弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人三枝重太郎の上告理由について。
 論旨は上告人が法律上の原因なくして係争小切手金の支払を受けたものではない
と主張し此の点に関する原審の判断を非難する。けれども、係争の小切手が被上告
人所持の当座小切手帳から訴外Dにより窃取された小切手用紙に恰も被上告人の真
正に作成振出したかの如く偽造され、その偽造者たる同訴外人から上告人に直接引
渡された(裏書のない)持参人払式のものであつた旨の原審事実認定によれば、振
出名義人たる被上告人に何等小切手上の義務の存しないことが明らかであり、仮令
上告人がこれを所論の通り善意無過失で取得し小切手法二一条によつて何人に対し
てもその返還義務を負担するものでないとしても、被上告人に対して小切手上の権
利を取得するいわれはない。而して上告人被上告人間の右法律関係は、上告人が右
小切手を前記訴外人Dから有償的に取得したものとしても何等影響を受くべき筋合
でないこと明らかであるから、右点につき同旨の判断を明示し上告人が係争の小切
手金の支払を受けたについて法律上の原因を缺いたものであると為した原審の判断
は相当であつて所論違法なく、論旨は理由がない。
 論旨は更に、係争の小切手金支払を受けたことにより上告人は何等の利益を得た
ものではなく然らずとしてもその利得は残存しないと主張しこの点に関する原審の
認定判断を争い且原判決に理由不備の違法もある、というけれども、原審が小切手
の有償取得その他右点に関する上告人主張の事実を、これを確認するに足る措信し
得べき証拠資料はないとして否定したものであることが原判決の行文上容易に看取
し得られるから、上告人において法律上の原因なく係争の小切手金支払を受けたも
のであること原審の認定判断するとおりである以上は、上告人において右小切手金
の所有権を取得しその所有財産を増加して利益を取得したにほかならず、しかもそ
の利得は右小切手金全額につき残存すると推認すべきであり(大審院明治三九年一
〇月一一日第一民事部判決、民録一二輯一二三六頁以下参照)、これと同旨にいで
たことの明らかな原審に右点につき所論違法はなく論旨は理由がない。
 論旨はまた因果関係に関する原審の判断を非難する。けれども原審は、係争の小
切手の支払人である訴外株式会社E銀行(F支店)が上告人に小切手金二四八〇〇
〇円を支払つた所為は一面において振出名義人たる被上告人との関係において被上
告人の損失に帰すると共に他面上告人との関係において上告人に利得を与えたもの
であつたとし、右損失と利得との間の因果関係が直接であつた旨を判断した趣旨で
あることが原判決の行文上看取できるのであり、その判断の相当であることを肯認
するに足るのであつて、右は所論大審院大正八年一〇月二〇日第二民事部判決(民
録二五輯一八九〇頁以下所載)と牴触するものでもなく、右点に関する論旨は理由
がない。
 その余の論旨は結局原審の事実認定、証拠の取捨判断を単に非難し、或は原審の
否定した事実、原判示に副わない事実に基いて原審の判断を争い、更に独自の見解
を主張し法令の適用を非難するに帰着し、採用に由ない。
 されば、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
 裁判官井上登、同本村善太郎は退官につき評議に関与しない。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    小   林   俊   三

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛