弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
1被告は,原告に対し,388万9140円及びこれに対する平成10年12
月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2訴訟費用は被告の負担とする。
3仮執行宣言。
第二事案の概要
,,本件は被告が離婚調停の際に約束した金銭給付の一部を履行しないとして
約定の金員の支払いと支払いを催告した日の後である平成10年12月31日
以降の民法所定の年5分の割合による損害金の支払いを求めた事案である。
一争いのない事実等
,(「」。)1原告と被告は平成10年9月2日調停離婚以下本件離婚という
した。その調停調書2項には「原告は,被告に対し,本件離婚に伴う財産,
分与として,本日,別紙物件目録記載の土地及び建物を譲渡し,平成10年
10月9日限り,財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする。但し,
登記手続費用は被告の負担とする」旨の条項があり,同3項には「被告。,
は,原告に対し,本件離婚に伴う財産分与として金1650万円の支払義務
あることを認め,これを平成10年10月9日限り,被告の指定する口座に
振込又は送金して支払う」旨の条項があり,同4項には「当事者双方は,。,
本調停条項をもって本件離婚に関する紛争がすべて解決したものとし,本条
項以外に慰謝料財産分与その他一切の請求をしない旨の条項以下本,。」(「
件清算条項」という)がある(乙1)。。
2離婚調停における話し合いの際に被告は,原告に対し,財産分与として3
000万円を支払うことを提案し,原告は同意した(弁論の全趣旨)。
3A信用組合(以下「A」という)本店営業部は,原告名義の平成10年。
8月28日現在の預金残高証明書を発行しており,同証明書には以下の5件
の預金(以下「本件預金」という)の残高が記載されていて,合計額は1。
350万0707円である(甲1,甲2)。
①普通預金1万8346円
②定期預金(№1150034)206万3099円
③定期預金(№1166707)303万0122円
④定期預金(№1175548)450万円
⑤定期預金(№1100807)388万9140円
4原告は,Aに対し,本件預金の払戻を請求したが,Aは,本件預金①ない
し④の払戻には応じたが同⑤の定期預金の払戻については名義人が原告と異
なるという理由で拒み原告は388万9140円を受領できなかった弁,。(
論の全趣旨)
5被告は,原告に対し,平成10年10月9日,1650万円を振り込み送
金した(乙2)。
二争点
原告の被告に対する388万9140円の支払請求権は,本件清算条項に
より消滅したか。
第三当裁判所の判断
一甲第2号証,乙第1号証,弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
本件離婚までの間,本件預金証書を原告と被告のいずれが保管していたかに
ついては争いがあるものの,原告と被告は,被告から原告に対する金銭的財産
分与として支払うことを合意した3000万円のうち1350万円について
は,本件預金を原告が取得することにより充当し,本件離婚調停調書では,残
額の1650万円についてのみ被告の支払義務を定めた。
したがって,原告は,遅くとも本件離婚が成立した日には,本件預金証書を
所持していて払戻を請求できる地位にあったと認めるのが相当である。
二以上の事実と前記争いのない事実等を総合すると次のとおり判断できる。
本件離婚調停が成立した時点では,原告と被告は,財産分与のうち1350
万円については原告が本件預金の払戻を請求できる地位を取得したことによっ
て履行済みと認識しており,それゆえ残りの1650万円の財産分与について
のみ調停条項で明記し,1650万円の支払と本件調停調書2項に記載された
不動産の所有権移転登記手続が終われば本件離婚に関する紛争は全て解決する
ことになると認識していたと解される。
そして本件清算条項には,当事者双方すなわち原告と被告は,本件離婚に関
する紛争が全て解決したものとし,本条項以外に慰謝料,財産分与その他一切
の請求をしない,と記載されていることに照らすと,Aが本件預金の一部の支
払を拒んだことを理由として,約定に基づいて原告が被告に対し本件調停条項
に記載されていない388万9140円の支払を請求するのは,実質的に新た
な財産分与を求めるのと等しく,本件清算条項に違反し,本件離婚調停が成立
した時点における当事者の意思にも反すると言わざるを得ない。原告と被告間
で合意された3000万円の支払については,前述したように,そのうち13
50万円については原告がAに対して本件預金の払戻を請求しうる地位を得た
ことによりすでに合意は履行されたと評価するべきであり,残金の1650万
円の支払については,被告は原告に対して送金済である。
三以上によれば,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟
費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
岡山地方裁判所第1民事部
裁判官金光秀明

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