弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人兼子一、同小林直人、同大和哲夫、同高嶋久則、同天野潤名義の上告
理由第一点について。
 論旨は、原判決が本件救済命令は申立人らが解雇期間内に他の職について得た収
入を控除しなかつた点において違法であるとしたのは、労働組合法一条、七条、二
五条、二七条の解釈適用を誤つたものである、という。
 しかし、労働委員会による不当労働行為の救済は、不当労働行為を排除し、申立
人をして不当労働行為がなかつたと同じ事実上の状態を回復させることを目的とす
るものであつて、もとより申立人に対し不当労働行為による私法上の損害の救済を
与えることや相手方使用者に対し懲罰を科することを目的とするものではない。従
つて、労働組合法七条一号の不当労働行為について労働委員会が原状回復の一手段
として使用者に命ずるいわゆる賃金遡及払の金額は、当該不当労働行為によつて労
働者が事実上蒙つた損失の額をもつて限度とし、労働者が解雇期間内に他の職につ
いて得た収入は、私法上労働者においてこれを使用者に償還すべき義務を負つてい
るかどうかにかかわらず、それが副業的なものであつて解雇がなくても当然取得で
きる等特段の事情がない限り、これを遡及賃金額より控除すべきであつて、所論の
ように、右の控除をすることなく、遡及賃金全額の支払を命ずべきものとすれば、
救済命令は原状回復という本来の目的の範囲を逸脱し、使用者に対し懲罰を科する
こととなつて違法たるを免かれない、といわなければならない。
 原判決も、これと同趣旨に出たものであつて、その確定した事実によれば、本件
救済命令の申立人たるHら四名の者がそれぞれ被上告人主張のごとく解雇後相当の
期間にわたり他の職について収入を得ていたというのであるから、原判決が上告人
の命令中、前記申立人らの別途収入を控除することなく遡及賃金全額の支払を命じ
た初審命令に対する被上告人の再審査申立を棄却した部分を取り消したことは正当
であつて、是認すべきものとする。
 されば、原判決には所論の違法はなく、論旨は、結局理由なきに帰し、採るを得
ない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決が民法五三六条二項の規定の趣旨に徴しても、労働委員会は労働
者が解雇期間内に他の職について得た収入を遡及賃金額から控除すべきであると判
示したのは、民法五三六条、労働基準法二六条の解釈適用を誤つたものである、と
いう。
 不当労働行為によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について収入を得
た場合、労働委員会がその収入を控除することなく使用者に遡及賃金全額の支払を
命ずることが違法になるのは、それが救済命令の目的たる原状回復の範囲を逸脱し
て使用者に懲罰を科することになるという理由によるものであつて、それが私法上
の法律関係と一致しないという理由によるものでないことは、上告理由第一点に対
する説示によつて明らかである。従つて、所論原判示は、本件救済命令の適否をそ
れが私法上の法律関係と符合するかどうかの観点からも判断した点において失当の
譏りを免かれないが、もとより傍論に過ぎないものであつて、判決に影響を及ぼす
ものではない。
 されば、論旨は、結局理由なきに帰し、採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

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