弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
       事実及び理由
第一 請求
一 原告ら
1 別紙一「選定者目録」記載の選定者らのうち別紙二「選定者の所属一覧表」記
載の選定者らがその所属する別紙三「課別・勤務種類別・勤務始終時刻・慣行休息
時間一覧表」記載の勤務及び別紙四「超過勤務の慣行休息時間」記載の超過勤務に
就労するにあたっては、被告に対して別紙三及び同四記載の慣行休息時間をそれぞ
れ休息する権利を有することを確認する。
2 被告は、別紙二記載の選定者ら各自に対して、昭和五九年六月以降前項の休息
する時間が回復するまでの間毎月末日限り金五万円を支払え。
3 被告は、別紙六「転出者等目録」記載の選定者ら各自に対して、同目録請求
(慰謝料)金額欄記載の金員及びこれに対する平成二年一一月一五日から支払ずみ
まで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告
 主文と同旨
第二 事案の概要
 東京中央郵便局において、長年にわたって、郵政大臣が定める郵政事業職員勤務
時間、休憩、休日及び休暇規程(以下「勤務時間規程」という。)、就業規則並び
に労働協約に定める休息時間を上回る休息時間(以下、このような休息時間を「慣
行休息」という。)が存在していたところ、東京中央郵便局長が昭和五九年五月二
七日以降一方的にこれを廃止した。原告らは、この措置を違法であるとして休息す
る権利の確認と慰謝料(昭和五九年六月以降休息する時間が回復されるまで毎月五
万円、転出・退職者についてはその月までの合計額)の支払を求めたのが本件であ
る。
 本件での主たる争点は、(1)勤務条件法定主義のもとでは、慣行休息を認める
旨の合意は何ら法的効力を有しないのか、(2)昭和四五年六月に慣行休息を認め
る旨の合意が存在したのか、(3)昭和四五年六月に慣行休息を認める旨の適式な
労働協約が成立したといえるのか、(4)労働組合法一四条に定める要件を欠く労
使合意に労働組合法一六条に定める規範的効力が認められるのか、(5)本件にお
いて民法九二条の事実たる慣習が成立したといえるのか、(6)慣行休息の廃止は
不当労働行為に該当したり、信義則に違反したり権利濫用とならないのか、であ
る。
一 原告らの主張の要旨
1 別紙一「選定者目録」記載の選定者(以下「選定者」という。)は、東京中央
郵便局(以下「東京中郵局」あるいは「東京中郵」ともいう。)に勤務し(現在勤
務している者は別紙五「在職者目録」記載のとおりである。)、あるいは勤務して
いた(過去に勤務していた者とその転出・退職年月日は、別紙六「転出者等目録」
記載のとおりである。)現業国家公務員である。
2 昭和四五年六月の慣行休息の合意
(一) 郵政省と全逓信労働組合(以下「全逓」という。)は、職員の勤務時間短
縮に関して昭和四五年五月二九日協定を締結し、これを受けて、東京中郵当局は、
全逓東京中央郵便局支部(以下「全逓中郵支部」ともいう。)に対し、勤務時間短
縮の実施計画とこれに伴う服務線表を提示したが、慣行休息を一部消滅させる内容
があったため問題となり、交渉の結果、郵政省と全逓中央本部との間で、昭和四五
年六月二日、(1)実働時間は現行より増加させない、したがって慣行休息総時間
数は現行どおりとする、(2)実拘束時間も現行どおりとする、(3)休息・休憩
の位置は変更することもある、との三項目の合意をした。
(二) 右三項目の合意に基づき、六月四日、東京中郵当局と全逓中郵支部との団
体交渉が行われ、全国労働協約を上回る慣行休息権が従来どおり存続することが合
意された。そして、右合意に基づいて、各職場、各勤務ごとに慣行休息総時間が再
確認され、同時にその位置の確認が六月一〇日までに行われた。
(三) このようにして、最終的には六月一〇日に、慣行休息権の確認が労使合意
としてなされた。
3 慣行休息権の法的性質
(一) 労働協約
 労働組合法(以下「労組法」ともいう。)一四条は、労働協約の要件として、協
約締結権限のあるものの合意が成立していることを前提として、「書面の作成」、
「両当事者が署名又は記名押印」することが必要であると定めている。
(1) 慣行休息について郵政省と全逓中央本部、又は東京中郵局における労使の
間には記名押印のある書面は作成されていない。しかし、前記2のとおり、郵政省
と全逓中央本部との間で「慣行休息総時間は現行どおりとする。ただし、休憩・休
息時間の位置は変更することがある。」との明確な合意が成立し、これを受けて東
京中郵局において実施方法を含めて合意がされた。
(2) 前記2の合意は、協約締結権限があることが明白な郵政省と全逓中央本部
との合意と、これを受けた東京中郵当局と全逓中郵支部との団体交渉に基づく合意
であり、郵政省及び全逓中央本部からの協約締結権限の委任に基づいた合意であ
る。
(3) 労組法一四条の書面は、合意内容を記載した書面であるが、その形式は問
わず、表題のないものでも労働条件に関する合意の性格を有するものであれば、同
条の書面というべきである。本件では、労使間の合意が、東京中郵当局が作成した
職場ごとの服務線表という形式で明記され、労使に公開されている。この服務線表
は、合意の内容を記載した書面というべきであり、労組法一四条の要件を満たして
いる。
(4) 労組法一四条が書面、記名・押印という要式性を要求する趣旨は、労使合
意の明確さによる労使紛争の防止にあるから、合意の内容が記録上、服務線表によ
って明確な本件のような場合には、労働協約の基本的な効力である規範的効力(労
組法一六条)は認められると解すべきである。
 したがって、前記の慣行休息についての労使合意は、規範的効力が認められる。
(二) 規範的効力を有する労働協約に準じた効力を有する合意
 仮に、労働協約に労組法一六条の効力が認められるためには、署名又は記名・押
印のある書面が作成されることを要するとしても、内容の明確な労使間の合意は、
署名又は記名押印を欠いたとしても、規範的効力を認めるべきである。
(三) 労働契約の内容となっている権利
 選定者らの大部分は慣行休息を前提に採用され、就労当初より一貫して慣行休息
のある労働時間のもとで勤務していたものであり、慣行休息は、当局の指示と選定
者らの同意のもとに実施されてきた労働条件として、長期間にわたり、公然と反復
継続して行われてきたものであり、個々の労働契約の内容となっている。
(四) 労使慣行としての効力
 仮に、本件合意が労働協約ないしこれに準じる性格のものではないとしても、以
下のとおり「規範的な効力を有する労使慣行」(民法九二条)としての効力が認め
られるべきである。
(1) 法的な効力を有する労使慣行が成立するためには、①慣行的事実の継続・
反復(慣行的事実の存在)、②当該慣行的事実が多数当事者間で存在していること
(普遍性)、③労使双方に規範的意識が存在又は推定されること、が必要である。
(2) 本件では、昭和四五年六月の労使合意以降昭和五九年五月に剥奪されるま
で一四年間慣行休息時間が認められ、継続されてきた。
(3) 東京中郵局は約三〇〇〇名の職員を擁する職場であり、本件慣行休息の対
象となる一六時間勤務者は約一六〇〇名にも及ぶ(なお、年末繁忙期の超過勤務に
ついての慣行休息は、超過勤務従事者全員に及ぶ。)。このように、本件慣行休息
は、普遍性の要件を充足する。
(4) 本件慣行休息は、前記のとおり、協約締結権限のある郵政省と全逓中央本
部との間の合意、これを受けた東京中郵局における労使間の合意に基づくものであ
るから、規範的意識が存在することは明らかである。
(5) 以上により、本件慣行休息は、東京中郵局で勤務する選定者全員の労働条
件を直接に規律する規範的な効力を有する労使慣行となっていた。
4 東京中郵局は、全国規模の中継局であり、郵政事業において中枢的役割を果し
ており、その取扱郵便物は膨大であり、付帯作業が多く、労働量及び労働密度が著
しく高く、夜間一六時間勤務を中心とした三交替制勤務が実施され、作業姿勢、作
業環境が劣悪であり、年齢構成の高齢化、労働災害、職業病の多発などの事情もあ
り、慣行休息は、このような東京中郵局の特殊性と苛酷な労働実態の中から必然的
に生れたものであり、合理性を有するものである。
5 慣行休息権の剥奪
 東京中央郵便局長は、選定者らに対して、昭和五九年一月一九日付け書面で、四
月二九日から慣行休息を是正する旨一方的に通告し、一旦はこれを延期したが、四
月一九日付け書面で、五月二七日から慣行休息を剥奪する旨再度通告した。そし
て、五月二七日から慣行休息が剥奪された。
6 慣行休息剥奪の違法行為
(一) 郵政省及び東京中央郵便局当局は、東京中央郵便局労働組合の申し入れに
もかかわらず、慣行休息剥奪による労働条件の不利益変更についての団体交渉を拒
否した。これは、労働組合法七条二号の不当労働行為に該当し、憲法、労働基準
法、労働組合法及び国営企業労働関係法の要請に反しており、慣行休息の剥奪は、
その手続において違法無効である。
(二) 被告は、慣行休息の是正は組合と話し合いをして行う旨言明してきてお
り、団体交渉を拒否しながら慣行休息を剥奪することは、これに反し、信義則違反
であるとともに権利の濫用となる。
7 選定者らは、本件慣行休息の剥奪により、仮眠時間の短縮、食事時間の極端な
短縮、連続作業回数及び連続作業時間の増加、一人当たり作業量の増加等の労働条
件の不利益変更を強制され、その結果、疲労の蓄積、職業病の発生・悪化、疾病の
多発、悪化、在職死亡者の増加、高齢者の健康破壊、家族との団欒、地域社会との
交際、スポーツ・文化・レクリエーション参加及び労働組合活動の機会等の剥奪あ
るいは制約、自らの健康を守るための自衛負担の増加等の被害を受けた。選定者ら
は、これらの被害により精神的苦痛を被り、これを慰謝する金額は、選定者それぞ
れにつき一か月五万円が相当である。
二 被告の主張の要旨
1 郵政職員の勤務関係は、最高裁判所第二小法廷昭和四九年七月一九日判決(民
集二八巻五号八九七頁)のいうように基本的には公法上の関係であり、労働契約で
はない。
2 郵政職員の労働時間、休憩、休日及び休暇等の労働条件については、国営企業
労働関係法(以下「国労法」ともいう。本件当時は公共企業体等労働関係法(以下
「公労法」ともいう。)という名称であった。)八条の規定に基づき団体交渉によ
り決定し、労働協約を締結することができることとなっているが、主務大臣である
郵政大臣は、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(以下「給
与特例法」ともいう。)六条により、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇等につ
いて規程を定めなければならないとされており、また、郵政職員には労働基準法が
適用されることから同法八九条により就業規則を定めるべきものとされている。国
家公務員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するものであるとこ
ろから、その職務の遂行にあたっては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべて
をその職務遂行のために用い、また、法令及び上司の命令に忠実に従うべきものと
されている。このため、国家公務員は、国会の特別の委任がない限り、法律と予算
の形でその勤務条件が決定されるべき特殊な憲法上の地位にある。そして、現業公
務員であっても、労使による勤務条件の協同決定を内容とする団体交渉も、その一
環としての争議権も、ともに憲法上当然に保障されているわけではない。したがっ
て、現行法は、労働時間等について労働協約が締結されている場合であっても、郵
政職員は、郵政大臣が法令に基づいて制定した規程に従って職務に専念すべきこと
としているのである。
 以上によれば、選定者らの休息時間は、郵政大臣が給与特例法六条に基づき定め
た勤務時間規程に定める休息時間が唯一の正規のものであり、これ以外に休息時間
は存在しない。
3 原告らの労働協約に基づく権利との主張について
(一) 労働協約としての効力が生じるためには、書面に作成し、両当事者が署名
し、又は記名押印することを要する(労組法一四条)。原告らの主張する労働協約
は、右所定の様式を備えた書面として作成されていないのであるから、労働協約は
存在しない。
 また、原告らの主張する服務線表は、東京中郵局長が定める服務表に基づいて図
式化したものであり、始終業時刻及び休憩・休息時間の位置を明確にするため各課
ごとに作成するものであって、業務運行上の準備のための内部資料にすぎず、労使
間の合意を記載したものではなく、加えて何らの署名又は記名押印のないものであ
るから、右服務線表の記載内容が労働協約の内容となることはありえない。
(二) 東京中郵局長には休息時間の長さについて労働協約を締結する権限はな
い。
 労働組合法一四条は、労働協約の当事者となりうる地位ないし資格を有するもの
を、使用者側にあっては使用者又はその団体であると規定しており、右にいう使用
者とは、事業運営のために労働者を使用し、集団的労働関係の一方当事者として労
働組合と対向関係に立ちうる事業・経営の主体を指すと解される。郵政省の所掌事
務と権限はすべてその長である郵政大臣に属するから、郵政省の所掌に属する事務
に関して労働協約を締結する場合には、郵政大臣にその締結権限がある。しかも、
郵政大臣のほかは、特に法令上締結権限を付与されているか、あるいは特別に郵政
大臣から締結権限を委任された場合以外には労働協約を締結することができない。
そして、郵便局長に労働協約締結の権限を付与した法令はなく、郵政大臣が休息時
間に関する労働協約を締結する権限を委任したこともない。
 更に、勤務時間規程によれば、休息時間について所属長(郵便局長)に認められ
ている権限は、特例による休息時間として定められている範囲内で特例休息時間を
定めること及び同規程に定められている範囲内で服務表により休息時間を設ける方
法を定めることのみであって、同規程の定めを超えて休息時間を決定する権限は委
任されていない。
(三) 仮に、原告らの主張するとおり労働協約であるとしても、これは、全逓中
央本部の締結している労働協約と異なる内容のものであるところ、右の全逓中央本
部が締結した協約が優先するものというべきである。すなわち、郵政事業は数多く
の機関と膨大な数の職員により相互に有機的関連性を持ちながら一体的に運営され
る必要があるため、職員の勤務条件も全国的視野に立って統一的かつ公平・適切に
定めることが要請されること、そのため、従来から郵政職員の勤務条件は、細部事
項に至るまで中央段階で網羅的に協約化され、運営されてきたこと、中央協約は、
東京中郵局についてみても、課別、事務別又は勤務の種類別に個々具体的にその対
象及び内容を特定して合意されているのであって、当事者の意思、協約の形式・内
容からいって、全逓の支部あるいは各郵便局長がこれに反する協約を締結すること
など全く予想も予定もしていないこと、並びに全逓は全国的組織を持つ単一の統一
組織体であり、全体としての統制がより強く及ぶことを総合すると、中央本部の締
結した協約に反する労働協約の効力は認められない。
(四) 全逓中郵支部に所属していない選定者らには、原告らの主張する労働協約
は適用されない。
4 労組法一四条に定める要件を欠く合意には一切の法的効力が認められないと解
すべきである。
 仮に、右のような合意に何らかの効力が認められるとしても、前記3の(二)な
いし(四)のとおり、本件については原告らの主張は理由がない。
5 郵政職員の勤務関係は、前記のとおり公法関係であり、労働契約という私法上
の関係にはないのであるから、原告らの労働契約の内容となっている権利であると
の主張は理由がない。
6 原告らの事実たる慣習であるとの主張について
 郵政職員の勤務条件は、勤務条件法定主義に基づき厳格に規定されている。した
がって、法令に反する事実状態が相当期間継続して行われてきたものであるとして
も、法令に反する内容の慣行が成立する余地はない。
 また、郵政職員の勤務関係は、基本的には公法上の関係であり、法規が一般的に
公の秩序に関する強行法規であることからすれば、原告らの主張する事実たる慣習
が適用される余地はない。
 更に、東京中郵当局は、慣行休息が違法であるとの認識のもとに、機会あるごと
に慣行休息是正の意思を表明し、その働き掛けをしてきた。そして、勤務時間規程
の制定改廃権限は、郵政大臣にあって、東京中郵局長にはないところ、郵政省は、
慣行休息等の悪労働慣行を承認しないことを明確にしており、郵政大臣が慣行休息
を承認したことはない。
7 郵政省ないし東京中郵当局は、昭和三六年以降慣行休息等協約を上回る労働慣
行について一貫して是正する方針のもとに対処してきた。東京中郵局においても、
全逓中郵支部に対して慣行休息の是正を申し入れる等一貫してその是正の意思を表
明してきたが、組合側の根強い反対と抵抗があったため、結果的に一部の是正はし
たものの全体的な是正はできないままで経過した。この間、東京中郵当局が慣行休
息の存続を確認したことはない。組合の反対を押し切って是正を強行した場合、東
京中郵局が全国の郵便業務のキー局であることから、これによる郵便業務の混乱等
他に及ぼす影響が大きいこと等を考慮するとともに、時短の実施等状況の変化を見
極め、時機を選ぶなどの十分な配慮をして慣行休息の是正の実施を行った。
 本件是正にあたって、東京中郵当局は、四か月を超える十分な猶予期間を設定
し、労使間において必要な話し合いを行った上実施したのであるから、是正手続、
方法等においても合理性を有する。
 このように、原告らの主張する慣行休息権が成立する余地はない。
8 昭和四五年六月の労使合意の主張について
 郵政省は、実労働時間が増えることのないようにする、実質的に拘束時間を延長
することのないようにする、休憩・休息時間の位置が変わることはありうる、との
考えを全逓中央本部に伝えた。これは、部分時短実施に関し協約を上回る悪労働慣
行の是正は、週休日増加方式の時短を実施する前提条件として対処していくとの方
針に基づいてとられたものであり、慣行休息の是正を今回は強行しないというにす
ぎないものであって、その存続を将来にわたり是認したり、約束したりするもので
はなかった。
 東京中郵当局と全逓中郵支部との話し合いは、郵政省の表明した前記三項目の内
容に従って改正服務表が作成されたものにすぎない。したがって、慣行休息権の存
続が改めて合意されたり、協約として確認されたものではない。
 また、昭和四五年六月当時、郵政省における支部段階での団体交渉事項は、三六
協定及び二四協定の二項目に限定されており、慣行休息に関する事項は支部労使間
で交渉する余地はなかった。したがって、昭和四五年六月四日の団体交渉で合意確
認され、その後の一連の手続、交渉を経て労使合意が成立したとの原告らの主張は
理由がない。
第三 争点に対する判断
一 慣行休息の是正等
1 選定者らは、被告の経営する郵政事業に勤務する一般職に属する国家公務員で
あり、東京中央郵便局に勤務し、あるいは勤務していた現業国家公務員である(当
事者間に争いがない事実及び弁論の全趣旨)。
2 東京中郵局では、昭和五九年五月二六日以前に郵政大臣が給与特例法六条に基
づいて定めた勤務時間規程に基づく休息時間を上回る休息時間が存在していた(当
事者間に争いがない。)。
3 東京中央郵便局長は、全逓中郵支部に対して昭和五九年一月一〇日付け書面
で、東京中央郵便局労働組合に対して一月一九日付け書面で、四月二九日から慣行
休息を是正する旨一方的に通告し、一旦はこれを延期したが、全逓中郵支部及び東
京中央郵便局労働組合に対して、四月一九日付け書面で、五月二七日から慣行休息
を是正する旨再度通告した。そして、五月二七日から平常時の慣行休息が是正され
た。また、年末始超過勤務時の慣行休息は、昭和五九年一一月その一部が是正さ
れ、平成元年一二月残りの部分が是正された。(以上の事実は、当事者間に争いが
ない事実、甲第四二号証、第四四号証、乙第二二、第二三号証、第四二、第四三号
証、証人A、弁論の全趣旨による。)
4 選定者ら郵政職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇等の労働時間については、
給与特例法六条により、主務大臣(郵政大臣)が規程を定めなければならないと規
定しているが、郵政大臣は、右規定に基づき勤務時間規程を定めている(乙第一号
証)。勤務時間規程一一条は、職員の休息時間の基準につき原則と特例を定め、こ
の特例について別表で組織上の部局、機関、職種、業務及び勤務の形態、勤務の種
類の細目に分化して定め、かつ、同規程八八条は、右原則及び特例を定めた規程の
いずれにもより難い特別の事情がある場合については、大臣官房人事部長(昭和五
九年六月三〇日改正前は人事局長)が別段の定めをすることができるものとしてい
る(甲第一七二号証、乙第一号証)。
 また、選定者ら郵政職員の休息時間については、国労法(本件当時は、公労法で
あった。)八条に基づき、団体交渉により決定し、労働協約を締結することができ
る。また、同法四〇条により労働基準法が適用される結果、郵政大臣は、就業規則
を定めなければならない。そして、郵政省と全逓は、昭和三三年四月一五日、勤務
時間および週休日等に関する協約及び付属覚書を締結し、郵政大臣は、就業規則を
定めている(当事者間に争いがない。)。職員の休息時間に関する内容は、いずれ
も勤務時間規程と同じである(弁論の全趣旨)。
二 慣行休息に関する経過
1 公労法適用前における郵政職員の休息時間は、昭和二四年制定の人事院規則一
五―二により規定されていたところ、同規則は、勤務時間四時間につき一五分の休
息時間を定め、これにより難いときは、人事院の承認を経て別段の定めをすること
ができるとされていたので、これに基づき、人事院の承認を受けて現業事務職員の
休息時間の特例が定められていた。
2 昭和二八年一月一日郵政職員に公労法が適用されるに伴い、右人事院規則は休
息時間の根拠規定ではなくなったが、郵政省と全逓は、労働条件の暫定的取扱に関
する協約を締結し、郵政職員の休息時間を含む労働条件について、昭和二七年一二
月三一日において職員に適用されていた法令に規定する取扱及び従前の慣行による
こととされ(甲第三八号証)、1の休息時間がそのまま引き継がれ、更に、労働基
準法に基づき昭和二八年六月に制定された郵政省就業規則及び給与特例法の規定に
基づき翌二九年六月に制定された勤務時間規程においても右と同一の内容によるこ
ととされた(弁論の全趣旨)。
3 東京中郵局では、昭和二〇年代ころより、右のように定められた正規の休息時
間以外に事実上休息状態となる時間が存在した(原告本人B、弁論の全趣旨)。そ
して、東京中郵当局は、遅くとも昭和三六年ころには、東京中郵局において右のよ
うな正規の休息時間以外に休息していることを認識した(証人A)。
4 郵政省と全逓は、昭和三三年四月一五日、勤務時間および週休日等に関する協
約及び付属覚書を締結した。また、郵政大臣は、同年五月二四日右協約と同一内容
の勤務時間規程を作成し、五月三一日から施行した。(当事者間に争いがない。)
5(一) 郵政省は、昭和三七年九月深夜伝送便実施計画を提示したが、全逓が反
対闘争を行った(当事者間に争いがない。)。そして、郵政省と全逓は、昭和三九
年六月一七日、東京中央郵便局を起点とする自動車郵便線路沿線局において一六時
間勤務に服する職員の休息時間の特例に関する覚書を締結し、その際東京中郵局に
関し郵政省が全逓に対して現行労働条件の低下を意図したものではないとのメモを
交付した(弁論の全趣旨、原告本人B)。東京中郵局での慣行休息は、深夜伝送便
実施に際し、そのまま存続された(原告本人B)。
(二) 東京中郵当局は、全逓中郵支部に対して、昭和四一年一〇月、普通郵便物
航空機塔載計画の実施に際し、慣行休息のない服務表を提示した。全逓中郵支部は
これに反対し、郵政省と全逓との交渉、東京郵政局と全逓東京地方本部との交渉が
行われた。この中で、東京郵政局は、同年一〇月二六日、全逓関東地区本部に対し
て、慣行休息について航空機塔載計画の実施を機会に即時是正する気持ちは持って
いないが、今後機会をみて是正すると発言した。そして、東京中郵局において当局
側と全逓中郵支部との間で、慣行休息の休息時間の確認及びその位置について話し
合いが持たれ、当局から慣行休息を含む服務線表が交付された。(以上のうち、東
京郵政局が全逓関東地区本部に対して慣行休息を即時是正する気持ちはない旨発言
した事実は当事者間に争いがなく、その余の事実は、甲第五八号証の一、二、原告
本人Cによる。)
(三) 昭和四二年一〇月の晴海通常郵便集中局及び東京北部小包集中局の開設に
際し、組合側が慣行休息等の労働慣行を確保することを要求したのに対し、東京郵
政局は、郵政省としては近い将来慣行休息を是正する考えに変わりないが、具体的
要領については事前に組合と話し合ってから実施する旨回答した。その後、東京中
郵局では、慣行休息を含む服務線表が当局から提示された。(甲第五九号証の一、
二、原告本人C、弁論の全趣旨)
(四) 東京中郵当局は、全逓中郵支部に対して、昭和四三年九月の東京南部小包
集中局の開設、同年一〇月の東京国際郵便局の開設など、各種計画が実施された
際、その都度慣行休息の是正を申し入れたが、全逓あるいは全逓中郵支部の反対に
会い、郵政省側は将来的に慣行休息を是正する考えに変わりがないが、そのときの
是正は見合わせるということになった(弁論の全趣旨)。
6 東京中郵局は、昭和四四年三月二五日、全逓中郵支部に対して、同年四月二五
日以降当面慣行休息の三分の二を是正したい旨表明し慣行休息の是正を申し入れた
(是正の日の事実は、甲第九一号証により認め、その余の事実は、当事者間に争い
がない。)。これに対して、全逓中郵支部組合員一八〇一名が国を相手として休息
時間中の就業命令停止の仮処分を申請した(東京地方裁判所昭和四四年(ヨ)第二
二五一号事件、当事者間に争いがない。)。
 右仮処分事件の審尋において、国は、東京中郵局において、慣行休息が存在する
ことは認めたが、昭和四四年八月四日付け準備書面で、「国は、ヤミ休息(慣行休
息のことである。以下同じ。)を是認することはできないものであり、可及的すみ
やかに労働協約等所定の休息時間に是正しなければならないと考えているから、従
来示してきた是正の意思を変更することはあり得ない。」、「本件のヤミ休息の是
正の意思を表明して以来、一貫して地本及び支部とも話合いをして解決を図るとい
う態度で臨んできたところであるが、現在までのところ地本及び支部はこれに応ず
る態度は示していない。したがつて、地本及び支部が従来の態度をあくまで固執し
続ける限り、いずれ当局の責任において、その是正の措置を講じなければならない
ことになろう。しかし、今日の時点においては、国はなお地本及び支部とも十分話
合いをして、解決を図るよう努力するという方針をとっており、さしあたって本件
ヤミ休息を廃し申請人らを就労させるという意思はない。」との意向を表明し、緊
急性を具備しないので仮処分申請を却下すべきであると主張した(乙第三四号
証)。
 右申請人らは、昭和四四年一一月五日仮処分申請を取り下げた(当事者間に争い
がない。)。
 以上の経過で、東京中郵局の慣行休息は、是正されることなく存続した(弁論の
全趣旨)。
 なお、原告らは、右仮処分の審尋において、国が今後予想されるダイヤ改正その
他の理由により出退時間の変更により服務線表を改正する場合には組合と協議し現
行慣行時間については確保する旨及び始終時間の変更、機構改変等で線表を移動す
る場合及び現行服務線表中未実施のもので慣行のないものを使用する場合にも組合
と協議し、現行慣行時間については確保する旨確認したと主張し、これに沿う原告
本人Dの供述並びに甲第五号証(全逓中郵支部執行委員会作成の第三〇回支部定期大
会報告書)及び甲第六〇号証の一の記載がある。しかしながら、原告Dは、同本人
の供述によれば国が右のように確認したとする場には立ち会っていなかったこと、
また、前記の仮処分事件における国の主張に照らすと、将来慣行休息を是正する意
思を明確に表明している国が右仮処分事件において現行慣行休息時間を将来にわた
って確保することを確認するということは不自然であることを考えると、前記の各
証拠は採用することができない。
7(一) 郵政省は、全逓に対して昭和四四年八月一八日、郵便自動区分機を導入
した機械導入局の機械関連作業部門を対象として、一日の勤務時間を短縮するいわ
ゆるカット方式による勤務時間短縮等を提案し、右時短実施の条件として労働協約
を上回る労働慣行の是正について組合側の協力を求めた。これに対して、全逓は休
日増加方式による勤務時間短縮を求め、交渉が継続された。(当時者間に争いがな
い。)
 この交渉の中で、全逓は、昭和四四年一二月、協約を上回る慣行の是正について
は、時短実施と関連させて慣行の是正を図ることについては原則的に同意するが、
是正にあたっての諸問題は、その内容に応じた方法で労使で話し合い、週休方式に
よる時短実施の前日までに実施に移すとの見解を表明した(甲第八号証、弁論の全
趣旨)。
(二) 昭和四五年春、全逓は、労務政策変更闘争と称する闘争を実施し、その要
求事項の中で、例えば「最近の東京郵政局管内をはじめ、各郵政局管内において労
働慣行是正問題が大きな紛争の焦点となりつつあるが、貴省は、これらの職場慣行
をすべて悪慣行と断定し、労使間の話し合いを拒否して、一方的剥奪をはかる方針
なのか明らかにされたい。」との申し入れを行った。右闘争は、昭和四五年四月九
日、郵政省と全逓との間において一定の整理が図られ解決した(以下「四・九確
認」という。)。この中で、全逓が労働慣行是正について何らかのルールを確立す
ることとの要求を提出し、郵政省が、「今日、紛争となっている労働慣行といわれ
るものについては、郵政省として基本的に今後すべて是正を要するものと考えてい
るが、是正方法等については、その内容に応じてケース・バイ・ケースで対処し、
中央協約を上回るものについては、現場段階で事前に話し合いをしていくものとす
る。その際、解決困難なものについては、地方段階で話し合うものとし、意見の合
致がみられない場合は、省の責任において、一定期日後に是正をはかるものとす
る。」旨回答した。東京中郵局における慣行休息は、中央協約を上回る労働慣行に
当たる。(以上の事実は、乙第四一号証、証人A及び弁論の全趣旨による。)
(三) そして、郵政省と全逓との間で、部分時短実施に関連して、昭和四五年五
月一二日、一七項目の確認がなされ(以下「五・一二確認」という。)、五月二九
日部分時短実施に関する協定が締結され、六月一〇日から部分時短が実施された。
右一七項目の確認には、時短の切替えに際し、慣行是正の問題は現状凍結し別途に
協議していくこととし、トラブルのないよう運行することが確認されている。(甲
第八八号証)
(四) 右時短実施に伴う中央段階での協約締結に伴い、東京中郵局でも時短実施
に向けて労使の具体的な話し合いが行われた。東京中郵当局は、昭和四五年五月二
九日、全逓中郵支部に対し、前記の部分時短協定に基づき、部分時短計画と時短実
施に伴う服務表を提示したが、その中に短縮する始終時間帯に慣行休息時間が一部
含まれていた。そのため、全逓中郵支部は昭和四四年九月二九日に行なわれた前記
仮処分事件の第八回審尋期日において、慣行休息については総時間で確認してきて
いるので、慣行休息がなくなるということにはならないが、局側はどのように認識
しているのかと追及し、当局の提案を拒否した。そして、全逓中郵支部が右問題に
ついて上部交渉に移す決定をし、郵政省と全逓中央本部の間で話し合いがもたれ
た。昭和四五年六月二日の郵政省と全逓中央本部との話し合いにおいて、郵政省
は、(1)実労働時間が増えることのないようにする、(2)実質的に拘束時間を
延長することのないようにする、(3)休憩・休息時間の位置が変わることはあり
うる、との考えを示した。(以上の事実のうち、全逓中郵支部が東京中郵当局を追
及した内容及び同支部が上部交渉に移す決定をしたことは、甲第六一号証の二、原
告本人Cにより、その余の事実は当事者間に争いがない。)
 なお、原告らは、右の郵政省と全逓中央本部との話し合いにおいて、慣行休息総
時間数は現行どおりとするとの合意がなされたと主張し、原告本人Cの供述及び甲
第六一号証の一、二にこれに沿う部分がある。なるほど結果的には後記認定のとお
り、右時短実施において従前の慣行休息が是正されなかったのであるが、そのこと
から直ちに慣行休息総時間数を現行どおりとするとの合意があったものと認めるこ
とはできず、右原告本人渡辺の供述によれば、同原告は郵政省の示した見解につい
て全逓中央本部からの連絡内容を見たというにすぎないのであるから、同本人の前
記供述及び甲第六一号証の一、二を直ちに採用することはできない。
(五) これを受けて、六月三日以降、東京中郵当局と全逓中郵支部との間で、六
月一〇日実施の部分時短に伴う服務表改正について話し合いが行われた。この中
で、六月四日団体交渉が開かれ、三六協定締結の交渉が行われた。その際、全逓中
郵支部から慣行休息問題について総時間が現行どおりであることの確認を求めた
が、東京中郵当局は特に異論を述べなかった。その後、各職場ごとに休息時間の位
置を含む具体的な服務線表の作成の話し合いが行われ、慣行休息時間の確認とその
位置が決められ慣行休息を含む服務線表が当局から提示されて、一部を除き六月一
〇日から時短が実施されることになった。(以上のうち、六月四日の団体交渉の席
上東京中郵当局が異論を述べなかったこと及び慣行休息時間の確認とその位置が決
められたことは、甲第六一号証の二、原告本人Cにより認め、その余の事実は当事
者間に争いがない。)
8 東京中郵当局は、昭和四五年七月一八日、集配部の分掌規定を改正し、これに
伴う服務表の改正案を提示した。東京中郵当局は、当初午前六時五〇分出勤の服務
線表を八時出勤の服務線表に変更するにあたり、従来七時三〇分から八時までの三
〇分間慣行休息が存在した部分を削除して提案してきたが、全逓中郵支部が八時以
降に三〇分の慣行休息を移行すべきであると主張したところ、当局は、八月一八日
に改めて七時三〇分出勤の服務線表で三〇分の慣行休息のあるものを作成し提示し
た。(甲第六二号証の一、二、原告本人C)
9 東京中郵当局は、昭和四六年九月一八日、全逓中郵支部に対して、郵便運送施
設の改廃に伴う運送便ダイヤ改正により、普通郵便部の増員、第三普通課での二一
時三〇分退庁後の夜勤の新設、第三、第四普通課の日勤始業時間を八時三〇分に繰
り上げることを提案し、これに付随して、服務線表上の慣行休息の位置変更が問題
となった。東京中郵当局と全逓中郵支部との話し合い、郵政省と全逓との話し合い
を経て、東京中郵当局提案どおり妥結された。その際、服務線表上の休息の位置も
確定された。(当事者間に争いがない。)
10 東京中郵当局は、昭和四七年四月、全逓中郵支部に対して、第一普通課と第
二普通課に新たに九時一〇分出勤の服務線表を設置すると提案し、その中で自ら同
一種類の服務線表にある慣行休息時間をあてはめて提案した(甲第六五号証の一、
二、原告本人C)。
11 昭和四七年七月の発着部設置時において、東京中郵当局は、第一普通課発着
係と第五普通課東部係・北部係の統合案を提案するに際し、それぞれの職場に存し
た慣行休息を調整するため様々な工夫をした(甲第六六号証の一、二、原告本人
C)。
12 東京中郵当局は、全逓中郵支部に対して、昭和五七年二月、四・一時短実施
方について説明し、慣行休息に関して協約を上回る部分についてはこの際整理した
い旨是正を申し入れた(当事者間に争いがない。)。また、東京中郵当局は、全逓
中郵支部との間で、課別勤務種類別に慣行休息の実態のつき合わせを行った。これ
に対して、同支部は、慣行休息是正を前提とするのであれば応じられないとの態度
を取り、最終的に慣行休息のない課についてのみ四・一時短が実施されることにな
った。(慣行休息のない課についてのみ四・一時短が実施されたことは当事者間に
争いがなく、その余の事実は甲第六九号証の一、二、原告本人Cによる。)
13 東京中郵当局は、東京中央郵便局労働組合に対して、昭和五九年二月一日以
降慣行休息を是正する旨の通知をしたが、慣行休息を含む服務線表が配付された
(当事者間に争いがない。)。
14 以上のように、東京中郵局における慣行休息は、その総時間や位置について
は変遷があるものの、長年にわたって存続し、職場によっては主任等が号令をかけ
て一斉に休息することが行われていた(証人E、同F、原告本人G)。
三 郵政職員の勤務関係及び労働条件の決定方式について
 郵政職員らの現業国家公務員は、一般職の国家公務員(国家公務員法二条二項、
国営企業労働関係法二条、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例
法二条二項参照)として、国の行政機関に勤務するものであり、その勤務関係の根
幹をなす任用、分限、懲戒、服務等については、国家公務員法及びそれに基づく人
事院規則の詳細な規定がほぼ全面的に適用されているなどの点に鑑みると、その勤
務関係は、基本的には、公法上の関係であるといわざるをえない(最高裁判所第二
小法廷昭和四九年七月一九日判決、民集二八巻五号八九七頁参照)。しかしなが
ら、郵政職員は、国が経営するものとはいえ、郵便事業等という経済的活動を行う
企業に従事するものであるし、右公務員に適用される国営企業労働関係法は、国家
公務員法の適用を一部除外し(同法四〇条一項)、労働基準法、労働組合法等の適
用ないし準用を認め(国労法三条、四〇条一項一号、国家公務員法附則一六条)、
また、賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項などの労働
条件に関する事項につき団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結すること
を認めており(国労法八条)、労働基準法が適用されることにより、同法八九条に
基づき就業規則が作成されなければならず、更に、給与特例法は、主務大臣等が職
員の勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を定めなければならないとしてい
る(同法六条一項)。
 このように、現行法制上、現業の国家公務員の労働時間、休憩等の労働条件は、
当事者による私的な処分も許されると解するのが相当である(前記最高裁判所第二
小法廷判決参照)。したがって、郵政大臣が給与特例法六条に基づき定めた規程に
反する労働協約や慣行が一切法的効力をもちえないと解することはできない。これ
に反する被告の主張は、採用の限りでない。
 被告は、郵政職員の労働時間等について団体交渉で決定することができるとしな
がら、給与特例法でそれに関する規程が必要とされているのは、郵政職員の勤務関
係が公法上のものであり、勤務条件法定主義の適用を受けるからであって、国家公
務員が国民全体の奉仕者であり、議会制民主主義の原則上国会の特別の委任がない
限り法律と予算の形でその勤務条件が決定されるべき特殊な憲法上の地位にあるも
のであり、他方、労使による勤務条件の協同決定を内容とする団体交渉も争議権も
ともに憲法上当然に保障されているのではないから、労働協約が締結されていて
も、勤務時間規程にしたがって職務に専念すべきであると主張する。しかしなが
ら、憲法上現業国家公務員の勤務条件について勤務条件法定主義の適用があるとし
ても、国労法の規定は、国会がその権限に基づき労働条件の決定を使用者としての
政府その他の当局に委任したものにほかならず、ただ国労法一六条が国営企業の予
算上又は資金上不可能な資金の支出を内容とする協定が政府を拘束しないこと及び
国会の承認があればこのような協定が効力を有することを規定しているにすぎない
こと、並びに郵政大臣等が一方的に定めうる規程(給与特例法六条二項によれば、
その内容は、一般職の職員の給与等に関する法律の適用を受ける国家公務員の勤務
条件その他の事情を考慮したものでなければならないとの制約があるのみであ
る。)が労使間の団体交渉の結果締結される労働協約に常に優先するのでは、国労
法が労使の私的自治を認めた趣旨に反することになることを考慮すると、給与特例
法に基づいて定められた勤務時間規程が労働協約に常に優先して効力を有すると解
することはできない。したがって、被告の右主張は、採用することができない。
四 原告らの主張する昭和四五年六月に慣行休息を認める旨の合意が存在したかに
ついて
 原告らは昭和四五年六月二日の郵政省と全逓中央本部との三項目の合意、右合意
に基づく六月四日の東京中郵当局と全逓中郵支部との合意、この合意に基づく六月
一〇日までの各職場での慣行休息総時間の再確認と位置の確認により、労使の間に
慣行休息の合意が成立したと主張している。
 昭和四五年六月の経緯については、前記二7の(四)、(五)で認定したとおり
であるが、昭和四五年六月実施の部分時短に伴う服務表改正に際し、東京中郵当局
と全逓中郵支部との間で慣行休息問題については総時間が現行どおりであることの
了解があり、それに基づいて具体的な時間と位置の確認が行なわれたものと判断で
き、このことは法的性質は別として事実として慣行休息を容認する合意が存在した
と評価できるものである。ただ、前記二で認定したとおり、当局は慣行休息をヤミ
休息ととらえ、是正したいとの意思を表明していたものであり、一方全逓は慣行休
息を権利として存続維持しようと目指していたのであるから、昭和四五年六月の合
意として双方の意思の合致があったと評価しうる範囲は限定的に捉えざるをえず、
結局、当面の間、慣行休息が暫定的に存続するという部分にとどまるものというほ
かはない。
五 原告らの主張する労働協約について
 原告らは、慣行休息の合意が労働協約上の又は労働協約に準じる労働条件として
の効力を有すると主張するので、以下この点について判断する。
1 前記のとおり、現業国家公務員については、労働協約の締結が認められ、締結
された労働協約には、労働組合法に定める効力が認められるところであるが、同法
一四条は、労働協約が、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印すること
によってその効力を生ずると規定する。
 原告らは、労働組合法一四条の法意が労使紛争を予防するために当事者の最終的
意思を明確にするところにあるから、労使の合意の内容が明確に確認される限り、
書面性及び署名または記名押印という要件を欠く労使の合意であっても、労働協約
の本来的効力である規範的効力が認められると解すべきである旨主張する。しかし
ながら、同法一四条が明文をもって書面の作成と両当事者の署名又は記名押印を要
件としていること、これは、労働協約に同法一六条以下に定める特別の効力が認め
られるため、その成立、当事者及びその内容をできるだけ明確にし、不必要な紛争
を防止し、法的安定性を図る趣旨によると解されるのであって、同法一四条に定め
る要件を欠く労働協約には、同法一六条に定めるいわゆる規範的効力を認めること
はできないと解するのが相当である。したがって、これに反する原告らの主張は、
採用することができない。
2 原告らは、服務線表に慣行休息が記載されていることをもって、書面性の要件
を具備すると主張する。しかしながら、原告らの主張する服務線表は、東京中郵局
長が定める服務表(乙第一号証によれば、勤務時間規程二五条によりその作成が義
務づけられていることが認められる。)に基づいて図式化したものであり、各課ご
とに作成されるものであって、業務運行上の準備のための内部資料にすぎず(証人
A)、それが慣行休息についての労使間の交渉の結果を含むものであるとしても、
労使間の合意を記載したものと認めることはできない。また、右服務線表には、何
らの署名又は記名押印もされていないことは原告らの自認するところであり、いず
れにしても、服務線表に慣行休息の表示があることをもって、労組法一四条に定め
る要件を具備する労働協約が成立したと認めることはできない。
3 原告らは、労働協約の要件を欠くとしても、労働協約の規範的効力は協約自体
の本質上当然に認められるものであるから、労使の合意には労働協約に準じた効力
が認められると主張する。
 しかしながら、労働組合法が労働協約の成立に厳格な要式性を要求した趣旨が前
記説示のとおりであることからして、たとえ労使間に合意が成立したとしても、労
働協約としての要件を欠く場合には、これに労働組合法一六条に定める規範的効力
を認めることができないと解するのが相当であり、原告らの右主張は採用すること
ができない。
4 以上によれば、慣行休息が労働協約又はこれに準じる労働条件としての効力を
有するとの原告らの主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がな
い。
六 原告らの慣行休息権が労働契約の内容となっているとの主張について
1 原告らは、慣行休息が当局の指示と選定者らの同意のもとに実施されてきた労
働条件として、長期間にわたり、公然と反復継続して行われてきたものであり、個
々の労働契約の内容となっていると主張する。
 しかしながら、ある労働条件が、たとえ使用者と労働組合との間の合意があり、
公然とかつ長期間継続して行われたものであるとしても、そのことから直ちに個々
の労働者と使用者との間の労働契約の内容となるものということはできない。
2 また、東京中郵局においては、新採用者に対する就業規則に基づく職場訓練等
がなされ、その中で、休息時間に関して、特例休息と慣行休息を区別することなく
休息時間として説明されたことがある(証人H、同I、甲第一〇七号証)。しかし、
右のことから慣行休息が東京中郵局に勤務する職員の労働契約の内容となっている
と認めることはできない。
3 したがって、慣行休息が労働契約の内容となっているとの原告らの主張は、理
由がない。
七 原告らの事実たる慣習であるとの主張について
1 前記説示のとおり、郵政職員等の現業の国家公務員の労働時間、休憩等の労働
条件は、当事者による私的な処分も許されると解すべきであるから、民法九二条に
より法的効力のある労使慣行が成立しうるものと解するのが相当である。したがっ
て、これに反する被告の主張は採用することができない。
2 前記認定のとおり東京中郵局では、昭和四五年六月以降昭和五九年五月まで慣
行休息が存在していた。
 ところで、民法九二条により法的効力のある労使慣行が成立していると認められ
るためには、①同種行為又は事実が長期間反復継続して行われていること、②当事
者が明示的にこれによることを排斥していないこと、③当該労働条件についてその
内容を決定しうる権限を有し、あるいはその取り扱いについて一定の裁量権を有す
る者が、規範的意識を有していたことを要するものと解すべきである。したがっ
て、当該労使慣行が就業規則や勤務時間規程の定めるところと抵触する場合には、
右就業規則や勤務時間規程を制定改廃する権限を有するものか、あるいは実質上こ
れと同視しうるものが、当該労使慣行について規範意識を有していたことを要する
ことになる。
3 勤務時間規程は、休息時間について、その原則と、組織上の部局・機関、職
種・業務及び勤務の形態、勤務の種類に応じた特例を定めている。個々の郵便局の
所属長(郵便局長)は、休息時間を設ける方法などについて服務表を定め、これを
関係職員に周知しなければならない(同規程二五条一項)。また、大臣官房人事部
長(昭和五九年六月三〇日改正前は人事局長)は、特別の事情により勤務時間規程
により難いときは、別段の取扱を定めることができることとされ(同規程八八
条)、これに従って依命通達の形式で別段の定めがされている(乙第一号証、弁論
の全趣旨)。このように、休息時間については、勤務時間規程及びこれに基づく別
段の取扱によって、規程等に定める時間の範囲内で具体的な時間の指定を所属長に
委ねているほか、すべての事項が明文の規定をもって定められている。このような
規定の体裁、内容に照らすと、郵政事業を経営する被告としては、原則として明文
の根拠に基づくことなく勤務時間中に休息することを認めない意思であることが明
らかである。
4 次に、郵政大臣あるいは東京中郵局長が慣行休息を労働条件として是認してい
たか否かについてみるに、前記二で認定したところによれば、郵政省あるいは東京
中郵当局は、全逓中郵支部に対し、次のとおり重ねて慣行休息の是正を申し入れ、
慣行休息が是正をしなければならないものであるとの見解を有し、これを表明して
きた。
(一) 東京中郵当局は、全逓中郵支部に対して、昭和四一年一〇月の普通郵便物
の航空機搭載、昭和四二年一〇月の晴海通常郵便集中局及び東京北部小包集中局の
開設、昭和四三年九月の東京南部小包集中局の開設、同年一〇月の東京国際郵便局
の開設等の各種計画が実施された際、その都度、慣行休息のない服務表を提示する
などしてその是正を申し入れ、話し合いを行い、その中で、東京郵政局等は、将来
的に慣行休息を是正する意思に変わりがないことなどを表明した。
(二) 昭和四四年に申請された仮処分事件においても、被申請人であった国は、
慣行休息が全く是認することができないものであり、可及的速やかに労働協約等所
定の休息時間に是正しなければならないと考えているから、従来示してきた是正の
意思を変更することはあり得ない、全逓地方本部及び全逓中郵支部が従来の態度を
あくまで固執し続ける限り、いずれ当局の責任において是正の措置を講じなければ
ならないことになる、と主張した。
(三) 昭和四五年四月の四・九確認において、郵政省は、中央協約を上回る労働
慣行については、その是正方法等について、現場段階で事前に話し合いをしてい
く、その際、解決困難なものについては、地方段階で話し合うものとし、意見の合
致がみられない場合は、省の責任において一定期日後に是正をはかるものとする、
と表明した。慣行休息は、右にいう中央協約を上回る労働慣行に当たる。
 原告らは、四・九確認の直後の五・一二確認において、時短の切り換えに際し、
慣行是正の問題は現状凍結し別途協議していくこととし、トラブルのないよう運行
することを確認した結果、労働慣行は現状凍結するという労使合意が成立したので
あるから、東京中郵局の慣行休息も以後存続することとなったと主張する。
 しかしながら、右五・一二確認は、部分時短実施にあたっての確認であり、郵政
省が労働協約を上回る労働慣行の是正を部分時短実施の前提条件としていた点を撤
回し、慣行是正問題を凍結し、別途協議するというものにすぎず、慣行休息を承認
しこれを存続するという合意であると認めることはできず、また、前記の四・九確
認のわずか一か月余り後に四・九確認で示された郵政省の方針が変更になったもの
と認めることはできないから、原告らの右主張は理由がない。
 なお、原告らは、その後の労使合意の経過及び慣行休息が長期間問題なく実施さ
れていることをみると、慣行休息が四・九確認にいう「紛争となっている労働慣
行」ではないことを労使で確認し、互いに労使合意に基づく正当な権利であること
を承認することとなった旨主張する。しかし、前記の郵政省が昭和四五年六月二日
に示した三項目の見解及びその後の東京中郵局での話し合いと慣行休息が存続した
ことは、四・九確認の趣旨に反するものとは認められないのであって、更に、五・
一二確認の趣旨が前記のとおりであることからすると、東京中郵局の慣行休息が
四・九確認で是正の対象となっている労働慣行に当たらないとの確認がなされたも
のと認めることはできない。したがって、原告らの右主張は理由がない。
(四) 東京中郵当局は、全逓中郵支部に対して、昭和五七年二月、四・一時短実
施方の説明に際し、慣行休息について、協約を上回る部分についてはこの際整理し
たい旨是正を申し入れた。
 以上のとおり、郵政省及び東京中郵当局は、慣行休息が中央協約等に反するもの
で、その是正をしなければならないとの見解を重ねて表明していること、原告らが
労使合意が成立したと主張する昭和四五年六月の直前の四・九確認においても、そ
の是正を要するとの見解を示していること、東京中郵当局は、昭和五七年二月全逓
中郵支部に対して、四・一時短実施に伴い慣行休息を是正したい旨申し入れている
ことに照らし、郵政大臣あるいは東京中郵局長が東京中郵局における慣行休息を職
員の勤務条件として認め、規範意識を有していたものと認めることはできない。郵
政省あるいは東京中郵当局が慣行休息を是正する意思を表明し、その是正を申し入
れてきたにもかかわらず、その都度慣行休息を是正することができず、東京中郵当
局が作成する服務表に特例休息時間と慣行休息時間が表示され、それに従って休息
がとられてきたが、以上認定の経過に照らすと、郵政大臣あるいは東京中郵局長が
慣行休息を労働条件として認め、これを是正することを放棄したものとは認められ
ず、その都度の是正をしないというものにすぎないと認めるのが相当であり、した
がって、右のように慣行休息を存続してきたことは、郵政大臣あるいは東京中郵局
長が慣行休息を是正しなければならないものと考え、職員の勤務条件として認めて
いなかったことの認定を左右するものではない。
5 以上のとおり、就業規則の制定権者である郵政大臣あるいはこれに準じる立場
のもの(郵政局長はこれに該当しない。)が慣行休息を職員の勤務条件として認
め、規範意識を有していたものとはいえないから、民法九二条の事実たる慣習が成
立していたと認めることはできない。したがって、原告らの主張は、採用すること
ができない。
6 なお、東京中郵局長の権限について、原告らは、郵政省職務規程一条は郵便局
長の権限につき「他の法令に別段の定めのある場合」があることを認めており、右
法令には、国労法、労働組合法、労働基準法、労働協約、就業規則、民法等の一般
条項が含まれること、国労法八条、一〇条の規定によれば、交渉委員として指名さ
れた者にその者が担当する職員の労働条件に関する事項につき協約締結権を委ねら
れていると解すべきであること、郵政省と全逓との間で昭和三五年四月三〇日締結
された「団体交渉の方式および手続に関する協約」により、交渉委員に指名された
郵便局長に労働協約締結権も授権されたものと解されること、郵政省職務規程四条
は、郵便局長が軽微と認めるものは専決することができると規定しているが、休息
時間は右事項に該当し、郵便局長が専決することができること、就業規則、勤務時
間規程等によれば、郵便局長が特例による休息時間を設けることができるとし、服
務表の作成権限、周知義務を課していることから、休息時間に関する権限が郵便局
長の権限であるといえることなどを理由に、東京中郵局長に慣行休息について労働
協約を締結する権限があった旨主張する。
 しかしながら、団体交渉の交渉委員として指名された者は交渉事項について当然
に労働協約を締結する権限までも有するものとは解されず、休息時間に関する事項
が郵政省職務規程四条にいう軽微と認められるものに該当するとは到底いえないの
であり、また、郵政省就業規則及び勤務時間規程は、郵便局長に特例による休息時
間を設けることを認めるが、特例による休息時間として定められている範囲内で特
例休息時間を定めることができるにすぎず、右範囲を超えて休息時間を設けること
は認められていないのであり、郵便局長に課せられた服務表の作成、周知義務は、
勤務時間規程等に定められた休息時間の範囲内で具体的な休息の方法を郵便局長に
決定させているにすぎないのであるから、原告らの右主張は理由がない。
 また、原告らは、昭和四五年六月の労使合意につき慣行休息の時間帯・位置の変
更について郵政省の承認ないし東京中郵局長への権限の委任があったと主張する。
しかし、前記のとおり、郵政省は、その直前の四・九確認において中央協約を上回
る労働慣行の是正を表明し、また、五・一二確認においては、右労働慣行の是正を
部分時短実施の条件とすることを撤回したにすぎないのであるから、同年六月二日
の郵政省の示した見解は、郵政省がこれらに反して、東京中郵局の慣行休息を存続
することを是認し、慣行休息時間を設定する権限を東京中郵局長に委任したものと
認めることはできない。したがって、原告らの右主張は理由がない。
八 以上の次第で、慣行休息が選定者らの休息する権利となっていたとする原告ら
の主張は、いずれも理由がないことになる。
 したがって、原告ら主張の慣行休息が選定者らの休息する権利を有する時間であ
るということはできない。そうすると、東京中郵局長が慣行休息を当局の責任にお
いて是正することは何ら違法ではなく、団体交渉を経ずにこれを廃止したことが不
当労働行為に該当したり、信義則に違反したり、権利の濫用になるとはいえない。
また、選定者らに慣行休息につき休息する権利があることを前提に、これを廃止し
たことを理由とする本件損害賠償請求は、その前提を欠くし、慣行休息を廃止する
ことに違法性も認められないから、その余の点について判断するまでもなく理由が
ない。
九 結論
 以上の次第で、原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却すること
とし、主文のとおり判決する。
(裁判官 草野芳郎 竹内民生 山本剛史)
別紙一(選定者目録)、別紙二(選定者の所属一覧表)、別紙三(課別・勤務種類
別・勤務始終時刻・慣行休息時間一覧表)、別紙四(超過勤務の慣行休息時間)、
別紙五(在職者目録)、別紙六(転出者等目録)省略

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