弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 論旨は、まず、原判決が本訴請求は地方自治法二四三条の二第四項に基づく損害
補填に関する裁判を求める訴にあたらないとしてこれを排斥したことは同法条の解
釈適用を誤つた違法があるという。
 しかし、地方自治法二四三条の二第四項が普通地方公共団体の住民に対し当該普
通地方公共団体の役職員による公金、財産等の違法な支出、処分に伴う損害の補填
に関する裁判を求め得る権能を与えたのは、普通地方公共団体の公金、財産等は本
来住民の納付する租税その他の公課等の収入によつて形成され、自治行政の経済的
基礎をなすものであるから、当該普通地方公共団体および全住民の利益を擁護し、
もつて住民の信託に基づく自治行政の公正な運営を確保せんとするためである。従
つて、普通地方公共団体の住民が同法条に基づき損害補填に関する裁判を求め得る
には、その損害が当該地方公共団体の蒙る損害であつて、全住民に関するものでな
ければならない。ところが、記録によれば、上告人主張の三〇五九万一六九六円は、
もと愛媛県温泉郡a村の大字b、大字c、大字d、大字e、大字f、大字gおよび
大字hの七部落が他村の部落と共有していた山林合計四二筆に対する持分をa村に
信託し、その信託財産の収益から受託者たる村が配分を受けた金銭であつて、右信
託財産に属するものであるというのであるから、仮りに同村村長が誤つてこれを一
般会計に繰り入れたとしても、それによつて生ずる損害は、委託者たる前記七部落
だけの損害であつて、a村の住民全体に関するものでないことは明らかである。従
つて、その損害については、信託法二七条に基づく損失填補の裁判を求め得るのは
格別、地方自治法二四三条の二第四項に基づく損害補填に関する裁判を求めること
は許されないといわなければならない。されば、上告人が右損害につきa村の住民
たる資格において同村村長に対し地方自治法二四三条の二第四項に基づき損害補填
に関する裁判を求める本訴請求を失当として排斥した原審の判断は、正当であつて、
所論の違法はない。
 次に論旨は、原判決には何等の理由をも示すことなく証拠調の申請を却下し、ま
た、事実審理をしないで請求を排斥した違法があるという。
 しかし、原審が上告人の本訴請求を排斥したのは、主張自体理由がないというこ
とによるものであることその判文上明らかであり、右の判断は是認できるので、原
審の所論措置は、正当であつて、所論の違法はない。されば、本論旨もまたその理
由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

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