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平成21年(レ)第100号貸金請求控訴事件
(原審安城簡易裁判所平成21年(ハ)第101号)
判決
主文
1原判決中控訴人敗訴の部分を取り消す。
2上記の部分につき,被控訴人の請求を棄却する。
3訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
主文と同旨
第2事案の概要
1前提事実(当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められ
る事実)
()控訴人は,建築業を営む有限会社B1を経営していた。1
()被控訴人は,建築業等を営んでいた。2
()被控訴人は,平成17年4月30日,控訴人との間で,利息を月2割,3
弁済期を平成17年5月31日とする約定で,控訴人に100万円を貸し
付けた(以下,この消費貸借契約を「本件消費貸借契約」といい,利息を
月2割とする約定を「本件利息約定」といい,本件消費貸借契約における
貸付金を「本件貸付金」という(争いがない。。))
()控訴人は,被控訴人に対し,本件消費貸借契約について,平成17年54
月31日に20万円,平成17年6月30日に10万円,平成17年7月
31日に10万円を弁済した(争いがない。)
,,,,()被控訴人は安城簡易裁判所に平成21年1月21日控訴人に対し5
本件貸付金を120万円であるとして,120万円及びこれに対する上記
弁済期の翌日である平成17年6月1日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金の支払を求める支払督促を申し立てた。
()安城簡易裁判所裁判所書記官は,平成21年1月21日,上記()の申立65
てについて支払督促を発し,同月23日,控訴人に送達されたが,控訴人
が,同年2月4日,督促異議の申立てをしたため,原審の訴訟手続に移行
した。
()原審は,被控訴人の請求の一部を認め,控訴人に,被控訴人に対する67
1万0555円及びこれに対する平成17年8月1日から支払済みまで年
,。5分の割合による金員の支払を命じ被控訴人のその余の請求を棄却した
2被控訴人の請求
被控訴人は,控訴人に対し,本件消費貸借契約について,貸金120万円
及びこれに対する弁済期の翌日である平成17年6月1日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。
なお,被控訴人は,上記1()及び()のとおり,本件貸付金は120万円34
ではなく,100万円であることや,控訴人からの一部弁済を認めており,
そもそも失当な部分を含んだ請求をしている。
3控訴人の答弁
控訴人は,以下のとおり主張して,被控訴人の請求をすべて争っている。
()本件消費貸借契約に付された本件利息約定は,出資の受入れ,預り金及1
び金利等の取締りに関する法律(平成18年法律第115号による改正前
のもの。以下「出資法」という)5条1項が定める高金利規制に違反する。
極めて悪質なものであること,高金利の貸金業者である被控訴人が,法的
知識の欠如した控訴人の窮状に乗じて利息名目で不法な利益を得ようとし
てなされたものであることなどから,本件利息約定だけでなく,本件消費
,。貸借契約自体が公序良俗に違反するもので民法90条により無効である
()控訴人は,別紙一覧表(上記1()の弁済を含む。[)記載のと24添付省略]
おり,被控訴人に対し,本件消費貸借契約について本件貸付金の額をはる
かに上回る合計220万円を弁済した。
第3当裁判所の判断
,(,,),1前記前提事実のほか証拠甲12乙1及び弁論の全趣旨によると
以下の事実が認められる。
()控訴人は,平成17年初めころ,建築業を営む有限会社B2の代表取締1
役A1に,B1の運転資金の借入先を相談した(甲2。)
A1は,知合いの被控訴人に対し,100万円を控訴人に貸してほしい
旨依頼した。
被控訴人は,控訴人とは面識はなかったが,上記依頼に応じることとし
た。
()被控訴人は,平成17年3月末ころ,控訴人に対し,弁済期を同年4月2
末ころとして,利息月1割で100万円を貸し付けた(以下「当初貸付」
という。。)
控訴人は,平成17年4月末ころ,被控訴人に対し,当初貸付の元利金
110万円を弁済した。
控訴人は,同日,被控訴人に対し,再度,100万円を貸してほしい旨
懇願したところ,被控訴人は,月2割の利息を条件としてこれを了承し,
控訴人に100万円を交付して,本件利息約定を付した本件消費貸借契約
を締結した。
その際,被控訴人は,控訴人から,控訴人の自動車の車検証を,本件消
費貸借契約による債務の担保として受け取った。
()控訴人は,本件消費貸借契約締結の当時,有限会社B2などに対する未3
払債務があった(乙1。)
2公序良俗違反について
()控訴人は,前記第2,3()のとおり,本件利息約定だけでなく,本件消11
費貸借契約自体が公序良俗に違反するもので,民法90条により無効であ
る旨主張する。
()ア出資法5条1項は「金銭の貸付けを行う者が,年109.5パーセ2,
ント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし,
1日当たりについては0.3パーセントとする)を超える割合による利。
息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ)の契約。
,,をしたときは5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し
又はこれを併科する」と規定して,業として金銭の貸付けを行う者であ。
るか否かを問わず,金銭の貸し付けを行う者が,上記の率を超える割合
による利息等の契約をした場合には,刑罰を科している。
イ被控訴人が行った本件利息約定は,年にすると240パーセントの割
合となるものであり,出資法5条1項の定める年利109.5パーセン
トの2倍を超える極めて違法性の高い犯罪行為であり,当時でも,本件
約定利率に比べると,いわゆる商工ローンやサラリーマン金融での借入
による約定利率の方がはるかに低率であったことなどからすると,控訴
人は,本件消費貸借契約当時,経済的に窮迫していたか,仮にそうでな
かったとすれば,軽率ないし無経験のため本件消費貸借契約を行ったも
のと考えられ,被控訴人も,このような控訴人の状況を認識して,これ
に乗じて違法な高金利によって利益を得ようとしたものと推認される。
そして,前記認定事実のとおり,控訴人と被控訴人とは,当初貸付よ
り前には面識がなかったこと,控訴人が本件消費貸借契約締結の当時,
有限会社B2などに対して未払債務があり,B1の事業の運転資金を必
要としていたこと,控訴人が当初貸付においても月1割と高利であった
利息の利率について,本件消費貸借契約ではさらに高利の月2割とする
被控訴人の要求を受け入れていることからすると,被控訴人は,控訴人
の経済的窮迫に乗じて,極めて違法性の高い犯罪行為に該当する本件利
息約定の契約をしているもので,本件利息約定は暴利行為として公序良
俗に違反するというべきである。
また,被控訴人は,本件消費貸借契約を手段として,違法な高金利に
よる利益を得ようとしたものであり,本件利息約定と一体をなす本件消
費貸借契約それ自体も公序良俗に違反するというべきであり,裁判所が
本件消費貸借契約の効力を認めてこのような犯罪行為の用に供された本
件貸付金の返還請求に助力することは許されないというべきである。
なお,被控訴人は,本件貸付金が100万円であることや一部弁済が
あったことを自認しているにもかかわらず,前記第2,1()のとおり,5
本件貸付金が120万円であるとして,その金額について支払督促の申
立てをしているのであり,この点においても悪質である。
()したがって,本件消費貸借契約は,公序良俗に反するものとして,民法3
90条により無効であり,上記()の控訴人の主張は理由がある。1
3以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件消費貸借契
約が無効である以上,被控訴人の請求は,理由がないから全部棄却すべきと
,,,ころこれを一部認容した原判決は失当であり本件控訴は理由があるから
原判決中控訴人の敗訴部分を取り消した上,これを棄却することとし,主文
のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第8部
裁判長裁判官長谷川恭弘
裁判官濱本章子
裁判官鈴木喬

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