弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人小竹耕の上告理由第一、二点について。
 原判決の事実摘示によれば、上告人らは、本件家屋の約定賃料月五〇〇〇円及び
同家屋階下店舗部分の面積は七坪余であるとの自白は真実に反し錯誤に出たもので
あるとして撤回し、上告人A1が店舗として使用している部分は六、二七坪に過ぎ
ず、したがつて本件家屋については地代家賃統制令の適用がある旨主張しているこ
とが明らかである。
 成立につき当事者間に争いがないとされている乙一四号証によれば、本件家屋は、
店舗用部分と居住用部分との結合を以て構成され、その店舗用部分の面積は、六、
二七坪であることが窺えるし、また原判決の引用する一審判決の事実摘示によれば、
上告人A1は、賃借人として同家屋に居住し、右店舗用部分で営業をしていること
及び同家屋の延面積が三四坪七合七勺であることは当事者間に争いがないとされて
いることが窺えるから、もし右店舗用部分の面積が上告人らの主張する如く六、二
七坪に過ぎなければ、延面積との関係で、本件家屋は地代家賃統制令二三条二項但
書、同条三項、同令施行規則一一条に該当する併用住宅として、同統制令の適用を
受ける家屋になりはせぬかとの疑いがある。
 もし右家屋が右統制令の適用を受けるとすれば、本件における賃料月五〇〇〇円
という約定が有効であるかどうか、その約定が有効でないとすれば、そのような賃
料額を以てなされた本件催告が、催告として有効であるかどうか、したがつて同催
告に対する不払いを停止条件とした本件賃貸借契約の解除が有効になされたものと
いえるかどうかの諸点が問題となるばかりでなく、上告人A1に対して支払いを命
ずべき延滞賃料の額もまた争われざるを得ないことになる。
 してみると、上告人らの前記自白の撤回は、上告人らが本件家屋を以て、地代家
賃統制令二三条二項但書、同条三項、同令施行規則一一条に該当する併用住宅とし
て同統制令の適用を受ける家屋であることを主張せんがためのものであることが、
おのずから明らかであるから、これの撤回を許容するかどうかの判定は、本件家屋
につき右統制令が適用されるかどうかの判断に欠くべからざる前提をなすものとい
わなければならない。
 しかるに原判決は、右自白の撤回の許否につきなんら決するところなく、本件家
屋の延面積が三五・七五坪(延面積が三四坪七合七勺であることは当事者間に争い
がないとされているように見受けられるが)であるとの一事を以て、たやすく右統
制令の適用を受けない家屋であると判断し、それを前提として被上告人らの本訴請
求をすべて認容するに至つたのは、審理不尽、理由不備であるというべく、そして
右の違法は判決の結果に影響を及ぼすことが明らかであるから、少くとも上告人A
1に関する部分は破棄を免れない。(なお、附言するに上告人A1に対する判示催
告は延滞賃料一〇万円ありとしてなされたものであるところ、原審以来の主張自体
によつても明らかなとおり、右一〇万円の内少くとも一ケ月二九四九円の二〇ヶ月
分五万八九八○円については右上告人に支払義務ある筋合であつて、右催告は結局
約四万円の過大催告に帰するわけである。しからば、右過大催告が本件の場合付遅
滞の効力を有するや否や、また問題たるを失わないから、本件賃料に統制令の適用
があることになつても、右の問題点につき十分考慮する必要がある。)
 次に、上告人A2、同A3に関する部分は、右上告人A1の賃貸借が消滅したこ
とを前提とするものと解されなくはないし、論旨もまたその趣旨を以て原判決を争
つているものと解されるから、上告人A1に関する部分が破棄を免れない以上、上
告人A2、同A3に関する部分も破棄するのを相当と考える。
 よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   木   常   七
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   朔   郎

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