衆国ポロ協会(UnitedStatesP
oloAssociation)の団体名を表したものとして我が国において広く一般に知られて
いるとはいえないし,「POLO」の語がスポーツ名を表す一般用語であるとしても,ポロ競技は,
我が国においてはなじみの薄いスポーツであって,少なくともファッション関連商品に使用される商
標の構成部分としての「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として,周知・著名な引用
商標の連想,想起を阻害するような強い意味づけを有するものということはできない。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用した場合には,引用商標の周知・著名性からして,取
引者,需要者がポロ競技ないしはポロスポーツの統括団体名を連想,想起するというよりは,むし
ろ,引用商標を連想,想起するというのが相当である。
(3)請求人は,本願商標は引用商標と具体的出所混同の可能性は実在せず,その可能性もないこ
と等を主張し,登録例及び判決例を挙げている。
しかしながら,請求人が掲げる登録例及び判決例は,いずれも本件と事案を異にするものであるか
ら,これらの登録例及び判決例が本願の判断に影響を及ぼすものではない。
(4)以上のとおりであるから,本願商標が商標法4条1項15号に該当するとして本願を拒絶し
た原査定は,妥当なものであって,これを取り消すべきかぎりでない。
第3当事者の主張の要点
1原告主張の審決取消事由
本願商標は,これに接する取引者及び需要者に対しその商品の出所につき誤認を
生じさせるものではなく,商標法4条1項15号に該当しないから,これに該当す
るとした審決の判断は誤りであり,取り消されるべきである。
(1)審決は,「USPOLOASSOCIATION」の文字が「全体
として親しまれた熟語的意味合いを看取させるものではな(い)」と判断した。
「US」がアメリカ合衆国を指し,「POLO」がスポーツ競技の一種を表す用
語であり,「ASSOCIATION」がその種の団体又は協会を指称することは
一般に明らかであり,全体を一連とした熟語的意味合いは,「アメリカ合衆国ポロ
協会」となる。本願商標は,既成語であるポロ競技の「POLO」を団体が管理す
る競技名の表示として内在しているにすぎず,むしろ,「POLO」が団体名に欠
くべからざるものであるから,全体として既成語であると考えられる(本願商標が
既成語として一般に認識,理解されていることは,原告が実施したアンケート調査
の結果(甲12)からも認められる。)。そうすると,「POLO」は,既成語そ
のものであるか,「USPOLOASSOCIATION」という既成語の
一部であるから,取引者及び需要者が本願商標に接しても,「POLO」のみに着
目するとは考えられない。
したがって,「USPOLOASSOCIATION」の文字が「全体と
して親しまれた熟語的意味合いを看取させるものではな(い)」とした上,取引
者,需要者がその構成中の「POLO」の文字に着目するとした審決の判断は,誤
りである。
(2)審決は,「USPOLOASSOCIATION」の文字が「特定
の団体名称を表示するものとして我が国において広く知られているともいえない」
と判断した。
本願商標は,原告の協会の名称であり,何人にも理解できる平易な英単語からな
るものであって,構成それ自体から,ポロ競技を総括する団体の名称であると認識
され,理解されると考えるのが自然であり,合理的である。本願商標は,日本国内
に限らず世界において,ポロ競技の団体の名称として認識されているのであって,
既成語として認識されるか否かの判断に当たって,特に日本国内で広く知られてい
る必要はない。
そして,ファッション関連商品の取引者及び需要者,特に引用商標の使用されて
いる商品を購入する取引者及び需要者は,その高い購買意識ゆえに,真正品の鑑定
力を十分に持っているので,本願商標から「POLO」の語を抽出することはない
(なお,高度の鑑定眼を持っていない者が引用商標を購入する例はあまり考えられ
ないが,本願商標の付された商品をラルフ・ローレン製の真正商品と誤って購入す
ることは皆無と考えられる。)のであって,「USPOLOASSOCIA
TION」の文字が「特定の団体名称を表示するものとして我が国において広く知
られているともいえない」とした上,取引者及び需要者がその構成中の「POLO」
の文字に着目するとした審決の判断は,誤りである。
(3)審決は,「ポロ競技は,我が国においてはなじみの薄いスポーツであ(る)」
と判断した。
ポロ競技のルールの詳細までは判然としていなかったとしても,既にポロという
馬上の競技があるということは一般に周知であった。すなわち,「POLO」は,
あまり親しまれていなかったものの(現在でも詳細までを熟知している者は少な
い。),「ポロシャツ」(ポロ競技のときに着用する服)の名称が昭和34年法の
類似商品審査基準(特許庁商標課編)の中に表れているように,既に数十年前か
ら,競技名として,日本全国において周知であった。そうであるから,著名な引用
商標の業務に係る商品と混同を生じることが別に証明されない限り,一般用語を商
標の一部として採択することが阻止されるいわれはない。
したがって,「ポロ競技は,我が国においてはなじみの薄いスポーツであ(る)」
とした上,本願商標と引用商標の業務に係る商品が混同を生じるとした審決の判断
は,誤りである。
(4)審決は,「「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として,周
知・著名な引用商標の連想,想起を阻害するような強い意味づけを有するものとい
うことはできない。」と判断した。
引用商標の周知著名性は,ラルフ・ローレンの営業努力によって獲得されたもの
ではあるが,その文字は他からの既成語の借り物であり,創造性はないか又は極め
て低いと評価できる。創造性の高い著名商標の保護は十分に図るべきであるが,一
般用語(既成語)を著名にした場合については,著名商標の保護を図りつつも,一
般用語としての使用を確保する必要があるし,その語の本来の意味としての使用で
あったときには,それを一部に含む商標であったとしても,第三者の商標登録や使
用の可能性を否定してはならない。取引者及び需要者は,本願商標のうちの「POL
O」の文字のみに着目するとは考えられず,また,引用商標に連想づける可能性も
ないのであって,引用商標に連想づける阻害要因の不存在を問題にする必然性はな
い。
したがって,「「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として,周知
・著名な引用商標の連想,想起を阻害するような強い意味づけを有するものという
ことはできない。」とした審決の判断は,誤りである。
(5)全米ポロ協会(UnitedStatesPoloAssociation)は,引用商標が商標と
して採用されるはるか以前の1890年にポロの育成,発展のために設立され,現
在に至るまで存続してきた米国でも著名かつ伝統あるポロスポーツの統括団体であ
る。成立から考えれば,本願商標の使用がはるかに先であり,ラルフ・ローレンは
後日「POLO」の文字だけの使用を開始したが,既成語としての成り立ちは本願
商標の方が先であって,「POLO」商標を包含させる意思は全くなく,また後日
「POLO」がファッション関係の商標として周知になったとしても,全くあずか
り知らぬことである。そして,引用商標は,現在使用されている特定の態様で著名
になったものであって,態様が異なれば,「POLO」の文字が含まれていても,
ラルフ・ローレンを想起しないと考えられるから,本願商標が標準文字からなるも
のであって,引用商標と態様が異なることを考慮すれば,本願商標の指定商品が
「眼鏡」というファッション関連の商品を含むものであっても,指定商品との関係
において出所の混同のおそれのないことは明白である。
なお,本願商標と同一の「USPOLOASSOCIATION」が,旧
第21類(商標登録第2570515号),旧第17類(商標登録第264956
3号)や旧第22類(商標登録第2709950号)等で登録されているから,特
許庁の審査では,本願商標と引用商標は混同を生じるおそれはないと認められてい
るのである。また,原告が実施したアンケート調査の結果(甲12,22)によれ
ば,本願商標の付された商品と引用商標の付された商品との混同を生じることはな
いということができる。
そうであれば,本願商標が付されたファッション関連商品に取引者及び需要者が
接した場合,引用商標の商標使用者であるラルフ・ローレンの業務に係る商品であ
ると誤認し,混同を生じるとは考えられないといわなければならない。
2被告の反論
本願商標は,その商品の出所につき混同を生ずるおそれがあり,商標法4条1項
15号に該当するから,審決の判断に誤りはない。
(1)審決が,「USPOLOASSOCIATION」の文字が「全体
として親しまれた熟語的意味合いを看取させるものではな(い)」と判断したこと
について
我が国において一般に使用されている英和辞典には,「USPOLOAS
SOCIATION」の記載はないから,これが,我が国において,直ちに既成語
として認識,理解されているとはいい難く,また,原告提出の証拠のいずれをもっ
てしても,これが既成語として認識,理解されているとする事実を見いだし得な
い。そして,本願商標が,その構成全体から「アメリカ合衆国ポロ協会」という意
味合いが認識されるものであるとしても,上記のとおり,「USPOLOA
SSOCIATION」が,我が国において,既成語として一般に認識,理解され
ているとはいい難いことからすれば,これをもって,本願商標が親しまれた熟語的
意味合いを看取させるとはいえない。
また,本願商標の構成中の「POLO」の文字は,我が国において,競技名を表
す用語であるとともに,被服類,眼鏡等のいわゆるファッション関連商品との関係
では,ラルフ・ローレンが自らのデザインに係る商品について使用している著名商
標でもある。
したがって,「USPOLOASSOCIATION」の文字からなる本
願商標は,その構成中に,ラルフ・ローレンが自らのデザインに係る商品,とりわ
け被服類,眼鏡等のいわゆるファッション関連商品について使用するものとして周
知著名な商標「POLO」と同一のつづり字の「POLO」の文字を含むものであ
り,また,その構成全体をもってしても,我が国においては,既成語として一般に
認識,理解されているものとは言い難いばかりでなく,本願商標の指定商品中には
前記ファッション関連商品「眼鏡」が含まれているから,本願商標を,その指定商
品中の少なくとも「眼鏡」について使用するときは,これに接する取引者及び需要
者は,その構成中の「POLO」の文字部分に着目し,これより引用商標を連想,
想起して,該商品がラルフ・ローレン又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を
有する者の業務に係る商品であるかのように認識,理解するものというべきである。
(2)審決が,「USPOLOASSOCIATION」の文字が「特定
の団体名称を表示するものとして我が国において広く知られているともいえない」
と判断したことについて
我が国においては,ポロ競技自体はなじみの薄いものであり,また,我が国のス
ポーツ関係の各種団体,協会において,例えば,「日本ポロ協会」のような団体は
いまだ存在せず,一般にスポーツ関係の団体名称としても「ポロ協会」なるものが
広く知られているということはできない。
本願商標の指定商品中の「眼鏡」等のいわゆるファッション関連商品は,高価な
ものばかりではなく,その需要者も老人から子供までを含む一般の消費者であっ
て,必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれている
から,このような需要者に購買される商品であれば,その需要者の払う注意力はさ
ほど高いものではないというべきであり,商標の一部に著名性が高い文字部分が含
まれる場合には,その著名性の高い部分に需要者の注意が集中し,その他の細部に
までは十分に注意が向けられないままに商品の選択,購入がなされることが多いと
いうべきである。
そうすると,本願商標を,その指定商品中の「眼鏡」について使用するときは,
これに接する取引者及び需要者は,その構成中の「POLOASSOCIATI
ON」の文字部分について,これが団体名称を表したものとして分離,抽出すると
いうよりは,むしろ,周知著名な引用商標「POLO」と同一のつづり字の「PO
LO」の文字部分に着目し,引用商標を連想,想起するというべきである。
(3)審決が,「ポロ競技は,我が国においてはなじみの薄いスポーツであ(る)」
と判断したことについて
「POLO」の語が,我が国において,一般に「4人1組の2つのチームが,ス
ティック(マレット)を使ってボールを打ち合い点数を競う騎乗競技」といった競
技名を表す語として知られているものであることは否定するものではないが,他の
スポーツ競技,例えば,野球,サッカー,ゴルフ,テニス等のように,一般に広く
慣れ親しまれ,かつ,極めて多数の者が競技場やテレビで観戦をしたり,実際にそ
のスポーツ競技を行った経験を有しているものと比較した場合には,ポロ競技自体
は,なじみの薄いスポーツ競技であるといわざるを得ない。
なお,商標法4条1項15号は,その規定から明らかなとおり,他人の業務に係
る商品と混同を生ずるおそれがあれば適用を免れず,実際に混同を生じていること
までは要しないのである。
(4)審決が,「「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として,周
知・著名な引用商標の連想,想起を阻害するような強い意味づけを有するものとい
うことはできない。」と判断したことについて
上記(1)のとおり,本願商標を,その指定商品中の少なくとも「眼鏡」について
使用するときは,これに接する取引者及び需要者は,その構成中の「POLO」の
文字部分に着目し,これより引用商標を連想,想起して,該商品がラルフ・ローレ
ン又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるか
のように認識,理解するものというべきである。
また,原告提出の証拠のいずれによっても,本願商標が,我が国において,常に
一体のものとしてのみ把握され,取引されているとの事実を見いだすことはでき
ず,さらに,ラルフ・ローレン以外の商品の出所を強く連想させ,あるいは,ラル
フ・ローレンとの関連性を打ち消す表示が含まれている等ともいえない。
(5)本願商標の構成中の「POLO」の語は,ポロ競技を表す一般用語であっ
て,周知・著名な引用商標の連想,想起を阻害するほどに強い意味づけを有するも
のとして認識,理解されるとまではいうことができず,本願商標を,引用商標が使
用されている商品と同一の商品である「眼鏡」を含むその指定商品について使用す
るときは,これに接する取引者及び需要者は,むしろその構成中の「POLO」の
語から引用商標を連想,想起し,当該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的,
経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所
について混同を生ずるおそれがあるのである。
本願商標と同一の「USPOLOASSOCIATION」が他の類で登
録されているとしても,登録出願に係る商標が登録され得るものであるかの判断
は,当該商標の全体構成に基づいて個々の商標ごとに個別具体的に検討,判断され
るべきものであって,本願商標については,我が国における本願商標の指定商品分
野における認知の程度,引用商標の周知著名性,「POLO」の語の意味の理解の
程度及びポロ競技についてのなじみの程度等を総合的に検討,判断した結果,商標
法4条1項15号に該当するとしたのである。
第4当裁判所の判断
1商標法4条1項15号の規定は,周知表示又は著名表示へのただ乗りや当該
表示の希釈化を防止し,商標の自他識別機能を保護することによって,商標を使用
する者の業務上の信用の維持を図り,需要者の利益を保護することを目的とするも
のであるから,同号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ
がある商標」には,当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに,当該
商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商
標のみならず,当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社
等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する
関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標
が含まれるものと解するのが相当である。そして,上記の「混同を生ずるおそれ」
の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び
独創性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役
務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者
及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商品の指定商品又は指定
役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意を基準として,総合的に判断
されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第
三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
2そこで,これを本件についてみる。
(1)本願商標は,「USPOLOASSOCIATION」の文字を標
準文字で横書きしてなるもので,引用商標と同一の「POLO」の語と,「U」,
「S」及び「ASSOCIATION」の語とを組み合わせた結合商標である。我
が国の一般国民の通常の英語の理解力に照らすと,本願商標を構成する「POLO」
の語はスポーツとしての「ポロ競技」を意味する語であると理解され,また,「P
OLO」の語以外の語のうち,「U」及び「S」が「アメリカ合衆国」を意味し,
「ASSOCIATION」が「協会」などを意味する語であると理解されると考
えられるから,本願商標からは,「アメリカ合衆国のポロ競技の協会」という観念
が生じ得るということができる。
(2)引用商標は,我が国において,遅くとも本願出願時までにはラルフ・ロー
レンのデザインに係る商品を表示するものとして,被服類,眼鏡等のいわゆるファ
ッション関連の商品分野の取引者及び需要者の間に広く認識されて,著名になった
ものであり,その状態が現在においても継続しているのであって,このことは,原
告も争わない。
(3)本願商標から「アメリカ合衆国のポロ競技の協会」という観念が生じ得る
ことは,上記(1)のとおりであるが,1個の商標から複数の観念が生じることはし
ばしばあるのであって,本願商標が17字を横書きしてなる外観及び称呼の比較的
長い欧文字の商標であることにかんがみれば,簡易迅速性を重んずる取引の実際に
おいて,その一部分だけによって簡略に呼称,観念されることがあり得るものであ
る。
本願商標は,引用商標の一部と同一の「POLO」の部分をその構成の一部に含
む結合商標であって,その外観,称呼及び観念上,「POLO」の部分がその余の
部分から分離して認識され得るものであると考えられるところ,引用商標は周知著
名性の程度が高い表示である上,本願商標の指定商品は眼鏡等であり,引用商標が
現に使用されている商品と同一の商品を含むから,両者の商品の取引者及び需要者
が共通するものであることに照らすと,本願商標がその指定商品に使用されたとき
は,その構成中の「POLO」の部分がこれに接する取引者及び需要者の注意を特
に強く引くであろうことは容易に予想できるところである。そうすると,本願商標
からは,上記のような「アメリカ合衆国のポロ競技の協会」という観念とともに,
ラルフ・ローレン若しくはその関与する会社又はこれらと緊密な関係にある営業主
の業務に係る商品であるとの観念も生ずるということができる。
そうであれば,本願商標は,これに接した取引者及び需要者に対し引用商標を連
想させて商品の出所につき誤認を生じさせるものであり,その商標登録を認めた場
合には,引用商標へのただ乗りやその希釈化を招くという結果を生じ兼ねないと考
えられるから,商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に
当たるといわなければならない。
3原告の主張について
(1)原告は,「POLO」は,既成語そのものであるか,「USPOLO
ASSOCIATION」という既成語の一部であるから,取引者及び需要者が
本願商標に接しても,「POLO」のみに着目するとは考えられないと主張する。
しかしながら,「POLO」の語がスポーツとしてのポロ競技を意味し,また,
「USPOLOASSOCIATION」の文字から「アメリカ合衆国のポ
ロ競技の協会」という観念が生じ得るとしても,上記2のとおり,引用商標の周知
著名性の程度の高さや,本願商標と引用商標とにおける商品の同一性並びに取引者
及び需要者の共通性に照らすと,本願商標がその指定商品に使用されたときは,そ
の構成中の「POLO」の部分がこれに接する取引者及び需要者の注意を特に強く
引くであろうことは容易に予想できるのである。
原告の上記主張は,採用することができない。
(2)原告は,本願商標は,構成それ自体から,ポロ競技を総括する団体の名称
であると認識され,理解されると考えるのが自然であり,合理的であって,既成語
として認識されるか否かの判断に当たって,「USPOLOASSOCIA
TION」が特に日本国内で広く知られている必要はないし,ファッション関連商
品の取引者及び需要者,特に引用商標の使用されている商品を購入する取引者及び
需要者は,真正品の鑑定力を十分に持っているので,本願商標から「POLO」の
語を抽出することはないと主張する。
「USPOLOASSOCIATION」が特に日本国内で広く知られて
いないとしても,我が国の一般国民の通常の英語の理解力に照らすと,本願商標か
ら「アメリカ合衆国のポロ競技の協会」という観念が生じ得るということができる
が,「アメリカ合衆国のポロ競技の協会」という観念だけが生じるわけではなく,
上記2のとおり,その構成中の「POLO」の部分が注意を特に強く引き,ラルフ
・ローレン若しくはその関与する会社又はこれらと緊密な関係にある営業主の業務
に係る商品であるとの観念も生じるのである。また,ファッション関連商品の取引
者及び需要者,特に引用商標の使用されている商品を購入する取引者及び需要者が
真正品の鑑定力を十分に持っているとしても,本願商標の指定商品が眼鏡等であ
り,その取引者及び需要者が当然にファッションに関して特別の専門的な知識経験
を有しているとは限られないのであって,これを購入するに際して払われる注意は
高度なものではないから,その構成中の「POLO」の部分が注意を特に強く引く
と考えられる。
原告の上記主張は,採用することができない。
(3)原告は,「POLO」は,既に数十年前から,競技名として日本全国にお
いて周知であったから,著名な引用商標の業務に係る商品と混同を生じることが別
に証明されない限り,一般用語を商標の一部として採択することが阻止されるいわ
れはないと主張する。
「POLO」の語が,我が国において競技名を表す語として知られているもので
あることは争いがない。しかし,上記2のとおり,引用商標の周知著名性の程度の
高さや,本願商標と引用商標とにおける商品の同一性並びに取引者及び需要者の共
通性に照らすと,本願商標がその指定商品に使用されたときは,その構成中の「P
OLO」の部分がこれに接する取引者及び需要者の注意を特に強く引くであろうこ
とは容易に予想できるのであるから,本願商標は,これに接した取引者及び需要者
に対し引用商標を連想させて商品の出所につき誤認を生じさせるということができ
る。
したがって,「POLO」の語を含む本願商標は,商標法4条1項15号にいう
「混同を生ずるおそれがある商標」に当たるといわなければならないから,原告の
上記主張は,採用の限りでない。
(4)原告は,引用商標の文字は他からの既成語の借り物であり,創造性はない
か又は極めて低いから,その語の本来の意味としての使用であったときには,それ
を一部に含む商標であったとしても,第三者の商標登録や使用の可能性を否定して
はならないのであって,取引者及び需要者は,本願商標のうちの「POLO」の文
字のみに着目するとは考えられず,また,引用商標に連想づける可能性もないから,
引用商標に連想づける阻害要因の不存在を問題にする必然性はないと主張する。
確かに,「POLO」の語は,スポーツとしてのポロ競技を意味するものである
から,引用商標の創造性の程度は,造語による商標に比して低いものではあるとい
わなければならないが,上記2のとおり,引用商標の周知著名性の程度の高さや,
本願商標と引用商標とにおける商品の同一性並びに取引者及び需要者の共通性に照
らすと,本願商標がその指定商品に使用されたときは,これに接した取引者及び需
要者に対し引用商標を連想させて商品の出所につき誤認を生じさせるものである。
そうであれば,「POLO」がもともと一般用語としてのポロ競技を示す語であ
って,その創造性の程度が低いものであるとしても,引用商標の連想を阻害するも
のであるということはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。
(5)原告は,本願商標が標準文字からなるものであって,引用商標と態様が異
なることを考慮すれば,本願商標の指定商品が「眼鏡」というファッション関連の
商品を含むものであっても,指定商品との関係において出所の混同のおそれのない
ことは明白であり,特許庁の審査や原告が実施したアンケート調査の結果によって
も,本願商標の付された商品と引用商標の付された商品との混同を生じることはな
いということができると主張する。
しかしながら,本願商標が標準文字からなるものであって,引用商標と使用の態
様が異なるものであるとしても,引用商標の周知著名性の程度の高さに照らすと,
本願商標が「眼鏡」その他の指定商品に使用されたときは,これに接した取引者及
び需要者に対し引用商標を連想させて商品の出所につき誤認を生じさせるものであ
る。
また,商標登録出願に係る商標が商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるお
それがある商標」に当たるか否かは,商標登録出願時及び査定時における指定商品
又は指定役務の取引の実情等を考慮して,個別具体的に判断すべきものであるか
ら,本願商標と同一の「USPOLOASSOCIATION」が他の類で
登録されているからといって,このことから,本願商標と引用商標とが混同を生じ
るおそれがないということはできないものである。
さらに,甲22,23は,原告の依頼によりシナジーマーケティング株式会社が
実施したロゴマークに関するアンケートとその調査結果であり,引用商標のうちの
「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及び「Polo」の文字
よりなる標章並びに本願商標の知不知,本願商標が付された衣料品を買う可能性の
有無とその理由を集計した結果が記載されている。ところで,上記アンケートは,
本願商標の指定商品ではない衣料品を対象としている上,その結果を見ても,本願
商標を衣料品に使用したときに,当該衣料品がラルフ・ローレンの製品であると誤
信した者(Q4の「商標「USPOLOASSOCIATION」が付いて
いる衣料品を買う可能性がありますか?」に「買う」と回答し,かつ,Q5の「そ
の理由は何ですか?」に「ラルフローレンの製品だから」と回答した者)が500
名中17名であり,本願商標を衣料品に使用したときに,当該衣料品がラルフ・ロ
ーレンの製品であると誤信しなかった者(Q4の「商標「USPOLOAS
SOCIATION」が付いている衣料品を買う可能性がありますか?」に「買わ
ない」と回答し,かつ,Q6の「その理由は何ですか?」に「ラルフローレンのP
OLOの製品ではないから」と回答した者)が500名中18名であるということ
はできるものの,それ以外の者が誤信するか否かは,設問と回答からは明らかでな
いのであって,このようなアンケートの調査結果をもって,「混同を生ずるおそ
れ」の有無を判断することは相当でない。
原告の上記主張は,採用することができない。
第5結論
以上のとおりであって,原告主張の審決取消事由は理由がないから,原告の請求
は,棄却されるべきである。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
塚原朋一
裁判官
高野輝久
裁判官
佐藤達文

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