弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を取り消す。
     被控訴人は、控訴人に対し別紙物件目録記載の建物を明け渡し、かつ、
昭和三四年一二月二〇日から昭和三五年一一月二日まで一ケ月金一、二一九円、同
年同月三日から昭和三八年三月二二日まで一ケ月金一〇、〇〇〇円、同年同月二三
日からみぎ建物の明け渡しの済むまで一ケ月金一一、一〇〇円の各割合による金員
を支払うべし。
     訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
     この判決は、被控訴人に対し金銭の支払を命じた部分について、控訴人
において、担保として金一五万円を供託するときは、かりにこれを執行することが
できる。
         事    実
 控訴人訴訟代理人は主文第一項から第三項までと同旨の判決および仮執行の宣言
を求め、被控訴人訴訟代理人は、控訴棄却の判決を求め、なお、控訴人訴訟代理人
が当審において拡張した請求部分につき請求棄却の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張および証拠は、以下に補足するほかは原判決の事実摘
示と同一であるから、ここにこれを引用する。
 控訴人訴訟代理人は、「かりにAにおいてBから本件建物の贈与を受けたとの事
実が認められないとすれば、なお、つぎのように主張する。Bは、Cから建物を買
い受けたときAの母として親権者であるDと通謀して、さらにBからAへ本件家屋
を贈与した旨の虚偽表示をしたうえで、中間登記省略の方法により、Cから直接A
において建物を買い受けた旨の登記を経た。しかるところ、Eは、この間の消息を
知らずに、Aが建物を所有するものと信じて、Aの親権者Dを代理するFからこれ
を買い受けた。そうして、Fにそのような代理権がなかつたとしても、Dは、みぎ
建物に抵当権を設定して金を借り入れる代理権をFに与えていたのであるから、E
は、Fにおいて建物売却の代理権を有するものと信ずべき正当の理由を有したもの
であり、またそうでないとしても、Dは、昭和三四年一〇月中Fに対し無権代理行
為を追認したものである。なお、損害金については、昭和三四年一二月一〇日から
昭和三五年一一月二日までは、本件建物階下部分のみに関して、全家屋の地代家賃
統制令に定める統制家賃額の範囲内である一ケ月金一、二一九円の割合により、昭
和三五年一一月三日以降は、被控訴人において階上部分をも占有するに至つたの
で、同日から昭和三八年三月二二日までの間は、一ケ月金一〇、〇〇〇円、同年同
月二三日から本件建物の明け渡しの済むまでは一ケ月金一一、一〇〇円の各割合に
よる賃料相当の損害金の支払いを求める」と述べ、被控訴人訴訟代理人は、「控訴
人がEとの間において本件建物を買い受ける旨の契約をしたことを争わない。Eが
みぎ建物の所有権を取得したとする原因に関し、控訴人の主張する事実のうち、E
がAの母として親権者であるDの代理人と称したFとの間で売買契約を結んだこと
も、これを争わないが、その余の事実を否認する。また、Bが仮装的にもせよ、A
の親権者Dとの間において本件建物をAに贈与する旨を約したことはない。なお、
Aの親権者Dは、その先夫Gとの間の婚姻につき昭和二六年三月二〇日に協議離婚
をしたことになつているが、みぎの届書は、GがDの承諾を得ないで勝手に作成し
たものであつて、届出としての効力がなく、従つて、Aは、引続きみぎ両名の共同
親権に服したものであり、Dは、その単独では、Aに代つて財産の管理処分権を行
使することができないわけであるから、この点からも、Eは、Dを代理すると称す
るFとの契約による効力を主張するに由ないものである。最後に、本件建物の階上
部分は、その部分の前賃借人である訴外Hが退去して後、被控訴人において、建物
の所有者であるBから管理を任されて占有しているに過ぎない。階下部分のみの賃
料相当額が一ケ月金一、二一九円であることは、これを争わない」と述べた。
 証拠として、新たに控訴人代理人は、甲第一一号証、同第一二号証の一、二、同
第一三、一四号証を提出し、当審証人E、同I、同Jおよび同Kの各証言を援用
し、乙第五、六号証の成立と、同第七号証の原本の存在および成立を認め、被控訴
人代理人は、乙第五から第七号証までを提出し、同第一号証の一、二を撤回し、甲
第一一号証、同第一二号証の一、二の成立と、同第一三、一四号証の各原本の存在
および成立とを認めた。
         理    由
 一 係争の建物がもと訴外Cの所有に属したこと、みぎ建物についてCからAに
対し所有権移転登記手続がなされたこと、後に昭和三四年一〇月二〇日にみぎAの
親権者母として法定代理人であるDの代理人名義のFにおいて、Aを代理して、み
ぎ建物を訴外Eに売り渡したものとして、その旨の所有権移転登記がなされ、さら
にEは、これを同年一一月四日に控訴人に売り渡し、その旨の所有権移転登記がな
されたことは、当事者間に争いのないところである。
 二 さて控訴人は、「係争の建物の所有権の帰属について、まずAにおいてCか
ら買い受けたものであり、若しAでなくBが買い受けたものであるとすれば、当時
直ちにBからAへの贈与が行われたものであり、いずれにしても、Aにおいてその
所有権を取得したものである。そうして、E、ついで、控訴人は、Aからの伝来に
よりその所有権を取得した」と主張する。よつてまず、前判示のA名義による所有
権取得登記およびAからEへの所有権移転登記がなされた経過およびその間におけ
る事情については、いずれも成立に争いのない乙第五号証、甲第一二号証の一、
二、同第六号証、同第一三、一四号証、乙第二から第四号証まで、同第七号証をあ
わせて考えると、つぎのような事実が認められる。
 Bは、長野市内において、その父のあとを継いで、L商としての一生を送り、本
訴が当審に係属中の昭和三八年七月三日に満六二才で死亡したが、妻との間に長女
D(大正○×年△月□○日生)と二女Mとをもうけた。Dは、戦時中長野市に駐屯
した陸軍部隊に雇われているうち、同所に勤務の陸軍曹長のGと想思の関係を生じ
たので、昭和一八年一〇月頃にBは、Gを婿養子とし、Dと婚姻させ、二人の間に
は、長男A(昭和一九年三月二一日生)および二男Nが出生した。しかし昭和二四
年頃にDが胸を患うと、Gは、Dの許を去り、昭和二六年三月二〇日にAおよびN
の親権者をDと定めて、協議離縁離婚の手続をした。Aは、弟Nが生れた頃から引
き続き祖父Bのもとで養育されて今日に及び、Dが入院療養中は、NもBのもとに
引き取られていた。その後Dは、入院中に知り合つたFと夫婦関係を結ぶようにな
り、主として福岡県下に同棲したが、Fは、後に昭和三五年七月二五日に東京で自
殺した。このようにして、Dの二度の夫婦生活のきつかけは、いずれもBの同意を
欠いていたのであるが、先夫Gが終戦とともに勤務先を失つたうえ、養親であるB
の生業になじめなかつたことも原因で、G夫妻とBとの折り合いが終始よくなかつ
た。Dと後夫Fとの夫婦関係は、必ずしも悪くなかつたが、その間の昭和三四年四
月六日付の婚姻届は、Dの不知の間にFがO姓を名乗ることとして届け出でがなさ
れた。なお、Bの二女Mは、長野県の警察官である被控訴人に嫁している。
 以上のような生活環境のなかで、Bは、戦前から長野市a町に店舗と住宅を構え
ていたが、別に昭和二〇年八月始めにCとの間に本件係争の建物を買い受ける交渉
をし、さらに昭和二三年頃Pとの間にみぎ建物の敷地を買い受ける交渉を遂げて、
自らそれぞれの代金を支払つた。また、その頃に同市b町の建物と上田市所在の農
地を買い求めた。そうしてそれらの登記については、a町の建物のみを自己名義と
しており、b町の建物を二女Mの名義で、上田市所在の農地を妻名義で登記手続を
し、係争建物のほかその敷地については、前判示のとおり、孫であるA名義で登記
をした。そしてみぎの登記をするについてはその手続上幼児であるAにつき法定代
理人による代理の形式によつていないのであるが、このときPは、未知のBをAそ
の人と信じて、売買の交渉および登記手続をし、Cは、Bとの間に売買の合意が完
結した後に、Bの意向の那辺に存するかを知らないまま、孫の名にしたいという同
人のいうままに、A名義での移転登記手続に協力した。Bは、これら不動産のうち
a町の家屋を昭和二五、六年頃に売却したが、他を持ち続けて、その後自らは、b
町の建物に居住し、本件係争建物には当初DGを、ついで昭和二十七年一月頃被控
訴人夫婦を、さらにDを住わせ、DがFのもとに去つてからは、昭和三四年一月頃
再度被控訴人夫婦を入居させ、ほぼ時を同じくして二階部分を訴外Hに賃貸した。
その間Bは、その公租公課火災保険料等を支払い、玄関門と物置とを新しくし、勝
手を改築するほか、屋内造作と庭木の手入れなどもして来ている。
 そうしてこれからは、本件の紛争が起るに至つた背景である。DとFとの福岡県
下での共同生活は、その糊口とする靴の行商に資金を要して苦しいものがあり、同
人らは、長野市に来てBに対し借金を申し入れたところ、Bは、これを断つた。し
かるに、本件建物とその敷地とが公簿上Aの所有名義となつていることを知るD
は、B不知の間にその意に反して権利証を持ち出したうえ、これをFに交付し、F
は、Aの法定代理人で母であるDの代理人名義をもつて、これをAの所有に属する
ものとしてEに代金五〇万円で売却したものである。
 以上に認定したところは、係争不動産に関する権利の帰属を考えるについての背
景である。よつて、以下当事者双方の主張の当否を判断しよう。係争建物等につい
てCまたはPからの登記簿上の買受人名義がAであることは、前判示のとおりであ
る。しかしその手続のなされた昭和二〇年または昭和二三年頃に、昭和一九年生れ
の幼児であつたAが自ら売買契約をなし得ないことは、いうまでもない。ところが
Bにおいて、当時Aの親権者であつた父Gまたは母Dをして、BにAを代理する権
限を与えさせたうえで、BがAを代理して、CまたはPとの間に売買を合意したわ
けでないことは前判示のとおりである。そうして、GD夫婦およびその子Aらを含
むO家の世帯において、その柱であつたのはBであり、CまたはPとの間に係争の
建物等についての売買の交渉をしたものは、Bその人にほかならず、支払代金を手
交した人も、その経済源も、Bをおいて他になく、CまたはPらにおいても、合意
の相手方としてのBのみを意識していたことであり、みぎ物件の維持管理も専らB
においてなして来たものであることも、前認定のとおりである。こうした事実のも
とにあつては、他に別段の事情の認められない限り、買受人についての公簿上の名
義がAであること、ないしは、BとD夫婦との折り合いが悪くて、将来ともBがそ
の財産を同人らに相続させる意思なく、ただ幼時から手塩にかけた孫Aを愛してい
たことだけをもつて、BがCまたはPとの間において同人らからAへ係争建物等に
ついての権利を移転させる趣旨の合意を遂げたとの事実を推認することも、相当で
ない。してみれば、もとCまたはPの所有に属した本件建物等は、被控訴人の主張
するとおり、みぎ同人らとの間の売買によつて、Bがその所有権を取得したものと
いうべく、これに反しAが直接承継取得し、ないしBとCまたはPとの合意の効果
として取得するいわれもないから、Aが直接にCから係争の建物を買い受けた旨の
控訴人の主張は、失当である。
 三 つぎに控訴人は、前示のAの買受名義による登記と同時に、BからAへ係争
物件について贈与による、または信託の目的による譲渡が行われた旨を主張する。
しかるに、本件にあらわれた限りの全証拠、ことに前示乙第二から第四号証まで、
同第七号証、甲第六号証のいずれによつても、Bが係争物件についての登記手続を
するに当つて、これらの物件を直ちにAに贈与する旨を約し、かつその履行のため
に中間省略登記をする趣旨において、前示の登記手続をする旨を約したことを推認
させるに足る資料を見出すことができない。かえつて、みぎらの証拠によれば、B
の資産と、その親族名義の顕名に関してのBおよび関係者の意向については、つぎ
のように考えられる。Bは、自己の資産を管理するについて自己の名のほか、親族
の名を一存で冒用することがあつたが、かつて生前において、ないしは、自己の死
亡を条件としてこれを贈与する意図なく、また現にそのような意思表示をしたこと
もなく、時に利ありと考えれば、これを処分したい意図もあつて、買受希望者との
間に売り渡しの条件について交渉、応待などした。Bが一存で親族の名を用いるに
ついては、事後にそれらの者にその旨を告げてもいるが、さりとて、当該親族をし
てこれを自己の権利として処分することを認めない旨の念を押しており、Bは、D
に対しDおよびGを信用しないゆえをもつて、係争物件をAの買受名義で登記した
旨を話しながらも、Dに対してはAにやると述べたこともさらになく、D自らもA
が貰つたものとは考えていなかつた。そのゆえにDは、後にBの意に反して、その
不知の間に権利証を持ち出したものである。そうしてBがみぎのように親族の名を
籍るのは、資産がすべてBの名において課税の対象とされることを避けようとする
意図に出たものであつた。みぎに認定し得たところから考えるに、係争物件につい
ても、BかCまたはPから所有権を取得すると同時に、直ちに控訴人の主張するよ
うに、これら物件の所有権をAに移転したことを肯認させるに足る事実を認めるこ
とができない。
 <要旨>さらに控訴人は、BとAとの間において、係争建物の所有権移転に関する
通謀虚偽表示があつたと主張する。ところで上来判示した事実関係のもとに
おいては、BとA自身との間においてはもとより、Aを代表する父母とBとの間に
所有権移転を仮装する合意がなされたことを認めるに足る資料がないから、Aを係
争建物の買受人名義とする登記があるからとて、厳格なる意味においてのいわゆる
虚偽表示があつたとすることはできない。しかし、本件においてAを買受名義人と
する所有権移転登記は、Bが自己の意思にもとづいて作出したものであることは、
前判示したところから明らかである。若しBがAの法定代理人と合意のうえで前示
のような登記をなしたとすれば、それはBが一旦Cから自己に所有権移転登記を受
けたうえ、Aの法定代理人との通謀虚偽表示により更にAに所有権移転登記をした
場合と実質上何らえらぶところがなく、この場合に民法第九四条第二項の規定が類
推適用せらるべきものであるとするならば(最高裁判所昭和二九年八月二〇日判
決、判例集八巻八号一五〇五頁の判旨)、さらに一歩を進めてたとえみぎA名義の
登記がなされるについてAの法定代理人の関与がなかつたとしても、みぎのような
登記簿上の外観を信頼してAとの間に取引関係に立つた第三者があるときは、やは
り前記民法の規定を類推適用しかかる善意の第三者に対しては亡Bの相続人らは勿
論、後記のとおりみぎ建物を現に占有する被控訴人はこの外観にするBの権利の存
続ないしAの無権利を主張し得ないものというべきである。
 四 よつて進んで、EにおいてAとの間に有効に取引関係を結び、かつ、Eは、
係争建物の所有権がAに属しないでBにあることを知らなかつた旨の控訴人の主張
について考える。まず、EがAの母として親権者であるDを代理すると称したFと
の間において売買契約をしたことは、当事者間に争いがない。
 控訴人は、Fにその旨の代理権があつた旨を第一に主張するけれども、これを肯
定するに足る証拠がない。
 しかし、前示甲第六号証および乙第七号証によれば、Dは、Fの業務である靴の
販売を援けるために、Fに係争建物の権利証を交付し、これを担保に供して金借を
する代理権を与えたところ、Fは、みぎ代理権の範囲外において、Dを代理して、
これをEに売る旨の合意を遂げたことを認めることができ、成立に争いのない甲第
七号証によれば、Eは、Fから前示権利証のほか、印鑑証明書、A、D、Fらの身
分関係の記載された戸籍謄本等を示されて、FがAの親権者である母Dを有効に代
理するものと信じ、かつ、そのように信じるについて十分の注意を惜しまなかつた
ことが認められる。してみれば、Eは、Fの代理権を信じるに足る正当の事由を有
したものと認定することが相当であつて、この認定を左右するに十分な資料がな
い。ところで、被控訴人は、Dとその前夫Gとの協議離婚は、Dの承諾がなかつた
から無効であり、従つて、Aは、引き続きGおよびDの共同親権下にあつたと主張
するけれども、前示甲第六号証によれば、GとのDの離婚は、同女の承諾によるも
のであると認められ、前示乙第四号証中の離婚および離縁の手続がすべてBの不知
の間に行われた旨の供述記載部分は、GとDとの間の離婚意思に合致があつたとの
前認定に累を及ぼさないし、他にみぎ認定を妨げる証拠がない。よつて、EがFと
の間になした契約は、その効力を本人であるAに及ぼすものということができる。
そうしてさらに、Bの作出したCからAへの係争建物に関しての前判示の所有権移
転登記について、それが実体上の権利変動を反映するものでないことをEが知つて
いたと認めるに足る証拠がないから、Eは、係争建物の所有権が移転したとの前示
の登記簿上の外観を信頼し、それがAの所有に属するものと信じて、Aの代理人と
の間に売買契約をしたものと認めるべきである。そうとすれば、前出三に説明した
とおり、民法第九四条第二項の規定の類推適用により被控訴人は係争建物について
のBの有権利ないしAの無権利を善意の第三者であるEに対し主張することができ
ない筋合である。してみれば、Eは、前判示の売買契約によつて、みぎ建物の所有
権を取得したものということができる。そうして最後に、昭和三四年一一月四日に
控訴人がEからみぎ建物を買い受ける旨の契約をしたことは、当事者間に争いがな
いから、控訴人は、みぎ同日適法に係争の建物の所有権を取得したと認めるべきで
ある。
 五 被控訴人が係争建物の階下を占有することは当事者間に争いがない。被控訴
人は、控訴人が係争建物の所有権を取得するに先だち、昭和三四年一月二七日にB
からみぎ建物の階下を一ケ月の賃料金二千円の定めで賃借した旨を主張する。成立
に争いのない乙第二から第四号証中被控訴人がBに対し賃料を支払うことを約し、
毎月金二千円を支払つた旨の供述記載部分、原審における被控訴本人尋問の結果中
の同様の供述部分を当裁判所は、たやすく信用することができず、他に被控訴人の
主張する抗弁事実を認めるに足る証拠がない。してみれば、被控訴人が係争建物の
階下部分を占有する権原があるとする被控訴人の抗弁は、理由がない。つぎに、被
控訴人は、みぎ建物の階上部分の占有が単にBから管理を委任されたことによるに
過ぎない旨を主張するけれども、この主張を肯定するに足る証拠がないから、みぎ
占有もまた独自の占有であるものと推定するのほかなく、しかもこの占有権原を認
めるに足る証拠はない。よつて被控訴人は、控訴人に対し係争建物を明け渡す義務
があり、かつ、控訴人がその所有権を取得するに至つた後である昭和三四年一二月
二〇日以後その明け渡しの済むまで、控訴人の使用収益を妨げたことによる賃料相
当損害金を支払う義務がある。その賃料相当額については、階下部分につき、昭和
三四年一二月二〇日から昭和三五年一一月二日までの賃料統制額が一ケ月金一、二
一九円を超えないことは、当事者間に明らかには争いがなく、同年一一月三日以後
は、全家屋につき(被控訴人による階上部分の占有がみぎ同日に始まることは、そ
の明らかには争わないところであるから、これを自白したものとみなす。)、その
延べ面積か三〇坪をこえるから、地代家賃統制令第二三条の規定する除外例に該当
するところ、成立に争いのない甲第一一号証によれば、一ケ月金一万円を下らず、
昭和三八年三月二三日以後は、一ケ月金一一、一〇〇円を下廻らないものと認めら
れる。
 六 以上に説明したところによつて、控訴人の被控訴人に対する本訴請求は、す
べて正当である。よつて、これを排斥した原判決は、失当であり、これに対する控
訴は、理由があるから、民事訴訟法第三八六条、第九六条および第八九条、第一九
六条建物の明渡しを命ずる部分については、仮執行を相当でないものと考え、これ
を付さない。の各規定を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 岸上康夫 判事 中西彦二郎 判事 室伏壮一郎)
 物件目録
 長野県大字c字de番敷地
 家屋番号fg番
 一、 木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建居宅  一棟
 建坪二十三坪四合
 二階十一坪五合
 同書同番敷地
 家屋番号fgのh
 一、 木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建物置  一棟
 建坪二坪五合

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛