弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人福永亮三、同中山淳太郎の上告理由(後記)について。
 所論一は、判示の映画館の建設及びその興業の実現に伴う新円の入手期待という
ようなことは、本件契約の縁由又は動機に過ぎないから法律行為の要素の錯誤とは
ならないという理由を前提として、原判決は大審院判例に違反すると主張する。し
かし法律行為の縁由又は動機に過ぎない事項であつても、表意者がこれを法律行為
の主要な内容とする意思を表示し、もしこの点につき錯誤がなかつたならばかかる
意思を表示しなかつたであろうし、また表示をしないことが一般取引上の通念から
いつて相当であると認められる場合は、要素の錯誤となると解すべきであり、さら
にかかる事項につき表意者が、法律行為の主要な内容とする意思を表示したかどう
かは、右の趣旨に基き各個の法律行為につき具体的に定まると解すべきことは、大
審院判例のしばしば判示するところであつて、所論引用の判例もその一つにほかな
らず、本件についてもこれと異なる解釈をとるべきものとは認められない。原判決
は措辞稍明瞭を欠く嫌がないではないが映画館の建設を契約の重要な内容としたも
のと認定した趣旨であることは判文上十分窺えるところである。そして原判決は、
映画館の建設及びその興業が早急に実現せず従つて新円も期待したように入手する
ことができないことが始めからわかつていたならば、被上告人は到底本件売買契約
締結の意思表示をしなかつたであろうことは明らかであるとし、結局被上告人は本
件売買契約を締結するについてその要素に錯誤があつたという趣旨を判示している
のであるが、原判決挙示の各証拠と照し合せてみると原審の右判断は相当である。
(特に甲第一号証(契約書)第二条に即してみても、原判示のような錯誤がなかつ
たならば、取引の通念上普通一般人も本件売買契約をしなかつたであろうことが認
められ、所論摘示の事項を契約の内容の重要な部分とする趣旨であつたと認めるの
が相当である。)また所論摘示の事項を契約書に表示しなかつたからといつて法律
行為の要素とならないと解することもできないから、結局原判決の判示に誤りはな
く、所論引用の判例に反するところはない。所論二は、前記映画館の建設等の事項
を契約書に記載しなかつたことをもつて表意者たる被上告人に重大な過失があると
主張するのであるが、民法九五条但書にいう「重大ナル過失」とは表意者が錯誤に
陥るにつき重大な過失があることを指すものと解すべきところ、本件被上告人の錯
誤は所論摘示の事項を契約書に記載しなかつたことに基くものでないことは明らか
である。従つて所論は採用することはできない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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