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       主   文
1 被告が原告に対し平成15年4月7日付けでした審査請求却下裁決を取り消
す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 本件は、原告が、麹町税務署長が平成14年3月29日付けでしたELECTR
OCOIN HOLDINGS PTY LIMITED(以下「ECH社」とい
う。)に対してした法人税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分に対し、自ら
が前記各処分につき第二次納税義務納付告知を受けた平成14年6月8日から2か
月以内である平成14年8月6日に、東京国税局長に対して異議申立てをしたが、
東京国税局長が不服申立期間経過を理由として原告の異議申立てを却下する旨の異
議決定をしたため、同年11月8日、被告に対して審査請求をしたところ、被告が
適法な異議申立てを経ないことを理由に審査請求を却下する旨の裁決をしたことか
ら、同裁決は違法なものであるとして、その取消しを求めるものである。
2 判断の前提となる事実(認定根拠を掲記しない事実は、当事者間に争いがない
か当裁判所に顕著な事実である。)
(1) 麹町税務署長は、ECH社に対し、平成14年3月29日、平成10年7
月1日から平成11年6月30日までの事業年度の法人税の決定処分及び無申告加
算税の賦課決定処分(以下「本件課税処分等」という。)を行い、平成14年4月
3日本件課税処分等の通知書がECH社に到達した(甲4、8)。
(2) 東京国税局長は、平成14年6月7日、原告に対し、ECH社の本件課税
処分等に基づく滞納国税につき、国税徴収法39条に基づく第二次納税義務の告知
処分(同法32条、以下「本件告知処分」という。)をした(甲1)。
(3) 原告は、平成14年8月6日、本件告知処分に対して異議申立てをすると
ともに(甲3)、本件課税処分等に対しても異議申立て(以下「本件異議申立て」
という。)を行った(甲2)。
(4) 東京国税局長は、平成14年10月11日、本件告知処分に係る原告の異
議申立てについて納付限度額を107億9959万1800円に変更する旨の異議
決定をした(甲5)。
(5) 東京国税局長は、平成14年10月17日、本件課税処分等に係る原告の
異議申立てが通則法77条1項に定める不服申立期間を経過した申立てであるとし
て、通則法83条1項に基づき、これを却下する旨の異議決定をした(甲4)。
(6) 原告は、平成14年11月8日、本件課税処分等に対し審査請求をする
(甲6、以下「本件審査請求」という。)とともに、同日、本件告知処分に対し審
査請求をした(甲7)。
(7) 国税不服審判所長は、平成15年4月7日、原告の本件課税処分等に対す
る異議申立てが法定の不服申立期間を経過した不適法なものであるから、本件課税
処分等に係る原告の審査請求は適法な異議申立てを経ないでされた不適法なもので
あるとして、通則法92条に基づき、これを却下する旨の裁決(以下「本件裁決」
という。)をした(甲8)。
3 争点及び争点に関する当事者の主張
 本件の争点は、本件異議申立てが国税通則法77条1項所定の不服申立期間内に
されたものと認められるか否かであり、その前提として、第二次納税義務者が主た
る課税処分についての不服申立てをする場合の不服申立期間の起算点をいつと解す
べきかが問題となる。
(1) 被告
ア 国税徴収法39条は、主たる納税義務者が、その国税の法定納期限の一年前の
日以降にその財産について一定の無償又は著しく低額の対価による譲渡、債務の免
除その他第三者に利益を与える処分を行ったために、主たる納税者に対して滞納処
分を執行してもなお徴収すべき税額に不足すると認められるときは、これらの処分
により利益を受けた第三者に対し、現存利益の限度で主たる納税者の全額につき第
二次納税義務を負うと定めている。
 この第二次納税義務は、確定した主たる納税義務につき本来の納税義務者の財産
に対する滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に、
租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても
公平を失しないような特別の関係にある第三者を本来の納税義務者に準ずるものと
見て、これに主たる納税義務についての履行責任を補充的に負わせるものにほかな
らず、この意味において、第二次納税義務の納付告知は、確定した主たる納税義務
の徴収手続上の一処分としての性格を有するものというべきであり、納付告知を受
けた第二次納税義務者は、あたかも主たる納税義務について徴収処分を受けた本来
の納税義務者と同様の立場に立つことになるのである。
イ 第二次納税義務者は、主たる取消訴訟の原告適格を有するが、その不服申立期
間の起算日については、主たる課税処分に対する時期に遅れた取消訴訟の提起を許
すと徴税の安定と能率を害するおそれがあることから「主たる課税処分が主たる納
税義務者に告知された時」をもって基準とすべきであると解すべきである。
 確かに、第二次納税義務者は、納付告知処分の取消訴訟において、主たる課税処
分の瑕疵を主張し得ないものであり、主たる課税処分は第二次納税義務者に通知さ
れないから、不服申立ての起算日について主たる課税処分が主たる納税義務者に通
知された時を基準とすると、不服申立期間を徒過し、第二次納税義務者が主たる納
税義務の内容を争う機会を奪われる結果になる事態が生じ得る。しかしながら、第
二次納税義務に納付告知がされるのは、主たる納税義務者について滞納処分を執行
してもなおその徴収すべき額に不足が生ずることが判明した後であるから、制度
上、納税義務の発生から実際に第二次納税義務者が納税義務の履行を求められるま
でに相当の期間を要することがあり得るのであり、不服申立期間の起算日につい
て、第二次納税義務者が主たる課税処分を知った時あるいは納税告知処分の通知を
受けた時を基準とすると、主たる納税者に対する処分後相当期間が経過した後に課
税処分に対する不服申立てを許すこととなるが、このような主たる課税処分に対す
る時期遅れの不服申立てを許すことは、徴税行政の安定と能率を害することが著し
く、現行制度の許容するところではない。また、第二次納税義務は、所定の範囲で
本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の
関係にある第三者に対し、その所定の範囲で、主たる納税義務の履行責任を課すも
のであるから、権利救済の面においても、主たる納税義務の存否等についての第二
次納税義務者の訴権利益は、主たる納税義務者によっていわば代理されているもの
といえるのであって、徴税確保という行政目的のために、主たる納税義務の存否及
び内容等について第二次納税義務者の権利救済が制限されることも、あながち不合
理なものとはいえない。
ウ 本件においては、主たる納税義務者であるECH社に対し本件課税処分等の通
知が到達したのは平成14年4月3日であり、不服申立期間の起算日は同月4日で
あるところ、原告が本件異議申立てをしたのは同年8月6日であって、2か月の不
服申立期間を経過していることは明らかであるから、本件異議申立ては通則法77
条1項に定める不服申立期間を徒過した不適法な異議申立てである。
(2) 原告
 処分等により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、または必然
的に侵害されるものであれば、処分の名宛人でない第三者であっても当該処分を争
う「法律上の利益を有する者」といい得るところ、第二次納税義務者は、主たる課
税処分が取り消されれば、第二次納税義務も減免される関係にあり、第二次納税義
務納付告知処分の取消訴訟において、主たる課税処分の違法性が主張できないとし
て、違法性の承継が認められず、また、一般に第二次納税義務が発生している場
合、主たる納税義務者は無資力・無資産であり、主たる納税義務に不服があっても
時間的ロスや訴訟費用の負担に耐えられず、不服申立てを断念する場合が多いと考
えられ、第二次納税義務者に対しても不服申立適格を与える必要性は高いというべ
きである(被告も、原告に不服申立適格があること自体は当然の前提としていると
解される。)
 そして、第二次納税義務者に主たる納税義務者とは別に独自の不服申立適格を認
めることを前提とした場合、主たる課税処分がされたことにより、当然に第二次納
税義務賦課決定の納付告知があるわけではなく(特に、国税徴収法39条の第二次
納税義務については、同法33条ないし38条、41条の場合と異なり、親族や会
社代表者等特殊な関係者に限定されず、第二次納税義務が課せられる可能性を予見
し、主たる課税処分の不服申立期間中に予防的不服申立てをすべきであると期待で
きず、このような申立てを認めることはかえって課税処分についての不服申立適格
を広げる結果となり妥当でない。)、第二次納税義務者がする主たる課税処分の不
服申立ての不服申立期間の起算日は、第二次納税義務者の主たる課税処分の知不知
にかかわらず、第二次納税義務賦課決定の納付告知書の送達を受けた翌日と解すべ
きである。
 仮に、そうでないとしても、起算日は、第二次納税義務者が主たる課税処分があ
ったことを知った日の翌日であると解すべきであり、その場合、原処分庁におい
て、原告が現実に主たる課税処分を知った日を主張立証しない限り、第二次納税義
務賦課決定の納付告知書が送達された日をもって、原告が主たる課税処分を知った
日と認定すべきである。
 そうすると、本件においては、いずれにしても、原告が国税通則法77条に基づ
き、主たる納税義務者であるECH社に対する本件課税処分等の存在及び内容を知
った日の翌日から起算して2か月以内である平成14年8月6日、東京国税局長に
対し本件課税処分につき異議申立てをしたものであり、不服申立期間を徒過してい
ないこととなる。
第3 争点に関する当裁判所の判断
1 第二次納税義務者が主たる課税処分の適否を争う必要性の存否
(1) 第二次納税義務者が自らに課せられる処分の適否を争う必要性
 法治主義の原則にかんがみれば、行政は法律に従わなければならないという実体
上の拘束を受けるものであり、行政がそれに違反する場合には、それによって権
利・利益の侵害を受けた者は裁判上その是正を求めることができるというべきであ
る。日本国憲法においても、広く裁判所において裁判を受ける権利を保障してお
り、行政から権利・利益の侵害を受ける者は、その適否を訴訟手続により争う機会
を保障されなければならないものと解すべきである。
 そして、訴訟手続とは別に行政機関に対する不服申立てとしていかなる制度を設
けるかについては、法治主義の原則から一義的に導かれるものでなく、憲法上も明
確な規定がされているわけではないが、少なくとも最終的に権利・利益の侵害の適
否を訴訟手続において争う機会が確保されるよう留意すべきであり、特に訴え提起
の要件として行政機関に対する不服申立ての前置が要求されている場合において
は、そのことによって上記機会が不当に奪われることがないようにする必要がある
というべきである。
(2) 第二次納税義務者が主たる課税処分の適否を争う必要性の存否
 第二次納税義務者は、主たる課税処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有
するものというべきであり(最高裁第一小法廷平成3年1月17日判決)、自らが
主たる課税処分の取消しを求める訴訟の原告適格を有し、主たる課税処分の適否を
争う地位を認められるべきものである。そして、主たる課税処分の取消しを求める
訴えについて原告適格を認められる以上、それが形式的なものではなく、実質的に
主たる課税処分の適否を争う地位を認められるものである必要性があることはいう
までもない。なお、第二次納税義務者は、第二次納税義務の納付告知を処分とし
て、その取消訴訟を提起することができるが、納付告知処分の取消訴訟において
は、主たる課税処分が不存在又は無効でない限り、主たる納税義務者の納税義務の
存否又は数額を争うことはできないと解されているから(最高裁第二小法廷昭和5
0年8月27日判決)、この解釈を前提とする限り、第二次納税義務者としては、
同訴訟においては第二次納税義務に係る違法のみを争い得るにとどまり、このこと
からしても、主たる課税処分の取消訴訟において、同処分の適否を争い得ることと
する必要性は極めて高いといわざるを得ない。
 被告は、この点を明確に争うものではないが、その一方で、主たる納税義務の存
否等についての第二次納税義務者の訴権利益は、主たる納税義務者においていわば
代理されているものといえる旨の主張もするため検討するに、確かに、第二次納税
義務は主たる納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような
特別の関係にある第三者に対し、その所定の範囲で主たる納税義務の履行責任を課
すものではあるが、そのことのみをもって、主たる課税処分に瑕疵がある場合にま
で、第二次納税義務者が同処分を所与のものとして処分を甘受しなければならない
理由とはなり得ないし、実質的にみても、第二次納税義務の発生は主たる納税義務
者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合等
なのであるから、そのような資力に問題のある主たる納税義務者にとって、主たる
課税処分につき不服申立てを行った上、訴訟を行うことは決して軽い負担ではな
く、むしろ、そのような手段によることを断念せねばならないこともあるし、法人
である主たる納税義務者が破産等の清算手続に入った場合には、納税義務の適否が
問題とされないまま、主たる納税義務者が課税処分を争うことを放棄することすら
考えられるのであり、第二次納税義務者の訴権利益が、主たる納税義務者において
いわば代理されていると言い切るのは難しいといわざるを得ない。特に、本件のよ
うに主たる納税義務者と取引関係や親族関係等の法的関係の全くない第二次納税義
務者については、以上のことが強く妥当するものと考えられる。
(3) 上記によれば、第二次納税義務者は、主たる課税処分の存否及び数額につ
いて、主たる課税処分の取消訴訟等において争う利益を有するものであり、かつ、
その機会を実質的なものとしなければ、第二次納税義務者は、訴訟手続等によりそ
の適否を争う機会を得ないまま、不利益を受けることとなるものと評価せざるを得
ず、そのような事態が生ずることは憲法上の裁判を受ける権利を奪うものとの疑い
も生ずるところである。
2 不服申立期間の起算日を主たる納税義務者が主たる課税処分を知った日の翌日
とすることの不都合性
(1) 被告は、主たる課税処分に対する時期に遅れた取消訴訟の提起を許すと徴
税の安定と能率を害するおそれがあることから、第二次納税義務者が主たる課税処
分の不服申立てを行う場合、国税通則法77条1項の「処分があったことを知った
日」を「主たる課税処分が主たる納税義務者に告知された日」と解すべきである旨
主張する。その解釈を前提とした場合、第二次納税義務者は、主たる課税処分が主
たる納税義務者に告知された日の翌日から起算して2か月以内に主たる課税処分に
対する異議申立てをしなければならないものとされる。
 しかし、第二次納税義務は、主たる納税義務者の財産に滞納処分を執行してもな
おその徴収すべき額に不足すると認められる場合に発生するものと規定されている
ところ、主たる課税処分がされた後、主たる納税義務者の財産の滞納処分に着手
し、第二次納税義務発生の要件を具備することが確定するまでには相当の期間を要
することがあり得ることは被告も認めるところであり(前記第2、3(1)イ)、
ほとんどの場合第二次納税義務の告知処分がされる際には既に不服申立期間が経過
してしまうことが想定され、第二次納税義務者の不服申立権は事実上封殺されるこ
ととなる。極端な場合、主たる課税処分の徴収を担当する税務署の長が第二次納税
義務の賦課決定時期を恣意的に遅らせることにより、第二次納税義務者の不服申立
ての機会を奪うことも可能ということになる。
 他方、第二次納税義務は、主たる納税義務者と一定のつながりを持つ者に課せら
れるものとされ、場合によっては、主たる課税処分がされたことを知り得ることも
あるが、主たる課税処分が第二次納税義務者となる可能性がある者に対して通知が
されているわけではなく、また、仮に知り得たとしても、単に主たる課税処分がさ
れたにすぎない段階で、後に第二次納税義務者となる可能性がある者が主たる課税
処分の不服申立てや取消訴訟を提起したとしても、その者に不服申立(原告)適格
や不服申立て(訴え)の利益が認められるかは大いに疑問であり(このような段階
で不服申立ての利益を容認すれば、主たる課税処分につき第二次納税義務が発生す
るか否かが不明の段階でかえって多くの者が予防的に不服申立てをする可能性が広
がることとなり、被告のいう徴税の安定と能率を妨げる結果となると考えられ
る。)、第二次納税義務が発生要件を具備することが明らかとなった段階で、初め
て主たる課税処分を争い得ることとなる可能性は否定できない。また、そのような
段階で第二次納税義務者に不服申立ての利益を認めるとの見解もあり得ないではな
いが、そのような解釈に立った場合でも、主たる課税処分の存在を確実に知り得る
ことが保障されていない以上、それを知り得ない場合にまで不服申立期間の進行が
開始するというのは不合理といわざるを得ないであろう。
 これらのことからすると、不服申立期間の起算点を一律に主たる課税処分が主た
る納税義務者に通知された日であるとすることは、第二次納税義務者は形式的には
原告適格を認められるものの実質的にはほとんどの場合において主たる課税処分の
適否を争う機会を与えられないという結果を招くこととなり、前記1で説示した観
点に照らし、著しく妥当性を欠くこととなるといわざるを得ない。
(2) この点につき、被告は、第二次納税義務者につき主たる納税義務者と異な
った不服申立期間を設定すると、主たる課税処分に対する時期に遅れた取消訴訟の
提起を招き、徴税の安定と能率を害するおそれがあることを主張するが、徴税の安
定と能率のために、本来可能であるべき不服申立てを行い得なくなることが正当化
されるべきものではなく、前記のとおり、第二次納税義務者において不服申立てを
行う必要性が認められる以上、相当期間が経過した後に課税処分が覆る結果が生じ
るとしてもやむを得ないものといわざるを得ない。特に、本件のような第二次納税
義務者への課税が問題となるのは、主たる納税義務者からの徴税が期待できないこ
とによるのであり、第二次納税義務の告知によってようやく徴税の実の上がること
が期待できることとなるのであるから、その時点を基準として不服申立てを認める
こととしても、徴税の能率と安定を害するおそれは少なく、このような場合には、
前記1で説示した点をより重視すべきものと考えられるのである。
 また、被告は、第二次納税義務の納付告知は、確定した主たる納税義務の徴収手
続上の一処分としての性格を有するものであり、本件納付告知が賦課処分ではない
旨主張する。確かに、第二次納税義務の納付告知処分は国税徴収法に規定されてい
るが、仮にこれが徴収手続上の処分であるとしても、それにつき実質を伴った不服
申立ての機会を与えるべきは当然のことというべきである。
3 具体的な起算点
 上記2の不都合性にかんがみると、第二次納税義務者に実質を伴った不服申立て
の機会を確保するには、不服申立期間の起算点を、第二次納税義務者が主たる課税
処分を知った日の翌日とするか、第二次納税義務者に第二次納税義務の納付告知が
された日の翌日と解するかのいずれかが考えられ、この点は、前記の主たる課税処
分の不服申立ての利益をどの範囲で認めるかの問題と関連するものと解されるが、
前記のとおり、第二次納税義務発生をもって、第二次納税義務者が主たる課税処分
の不服申立ての利益が発生すると解する場合、第二次納税義務者に納付告知がさ
れ、第二次納税義務が発生した日をもって起算点と解すべきである。
4 本件の検討
 上記1ないし3によれば、第二次納税義務者は、第二次納税義務の納付告知がさ
れた日の翌日から2か月以内に主たる課税処分に対する異議申立てを行わなければ
ならないところ、原告は、平成14年6月7日付けの東京国税局長による本件納付
告知の送達を翌8日に受け、同年8月6日に本件異議申立てを行っているものであ
り、同異議申立ては不服申立期間内にされた適法なものであるから、原告がした本
件審査請求は適法な異議申立てを経たものというべきである。
 そうすると、本件審査請求が、適法な異議申立てを経ていないことを理由として
された本件裁決は違法なものといわざるを得ない。
 なお、前記3において、不服申立期間の起算日を主たる課税処分を知った日と解
するとしても、本件において、原告が第二次納税義務の納付告知を受ける以前に本
件課税処分等を知っていたことを認めるに足りる証拠はないのであるから、本件異
議申立ては適法なものということになる。
第4 結論
 以上によれば、原告の本件請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟
費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条をそれぞれ適用して、
主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官 藤山雅行
裁判官 廣澤諭
裁判官 加藤晴子

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