弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Cの弁護人滝沢国雄の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当
の主張であつて、刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。〔原判決が、所論所為
につき、営利の目的を以つてあへんを譲渡し、譲受けたものである旨判断したのは、
当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第三六三四号同二七年四月一七日第一小法廷判
決、刑集六巻四号六七八頁、昭和二八年(あ)第一九四号同二九年五月二五日第三
小法廷判決、昭和三五年(あ)第一八七四号同年一二月一二日第二小法廷決定、)
の趣旨とする所に従つたものであつて、正当である。〕
 被告人Aの弁護人奥山八郎、同手塚義雄の上告趣意第一点は、違憲をも論ずる如
くであるけれども、その実質は、単なる法令違反の主張であり、同第二点及び同弁
護人等の上告趣意補充第二は、量刑不当の主張であり、同上告趣意補充第一は、単
なる法令違反の主張であつて、何れも刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。〔
原判決に、右上告趣意第一点所論の法令違反のないことは、前記弁護人滝沢国雄の
上告趣意に対する説明により諒解すべきである。また右上告趣意補充第一は、原判
示あへん所持の所為を以つて、同譲受の所為中に吸収せられるものとなすべきであ
つて、両者別罪を構成するものと解すべきでなく、仮に別罪を構成するものとして
も、右譲受の所為と右所持の所為とは、通常手段結果の関係に在るものであつて、
刑法五四条一項後段により一罪として処断すべきものなるにも拘らず、第一審判決
は、これ等を別罪を構成し、併合罪の関係に在るものとして居り、原判決も亦第一
審判決の判断を維持したのは、法令に違反する旨主張するけれども、所論の事項は、
原審において主張判断がなかつたものであるのみならず、当裁判所の判例(昭和二
八年(あ)第一五三四号同三〇年一月一四日第二小法廷決定、昭和三二年(あ)第
七二三号同年六月一五日第二小法廷決定、)の趣旨とする所によれば、原判示の事
実関係においては、所論所持の所為は、所論譲受の所為より出た当然の結果ではな
く、両者独立の別罪を構成するものとなすべく、しかも両者は通常手段結果の関係
に立つものではないから、刑法五四条一項後段の規定を適用すべきものではない。
原判決も亦これと同旨の判断を示して居るのであつて、正当である。〕
 同被告人の弁護人佐瀬昌三の上告趣意一は、違憲、判例違反をも云為するけれど
も、その実質は、単なる法令違反の主張であり、同二は、事実誤認、法令違反の主
張であり、同三は、量刑不当の主張であつて、何れも刑訴四〇五条所定の上告理由
に当らない。
 同被告人の弁護人奥野彦六の上申書に記載せられる所は、量刑不当を主張する上
告趣意と解せられるけれども、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Eの弁護人榊純義の上告趣意は、違憲をも云為するけれども、その実質は、
事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認めらない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和三六年六月二〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

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