弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人田野井子之吉の上告理由について。
 原審の適法に確定したところによれば、本件賃料については、六ケ月ごとに被上
告人が賃借人D方に取立に赴きその支払を受ける約定が成立していたところ、被上
告人の代理人Eは、昭和四〇年七月分以降の賃料の取立のため同四一年一月頃と同
年末頃にD方を訪れ、またその間しばしば支払の督促のため電話し、その都度同人
は不在であつたが応待に出た者に伝言を依頼したので、Dにおいて右取立および督
促の事実を了知しえたものであり、同人は、同四二年一月頃被上告人方に赴き右の
数次の不在を詫びたうえ、本件建物の買取方を懇請したことがあつたが、そのさい
も未払賃料を持参しなかつたばかりかその支払の意思を示す態度さえなく、同四三
年四月一一日に至つて同四〇年七月分から同四三年三月分までの賃料として坪当り
一ケ月二五円の割合の金額(増額前の金額)を弁済供託するまで、何ら賃料の支払
をしなかつたのであつて、その間、被上告人は、Dに対し同四二年二月一〇日に到
達した書面をもつて同四〇年七月分から同四二年一月分まで坪当り一ケ月五〇円の
割合の賃料を四日以内に支払うよう催告し、次いで同四二年二月一六日に到達した
書面をもつて本件土地賃貸借契約解除の意思表示をしたというのである。
 右事実関係によれば、本件催告前において、被上告人はD方で賃料の支払を受け
るためとるべき手段を一応尽くしていたものであつて、Dにおいてこれに何らかの
応待をなすべきことが信義則上期待される状況にあつたにかかわらず、Dは、その
支払に協力する態度に出ることなく、かえつて、任意の支払を期待しがたい態度を
示していたものというべきである。そして、本件催告は、取立払の約定のある本件
賃料債務について持参して支払うよう求めたものであつたとしても、そのために債
務の同一性を害しまたは被上告人において催告期間内に取立に赴く意思がまつたく
ないものと解される事情は窺われないのであるから、ただちにそれ自体無効な催告
と解すべきではなく、したがつて、このような催告を受けたDとしては、右のよう
な従来の経緯に鑑み、信義則上、弁済のために自らなしうる行為として、催告期間
内に催告にかかる金額を準備し、少なくとも被上告人にその旨の通知をして取立を
促す等の措置に出るべきものというべく、このような措置に出た事実がないかぎり、
被上告人があらためて催告期間内に取立に赴かなくても、Dは遅滞の責を免れず、
被上告人において催告期間の徒過により解除権を行使することは妨げられないもの
と解するのが相当である。
 したがつて、被上告人の右催告に契約解除の前提としての効力を認め、本件土地
賃貸借契約が有効に解除されたものとした原審の判断は正当であつて、原判決に所
論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一

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