弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人本人の上告趣意について。
 第一審判決の確定した事実は、要するに、被告人は外国人で、昭和二四年一一月
三日判示場所で外国人登録証明書の呈示方を求められたにかかわらずこれを携帯せ
ず且つ登録証明に関する交書を呈示せず拒否したものであるというのであり、同令
一〇条に違反して登録証明書を携帯しないときとは、故意に携帯しないときばかり
でなく、過失によつてこれを携帯しないときをも含む広義の趣旨であることは、当
裁判所の判例(昭和二八年三月五日決定判例集七巻三号五〇六頁以下参照)とする
ところであつて、外国人登録令一二条六号(昭和二四年一二月三日政令三八一号に
よる改正前のもの)にいわゆる「第十条の規定に違反して登録証明書その他の文書
の呈示を拒否した者」とあるのも、故意、過失を問わず、登録証明書等を携帯せず、
そのためこれを呈示することができないので拒むに至つた場合をも包含するものと
解するを相当とする。
 されば、原判決の右規定の解釈は結局正当であつて、所論の法令違反は認められ
ない。それ故違憲の主張は前提を欠くものであつて、採るを得ない。その余の論旨
は事実審の事実認定を非難するに過ぎないものであつて、適法な上告理由に当らな
い。また、記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和二八年一二月二四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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