弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
    本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人上野開治の上告理由第一点について。
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、首肯す
るに足りる。そして、右認定の事実関係に照らせば、上告人が訴外Eに対し、その
食料品店の経営につき、「D」なる自己の従前の商号および自己の氏名を使用する
ことを少なくとも暗黙に許諾していた旨の原審の判断は、正当として是認すること
ができる。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定
を非難するに帰し、採用することができない。
 同第二点について。
 商号は、法律上は特定の営業につき特定の商人を表わす名称であり、社会的には
当該営業の同一性を表示し、その信用の標的となる機能をいとなむものである。商
法二三条は、このような事実に基づいて、自己の商号を使用して営業をなすことを
他人に許諾した者は、自己を営業主と誤認して取引した者に対し、同条所定の責任
を負うべきものとしているのである。したがつて、現に一定の商号をもつて営業を
営んでいるか、または、従来一定の商号をもつて営業を営んでいた者が、その商号
を使用して営業を営むことを他人に許諾した場合に右の責任を負うのは、特段の事
情のないかぎり、商号使用の許諾を受けた者の営業がその許諾をした者の営業と同
種の営業であることを要するものと解するのが相当である。
 ところで、本件において、原審の確定したところによれば、上告人は、その営ん
でいた電気器具商をやめるに際し、従前店舖に掲げていた「D」という看板をその
ままにするとともに、上告人名義のゴム印、印鑑、小切手帳等を店舖においたまま
にしておき、訴外Eが「D」の商号で食料品店を経営することおよびその後経営し
ていたことを了知していたこと、同訴外人は、本件売買取引の当時、右ゴム印およ
び印鑑を用いて上告人名義で被上告会社の前身である合資会社F商店にあてて約束
手形を振り出していたこと、上告人は、自己の営業当時、売上金を「D」および上
告人名義で銀行に普通預金にし、その預金の出し入れについて上告人名義の前記印
鑑を使用していたが、訴外Eが食料品店を始めるに当たつて、同訴外人に対して自
己の右預金口座を利用することを承諾し、同訴外人もこれを利用して預金の出し入
れをしていたこと、同訴外人は上告人の営業当時の使用人であり、かつ上告人の営
業当時の店舖を使用した関係にあつたというのである。このような事実関係のもと
においては、訴外Eが、上告人の廃業後に、上告人の商号および氏名を使用して上
告人の従前の営業とは別種の営業を始めたとしても、同訴外人と取引をした被上告
人の前身F商店がその取引をもつて上告人との取引と誤認するおそれが十分あつた
ものというべきであり、したがつて、上告人の営業と訴外Eの営業とが業種を異に
するにかかわらず、なお上告人において同訴外人の右取引につき商法二三条所定の
責任を負うべき特段の事情がある場合に当たるものと解するのが相当である。それ
ゆえ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第三点について。
 所論指摘の被上告人の重大な過失は、商法二三条の定める責任を免れようとする
上告人において立証責任を負うべきものと解すべきところ、この点については原審
において主張立証がなかつたのみならず、原判示によれば、原審は、被上告人の前
身F商店が訴外Eとの間の本件海産物の売買取引について上告人を営業主と誤認し
たことにつき重大な過失がなかつたものと判断して、上告人に対し商法二三条に基
づく責任を負わせていることを窺うに足り、右判断は、その確定した事実関係のも
とにおいては、正当として是認することができる。したがつて、原判決に所論の違
法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎

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