弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決中被告人有限会社A並びに被告人Bに関する部分
を破棄する。
     被告人有限会社Aを罰金二十万円に、同Bを罰金三十万円に処する。
     被告人Bにおいて右罰金を完納することができないときは金五百円を一
日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
     本件公訴事実中被告人有限会社A及び同Bに対する輸入粗糖、分密白糖、
分密糖並びに甘藷並澱粉の統制額超過買受の各事案については同被告人等を免訴す
る。
         理    由
 職権を以て調査すると被告人有限会社A及び同Bに対する本件公訴事実中、(一)
輸入粗糖、分密白糖、分密糖、並びに(二)甘藷並澱粉の統制超過買受の各事実(
各物価統制令三条四条三三条違反の罪)については、昭和二七年政令第一一七号大
赦令により大赦があつたので刑訴四一一条五号、四一三条但書、三三七条三号によ
り原判決及び第一審判決中同被告人等に関する部分を破棄し、右各事実について、
同被告人等を夫々免訴する。
 被告人有限会社A及び同Bの各弁護人山崎佐の上告趣意は単なる法令違反又は量
刑不当若くは事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理由とならない。
 同被告人等の各弁護人新家猛、同坂野滋の上告趣意第一点について。
 所論(一)乃至(五)は憲法違反を云為するがその実質は単なる法令違反の主張
であり、しかも原判決において主張判断しなかつた事項について第一審判決の違法
を攻撃するものであり同(六)は量刑不当の主張であつていずれも適法な上告理由
とならない。
 同第二点について。
 原判決は所論引用の東京高等裁判所判例と相反する何等の判断を示していないの
であるから論旨は適法な上告理由とならない。(第一審判決の適条をその判示事実
と対照すれば、所論の各当該共犯関係の各事実について各刑法六〇条を適用してい
ることは明らかであるから論旨はとるを得ない。)
 そこで被告人有限会社A、同Bについて前記免訴にかゝらないその余の事実即ち、
第一審判決引用の起訴状第二(添附明細表二)の事実に法律を適用すると被告人B
の判示所為は物価統制令四条三条三三条(但し罰金刑選択)昭和二二年一一月一日
物価庁告示九六二号同二三年七月一一日同告示四六四号刑法四五条前段四八条二項
に、被告人有限会社Aは物価統制令三三条四〇条刑法四五条前段四八条二項(なお
罰金等臨時措置法の適用については同六条一〇条によりいずれも軽い行為時法の刑
に従い同法を適用しない)にあたるので各その処断刑の範囲内で被告人有限会社A
を罰金二十万円に、同Bを罰金三十万円に処し、同被告人の罰金不完納の場合の労
役場留置について同一八条を適用し全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官岡琢郎出席。
  昭和二七年一二月九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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