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裁判例


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主文
1被告は,原告Aに対し,別紙1「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙1「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
2被告は,原告Bに対し,別紙2「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙2「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
3被告は,原告Cに対し,別紙3「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙3「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
4被告は,原告Dに対し,別紙4「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙4「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
5原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6訴訟費用の負担は,以下の割合とする。
(1)原告A10分の2
(2)原告B10分の1
(3)原告C10分の1
(4)原告D10分の1
(5)被告その余
7この判決は,主文1項ないし4項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1被告は,原告Aに対し,別紙1「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙1「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
2被告は,原告Bに対し,別紙2「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙2「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
3被告は,原告Cに対し,別紙3「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙3「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
4被告は,原告Dに対し,別紙4「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対
する別紙4「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで,それぞれ年5%
の割合による金員を支払え。
5訴訟費用は被告の負担とする。
61項ないし4項につき仮執行宣言
第2事案の概要
1本件は,系列会社に勤務していた原告らが被告に移籍する際,①従前,系
列会社で得ていた基本給額は最低限保障する,②従前,系列会社で得ていた
(,のと同様の一時金を支給するとの約定があったと主張する原告らがただし
原告Dは一時金を請求しない,同約定に基づく賃金と実際に支払われた。)
賃金額との差額につき,主位的に未払賃金及び遅延損害金の支払を(起算日
は,任意に通算した期間の最終の履行期の属する月の翌月1日,予備的に)
被告が前記系列会社における月例給与額及び一時金の額の支払を最低限保障
するつもりがないのに,これがあるものと各原告らを欺罔した信義則違反を
理由とする債務不履行又は不法行為に基づく前記差額賃金相当の損害賠償及
び遅延損害金の支払を求めた事案である。
2前提となる事実
当事者間に争いのない事実,かっこ内に摘示した証拠及び弁論の全趣旨か
ら容易に認められる事実は以下のとおりである。
(1)当事者等
ア被告
貨物自動車運送事業等を目的とする株式会社である(現在事項全部証
明書。その事業の一環として,小口貨物,いわゆる宅配便を取り扱っ)
ており,P・A事業と呼んでいた(乙32。)
イ訴外E運輸株式会社
トラック運送業・倉庫業等を業とする株式会社であり,被告の系列下
にあって,被告の宅配便の集配を請け負っていた(乙33。)
ウ原告ら
いずれも,平成12年3月当時,E運輸に雇用され,被告からE運輸
が請け負っていた宅配便の集配に関連する業務に従事していたものであ
る(乙33。原告D以外の原告らは,いずれも期間の定めのない雇用)
契約をE運輸と締結していたものである。
原告らは,平成12年3月31日,E運輸を退社し,同年4月1日,
被告に入社した。
(ア)原告A
原告Aは,平成12年3月当時,E運輸の下で操配,すなわち従業
員の配車や休日の管理を構内で行う業務を担当していた。
原告Aは,平成12年4月以降平成15年まで,被告の下で,少な
くとも一部は操配の業務を担当することがあった(証人F,原告A本
人。平成15年以降は,被告の下で,宅配便の集配業務に従事して)
いた。
原告Aは,平成19年11月15日,解雇に伴い,被告との雇用関
係を終了した(乙35。)
(イ)原告B
原告Bは,平成12年3月当時,E運輸の下で,宅配便の集配業務
を担当していた。
原告Bは,平成12年4月以降,被告の下で,宅配便の集配業務に
従事していた。
(ウ)原告C
原告Cは,平成12年3月当時,E運輸の下で,宅配便の集配業務
を担当していた。
原告Cは,平成12年4月以降,被告の下で,宅配便の集配業務に
従事していた。
(エ)原告D
原告Dは,平成12年3月当時,契約社員として,E運輸の下で,
宅配便の集配業務に従事していた(甲18。)
原告Dは,平成12年4月以降,被告の下で,宅配便の集配業務に
従事していた。
エG労働組合大阪支部
原告らが平成13年9月1日,加入した労働組合である(甲17。)
G労働組合を上部団体とする。
(2)原告らのE運輸における月例賃金
原告らの平成11年12月から平成12年2月にかけての(証人H,証
人F)E運輸における1か月当たりの平均賃金(乙6の「調整後」欄)及
びこれを月平均労働日数21.6日で除した(乙46の1)日額は以下の
とおりである。なお,乙46の1によれば,上記平均賃金中には,誤って
平成11年12月に支給した交通費を算定の基礎とした旨の記載があり,
原告Aに支給された交通費が3万6600円であることが認められる。そ
の他の原告については,具体的な金額の主張,立証はない。
原告名平均月額賃金日額
原告A32万4850円1万5039円
原告B28万0730円1万2996円
原告C25万3703円1万1746円
原告D25万3548円1万1738円
(3)雇用条件(乙1ないし乙4)
就業時間午前8時30分から午後5時30分
休憩時間1時間
賃金計算の締め日及び支払日毎月末日締め,翌月25日払い
一時金の支払日一時金又はインセンティブは,夏季に支
給すべきものにつき遅くとも毎年7月末日
までに,年末に支給すべきものにつき遅く
とも毎年末日までに支給する。
(4)原告らの労働への従事
原告らは,平成12年4月1日から平成16年9月末日までの間,別紙
5−1ないし別紙8−5(省略)の各「稼働日数」欄記載のとおり稼働し
た(なお,前記別紙の「月」欄の数字は,支払月を指す。賃金計算の締め
日と支払日は前記(3)のとおりであるから,たとえば,平成12年5月
の欄の記載は,平成12年4月1日から平成12年4月末日までの労働に
対応するものとなる。別紙5−1ないし別紙12(省略)はいずれも同様
である。そのうち,時間外労働時間数は,各「残業」欄のとおりであ。)
り,休日労働時間数は,各「休出」欄記載のとおりであり,深夜残業時間
数は,各「深夜」欄記載のとおりである。
原告らは,平成16年10月1日から平成20年1月末日までの間,別
紙9ないし別紙12(省略)の「稼働日数」欄記載のとおり稼働した(な
お,原告Aについては,平成19年10月末日までの稼働である。そ。)
のうち,時間外労働時間数は,各「残業」欄のとおりであり,休日労働時
,「」,,「」間数は各休出欄記載のとおりであり深夜残業時間数は各深夜
欄記載のとおりである(なお,被告は,平成18年9月支払分以降の稼働
日数,時間外労働時間数,休日労働時間数,深夜残業時間数に関する原告
らの主張を明らかに争わない。。)
(5)原告らへの賃金の支払い
被告は,平成12年5月から平成16年10月までの間,平成12年4
月分から平成16年9月分までの月例賃金として,各原告らに対し,それ
ぞれ,別紙5の1ないし別紙8の5(省略)の「被告での現実に支給され
た賃金額B」欄の「合計(B」欄記載の金額を支払った。)
被告は,平成16年11月から平成20年2月までの間,平成16年1
0月分から平成20年1月分までの月例賃金として,各原告らに対し,そ
れぞれ別紙9ないし別紙12(省略)の「既払い額」欄記載の金額を支払
った。
被告は,平成12年7月から平成16年7月までの間,原告Dを除く各
原告に対し,別紙13ないし別紙15(省略)の各「被告で支払われた一
時金」欄記載のとおりの金銭を支払った(ただし,平成12年7月分につ
いては「被告」欄記載の金額に限る。また,被告は,平成16年12,。)
月から平成19年12月までの間,原告Dを除く各原告に対し,別紙16
(省略)の「被告から支払われた一時金等」欄記載のとおりの金銭を支払
った(なお,被告は,平成16年12月以降の支払金額に関する原告らの
主張を明らかに争わない。もっとも,これら金銭の支払い名目が一時。)
金かインセンティブかについては争いがある。
(6)時効の援用
被告は,平成20年6月6日,第17回口頭弁論期日において,平成1
6年9月分(平成16年10月支払分)以前の賃金債権につき,消滅時効
を援用する旨述べた(被告の平成20年5月30日付け(最終準備書面1)(
4。))
(7)訴えの追加的変更申立書の送達等
原告らは,平成18年2月14日,各原告らの平成12年5月支払分か
ら平成13年9月支払分までの月例賃金及び平成12年7月から平成13
年7月までの一時金につき債務不履行に基づく損害賠償及び遅延損害金の
支払を求める訴えを提起した(訴状。)
原告らは,平成18年11月16日,主位的に上記の期間に相応する月
例賃金及び一時金に加え,平成13年10月支払分から平成18年8月支
払分までの月例賃金及び平成13年12月から平成18年7月までの一時
金の支払を求め,予備的にこれらと同額の信義則違反による債務不履行又
は不法行為に基づく賃金相当損害金の支払を求める訴えの追加的変更申立
(。),書原告Dの一時金にかかる請求の取下げ等を含むを裁判所に提出し
これは,同日,被告に送達された。同書面は,平成19年1月12日,第
6回口頭弁論期日において,陳述された。
第3争点に関する当事者の主張
1本件の争点は,①被告との雇用契約の際,従前の賃金額を保障する旨の約
束があったか(保障約束の有無,②原告らの保障されるべき賃金額,③原)
告らのE運輸における一時金の支給額,④平成12年6月2日付け賃金規程
改正乙5の別紙2の効力⑤平成13年1月26日付け賃金規程改正(乙(),
5の別紙3)の効力,⑥平成14年3月31日付け労働協約(乙12)の効
力,⑦時効援用権の濫用の有無,⑧信義則違反を理由とする債務不履行又は
不法行為の成否である。
2保障約束の有無
(1)原告らの主張
被告は,平成12年4月に原告らが被告に移籍する際,E運輸での月例
賃金及び一時金と同額を保障する旨約束した。
(2)被告の主張
原告の主張は否認する。原告らを被告が雇用する際の賃金に関する約定
,,,は原則として歩合給及び超過勤務手当の支給であり最低保障給として
以下の約定があった。一時金については,祝儀として支給する約束はあっ
たものの,具体的金額の定めはなかった。
期間原告名日額
平成12年4月分から6月分原告A1万4287円
原告B1万1047円
原告C9984円
原告D1万0565円
平成12年7月分以降各原告6000円
3原告らの保障されるべき賃金額
(1)原告らの主張
各原告らの保障されるべき月例賃金額は,以下の「日額」欄記載の日額
をもとに計算されるべきである。
原告名月額賃金日額
原告A32万4850円1万5039円
原告B28万0730円1万2996円
原告C25万3703円1万1746円
原告D25万3548円1万1738円
仮に原告らの上記主張が認められない場合でも,平成12年4月1日当
時,原告らと被告との間には,月例賃金として,少なくとも以下の日額を
保障する旨の約定があった。
原告名日額
原告A1万4287円
原告B1万1047円
原告C9984円
原告D1万0565円
各原告らの保障されるべき一時金額は,以下のとおりである。これは,
平成10年3月18日付け労働協約(甲46)に基づき,夏季は基本給の
約1.8か月分,年末は基本給の約2.1か月分が平成11年度に支給さ
れたこと(甲49)に基づく。なお,原告A及び原告Bについては,平成
11年度の支給額(甲47の1ないし甲48の2)と同額を主張する。
原告名夏季一時金年末一時金
原告A45万6000円53万7371円
原告B38万3175円43万4657円
原告C33万7376円42万3587円
(2)被告の主張
原告らは,保障されるべき月例賃金額及び一時金額が具体的金額として
約定されていた旨主張するが,実際のところ,単に「従前の賃金を保障す
る」との説明があったと主張するのみであり,具体的金額の約定があった
ことを主張立証していない「従前の賃金」といった場合,前年同月の賃。
金なのか,年間平均賃金なのか,特定の期間の平均賃金なのか等々様々に
考えられるのであり,請求の根拠として不十分である。
原告らの主張する保障されるべき月例賃金額は,E運輸における平成1
1年12月から平成12年2月までの3か月間の平均に基づくものである
が,これには,家族手当,能率給,通勤手当が含まれており,不正確であ
る。
,。各原告らの保障されるべき一時金額の主張についても否認ないし争う
一時金はそもそも会社業績に左右されるものであるから,額の保障等があ
るはずがない。なお,臨時給は,インセンティブとして支給されるように
なった。
4平成12年6月2日付け賃金規程改正(乙5の別紙2)の効力
(1)被告の主張
被告は,平成12年6月2日,以下の就業規則たる賃金規程の改定を行
い(乙5の別紙2,これに伴って原告らの賃金額が変更された。)
月例賃金の最低保障額の上限1万2000円
月例賃金の最低保障額の下限7200円
月例賃金への適用平成12年7月分(同年8月支給分)より
平成12年7月支給分の一時金額
最低保障日額×月間所定労働日数×支店社員支給率×支給対象月数
(。)平成12年4月1日に移行した者の支給対象月数は6分の2とする
,,,上記改定については乙13に基づき原告らを含む各従業員に説明し
周知徹底を図っている上「SD労働条件の見直しについて」と題する書,
面(乙13の第5葉,第6葉)を配布して周知している。
なお,この変更については,労働基準監督署への変更届をしたものと考
えている。ただし,原告らが当時,労働組合に加入していなかったため,
労働組合の意見は,聴取していない。
(2)原告らの主張
平成12年6月2日付け賃金規程改正(乙5の別紙2)は,就業規則の
変更であるところ,①賃金を切り下げるという不利益変更であり,②何ら
合理性はない上,③労働基準監督署へ届け出たとは認められず,④労働組
合の意見聴取もしていないし,⑤周知もされていないので,効力を有しな
い。
5平成13年1月26日付け賃金規程改正(乙5の別紙3)の効力
(1)被告の主張
被告は,平成13年1月26日,同年2月分(同年3月25日支給分)
以降の月例賃金につき,原告ら社員(SD)の最低保障額の上限を1万0
000円とする賃金規程の改定を行った(乙5の別紙3。これに伴い,)
原告らの賃金額は,変更された。
これについては,乙14に基づき,各支店長から原告らを含む各従業員
に説明し,周知徹底を図っている。
なお,この変更については,労働基準監督署への変更届をしたものと考
えている。ただし,原告らが当時,労働組合に加入していなかったため,
労働組合の意見は聴取していない。
(2)原告らの主張
平成13年1月26日付け賃金規程改正(乙5の別紙3)は,就業規則
の変更であるところ,①賃金を切り下げるという不利益変更であり,②何
らの合理性はない上,③労働基準監督署へ届け出たとは認められず,④労
働組合の意見聴取もしていなし,⑤周知もされていないので,効力を有し
ない。
6平成14年3月31日付け労働協約(乙12)の効力
(1)被告の主張
被告とG労働組合大阪支部(原告らが所属している)は,平成14年。
3月31日,原告らを含む平成12年4月1日に被告に移行した者らの月
例賃金の最低保障額を個別に設定する旨の労働協約を締結し(乙12,)
これに基づいて,各原告の月例賃金の日額について,以下のとおり前記労
働組合と合意した。平成14年4月分以降,各原告らの賃金は,同協約に
基づき,支払われている。
原告名日額
原告A1万0000円
原告B1万0000円
原告C9984円
原告D7200円
また,同労働協約には,一時金及びインセンティブにつき,以下の約定
があり,平成14年7月分以降の原告らのインセンティブは,これに基づ
き支払われている。
一時金支給しない
インセンティブ以下に定める方式により支給する。
新規獲得企業からの出荷販売運賃×賃率4%(対象期間の計)
新規獲得取扱店からの出荷販売運賃×賃率4%(対象期間の計)
個人集荷販売運賃×賃率2%(対象期間の計)
(2)原告らの主張
以下の事由によれば,平成14年3月31日付労働協約(乙12)は,
無効である。
ア組合規約違反
G労働組合にあっては,労働協約の締結について,全国大会の議決を
要するところ(組合規約(甲13)19条5号,原告らに対し,労使)
賃金協定に関する組合大会や代議員大会があるとの事前の通知はなく,
適正な手続がなされたことがうかがえない。
イ原告らの積極的異議の表示の無視
原告らは,G労働組合大阪支部に加入した後は,賃金が不当に引き下
げられているとして,是正を促すよう同労働組合に求めていたにもかか
わらず,G労働組合大阪支部は,これを無視して上記労働協約を締結し
た。
ウ不合理性
被告全体でみれば,利益を安定的に出しており,原告らに賃金減額,
低賃金を強いる合理的理由がない。
また,扶養家族の減少に伴い,扶養手当を減額するのではなく,基本
給を減額するという点でも不合理な内容である。
さらに,扶養家族が減ると賃金が下がるのに,扶養家族が増えても賃
金が上がらないという点でも不合理な内容である。
これに加え,原告らと同様にP・A便の業務に従事しているもののう
ち,全国社員や地域社員など一部の者には上記労働協約の適用がなく,
原告らより好待遇を受けている点でも,賃金の均等待遇の原則に反して
おり,不合理な内容である。
7時効援用権の濫用の有無
(1)原告らの主張
以下の事由によれば,被告の時効の援用は,権利の濫用である。
ア原告らは,平成12年8月以降,被告の賃金切り下げに対し,異議を
唱えており,権利の上に眠る者ではない。
イ被告は,原告らに賃金額を定める根拠となる規程等を示さず,賃金引
き下げの認識及びその違法の根拠を与えなかった。
ウ被告は,原告らがE運輸から被告に移籍する際,賃金等の待遇面で不
安を持っていた原告らに対し,その不安を否定する条件を提示して移籍
させた上で,一方的に賃金を切り下げ,これを追認する労働協約を締結
してから労働組合に加入させたもので,これを労働組合と合意の上行っ
ていることからすると,原告らをだまし討ちにしたに等しい。
(2)被告の主張
原告らの主張は,否認ないし争う。
8信義則違反を理由とする債務不履行又は不法行為の成否
(1)原告らの主張
被告は,E運輸と共同して,真実は原告らの賃金の最低保障額をE運輸
の賃金と同額にするつもりがないのに,これがあるかのように装い,原告
らを欺罔し,原告らをしてその旨誤信させ,これを前提に原告らをして被
告と雇用契約を締結させたもので,雇用契約を締結するに当たっての信義
則違反を理由とする債務不履行責任又は不法行為責任として,E運輸にお
ける原告らの賃金額と実際に被告が支払った賃金額の差額相当の損害につ
き,賠償する責任を負う。
(2)被告らの主張
原告らの主張は,否認ないし争う。
第4当裁判所の判断
1認定事実
争いのない事実,かっこ内に摘示した証拠及び弁論の全趣旨により認定で
きる事実は,以下のとおりである。
(1)原告らは,平成11年5月以前,G労働組合の淀川分会に所属していた
が,同年6月,独立したE運輸労働組合を結成したことに伴い,G労働組
合を脱退した。E運輸労働組合の執行委員長には,原告Aが就任した(甲
17。)
(2)被告は,平成11年10月又は同年11月ころ(証人H,宅配便の集)
配を担当する者らを直接雇用する形態にすることを検討し始めた。競合関
係にある他社の動向を見て,集配担当者が,単に集配をするだけでなく,
いわばセールスマンとして営業活動を行うようにするためであった(乙3
2。)
(3)被告の宅配便の集配担当者は,平成12年3月28日以前は「セール,
スドライバー,略して「SD」と呼ばれていたが,同月29日以降「サ」,
ービスドライバー」と呼ばれるようになった。もっとも,略称としては,
引き続き「SD」が用いられていた(乙20。)
(4)被告の関西P・A支店の総務担当課長であったHは(乙32,平成1)
2年3月,系列会社の社長や原告らを含む従業員等に,宅配便の集配担当
者の直接雇用化の方針と,直接雇用化後の原告ら従業員の待遇の説明を数
回に分けて行った。これらの説明は,Hのほか,少なくとも被告の関西P
,,(,・A支店の部長やI支店長守口Pセンター所長のFも行った乙32
甲18,乙33,証人F。E運輸のJ社長も原告らに説明を行った(乙)
33。)
前後関係や時期については,争いがあるが,少なくとも,①原告Aを含
む系列会社の労働組合の委員長を集め,前記関西P・A支店のI支店長か
らの説明があったこと,②各原告らに対し,Hから個別に説明がなされた
ことは認められる(甲17,甲18,甲19,甲20,原告D本人,乙3
2,証人H。)
(5)原告らは,平成12年4月1日,被告と雇用契約を締結した。その際,
原告らは,いずれも賃金について「SD支店社員賃金規程による」との,
「」()。記載のあるSD支店社員雇用契約書に署名押印した乙1ないし乙4
(6)被告の平成12年4月1日当時の社員(サービスドライバー)賃金規程
(乙5)には,以下の規程がある。
3条(最低保障給)
社員(SD)の月間の労働時間に対する歩合給金額の合計が,これ
に対応する最低保障金額を下回る場合には,歩合給に代えて,月間の
労働時間に対する最低保障金額を支給する。
最低保障金額1日の所定労働時間(8時間)あたり6000円
なお,2000年4月1日に実施した系列作業会社からの移行者等
については,個別に設定するものとする。
(7)被告とG労働組合は,平成12年4月26日,以下の内容を含む労働協
約を締結した(乙51。)
直傭SDについては,集荷給(収入歩合,配達給(個建単価,新))
規顧客の獲得などに報いる奨励給,無事故・クレームゼロを評価する高
,,。品質手当などを基本としその体系は本社・組合中央本部間で定める
なお,賃金水準については,現地会社・組合間で協議する。
一時金は,原則として支給しない。
実施期日は,平成12年4月1日とする。
(8)被告の関西P・A支店では,平成12年4月,宅配便の集配業務のため
に,系列会社から従前集配業務を担当していた者約120名を受け入れ,
新規に約110名を採用した(証人H。うち,守口Pセンターでは,約)
28名が系列会社からの移行者であり,このうちに原告らも含まれる(乙
32。守口Pセンターに,新規採用した者は,最終的に約5名配属され)
た(証人H。)
(9)Hは,平成12年4月中旬から同年6月ころまでの間,系列会社から移
行した者も含む新たに被告に入社したSD社員らに対し,賃金体系等を含
む労働条件について説明を行った(乙30の1,乙30の2,乙32。)
この説明会の参加者については「サービスドライバー講習」を受けて」,「
と題する感想を作成することが求められており,参加者のうちには「次,
長様も,言っておられましたが,1日,100件前後の配達と集荷を行っ
,。,。」ていると営業活動はできません早く配達区分を減らして頂きたい
(乙42の5「やっぱり6000円ではやっていけない(乙42の1),」
6「これまでは支店社員として基本給がありボーナスもありましたが),
歩合だけの給料でやっていけるのか不安です(乙43)等の感想を記。」
載するものがいた。
(10)被告は,平成12年6月2日,以下のとおり,就業規則である賃金規
程を改定した(乙5の別紙2。)
月例賃金の最低保障額の上限(日額)1万2000円
月例賃金の最低保障額の下限(日額)7200円
,。系列作業会社移行者については9月末日まで85%保障を延長する
月例賃金への適用平成12年7月分(同年8月支給分)より
平成12年7月支給分の一時金額
最低保障日額×月間所定労働日数×支店社員支給率×支給対象月数
()平成12年4月1日に移行した者の支給対象月数は6分の2とする
(11)原告Aは,平成12年8月25日,同年7月分の月例賃金が従前より
下がっていたことから,Fに異議を述べた(甲17,証人F)
(12)原告らは,平成12年12月13日から同月14日にかけての夜間,
少なくともFとの間で,一時金の取扱い等について,話し合いをした(甲
17,甲18,甲19,甲20,原告A本人,原告B本人,原告C本人,
原告D本人,乙21ないし乙25,証人F。)
(13)被告は,平成13年1月26日,原告ら社員(SD)の最低保障額の
上限を1万0000円とする旨,就業規則である賃金規程を改定した(乙
5の別紙3。)
(14)被告は,平成14年3月31日,G労働組合大阪支部との間で,原告
らを含む平成12年4月1日に被告に移行した者らの月例賃金の最低保障
額を個別に設定する旨の労働協約を締結した(乙12。)
2保障約束の有無
(1)平成12年3月当時,原告らに対し,被告側が賃金体系の説明用に示し
た文書につき,原告らは,甲1を示されたと主張し,被告は,乙19を示
した旨主張するので,以下検討する。
甲1は,乙19と①表題が「サービスドライバーの労働条件(甲1,」)
「セールスドライバーの労働条件(乙19)と異なっていること,②一」
時金の項につき,乙19にはある「祝儀」の記載が甲1にはないこと,()
③乙19では最低保障額を記載してある右半分が甲1にはないことが異な
る。
この点,①「サービスドライバー」の呼称が使用されるようになったの
は平成12年3月29日以降であり(前記認定事実,同年3月中に行わ)
れた移籍対象者への事前説明に使用したと考えるのは不自然であり,むし
ろ旧呼称である「セールスドライバー」の表題のある乙19が使用された
と考えるのが自然であること,②甲1は,それのみでは体裁上,賃金体系
の提示として不完全であり,これを以て説明したと考えるのは不自然であ
ること,③平成12年4月以降実施された被告への移籍者等への労働条件
の説明会において,最低保障額が6000円であると説明されたことにつ
き不安をもらしている者がいることと(乙42の16)乙19の最低保障
,。額の記載が符合すること等からすると乙19を示したものと認められる
乙19による賃金体系の概要は以下のとおりである。これらは,平成1
2年4月1日当時の被告の「社員(サービスドライバー)賃金規程(乙」
5)の内容と合致している。
原則支給額=歩合給+超過勤務手当
例外最低保障(1日(8時間)6000円×勤務日数)
歩合給には,5つの区分があるが,初任時は,一律Cランクとし,3か
月後に改定する。
Cランクの歩合給
集荷給(販売収入に対する率)配達給(1個)
個人取扱店企業一般SSポストイン
18%13%11%90円60円35円
アロー集配作業1kgにつき3円
高品質手当月間ノークレーム1万0000円
月間無事故1万0000円
(2)事前説明に乙19が用いられたことに加え,原告らが乙1ないし乙4の
「SD支店社員雇用契約書」に署名押印していること(認定事実(5,))
原告ら以外に賃金に関する異議を述べている者が見あたらないことからす
ると,被告の主張にも一定の理由があるように見える。
しかしながら,一件記録を精査しても,原告らが会社を移るとき,原告
らが被告の新しい賃金体系について,平成12年3月当時,強く異議を申
し述べたり,抗議をした形跡はない。また,E運輸を退社することについ
て,抵抗した形跡もない。Hは,乙19に基づく賃金体系を説明した際,
給料が下がることを指摘する話も出たが「みんなでこれからの取組とし,
て,エリアの見直しをするなり,数量を増やすなり,そういう取組をみん
なでがんばっていこうという話」をしたら,それ以上の話が出なかった旨
証言しているし(証人H,Fは,給料が下がることを指摘する声すらな)
かった旨証言する(証人F。)
被告は,平成12年3月当時,守口Pセンターにあっては,過去の集配
実績や地域特性から,乙19記載の歩合給を原則とし,最低保障給を日額
6000円とする賃金体系を導入すると,原告らの賃金が下がる可能性が
高いものと認識していた(証人H。先行して歩合給制度を導入した関東)
地方において,日額6000円の最低保障額適用となった者が約80%に
,()。のぼり制度の一部見直しを検討している状況でもあった乙28の3
現に,その後の被告は,賃金制度を改定し,結局,日額6000円の最低
保障給を適用することはなかったものである。原告らにおいても,平素の
業務状況についての認識はあることからして,賃金引き下げの結果となる
可能性が高いとの認識を持つことは十分に可能であった(原告A本人。)
また,乙19は,一時金につき,何らの保障もしていないどころか「祝,(
儀」とのかっこ書きが付されており,従前,原告らが得ていた一時金と)
はかけ離れた僅少な金額となる可能性すら示唆している(現に,平成12
年12月支給分以降,一時金制度は廃止され,これに代わるものとしてイ
ンセンティブ制度が導入されたが,原告らに対しては,1万0000円に
も満たない金額しか支給されていない。賃金の支払約束は,雇用契約。)
の本質的要素であり,労働者の関心が高いことは言うまでもない。原告ら
は,特段の希望があったわけでもないのに,被告の営業方針上の理由から
被告への移籍が求められていたものである。それにもかかわらず,賃金の
低下,殊に一時金の金額が不確定となることが見込まれる移籍後の賃金体
系が設定されている被告への移籍について,原告らが何ら異議を述べたり
抗議をしなかったというのは,格別の理由があったからであると考えざる
を得ない。原告Aについては,少なくとも一部は操配業務を担当していた
ものであり,乙19の賃金体系によれば,管理職的な業務であるにもかか
わらず(証人H,日額6000円となってしまうのであり,移籍に同意)
,。したと考えるためにはなおさら格別の理由があったとしか考えられない
そこでかかる格別の理由について検討するに,原告らの,E運輸におけ
(,,る賃金額を保障する旨被告が約束したとの供述原告A本人原告B本人
原告C本人,原告D本人)は,格別の理由として合理的かつ自然であり,
信用できる。殊に,少なくとも一部は操配業務を担当し,歩合給に完全に
よることができなかった原告Aについては,従前の賃金額を保障する旨の
約束があったと考える以外の説明は困難である。また,原告らの被告への
移籍の目的が,集配担当者を「町のセールスマン」として地域に根ざした
営業を行わせる施策の一環であること(乙32,従前担当しており慣れ)
(),た者が引き続き同じ地域を担当することが想定されていたこと証人H
従前の集配担当者の3割から4割くらいを被告に移籍させる目標があった
こと(証人H)からすると,原告らを被告の下に誘うべく,積極的に被告
が好条件を提示した可能性も否定できないところである。
被告は,当初3か月間,E運輸の平成11年12月から平成12年2月
にかけての月額賃金の平均額の少なくとも85%を保障する約束をした旨
主張しているが,わずか3か月間の月例賃金の保障約束で,しかも一時金
の金額の保障を含まない乙19の賃金体系に合意したと考えることには,
困難が伴う。Fは,日額6000円の最低保障額について,3か月後の見
直しが予定されていたため,たいした不満がでなかった旨述べるが(証人
F,具体的な金額の約束もないのに,たいした不満がでなかったとは想)
定しがたいところである。同様にHも,集配エリアの見直しや営業努力等
により,歩合給であっても賃金額が増額する見込みを提示して了解を得た
旨述べるが(証人H,乙32,抽象的な話であり,原告らを含む移籍対)
象者を納得させるに十分であるとは言い難い。現に,集配エリアの見直し
は,なかなか進まず,原告らの歩合給は最低保障給を下回る結果になって
おり(証人H,かなり不確かな話であったことがうかがわれる。)
原告らは,被告への移籍の際,被告の充実した福利厚生制度が利用でき
ることや,被告健保へ加入できること(保険料の本人負担額が少なくなる
ことにつき乙28の3)を指摘された旨供述するが(甲17,甲18,。
甲19,乙19記載の賃金体系の下で見込まれる原告らの減収額を納得)
させるほどのものというには,見劣りする。
また,原告らは,宅配便集配業務の被告への移管に伴い,E運輸におけ
る担当業務が消滅し,解雇か移籍か二者択一を迫られる状況にあったこと
はうかがわれるが(甲19,そうであれば,従前と同様の待遇を求める)
か,E運輸の解雇を争うか,いずれにせよ何らかの異議や抗議があって然
るべきであるところ,そのような形跡はない。
被告は,平成12年3月24日に原告Aも含む系列会社の労働組合の関
係者らが出席して被告から移籍に関する説明を受けた際「賃金について,
は,3ヵ月間現行平均賃金の最低80%を保障する「一時金について。」,
は,金額は未確定であるが支給をする。支給基準については,品質・新規
獲得などを考慮したい」旨の説明があったとの被告グループ労働組合大。
阪協議会作成の書面(乙34)を証拠として提出するが,①待遇の異なる
(),様々な系列会社甲12の労働組合の者を呼び出して行った説明であり
これら系列会社の中での「最低限」を説明したに過ぎないと解することも
可能で,必ずしも,原告らについて,E運輸の賃金と同額を保障する約束
をした事実を排除するものではないこと,②最も肝要なはずの,3か月後
の最低保障給や額について説明された形跡がなく,移籍直前時期であるこ
とも考えると,不可解な面もあること,③説明不足から職場で誤解もあっ
た旨被告側も表明したとの記載もあり,従前の賃金を保障する旨の表明を
他の者がしていた可能性をも示唆するものであることからすると,前記認
定を覆すに足るものではない。被告は,上記説明と同様の説明をするよう
各Pセンター所長宛に発出した文書(乙27ないし乙28の3)も証拠と
して提出しているが,かかる説明をした場合に予想される事態が生じてい
ないことからすると,これに沿った説明がなされたのか疑わしい。
ところで,この説明会の際,被告がP・Aの会社業績は各統括計で95
億円の赤字であり,そのうち被告の関西P・A支店は14億円の赤字であ
るとの説明をした記載が乙34にはあり,当時の被告の宅配便事業は,年
間200億円の赤字であったとの供述もある(乙32。会社の業績不調)
を目の当たりにして労働者が賃金引き下げに応じることはあり得ないこと
ではない。しかし,最終的に,賃下げに応じるとしても,抗議活動や交渉
等を経るのが通常であって,何の異議申立や抗議もなく賃下げに応じると
はなかなか考えにくい。平成11年のG労働組合の全国大会議案集(乙4
7)や,平成13年の同労働組合の全国大会議案集(乙49)には,被告
を取り巻く経営環境が厳しい旨の記載もあるが(乙47,乙49,他方)
で同労働組合は,被告に対する賃上げ要求を運動方針に挙げており(乙4
7,乙49,容易に原告らが賃金引き下げとなる移籍に応じる状況では)
なかったことがうかがわれるのである。
このほか,被告は,原告らが結局乙1ないし乙4の「SD支店社員雇用
契約書」に署名押印したことや乙19により賃金体系が説明されたことを
指摘するが,少なくとも当初3か月間は,乙1ないし乙4記載の賃金体系
や乙19記載の賃金体系とは異なる賃金体系により賃金が支払われたこと
は被告も認めるところであり,乙1ないし乙4や乙19をもって,これと
異なる賃金保障約束の存在を排除することはできないというべきである。
これに加え,Hが平成12年4月中旬から同年6月までの間,被告への
移籍者に対し,最低保障額が6000円である旨説明したことがうかがわ
れるほか(乙42の16,歩合給制度についての説明をしたことがうか)
がわれる証拠もある一方(乙42の5,乙43等,その説明に対し,従)
前の約束と違うといった抗議が乙42の1ないし乙43の書面には見あた
らないことも認められるが,雇い主である被告に対し,あからさまな抗議
が見あたらないからといって,直ちに原告ら以外の者が従前の約束と違う
との不満を持っていなかったとみることはできない。
以上の検討によれば,被告が乙1ないし乙4の記載や乙19の提示とは
別途に,口頭でE運輸の賃金(月例賃金及び一時金)と同額を保障する旨
約束したとの事実が認められる。
3原告らの保障されるべき賃金額
(1)被告は,保障されるべき月例賃金額及び一時金額につき,具体的金額の
約定があったとは認められない旨主張する。
なるほど,原告らは,いずれも,具体的な計算方法について合意があっ
たことまで供述しておらず,従前の賃金を保障する約束があった旨供述す
るのみである。
しかしながら,被告が従前の賃金から一定割合を減じた額を最低保障給
とすべく,乙46の1及び乙46の2に記載された方法により計算をして
乙6を作成し,これに基づき原告らの移籍直後の最低保障額を算定してい
ることからすると(証人H,原告らと被告との間には,従前の月例賃金)
額は,平成11年12月から平成12年2月までの間の総支給額より,超
過勤務手当を除いた金額を3で除した平均額とすることを念頭に,被告へ
の移籍についての合意,すなわち雇用契約があったものと推認され,その
方法により従前の賃金を算定する旨の合意があったものと認めるのが相当
である。
(2)この点,被告は,乙6の「調整後」欄記載の金額につき,平成11年1
2月に支給された交通費が含まれており,不当である旨主張する。そこで
検討するに,乙46の2によれば,原告Aについて,平成11年12月に
支給された交通費3万6600円を含め,E運輸当時の賃金額が計算され
ていたことが確かに認められる。これを修正した乙6の計算の方法による
原告Aの「調整後」欄及び「1日あたり」欄の各金額は,以下のとおりと
なるはずである。なお,1か月の所定労働日数は,社員(サービスドライ
バー「レギュラー」就業規則(乙8)11条2項に基づき,年間所定労)
働日数260日÷12≒21.6日であると認めた。
平成11年12月総支給額68万6471円
(乙46の2)内超過勤務手当33万7921円
内通勤費3万6600円
平成12年1月総支給額72万3899円
(甲36)内超過勤務手当40万7949円
内通勤費0円
平成12年2月総支給額45万7010円
(甲37)内超過勤務手当14万6960円
内通勤費0円
合計総支給額186万7380円
内超過勤務手当89万2830円
内通勤費3万6600円
総支給額−超過勤務手当−通勤費=93万7950円
「調整後」欄93万7980円÷3=31万2650円
「調整後」欄の日割額31万2650円÷21.6日≒1万4474円
「1日あたり」欄31万2650円×0.95÷21.6≒
1万3750円
しかしながら,乙6は,被告が原告らの賃金を算定するために自ら作成
したものであり,交通費を除外せずに算定することも含め,原告らが被告
に移籍する時点で,当事者間に合意があったものと推認するのが相当であ
る。
また,被告は「調整後」欄記載の金額には,本来,時間外手当等の計,
算の基礎に含まれない家族手当(労働基準法37条4項,同法施行規則2
1条)が含まれていたり,能率給(割増部分のみの金額を支払えば足りる
(労働基準法施行規則19条1項6号)が含まれており「調整後」欄)。,
記載の金額を基礎として,単純な時間外手当,休日手当,深夜残業手当の
計算をすると過大な金額になる旨も主張する。
だが,最低保障給につき「調整後」の金額から一定割合を減じている,
とはいえ,被告が平成12年5月から同年7月までに原告らに対して支給
した金額は,家族手当や能率給をも基礎として含んだ金額に単純な時間外
手当,休日手当,深夜残業手当の計算をして算出している。そうすると,
家族手当や能率給部分について,法令どおりの調整をせずに計算すること
について,当事者間で合意があったと推認するのが相当である。
4原告らのE運輸における一時金の支給額
一時金について,被告は,会社の業績に左右されるものであり,具体的な
金額についての合意をするはずがない旨主張する。しかしながら,収入の大
,,きな部分を占めていた一時金につき原告らが何ら被告と約束することなく
被告と雇用契約を締結したと考えることは困難であるのは前記のとおりであ
る。少なくとも,E運輸から得ていた一時金の8割については,最低限被告
が支払うことが合意されていたと認められる。
原告A及び原告Bが平成11年にE運輸から得ていた一時金は甲47の1
ないし甲48の2により,以下のとおりであると認められる。また,原告C
がE運輸から得ていた一時金は,甲46及び甲49並びに弁論の全趣旨によ
り,以下のとおりであると認められる。
原告名夏季一時金年末一時金
原告A45万6000円53万7371円
原告B38万3175円43万4657円
原告C33万7376円42万3587円
これをもとに計算すると,各原告の一時金は,以下のとおりであると認め
られる。
原告名夏季一時金年末一時金
原告A36万4800円42万9897円
原告B30万6540円34万7726円
原告C26万9901円33万8870円
5平成12年6月2日付け賃金規程改定(乙5の別紙2)の効力
平成12年6月2日付け賃金規定の改定(乙5の別紙2)は,これを適用
すると,原告Aについては,前記で認定した移籍時の賃金保障約束額を,日
額で2割以上減額するものであり,就業規則の不利益変更にあたる。その余
の原告についても,平成12年10月1日以降に下限の最低保障額(日額7
200円)が適用された場合,前記で認定した移籍時の賃金保障約束額を約
3割減額するものであり,不利益変更にあたる。
かかる就業規則の不利益変更にあたっては,その合理性が要求される。こ
こにいう合理性とは,就業規則の変更によって労働者が被ることになる不利
益の程度を考慮しても,なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を
是認することができるだけの合理性を有するものであることをいい,特に,
賃金,退職金など労働者にとって重要な権利,労働条件に関し実質的な不利
益を及ぼす就業規則の作成又は変更については,当該条項が,そのような不
利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の
必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において,その効力を生ず
るものというべきである。右の合理性の有無は,具体的には,就業規則の変
更によって労働者が被る不利益の程度,使用者側の変更の必要性の内容・程
度,変更後の就業規則の内容自体の相当性,代償措置その他関連する他の労
働条件の改善状況,労働組合等との交渉の経緯,他の労働組合又は他の従業
員の対応,同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮し
て判断すべきである。
一件記録中には,被告が宅配便事業で,平成11年当時,200億円の赤
字を出していたことをうかがわせる証拠や(乙32,その前後に被告が厳)
しい経営環境にさらされていたことをうかがわせる証拠もあるが(乙47,
乙49,被告全体としては,労働組合が賃上げ要求をすることも検討する)
状況でもあり,かかる賃金引き下げの必要性があったとまでみることはでき
ない。
また,被告は,平成12年6月2日付け賃金規程改定(乙5の別紙2)に
ついて,労働組合の意見は聴取していない旨陳述する。
以上の検討によれば,平成12年6月2日付け賃金規程の改定(乙5の別
紙2)のうち,賃金に関するものは,原告らとの関係では,無効である。
6平成13年1月26日付け賃金規程の改定(乙5の別紙3)の効力
平成13年1月26日付け賃金規程の改定(乙5の別紙3)は,これを原
告らについて適用すると,前記で認定した被告への移籍時に約束された最低
保障額から,日額で少なくとも1割以上,最大で4割以上の減給となるもの
であるから,就業規則の不利益変更にあたる。
これについて,被告側でかかる減給を必要とする事情があったと認めるに
足りる証拠がないことは,前記5と同様である。
,,()また被告は平成13年1月26日付け賃金規程の改定乙5の別紙3
についても,労働組合の意見を聴取していない旨陳述する。
以上の検討によれば,平成12年6月2日付け賃金規程の改定(乙5の別
紙3)のうち,賃金に関するものは,原告らとの関係では,無効である。
7平成14年3月31日付け労働協約(乙12)の効力
被告と,原告らが所属するG労働組合大阪支部とが締結した労働協約は,
被告と原告らとの間で個別的合意がなくとも,原告らに効力を及ぼすもので
ある。
しかしながら,上記労働協約は,原告らが平成14年3月,G労働組合を
通じて移籍時の保障約束を守るよう被告に要求している状況下でなされたも
のであるところ(甲15,甲17,甲18,甲20,原告A本人,かかる)
保障約束に関する紛争について何ら言及することなく締結されたものであ
る。特に解釈を施すことなくみると,従前の原告らの最低保障給を減額する
ものである。
労働協約によって,従前存した労働紛争を解決することは十分考えられ,
上記労働協約がその趣旨であると捉えることも通常は考えられるところであ
るが,解決金の支払等の代償的措置もないままであり,原告らにとって不利
益な条項を了承した形式となっている。原告らと被告らとの間の紛争をG労
働組合大阪支部において終結させたことをうかがわせる証拠もない(原告ら
からG労働組合大阪支部に対し,交渉結果についての問い合わせを行ってい
るが(甲14,何らの返答もない状況である。)。)
労働者の地位の向上を目的とする労働組合がかかる合意をなすとは容易に
考えられないところであり,合理的に解釈すれば,上記労働協約は,原告ら
の賃金について紛争が存する状況下で,当面,被告が最低限支払うべき金額
を定めたものに過ぎず,原告らの賃金についての法的な確定は,その後の関
係者の交渉や履践する法的手続に委ねたものと認めるべきである。
以上によれば,被告の主張には,理由がない。
8時効援用権の濫用の有無
原告の時効援用権の濫用に関する主張は,原告らが権利行使をすることを
妨げられていたとするものではなく,被告が時効を援用することが特に正義
に反するような事情にも当たらないので,理由がない。
9信義則違反を理由とする債務不履行又は不法行為の成否
原告らの信義則違反を理由とする債務不履行又は不法行為に基づく損害賠
償の請求は,必ずしも「損害」と目するものが明らかでないが,①原告らが
得られたはずの賃金を得られなかったとするものであれば,時効消滅したも
のについては,損害が現存しないというべきである。また,被告が履行しな
いことについて,違法性がない。仮に,②だまされて雇用契約を締結し,労
務を提供させられたことそのものが損害であるとするなら,労務の客観的価
値そのものについて主張立証すべきであるが,これがない。例えば,トラッ
ク運送事情に携わる従業員の平均賃金の表(乙41)や系列作業会社賃金体
系一覧表(甲12の末尾の表)に示されるように,労務の客観的価値は,様
々に考えられ,契約とは別個に定まるものであり,単に,原告らと被告との
,。間で雇用契約上一定の賃金が定められていたというだけでは不十分である
したがって,信義則違反を理由とする債務不履行又は不法行為は,成立し
ないものと認められる。
10控除金について
弁論の全趣旨によれば,別紙9ないし別紙12(省略)の各その他欄記載
の金額につき,備考欄記載の理由により控除すべきであることが認められる
ので,これを控除することとした。
第5結論
以上の検討によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの
請求のうち,平成16年11月16日以降に履行期が到来する月例賃金及び
一時金(ただし,請求額の8割の限度)の範囲で理由があるので,これを。
認容し,その余の原告らの請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用につ
いては,これを10分し,そのうち2を原告Aの,そのうち1を原告Bの,
そのうち1を原告Cの,そのうち1を原告Dの負担とし,その余を被告の負
担とすることとして,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第5民事部
裁判官足立堅太
別紙1(原告A)
番号(支払月分又は一時金支給時期)
請求額認容額起算日
1(平成12年5月支払分から平成13年2月支払分)
99万2645円0円平成13年3月1日
2(平成13年3月支払分から平成14年2月支払分)
258万8136円0円平成14年3月1日
3(平成14年3月支払分から平成15年2月支払分)
220万6902円0円平成15年3月1日
4(平成15年3月支払分から平成16年2月支払分)
178万0069円0円平成16年3月1日
5(平成16年3月支払分から平成17年2月支払分)
194万0966円65万8188円平成17年3月1日
6(平成17年3月支払分から平成18年2月支払分)
267万2991円266万8035円平成18年3月1日
7(平成18年3月支払分から平成18年8月支払分)
145万1238円144万8419円平成18年9月1日
8(平成12年夏季一時金及び年末一時金)
44万7517円0円平成13年1月1日
9(平成13年夏季一時金及び年末一時金)
93万3371円0円平成14年1月1日
10(平成14年夏季一時金及び年末一時金)
99万2182円0円平成15年1月1日
11(平成15年夏季一時金及び年末一時金)
98万9501円0円平成16年1月1日
12(平成16年夏季一時金及び年末一時金)
98万8499円42万6516円平成17年1月1日
13(平成17年夏季一時金及び年末一時金)
98万8441円78万9767円平成18年1月1日
14(平成18年夏季一時金)
45万4328円36万3128円平成18年8月1日
15(平成18年9月支払分から平成18年12月支払分)
93万6784円93万6733円平成19年1月1日
16(平成19年1月支払分から平成19年11月支払分)
258万9232円258万1843円平成19年12月1日
17(平成18年年末一時金及び平成19年夏季一時金)
98万0786円78万2112円平成19年8月1日
別紙2(原告B)
番号(支払月分又は一時金支給時期)
請求額認容額起算日
18(平成12年5月支払分から平成13年2月支払分)
73万4236円0円平成13年3月1日
19(平成13年3月支払分から平成14年2月支払分)
108万1736円0円平成14年3月1日
20(平成14年3月支払分から平成15年2月支払分)
89万1894円0円平成15年3月1日
21(平成15年3月支払分から平成16年2月支払分)
77万1436円0円平成16年3月1日
22(平成16年3月支払分から平成17年2月支払分)
85万9742円28万1918円平成17年3月1日
23(平成17年3月支払分から平成18年2月支払分)
83万9012円83万4397円平成18年3月1日
24(平成18年3月支払分から平成18年8月支払分)
44万0843円43万9920円平成18年9月1日
25(平成12年夏季一時金及び年末一時金)
36万5461円0円平成13年1月1日
26(平成13年夏季一時金及び年末一時金)
75万3742円0円平成14年1月1日
27(平成14年夏季一時金及び年末一時金)
81万4524円0円平成15年1月1日
28(平成15年夏季一時金及び年末一時金)
81万1843円0円平成16年1月1日
29(平成16年夏季一時金及び年末一時金)
81万4001円34万5184円平成17年1月1日
30(平成17年夏季一時金及び年末一時金)
81万1616円64万8050円平成18年1月1日
31(平成18年夏季一時金)
38万1253円30万4618円平成18年8月1日
32(平成18年9月支払分から平成18年12月支払分)
28万3077円28万3077円平成19年1月1日
33(平成19年1月支払分から平成19年12月支払分)
86万0801円79万4008円平成20年1月1日
()34平成18年年末一時金,平成19年夏季一時金及び平成19年年末一時金
124万6869円99万6372円平成20年1月1日
別紙3(原告C)
番号(支払月分又は一時金支給時期)
請求額認容額起算日
35(平成12年5月支払分から平成13年2月支払分)
68万1896円0円平成13年3月1日
36(平成13年3月支払分から平成14年2月支払分)
56万1891円0円平成14年3月1日
37(平成14年3月支払分から平成15年2月支払分)
32万8912円0円平成15年3月1日
38(平成14年3月支払分から平成15年2月支払分)
30万7037円0円平成16年3月1日
39(平成16年3月支払分から平成17年2月支払分)
54万1714円18万4014円平成17年3月1日
40(平成17年3月支払分から平成18年2月支払分)
57万1186円56万6053円平成18年3月1日
41(平成18年3月支払分から平成18年8月支払分)
28万0535円27万9613円平成18年9月1日
42(平成12年夏季一時金及び年末一時金)
32万2630円0円平成13年1月1日
43(平成13年夏季一時金及び年末一時金)
64万7911円0円平成14年1月1日
44(平成14年夏季一時金及び年末一時金)
75万0212円0円平成15年1月1日
45(平成15年夏季一時金及び年末一時金)
74万3577円0円平成16年1月1日
46(平成16年夏季一時金及び年末一時金)
75万4029円33万5751円平成17年1月1日
47(平成17年夏季一時金及び年末一時金)
75万4579円60万2387円平成18年1月1日
48(平成18年夏季一時金)
33万4943円26万7468円平成18年8月1日
49(平成18年9月支払分から平成18年12月支払分)
19万2147円19万2147円平成19年1月1日
50(平成19年1月支払分から平成19年12月支払分)
56万1111円55万1111円平成20年1月1日
51(平成20年1月支払分から平成20年2月支払分)
9万2477円9万2477円平成20年3月1日
()52平成18年年末一時金,平成19年夏季一時金及び平成19年年末一時金
117万6841円93万9932円平成20年1月1日
別紙4(原告D)
番号(支払月分)
請求額認容額起算日
53(平成12年5月支払分から平成13年2月支払分)
42万0542円0円平成13年3月1日
54(平成13年3月支払分から平成13年12月支払分)
122万7786円0円平成14年1月1日
55(平成14年1月支払分から平成14年12月支払分)
172万1397円0円平成15年1月1日
56(平成15年1月支払分から平成15年12月支払分)
115万8075円0円平成16年1月1日
57(平成16年1月支払分から平成16年12月支払分)
101万5111円26万2847円平成17年1月1日
58(平成17年1月支払分から平成17年12月支払分)
156万5179円156万0320円平成18年1月1日
59(平成18年1月支払分から平成18年8月支払分)
104万2423円104万0117円平成18年9月1日
60(平成18年9月支払分から平成18年12月支払分)
50万8093円50万8093円平成19年1月1日
61(平成19年1月支払分から平成19年12月支払分)
161万0908円161万0907円平成20年1月1日
62(平成20年1月支払分から平成20年2月支払分)
26万2256円26万2256円平成20年3月1日
*別紙5の1以下は省略

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