弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件上告を棄却する。
       当審における未決勾留日数中170日を本刑に算入する。
         理    由
 1 弁護人濱田広道の上告趣意のうち,違憲の主張について
 所論は,刑訴法157条の3,157条の4は,憲法82条1項,37条1項,
2項前段に違反する旨主張する。
 刑訴法157条の3は,証人尋問の際に,証人が被告人から見られていることに
よって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから,その負担を軽
減するために,そのようなおそれがあって相当と認められるときには,裁判所が,
被告人と証人との間で,一方から又は相互に相手の状態を認識することができない
ようにするための措置を採り,同様に,傍聴人と証人との間でも,相互に相手の状
態を認識することができないようにするための措置を採ることができる(以下,こ
れらの措置を「遮へい措置」という。)とするものである。また,同法157条の
4は,いわゆる性犯罪の被害者等の証人尋問について,裁判官及び訴訟関係人の在
席する場所において証言を求められることによって証人が受ける精神的圧迫を回避
するために,同一構内の別の場所に証人を在席させ,映像と音声の送受信により相
手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって尋問することが
できる(以下,このような方法を「ビデオリンク方式」という。)とするものであ
る。
 証人尋問が公判期日において行われる場合,傍聴人と証人との間で遮へい措置が
採られ,あるいはビデオリンク方式によることとされ,さらには,ビデオリンク方
式によった上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても,審理が公開されて
いることに変わりはないから,【要旨】これらの規定は,憲法82条1項,37条
1項に違反するものではない。
 また,証人尋問の際,被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採
られた場合,被告人は,証人の姿を見ることはできないけれども,供述を聞くこと
はでき,自ら尋問することもでき,さらに,この措置は,弁護人が出頭している場
合に限り採ることができるのであって,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨
げられないのであるから,前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ,被告人の証人審
問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた
場合には,被告人は,映像と音声の送受信を通じてであれ,証人の姿を見ながら供
述を聞き,自ら尋問することができるのであるから,被告人の証人審問権は侵害さ
れていないというべきである。さらには,ビデオリンク方式によった上で被告人か
ら証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても,映像と音声の送受信を
通じてであれ,被告人は,証人の供述を聞くことはでき,自ら尋問することもでき
,弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから,やはり被告
人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である。したがって,【
要旨】刑訴法157条の3,157条の4は,憲法37条2項前段に違反するもの
でもない。
 以上のように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁昭和24年(れ)第73
1号同25年3月15日大法廷判決・刑集4巻3号355頁,最高裁昭和24年(
れ)第1873号同25年3月15日大法廷判決・刑集4巻3号371頁,最高裁
昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663
頁,最高裁昭和29年(あ)第1400号同31年12月26日大法廷判決・刑集
10巻12号1746頁,最高裁昭和29年(秩ち)第1号同33年2月17日大
法廷決定・刑集12巻2号253頁)の趣旨に徴して明らかである。
 2 同弁護人のその余の主張及び被告人本人の上告趣意について
 同弁護人のその余の主張は,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,
違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも
刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 よって,同法408条,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 島田仁郎 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 泉
 徳治 裁判官 才口千晴)

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