弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を横浜簡易裁判所に移送する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、末尾に添附した弁護人桝井雅生、同小泉英一共同作成名義の
控訴趣意書と題する書面の<要旨>とおりでこれに対し当裁判所は次のとおり判断す
る。
 第一点
 よつて本件記録を精査するに、本件公訴事実の犯罪日時は昭和二十五年九月十五
日午後三時頃であり、被告人の認めるところも此の日時であり、その他原判決挙示
の証拠に現われた事実によつても本件犯罪の日時は昭和二十五年九月十五日である
のに、原判決認定の本件犯罪日時は昭和二十五年八月二十五日午後六時頃であるこ
とは所論のとおりである。
 而して犯罪の日時は訴因として罪となるべき事実を特定させるのに重要な点であ
つて上述のように犯行の月も日も時間までも起訴と判決が著しく異なる場合は公訴
事実の同一性を有するものとは認め難い。また原判決の犯行の日時に関する記載は
単なる誤記とも認められない。従つて原判決は審判の請求をうけた事実につき審判
せず、審判の請求をうけない事実につき審判をしたことに帰し、論旨は理由があ
り、原判決は破棄すべきものである。
 而して本件は当審において直ちに判決するには不適当であるから他の論旨につい
ては判断を省略して刑事訴訟法第三百九十七条第四百条本文に則り主文のとおり判
決する。
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 石井文治 判事 鈴木勇)

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