弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人清水賀一の上告理由について。
 原審の確定した事実によれば、被上告人と訴外D建設株式会社との間に、昭和三
八年四月一五日被上告人の注文によりD建設株式会社が店舗兼住宅の建築工事を請
け負い、工事完成時期を同年六月末日とし、報酬金を二九〇万円、契約と同時に金
一〇〇万円、同年四月三〇日金五〇万円、同年六月五日金四〇万円、完成引渡時に
金九〇万円を各支払うこととし、残金一〇万円はさきに支払つた仮契約金をもつて
充当する約の請負契約が成立したところ、同年六月一九日D建設株式会社は、右報
酬請求権のうち完成引渡時に支払われる約の分割払金九〇万円の内金八〇万円を上
告人に譲渡し、被上告人は異議をとどめずしてこれを承諾したが、右譲渡に際し上
告人は、右債権が請負契約に基づく報酬請求権であり、しかも将来完成されるべき
未完成工事部分の報酬金に属するものであることを知つていたことならびに、D建
設株式会社は、被上告人から報酬金のうち二〇〇万円を受け取りながら同年七月三
〇日以降工事を中止し、約六分どおりの工事をしたまま放置したので、被上告人は
同年九月二五日右請負契約を解除したというのである。
 ところで、請負契約は、報酬の支払いと仕事の完成とが対価関係に立つ諾成、双
務契約であつて、請負人の有する報酬請求権はその仕事完成引渡と同時履行の関係
に立ち、かつ仕事完成義務の不履行を事由とする請負契約の解除により消滅するも
のであるから、右報酬請求権が第三者に譲渡され対抗要件をそなえた後に請負人の
仕事完成義務不履行が生じこれに基づき請負契約が解除された場合においても、右
債権譲渡前すでに反対給付義務が発生している以上、債権譲渡時すでに契約解除を
生ずるに至るべき原因が存在していたものというべきである。従つて、このような
場合には、債務者は、右債権譲渡について異議をとどめない承諾をすれば、右契約
解除をもつて報酬請求権の譲受人に対抗することができないが、しかし、債務者が
異議をとどめない承諾をしても、譲受人において右債権が未完成仕事部分に関する
請負報酬請求権であることを知つていた場合には債務者は、譲受人に契約解除をも
つて対抗することができるものと解すべきである。けだし、民法四六八条一項本文
が指名債権の譲渡につき債務者の異議をとどめない承諾に抗弁喪失の効果をみとめ
ているのは、債権譲受人の利益を保護し一般債権取引の安全を保障するため法律が
附与した法律上の効果と解すべきであつて、悪意の譲受人に対してはこのような保
護を与えることを要しないというべきだからである。
 従つて、被上告人は、D建設株式会社が本件債権譲渡後に残工事完成義務を履行
しなかつたため、本件請負契約が解除された結果報酬残金九〇万円の支払義務がな
くなつたことを理由として、本件債権の悪意の譲受人たる上告人に対しその支払い
を拒むことができるものというべきであり、これと同旨の原審の判断は正当である。
所論は原審の判断は正当である。所論は原審の認定にそわない事実を前提とする部
分もあり、引用の判例は本件に適切でなく、論旨は理由がない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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