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平成20年12月11日判決言渡
平成20年(行ケ)第10048号審決取消請求事件(特許)
口頭弁論終結日平成20年11月6日
判決
原告株式会社HDT
同訴訟代理人弁護士稲元富保
被告特許庁長官
同指定代理人石井研一
萩原義則
小林和男
山本章裕
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が訂正2007−390103号事件について平成20年1月8日にした
審決を取り消す。
第2事案の概要
本件は,原告が「電話送受信ユニット及び移動体通信端末」とする名称の発明,
について特許権を有しているところ,その請求項1に係る発明についての特許を無
効とする旨の審決を受けたことから,その請求人に対し,審決中の同無効とする部
分の取消しを求める訴えを提起した上で訂正審判を申し立てたところ,特許庁から
「本件審判の請求は,成り立たない」との審決を受けたことから,特許庁長官に。
対し,この審決の取消しを求めた事案である。
争点は,後出の本件特許のうち訂正後の請求項1に係る発明が,特許出願の際に
独立して特許を受けることができるものであるか否かであり,具体的には,この発
明が,特開平9−149109号公報(甲2。以下「刊行物2」という)に記載。
(「」。),(。された発明以下引用発明2という特開平9−139972号公報甲3
以下「刊行物3」という)に記載された発明(以下「引用発明3」という,国。。)
際公開第94/21058号(1994(甲4。以下「刊行物4」という)に記)。
載された発明(以下,審決を引用する場合を含め「引用発明4」という)及び周。
知慣用技術との関係で進歩性(特許法29条2項)を有するかどうかである。
1特許庁における手続の経緯
原告が特許権を有する発明の名称を「電話送受信ユニット及び移動体通信端末」
とする特許第3048964号は,平成9年6月24日に特許出願され,平成12
(。「」。)。年3月24日に設定登録された請求項の数6以下本件特許という甲7
これに対し,株式会社ネットインデックスから本件特許を無効にすることを求め
る特許無効の審判請求がされ,特許庁は,同請求を無効2006−80205号事
件として審理した上,平成19年5月10日,請求項1に係る発明についての特許
を無効とするなどとの審決をした。
原告は,同年6月15日,上記請求人を被告としてこの審決の取消しを求める訴
えを知的財産高等裁判所に提起(平成19年(行ケ)第10214号事件)すると
ともに,同年9月5日,本件特許につき,特許請求の範囲,発明の詳細な説明及び
発明の名称を訂正すること(以下「本件訂正」という)について訂正審判を求め。
た(甲10。)
特許庁は,この請求を訂正2007−390103号事件として審理し,同年1
0月17日付けで訂正拒絶理由通知をし(甲11,平成20年1月8日「本件審),
判の請求は,成り立たない」との審決をし,その謄本は,同年1月18日,原告。
に送達された。
2特許請求の範囲
(1)本件訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という)の内容。
は,次のとおりである(甲10。なお,下線部が本件訂正部分である。。)
「請求項1】アンテナにより受信される受信信号をスピーカから音声として出力する通話【
用音声信号に変換する第1の変換機能と,マイクに入力される音声が変換された通話用音声信
号を前記アンテナから出力する送信信号に変換する第2の変換機能と,操作部からの操作信号
に基づいて所定の処理を行う機能と,表示部に表示する表示信号を生成する機能とを有する電
子回路と,
前記電子回路を含み,前記スピーカ及び前記マイクを端末本体に備えた複数の移動体通信端
末の各々に設けられたスロットに全体が収納されるような形状に形成されたカートリッジと,
前記カートリッジに設けられ,前記移動体通信端末との間で前記操作信号と前記表示信号を
入出力する信号線,及び前記通話用音声信号を入出力する信号線を含む入出力部とを有し,
前記カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1の変換機能および前記第2の変
換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記複数の移動体通信端末によって通話を可
能にすることを特徴とする電話送受信ユニット」。
(2)本件訂正発明を分節すると,次のA1∼A5及びB∼Eのとおりとなる。
A1アンテナにより受信される受信信号をスピーカから音声として出力する通話用音声信
号に変換する第1の変換機能と,
A2マイクに入力される音声が変換された通話用音声信号を前記アンテナから出力する送
信信号に変換する第2の変換機能と,
A3操作部からの操作信号に基づいて所定の処理を行う機能と,
A4表示部に表示する表示信号を生成する機能と
A5を有する電子回路と,
B前記電子回路を含み,前記スピーカ及び前記マイクを端末本体に備えた複数の移動体通
信端末の各々に設けられたスロットに全体が収納されるような形状に形成されたカートリッジ
と,
C前記カートリッジに設けられ,前記移動体通信端末との間で前記操作信号と前記表示信
,,号を入出力する信号線及び前記通話用音声信号を入出力する信号線を含む入出力部とを有し
D前記カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1の変換機能および前記第2
の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記複数の移動体通信端末によって通話
を可能にすることを特徴とする
E電話送受信ユニット。
3審決の内容の要点
審決は,本件訂正発明は,引用発明2∼4及び周知慣用技術に基づいて当業者が
容易に発明できたもので,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特
,,許を受けることができないものであったから同法126条5項の規定に適合せず
本件訂正は認めることができない,とした。
(1)審決が認定する本件訂正発明と引用発明2との一致点並びに相違点1∼5
のうち原告主張の取消事由に関係する相違点1,2及び4は,次のとおりである。
ア一致点
「アンテナにより受信される受信信号をスピーカから音声として出力する通話用音声信号に
変換する第1の変換機能と,マイクに入力される音声が変換された通話用音声信号を前記アン
テナから出力する送信信号に変換する第2の変換機能と,操作部からの操作信号に基づいて所
定の処理を行う機能とを有する電子回路と,
前記電子回路を含み,前記スピーカ及び前記マイクを端末本体に備えた移動体通信端末に設
けられたスロットに収納されるような形状に形成されたカートリッジと,
前記カートリッジに設けられ,前記移動体通信端末との間で前記操作信号を入力するととも
に,前記通話用音声信号を入出力する信号線を含む入出力部とを有し,
移動体通信端末を含む複数の通信端末に装着されて,前記複数の通信端末によって無線通信
を可能にする無線送受信ユニット(25頁16∼28行)。」
イ相違点1
「構成要件A4に関し,本件訂正発明では『電子回路』が『表示部に表示する表示信号を,,
生成する機能』を有するのに対し,
引用発明2では,このような機能を有するかどうか不明な点(25頁30∼32行)。」
ウ相違点2
「構成要件Bに関し,本件訂正発明では『カートリッジ』が『前記スピーカ及び前記マイ,,
クを端末本体に備えた複数の移動体通信端末の各々に設けられたスロットに全体が収納される
ような形状に形成』されるのに対し,
引用発明2では『カートリッジ(基本部)が『前記スピーカ及び前記マイクを端末本体,』,
(周辺部)に備えた移動体通信端末(周辺部)に設けられたスロット(筒状の基本部把持部)
に収納されるような形状に形成される』ものの『複数の移動体通信端末(周辺部』かどうか,)
不明であるとともに『スロット(筒状の基本部把持部)に『全体が収納される』構成になっ,』
ていない点(25頁34行∼26頁7行)。」
エ相違点4
「構成要件Dに関し,本件訂正発明では『電話送受信ユニット』が『カートリッジに含ま,,
れる前記電子回路が有する前記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの
回線を契約するだけで前記複数の移動体通信端末によって通話を可能にする』のに対し,
引用発明2では,一つの『無線通信機能ユニット』が『前記移動体通信端末(周辺部)及,
びパソコンに共通に使用され,前記移動体通信端末(周辺部)に装着されたとき,移動体通信
端末によって通話を可能にする一方,前記パソコンに装着されたとき,パソコンで無線通信機
能を使用可能にする』ものの『カートリッジ(基本部)に含まれる前記電子回路が有する前,
記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで』通話
を可能とするかどうか不明な点(26頁16∼26行)。」
(2)相違点1,2及び4等の検討
ア相違点1について
「,『』『』携帯電話等に係る上記周知慣用技術を考慮すれば引用発明2の基本部の電子回路
は,実質的に『表示部に表示する表示信号を生成する機能』を有すると解釈することが自然で
あるから,相違点1に係る相違は実質的な相違ではない(27頁23∼26行)。」
イ相違点2について
「相違点2の全体としてみても,引用発明2に,前記刊行物4及び刊行物3に記載された技
術を適用し,本件訂正発明のように『カートリッジ』が『前記スピーカ及び前記マイクを端,
末本体に備えた複数の移動体通信端末の各々に設けられたスロットに全体が収納されるような
形状に形成される』よう構成することは,当業者が容易になし得ることである(28頁24。」
∼28行)
ウ相違点4について
「引用発明2に引用発明4B(判決注:審決は,引用発明4Bとして「一つの電話送受信,
ユニット〔モジュラーユニット〕が,スピーカ及びマイクを備えた複数の移動体通信端末のス
ロットに交代して装着されることにより,装着された各々の移動体通信端末において通話を可
能にする電話送受信ユニット〔モジュラーユニット〕の技術」と認定した)を適用し,引用。
発明2のパソコンを,電話送受信ユニットが装着されて通話が可能にされる移動体通信端末と
して構成し,本件訂正発明のように『カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1
の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記複数の移
動体通信端末によって通話を可能にする』よう構成することは当業者が容易になし得ることで
ある(30頁30∼36行)。」
第3原告主張の審決取消事由の概要
審決には,次のとおり,①引用発明4Bの認定の誤りによって相違点4の判断を
誤った(取消事由1,②引用発明2に引用発明4Bを適用し本件訂正発明を構成)
できるとして相違点4の認定及び判断を誤った(取消事由2,③相違点1につい)
ての判断を誤った取消事由3④相違点2についての認定及び判断を誤った取(),(
消事由4,違法がある。)
1取消事由1(引用発明4Bの認定の誤りによる相違点4の判断の誤り)
(1)審決は,相違点4の判断の前提として,刊行物4には「一つの電話送受信ユ,
ニット(モジュラーユニット)が,スピーカ及びマイクを備えた複数の移動体通信端
末のスロットに交代して装着されることにより,装着された各々の移動体通信端末に
おいて通話を可能にする電話送受信ユニット(モジュラーユニット」の技術(引用発)
明4B)が記載されていると認定する(22頁14∼17行。)
(2)しかしながら,審決の引用発明4Bの認定は,誤っている。
本件訂正発明において「電話送受信ユニット」とは,特許請求の範囲の請求項1に,
記載された事項で特定されるものであるから,この請求項1に記載されている,受信
信号を音声として出力する通話用音声信号に変換する機能及びマイクに入力される音
声を通話用音声信号に変換する機能(以下,これらを「音声変換機能」という)など。
を有するユニットでなければならない。
一方,刊行物4における「モジュラーユニット」は,引用発明4Aとして認定され
ているように単なる「無線送受信ユニット」であって「電話送受信ユニット」ではな,
い。つまり,次のア及びイのとおり,刊行物4では,音声変換機能を内部に有して通
話が可能な端末が,当該内部の音声変換機能を使用して「モジュラーユニット」が装,
着されたときに「異なる通信規格で通信できるようになる」だけのことであって,刊,
行物4における「モジュラーユニット」は「当該端末によって通話を可能にする」も
のではない。
ア刊行物4に記載の「モジュラーユニット」は,モデムと無線トランシーバ(こ
れは,刊行物2の図4で示される基本部12の「RFモジュール50」と「変復調モ
デム52」に相当する部分である)を有し,様々な通信規格に対応できるようにする。
だけのものであって,ペン型コンピュータ313,ノートブック300及び携帯電話
309に通話のための音声変換機能を提供するものではなく,したがって「モジュラ,
ーユニット」は,音声変換機能を有していないのであるから「電話送受信ユニット」,
ではない。
イ刊行物4に記載の「端末」であるノートブック300及び携帯電話309は,
内部に電話機能(音声変換機能)を有し,この音声変換機能を使用して通話を行うと
きに,モジュラーユニットを使用して「通信」するだけであって,ノートブック30
0及び携帯電話309は,モジュラーユニットによって通話可能とされるものではな
い。ノートブック300及び携帯電話309は,モジュラーユニットがなくとも,も
ともと通話が可能であり,実際の通話を行うときの「通信手段」としてモジュラーユ
ニットを使用しているにすぎない。
(3)したがって,刊行物4に記載された引用発明4Bとしては「スピーカ及びマ,
イクを備え,それぞれが回線契約をした通話が可能な複数の通信端末のスロットに交
代して装着されることにより,装着された各々の通信端末において異なる通信規格に
よる通信を可能とするモジュラーユニット(無線送受信ユニット」が記載されている)
と認定されなければならない。
審決は,上記のとおりの誤った引用発明4Bの認定を前提として相違点4を判断し
たものであるから,審決の相違点4の判断は誤っている。
2取消事由2(引用発明2に引用発明4Bを適用して本件訂正発明を構成できる
とする相違点4の認定及び判断の誤り)
(1)ア審決における相違点4の認定のうち「カートリッジ(基本部)に含まれる,『
前記電子回路が有する前記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1
つの回線を契約するだけで』通話を可能とするかどうか不明な点(26頁24∼2。」
6行)が,周辺部及びパソコンに装着されたときを意味するのであれば,相違点4の
認定は誤っている。
イまた,審決は「引用発明2に引用発明4Bを適用し,引用発明2のパソコン,
を,電話送受信ユニットが装着されて通話が可能にされる移動体通信端末として構成
し,本件訂正発明のように『カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1
の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記
複数の移動体通信端末によって通話を可能にする』よう構成することは当業者が容易
になし得ることである(30頁30∼36行)と認定判断する。」
(2)しかしながら,引用発明4は,もともと電子機器が異なる通信規格に対応でき
るようにすることを目的とするものであり,モジュラーユニットは音声変換機能を有
していない。すなわち,刊行物4においては,端末側が音声変換機能を有しているこ
とによって電話として通話可能であり,カートリッジによって通話が可能となるもの
ではない。
そして,この引用発明4Bにおける「通話を可能にする」とは「移動体通信端末に,
おいて通話を可能にする」という認定であって,本件訂正発明のように「移動体通信
端末によって通話を可能にする」ものではない。移動体通信端末に「おいて」通話を
可能にするとは使用するときに通話できるというだけの意味でありそのときにモ,,「
ジュラーユニット」が担っている機能は単に「通信を行う」というにとどまり,電話
機能(音声変換機能)自体は移動体通信端末側が備えている。
そうすると,モジュラーユニットが「移動体通信端末において通話を可能にする」
とは,電話機能を有する移動体通信端末が電話して使用されるときに「通信」できる
ようにするという技術的意義を有しているにすぎない。
したがって,引用発明4Bにおける「通話を可能にする」ことの技術的意義は,本
件訂正発明における「通話を可能にする」ことの技術的意義とは全く異なっている。
(3)他方,刊行物2の【0004【0005】及び【0024】の発明の目的,】,
課題を解決する手段及び効果の記載に基づけば,引用発明2は,携帯電話器の無線通
信機能を有する部分を他の電子機器と組み合わせて使用可能にすることを目的とし,
そのために,基本部と周辺部とに分離する構成を採用し,携帯電話器以外の他の電子
機器がデータを無線で送受できるようにしたものである。
また,刊行物2の【0013【0014【0021】及び【0022】の記載】,】,
によれば,刊行物2に記載の「音声/データセレクタ66」は,基本部12が周辺部
14に装着されて通話を行うときにはADPCMコーデック56側に切り替わり,基
本部12がパソコン70などの周辺部14以外の他の電子機器に装着されてデータを
転送するときにはチャンネルコーデック54側に切り替わって,ADPCMコーデッ
ク56を切り離し,パソコン70などがADPCMコーデック56を使用できないよ
うにするものである。
したがって,引用発明2の基本部12をパソコン70に装着したときには,通話用
音声信号の変換機能を有する基本部12のADPCMコーデック56(音声変換機能
を有するもの)は,音声/データセレクタ66によって回路から切り離され,パソコ
ン70が基本部12のADPCMコーデック56(音声変換機能を有するもの)を使
用して通話を行うことは不可能になる。
よって,相違点4の認定における「カートリッジ(基本部)に含まれる前記電子回『
路が有する前記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を
契約するだけで』通話を可能とするかどうか不明な点」が,周辺部及びパソコンに装。
着されたときを意味するのであれば,相違点4の認定は誤っている。パソコンに装着
されたときには,通話不可能であって,不明ではない。
引用発明2において,パソコン70について,基本部12を装着することで,通話
を可能にするという技術的思想は存在しない。
(4)引用発明2に引用発明4Bを適用しても,本件訂正発明を構成することはで
きない。
すなわち,引用発明4においては,ペン型コンピュータ313,ノートブック30
0及び携帯電話309が,モジュラーユニット31を装着しないでも,それぞれ通話
機能(音声変換機能)を有している。一方,引用発明4Bの「モジュラーユニット」
は,内部に「音声変換機能」を有するものではない。
そうすると,引用発明4Bの「モジュラーユニット」を引用発明2のパソコン70
に装着しても,パソコン70が通話可能になることはあり得ない。
一方,刊行物4のペン型コンピュータ313等を刊行物2のパソコン70に適用し
た場合ペン型コンピュータ313等は自身の内部の音声変換機能を有する回路A,,(
DPCMコーデックなど)を使用し,基本部12のADPCMコーデック56を使用
することなく通話できるもので,本件訂正発明のように「電話送受信ユニット」の音
声変換機能を使って通話可能となるものではない。
他方,仮に,刊行物2の基本部12のADPCMコーデック56を使用するとした
場合,PCMCIA58から出力される信号はデジタル信号に変換されているので,
このデジタル信号をペン型コンピュータ313等の内部の音声変換機能を有する回路
(ADPCMコーデックなど)に入力しても処理することができないものであって,
そもそも音声変換機能を直列に2つ接続すること自体不可能である。
このように,引用発明2に引用発明4Bを組み合わせたところで,引用発明2のパ
ソコン70は,引用発明2における基本部12の音声変換機能を使って通話すること
ができないのであるから,本件訂正発明を構成することはできない。
(5)審決は「前記引用発明4Bの移動体通信端末に含まれるノートブック型コン,
ピュータやペン方式コンピュータと,引用発明2のパソコンは,パーソナルコンピュ
ータとして共通する。/そして,引用発明2と引用発明4Bは『一つの無線送受,
信ユニットを,携帯電話やパソコンを含む通信端末に交代して装着可能にする』技術
であるという点で共通するとともに,引用発明2に引用発明4Bを適用して『複数の
移動体通信端末によって通話』を可能とすることに特段の阻害要因は見あたらないか
ら,前記認定を踏まえ,引用発明2に引用発明4Bを適用し,引用発明2のパソコン
を,電話送受信ユニットが装着されて通話が可能にされる移動体通信端末として構成
し,本件訂正発明のように『カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1
の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記
複数の移動体通信端末によって通話を可能にする』よう構成することは当業者が容易
になし得ることである(30頁23∼36行)と認定判断する。。」
しかしながら,引用発明4Bにつき,審決は「モジュラーユニット」と認定してい
るのであって,刊行物4のペン型コンピュータ313,ノートブック300及び携帯
電話309について認定したものではない。また,本件訂正前の請求項1に係る電話
,送受信ユニットが装着される本件訂正前の請求項2に係る移動体通信端末については
無効審判事件(無効2006−80205号事件)において,刊行物2及び4によっ
ては進歩性なしとは認められないと判断した審決(甲9)が確定しているのであるか
ら「引用発明2に引用発明4Bを適用し,引用発明2のパソコンを,電話送受信ユニ,
ットが装着されて通話が可能にされる移動体通信端末として構成」することは当業者
が容易に想到し得ないことである。これを容易であると認定をすることは,実質的に
一事不再理の理念に反する。
さらに,引用発明2は,携帯電話器の無線通信機能を有する部分を他の電子機器と
組み合わせて使用可能にすることを目的とし,そのために,基本部と周辺部とに分離
する構成を採用し,携帯電話器以外の他の電子機器がデータを無線で送受できるよう
する発明である。一方,引用発明4Bは,音声変換機能を有するパソコン等が異なる
通信規格で通信できるようにするモジュラーユニットに関する発明である。これらを
組み合わせても,引用発明2のパソコンが異なる通信規格でデータ通信を行うことが
できるようになるだけであって,基本部12の音声変換機能を使用して通話ができる
ようになるものではない。
したがって「カートリッジに含まれる前記電子回路が有する前記第1の変換機能お,
よび前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけで前記複数の移動体
通信端末によって通話を可能にする」よう構成することができるとする審決の認定判
断は誤っている。
3取消事由3(相違点1についての判断の誤り)について
(1)審決は携帯電話等に係る上記周知慣用技術を考慮すれば引用発明2の基,「,『
本部』の『電子回路』は,実質的に『表示部に表示する表示信号を生成する機能』を
有すると解釈することが自然であるから,相違点1に係る相違は実質的な相違ではな
い(27頁23∼26行)と認定判断する。。」
(2)しかしながら,刊行物2には,基本部12が表示部に表示する表示信号を生
「」,「」成する機能を有していると記載されていないことが明白であるから自然である
というのであれば,引用発明2の電子回路は,表示部に表示する表示信号を生成する
機能を有していない,と認定判断することがむしろ自然である。
しかも,刊行物2には,キースイッチ42で入力された電話番号は,そのままLC
D40に表示されることが記載され(0017「基本部12に転送され,基本部【】),
12によってLCD40に表示される」とは記載されていない。そうすると,表示部
としてのLCD40に対する表示信号を生成する機能は,移動体通信端末と認定され
た周辺部14にあることになる。
(3)また,審決がいうように,携帯電話等において「アンテナから受信した信号を
表示することが周知慣用」であるとしても,それは携帯電話という移動体通信端末に
。おいてアンテナから受信した信号を表示することが周知慣用であるということである
引用発明2について,審決は「周辺部14」を「移動体通信端末」と認定している
のであるから,上記周知慣用技術によれば「周辺部14にアンテナから受信した信号,
を表示する機能がある」と認定されることになる。
したがって,上記周知慣用技術を前提とし,刊行物2の【0008】の記載を引用
して「基本部の中の電子回路は,表示部に表示する表示信号を生成する機能を有する,
示唆があると言うべきである」と審決が判断することは,上記周知慣用技術と矛盾す
る。
4取消事由4(相違点2についての認定及び判断の誤り)
(1)相違点2についての認定の誤り
ア審決は,相違点2として「引用発明2では・・・複数の移動体通信端末(周,,『
辺部』かどうか不明である(26頁2∼5行)と認定する。)」
イしかしながら,引用発明2における「パソコン70」は,刊行物2の図5から
すれば,明らかに,いわゆるディスクトップパソコンの形態が図示されているのであ
って,パソコン70をもって「移動体通信端末」と認定することは刊行物2の記載に
反している。
したがって,引用発明2では「複数の移動体通信端末ではない」ことが明らかであ
って,審決が,相違点2として「引用発明2では・・・複数の移動体通信端末(周,,『
辺部』かどうか不明である」と認定したことは誤っている。)
(2)相違点2についての判断の誤り
ア審決は,相違点2について「引用発明2に,前記刊行物4及び刊行物3に記載,
された技術を適用し,本件訂正発明のように『カートリッジ』が『前記スピーカ及び,
前記マイクを端末本体に備えた複数の移動体通信端末の各々に設けられたスロットに
全体が収納されるような形状に形成される』よう構成することは,当業者が容易にな
し得ることである(28頁24∼28行)と判断する。」
イしかしながら,刊行物2の【0008【0009】及び【0011】の記載】,
からすれば,刊行物2の「スロット」としての「筒状の基本部保持部」は「カートリ,
ッジ」としての基本部12の一部を保持するに適した形状に形成されているのであっ
て,基本部12全体を保持するに適した形状に形成されているものではない。
また,刊行物2に記載の「カートリッジ」としての基本部12を「スロット」とし
ての「筒状の基本部保持部」に全体が収納される形状に形成すると,携帯電話器ユニ
ット全体の形状が変化することになる。
そうすると,引用発明2において,刊行物4及び3に記載された技術を適用し,わ
ざわざ基本部12全体を保持するに適した形状に形成されているものではない「スロ
ット」としての「筒状の基本部保持部」に,基本部12全体が収納されるような形状
に形成する必要性は存しない(組み合わせる動機付けがない。。)
ウまた,引用発明3について,審決は「無線送受信機能を有するユニット(1,」
6頁7行)と認定するが,刊行物3には,携帯無線電話装置全体を収納することが記
載されているだけで「ユニット」なるものを収納することが記載されているわけでは,
ない。そして,この刊行物3に記載された携帯電話無線装置に対応する刊行物2の構
成は,基本部12を周辺部14に装着した携帯電話器ユニットそのものである。
そうすると,刊行物3を引用発明2に適用すると,周辺部14を含む携帯電話器ユ
ニットを移動体通信端末ではないパソコン70に収納できるようにする構成が得られ
るだけである。
エしたがって,本件訂正発明のように,カートリッジが「前記スピーカ及び前記
マイクを端末本体に備えた複数の移動体通信端末の各々に設けられたスロットに全体
が収納されるような形状に形成される」よう構成することは,当業者が容易になし得
ることではない。
第4被告の反論の概要
以下のとおり,審決における本件訂正発明の認定,引用例記載の発明の認定及び
周知技術を考慮しての本件訂正発明の進歩性の判断について誤りはなく,本件訂正
発明は特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることがで
きないものであるから,本件訂正は,特許法126条5項の規定に適合しないもの
である。
したがって,本件訂正請求を認めることはできないとした本件審決の判断に誤り
はなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1取消事由1(引用発明4Bの認定の誤りによる相違点4の判断の誤り)に対
して
刊行物4の「モジュラーユニット」が「無線送受信ユニット」であることについ
ては原告も争いがないところ,刊行物4の「モジュラーユニット」は,そのような
「無線送受信」による通信方式の規格として,例えば「AMPS」等の「電話」による
通話のための種々の規格に対応するものであることが刊行物4に記載されており,
このユニットが装着された端末において電話による通話のための送受信を可能にす
るものであるから,これを「電話送受信ユニット」とした審決の引用発明4Bの認
定に誤りはない。
原告は,刊行物4に記載のノートブック300,携帯電話309及びペン型コン
ピュータ313は,内部に電話機能(音声変換機能)を有することを主張する。し
かし,これらの端末は「モジュラーユニット31」が装着されなければ無線送受信
ができないのであるから,電話として機能することはできず「モジュラーユニッ,
ト」を含まない端末の「内部に電話機能を有する」とはいえない。
2取消事由2(引用発明2に引用発明4Bを適用して本件訂正発明を構成でき
るとする相違点4の認定及び判断の誤り)に対して
(1)審決における引用発明2の認定は「一つの無線通信機能ユニットが,前記,
周辺部及びパソコンに共通に使用され,前記周辺部に装着されたとき,周辺部によ
って通話を可能にする一方,前記パソコンに装着されたとき,パソコンで無線通信
機能を使用可能にする(14頁22∼25行)というものであって,パソコンで」
通話可能としたというものではないから,この点における引用発明2の認定にも誤
りはない。そして,一般的な無線通信機能により通話を可能とすること自体は技術
常識であることを勘案し,パソコンで通話を可能とするかどうかを不明とした相違
点4の認定にも誤りはない。
(2)刊行物4記載の「モジュラーユニット」は,本件訂正発明と同様な「変換
機能」の少なくとも一部を有するものであるから,これをも勘案して引用発明4B
を引用発明2に適用した場合に,相違点4に関する構成をなすことは容易とした審
決の判断に誤りはない。
なお,そもそも,本件審決においては,その認定に争いのない引用発明2におい
て既に「変換機能」を有していることが認定されており,補助的な引用発明4Bに
おける「変換機能」の有無は相違点4の判断に直接影響するものではない。
また,原告は,本件特許に関する無効審判事件(無効2006−80205号事
件)に言及して実質的に一事不再理の理念に反すると主張するが,同事件の審決に
おいて有効性が認められたと原告が主張する端末側の発明(同事件における訂正後
の請求項2)は,本件訂正発明とは別の発明であって,本件訂正発明に関する審決
の判断を拘束するものではない。
3取消事由3(相違点1に関する判断の誤り)に対して
(1)審決における相違点1の判断は,携帯電話等に係る周知慣用技術を考慮し
た上で刊行物2の解釈を行い「刊行物2の『基本部』の中の『電子回路』は『表,,
』。」示部に表示する表示信号を生成する機能を有する示唆があると言うべきである
として「引用発明2の『基本部』の『電子回路』は,実質的に『表示部に表示す,
る表示信号を生成する機能』を有すると解釈することが自然である」としたもので
,,,あって相違点として挙げた上で判断を行っている以上単に刊行物2には明示的
直接的な記載がないことのみをもって「引用発明2の電子回路は,表示部に表示,
する表示信号を生成する機能を有していない」と認定判断すべきとの原告主張は,
審決を正しく解釈しないものである。
引用発明2において「キースイッチ42(操作部)からの操作信号は,電子回,」
路に送られて処理されるのであるから,刊行物2の【0017】にある「キースイ
ッチ42」で入力された電話番号の表示動作に関する記載は,単に電子回路におけ
る処理が省略された記載と見るのが妥当である。刊行物2において「電子回路」,
を有する基本部12はアンテナ24とLCD40表示部を含む周「」,「」「」()「
辺部14」との間にある(図4)から,アンテナ由来の表示信号に着目すれば,ア
ンテナから表示手段に至る経路上に存在する引用発明2の「電子回路」が「表示信
号を生成する機能を有している」との解釈は,自然なものである。
したがって,相違点1に関する審決の認定は正当であり,原告主張の取消事由3
も理由がない。
4取消事由4(相違点2についての認定及び判断の誤り)に対して
(1)「相違点2についての認定の誤り」との主張に対して
審決は,本件訂正発明と引用発明2との対比において「構成要件B,Cに関し,
て,引用発明2の『周辺部』は,本件訂正発明の『端末本体『移動体通信端末』』,
に相当する(25頁6,7行「構成要件Dに関して,引用発明2において『無」),
線通信機能ユニット』を装着された『パソコン』は『通信端末』の一種であると,
いうことができる(25頁8,9行)として一致点を認定した上で「引用発明2」,
では・・・複数の移動体通信端末(周辺部』かどうか不明である(26頁2∼,『)」
5行)と相違点2を認定したものであるから「パソコン70をもって『移動体通,
信端末』と認定」はしていない。
なお,原告は「パソコン70』は,刊行物2の図5からすれば,明らかに,い,『
わゆるディスクトップパソコンの形態が図示されている」などとも主張するが,い
わゆる「パソコン」としては種々の形態のものが出願当時に既に周知であること,
刊行物2の図5(c)には「ビデオカメラ」のような携帯機器の例示もあることを勘
案すれば,これらの原告主張も根拠がない。
(2)「相違点2についての判断の誤り」との主張に対して
ア原告は「刊行物2の『スロット』としての『筒状の基本部保持部』は『カ,,
ートリッジ』としての基本部12の一部を保持するに適した形状に形成されているの
であって,基本部12全体を保持するに適した形状に形成されているものではない」
と主張する。しかし,そうであるからこそ,審決は,相違点2とした上でその認定
判断をしたものである。
イまた,原告は「全体が収納される形状に形成すると,携帯電話器ユニット,
全体の形状が変化することになる「引用発明2において,刊行物4及び3に記。」,
載された技術を適用し,わざわざ・・・全体が収納されるような形状に形成する必
要性は存しない(組み合わせる動機付けがない」などとも主張する。しかし,審。)
決は,刊行物4及び3に記載された技術(引用発明4A,引用発明3)の存在を前
提に,そのような形状の変更は当業者であれば容易になし得ることと判断したもの
であり,その点に遺漏はなく,組合せの動機付けに関しても,引用発明2,3及び
4Aにおける無線通信ユニットとしての基本的機能,コネクタによるスロット結合
・収納構造などの共通性(刊行物2の図5,刊行物3の図3,4,刊行物4のFI
G.11,14)に照らしてみれば,十分な組合せの動機付けが存在する。
ウ原告は「刊行物3には,携帯無線電話装置全体を収納することが記載され,
ているだけで『ユニット』なるものを収納することが記載されているわけではな,
い」と主張する。しかし,刊行物3記載の「携帯無線電話装置」の機能,構造に照
らして考えれば,その「匣体」はこれを「ユニット」と呼べるものであるから,審
決の認定に誤りはない。
(3)したがって,原告主張の取消事由4は理由がない。
第5当裁判所の判断
1取消事由1(引用発明4Bの認定の誤りによる相違点4の判断の誤り)につ
いて
(1)原告は「一つの電話送受信ユニット(モジュラーユニット)が,スピー,『
カ及びマイクを備えた複数の移動体通信端末のスロットに交代して装着されること
により,装着された各々の移動体通信端末において通話を可能にする電話送受信ユ
ニットモジュラーユニットの技術との審決における引用発明4Bの認定2()』」(
2頁14∼17行)が誤りであるとし,その理由として,刊行物4では,音声変換
機能を内部に有して通話が可能な端末が当該内部の音声変換機能を使用してモ,,「
ジュラーユニット」が装着されたときに「異なる通信規格で通信できるようにな,
る」だけのことであって,刊行物4における「モジュラーユニット」は「当該端末
によって通話を可能にする」ものではないと主張する。
そこで,以下,検討する。
(2)刊行物4(甲4)には,次の記載がある。
ア「Itwouldbedesirable,however,topackageradiotransceiversand/ormodemsina
modularmannersothatatelecommunicationsterminal,suchasaportabletelephoneora
portablepersonalcomputer,couldbeadaptedforcommunicationwithdifferentsystemsby
simplyreplacingthemodularunitwithonewhichwasespeciallyconfiguredforthe
telecommunicationsnetworkwithwhichcommunicationwasdesired.(2頁32行∼3頁5」
行(訳:しかし,無線トランシーバ及び/或いはモデムをモジュラー形式で収納することが)
,,,望ましくそうすれば携帯電話或いは携帯パーソナルコンピュータのような遠隔通信端末が
通信が希望される遠隔通信ネットワークに特別に工夫されたものにモジューラユニットを単に
交換するだけで,異なったシステムと通信するように適応され得る)。
イ「ItwouldbeanadvantagetherefortoprovideastandardPCMCIAcardmountedradio
transceiverwhichisreadilyreplaceableinordertoenableelectronicequipmentto
communicatewithvariousnetworksandinaccordancewithvariousradiostandardsmerely
byinterchangingsuchacard.(3頁25∼30行(訳:それ故,簡単に交換できる標準P」)
CMCIAカードを搭載した無線トランシーバを提供することにより,そのような標準PCM
CIAカードを単に交換するだけで電子機器を色々なネットワークと,かつ,色々な無線規格
に基づいて通信できるようにすることは有益である)。
ウ「Thepresentinventionrelatestomodularradiocommunicationsequipment.More
particularly,oneaspectofthepresentinventionincludesprovidingcardmountedradio
telephoneand/ormodemequipmentconfiguredforwirelesstelecommunication(which
includesvoiceand/ordata)inaccordancewithapreselectedstandardand/orformat.
Suchmodularunitsmaybereplaceablysecuredwithinotheritemsofelectronicequipment
forestablishingtherefromatelecommunicationslinkwithawirelessnetwork.Inone
embodiment,suchequipmentincludesportablecellularradiosubscriberterminals.
Inotheraspect,theinventionincludesamodularhousingformountingaradio
transceiveradaptedfortelecommunicationsinaccordancewithapreselectedstandard.An
arrayofcontactsarearrangedalongafirstendofthehousingandadaptedfor
engagementwithamatingarrayofcontactsinanitemofelectronicequipment,suchasa
computerorportablecommunicationsdevice.(4頁1∼20行(訳:本発明は,モジュラ」)
ー無線通信装置に関する。より詳細には,本発明の1つの形態は,予め選択された規格及び/
又はフォーマットに従う無線通信〔音声及び/又はデータを含む〕のために構成されたカード
型無線電話及び/又はモデム装置を提供することである。かかるモジュラーユニットは,それ
による無線ネットワークとの通信リンクを確立するため,他種の電子装置の中に交換可能に保
護収容される。一実施例では,そのような装置は,携帯セルラ無線電話加入者端末を含む。
本発明の他の形態は,選択された規格に従った通信に適応される無線送受信機を搭載するた
めのモジュラー筐体を含む。接触子列が当該筐体の第一の端部に沿って配置され,その接続子
列がコンピュータや携帯通信装置などのひとつの電子装置中の対応接触子列に係合可能となっ
ている)。
エ「ItiswellestablishedtoallowthePC11andtelephone12tocommunicatewith
variouswirelesstelecommunicationnetworks.Eachofthetelecommunicationnetworks
may,however,includedifferenttelecommunicationstandardsand/orrequiremodemsof
differenttypesasrepresenteddiagrammaticallyinblocks13-16.Thevarious
telecommunicationstandardsmayinclude,forexample,AMPS,D-AMPS,JDC,TACS,GSM,
NMT-450,NMT-900,DECT,MobitexandfutureSpreadSpectrumstandards,aswellasmany
more.(7頁30行∼8頁5行(訳:PC11及び電話12を色々な無線遠隔通信ネットワ」)
ークと通信させることは良く確立されている。しかし,遠隔通信ネットワークのそれぞれは異
なった遠隔通信規格を含み,かつ/或いはブロック13−16で図示された異なった型のモデ
ムを必要とする色々な無線遠隔通信規格は例えばAMPS,D-AMPS,JDC,TACS,GSM,NMT-450,。,,
NMT-900,DECT,Mobitex,及びもっと多くの将来の拡張スペクトル規格を含む)。
オ「StillreferringtoFIG.3andasshownbydottedlinesextendingthereacross,the
module31housesatelecommunicationscard29includingaradiotransceiver36,whichmay
includeamodemsection37.(11頁26∼29行(訳:引き続き図3を参照すると,そこ」)
を横切って伸びる点線によって示されるように,モジュール31はモデム部37を含んでもよ
い無線トランシーバ36を含む遠隔通信カード29を収容する)。
カ「ReferringnowtoFIG.14thereisshownadiagrammaticalillustrationofthe
versatilityandmultipleusespossiblewiththemodularunits31and131ofthepresent
invention.Asstatedabove,eithermodule31or131maybeusedinsuchapplication,
althoughonlymodule31isrepresentedinthisparticulardrawing.Asrepresentedherein,
thereareatleasttwowirelessfunctionsprovidedbythemodularunits31and131.
Severaltechnologiesmay,infact,resideonasinglecardwithinthemodularunits31
and131.Forexample,aMobitexandAMPScommunicationformatsmaybeutilized.Withthe
unit31hereinshownpluggedintoanotebook300,datacommunicationoverMobitexmaybe
thereinprovided.TelephonecallsmaylikewisebecompletedthroughtheAMPSsystemor
otherformat,whereinaheadset302isshownlinkedtothenotebook300.Aninfraredlink
304isillustrated,althoughotherconnectionswouldbepossible.Likewise,module
mountingslot306isshownwithinhousing308ofnotebook300.Acommunicationantenna
310isshownonthetop312ofthenotebook300.Thenotebook300maybeofaconventional
designwhichhasbeenmodifiedfortheslot306andotherconnectionandsystemaspects
describedabove.Morespecifically,theslot306isconstructedforreceiptof,and
matingengagementwith,connector33ofthemodule31.Itmaybeseenthatthemodule31
inthisparticularembodimentisconstructedforbothpowerandantennacouplingfromthe
areaaroundconnector33,asdescribedinFIG.4above.18頁33行∼19頁27行訳」()(
:ここで図14を参照すると,本発明によるモジュラーユニット31及び131と電子装置に
より構成されるシステムの多様で複合的な用途が図示されている。前述したとおり,モジュー
ル31と131の両方がこのような応用に使用可能であるが,この図においてはモジュール3
1のみが描写されている。本明細書で説明しているように,少なくとも二つの無線機能がモジ
ュラーユニット31及び131によって提供される。事実上,いくつかの技術がモジュラーユ
ニット31及び131内の単一カード上に常駐可能である。例えば,Mobitex及びAMPS通信フ
。,,ォーマットが使用可能であるユニット31を図のようにノートブック300の中に装着し
データ通信を行う。そこでは,Mobitexが提供される。電話もAMPSシステムや他のフォーマッ
トを通して同様に通話することができ,そこではノートブック300に接続されたヘッドセッ
ト302が示されている。赤外線接続304が示されているが,その他の接続手段も可能であ
る。同様に,モジュール装着スロット306は,ノートブック300の筐体308内部に図示
されている。通信アンテナ310はノートブック300の頂部312の上に図示されている。
ノートブック300は,スロット306及びその他の接続並びに上述したシステムの形態につ
いて改良された通常のデザインでよい。より具体的には,スロット306はモジュール31の
コネクタ33を受容し,対応接合するように構成されている。この特定の実施例におけるモジ
ュール31は,前記図4で説明されたように,コネクタ33の周りの領域から電源とアンテナ
の両方の結合のために構成されることがわかる)。
キ「StillreferringtoFIG.14,asecondutilizationofthemodule31maybewithina
cellulartelephone309.Thephone309incorporatesachassis309Aofconventionaldesign,
orwhichincorporatesaspecialdisplay(notshown).Themodule31isinsertedintoslot
311andconnectedwithasoftwaregenerateddisplaythatcorrespondstotechnologyand
thestandardsthatareactivated.Inthatregardatouchscreenmaythendisplaythe
availablephonefeaturesthatcanthenbedialed.Antenna312isshowntoupstandfrom
chassis310inaccordancewiththeaspectsoftheinventiondiscussedabove.(19頁3」
2行∼20頁8行(訳:さらに図14を参照すると,モジュール31の二番目の利用態様は)
携帯電話309の内部にあることだろう。この電話309は,通常設計の,又は専用表示装置
〔図示せず〕を備えたシャーシ309Aを含む。モジュール31は,スロット311の中に挿
,。,入され有効な技術並びに規格に対応したソフトウエア生成表示につながれるその点に関し
タッチスクリーンは,次にダイアルすることのできる有効な電話機能を表示するようにしても
よい。上述の本発明の形態に従い,アンテナ312はシャーシ310から直立して示されてい
る)。
ク「StillreferringtoFIG.14thereisshownapenbasedcomputer313orsimilar
structurewhichservestoprovidepeninputwhilegeneratingadisplaysimilartoa
cellularphonewhenactivated.Duetothefactthatthesystemforacellularphoneis
alreadyinthecomputerbyvirtueofthemodule31securedwithinslot314,theusercan
usetheoptionoftelephoniccommunicationbysimplyconnectingaheadset316throughan
infraredconnection318oraheadset320connectedbyaconventionalcable322.The
computercanthenbesimultaneouslyusedfordatacommunication,faxes,andotherforms
ofinformationalexchangeswhicharedeemednecessary.(20頁9∼21行(訳:さらに)
図14を参照すると,ペン型コンピュータ313あるいは活性化されたときに携帯電話と同様
の表示を発生しつつペン入力を提供する同様の構造物が示されている。スロット314の内部
に獲得された〔securedwithin〕モジュール31の力で〔byvirtueof〕コンピュータの中に
携帯電話のシステムが既に在るという事実により,使用者は,赤外線接続318を介したヘッ
ドセット316,又は,通常のケーブル322によって接続されたヘッドセット320を,単
に接続することにより,電話通信の選択を使うことができる。このコンピュータは,同時にデ
,,。)ータ通信ファックス及び必要とされるその他の形式の情報交換に使用することができる
(3)上記(2)ア及びイによれば,刊行物4に記載された技術は,携帯電話あるい
は携帯パーソナルコンピュータのような遠隔通信端末が,遠隔通信ネットワークに
より通信を行う際に,モジュラーユニットを単に交換するだけで,いろいろなネッ
トワークと,かつ,いろいろな無線規格に基づいて,通信可能にするものである。
また,上記(2)ウによれば,そのモジュラーユニットは,あらかじめ選択された規
格及び/又はフォーマットに従う無線通信(音声及び/又はデータを含む)のため
に構成されたカード型無線電話及び/又はモデム装置である。そして,上記(2)エ
によればいろいろな無線遠隔通信規格は例えばAMPS,D-AMPS,JDC,TACS,GSM,,,,
NMT-450,NMT-900,DECT,Mobitex及びもっと多くの将来の拡張スペクトル規格を含
むとされ,引用発明4においては,遠隔通信端末が,モジュラーユニットを単に交
換するだけで上記各通信規格に対応することができるものと認められる。
ところで,弁論の全趣旨によれば,①「AMPS」とは,北米やラテンアメリカで利
,()用されているアナログ携帯電話方式であってFDMA周波数多重アナログ変調
の変調技術を利用するものであり,②「DECT」とは,欧州で標準化したデジタルコ
ードレス電話方式であって,音声符号化はADPCMを用いるとともに,GMSK
変調技術を利用するものであるところ(原告第1準備書面14頁,引用発明4に)
おいては,遠隔通信端末がモジュラーユニットを交換するだけで,AMPS(アナログ
携帯電話方式)にも,DECT(ADPCM音声符号化を用いるデジタルコードレス電
話方式)にも,対応することができるのであるから,遠隔通信端末から所定のイン
ターフェイスを介して各モジュラーユニットに伝送される音声/データの形式が共
通のものであって,各通信方式へ対応するためのデータ変換に関する信号処理は,
すべて各モジュラーユニットにおいて実行されるものと考えられる。
したがって,刊行物4における各モジュラーユニットは,AMPS規格に対するす
べての信号処理や,DECT規格に対するすべての信号処理(ADPCM音声符号化
を含む処理)を行う機能をそれぞれ備えるものであり,通話用音声信号と送受信信
号を相互に変換する変換機能を含めて,各通信システムが各モジュラーユニットに
搭載されていると解するのが,刊行物4の記載から自然の解釈である。
そして,上記(2)カによれば「少なくとも二つの無線機能がモジュラーユニット,
31及び131によって提供される。事実上,いくつかの技術がモジュラーユニッ
ト31及び131内の単一カード上に常駐可能である」と記載され,この幾つか。
の技術の例として「Mobitex及びAMPS通信フォーマット」が使用可能とされてい,
るから,この「Mobitex及びAMPS通信フォーマット」は,モジュラーユニット3
1及び131内の単一カードに搭載されているものと認められる。また,ユニット
,,31をノートブック300の中に装着しユニット31内のMobitexが提供されて
データ通信を行うことが記載されており,さらに,このデータ通信の記載に基づけ
,「」ば電話もAMPSシステムや他のフォーマットを通して同様に通話することができ
るとの記載は,ノートブック300に接続されたヘッドセット302等を利用して
電話をする場合には,同様に,ユニット31内の「AMPSシステムや他のフォーマ
ット」が提供され,このAMPSシステムや他のフォーマットにより通話をすること
が可能となることを意味しているものと解される。
また,上記(2)キには,モジュール31は,携帯電話309のスロット311の
中に挿入され,有効な技術並びに規格に対応したソフトウエア生成表示につながれ
ることが記載され,また,タッチスクリーンは,次にダイアルすることのできる有
効な電話機能を表示するようにしてもよいことが開示されているから,携帯電話3
09は,AMPS通信フォーマット等が搭載されたモジュール31を装着することに
より,実質的に,携帯電話として機能するようになるものと認められる。
さらに,上記(2)クにおいて「スロット314の内部に獲得された(secured,
within)モジュール31の力で(byvirtueof)コンピュータの中に携帯電話のシ
ステムが既に在るという事実」との記載は,モジュール31がペン型コンピュータ
313のスロット314に装着されることで,このペン型コンピュータ313に携
,,帯電話のシステムが構築されることであると解釈されるから上記(2)クの記載は
モジュール31が装着されていれば,ペン型コンピュータ313内に携帯電話のシ
ステムが既に構築されていることとなり,それ故,使用者は,赤外線接続318を
介したヘッドセット316,又は通常のケーブル322によって接続されたヘッド
セット320を,単に接続することにより,電話通信を行うことができることを開
示していると理解できる。
そして,上記(2)アに記載のように,刊行物4の技術は「携帯電話或いは携帯パ,
ーソナルコンピュータのような遠隔通信端末」を対象としたものであるから,ノー
トブック300やペン型コンピュータ313は,いずれも携帯パーソナルコンピュ
,「」,,ータのような遠隔通信端末であって移動体通信端末であると認められまた
モジュラーユニット31,131は,その中にAMPS通信フォーマット等を搭載し
ており,上記で検討したとおり,通話用音声信号と送受信信号を相互に変換する変
換機能を備え,電話の送受信を可能とするユニット,すなわち,電話送受信ユニッ
トであると認められる。
,,「()したがって刊行物4には一つの電話送受信ユニットモジュラーユニット
が,スピーカ及びマイクを備えた複数の移動体通信端末のスロットに交代して装着
されることにより,装着された各々の移動体通信端末において通話を可能にする電
話送受信ユニット(モジュラーユニット」の技術(引用発明4B)が開示されて)
いると認められる。
(4)なお,原告は,①刊行物4に記載されている「モジュラーユニット」は,
モデムと無線トランシーバを有し,様々な通信規格に対応できるようにするだけの
ものであって,ペン型コンピュータ313,ノートブック300及び携帯電話30
9に通話のための音声変換機能を提供するものではない,②刊行物4に記載の「端
末」であるノートブック300及び携帯電話309は,内部に電話機能(音声変換
機能)を有し,この音声変換機能を使用して通話を行うときに,モジュラーユニッ
トを使用して「通信」するだけであって,ノートブック300及び携帯電話309
,,。はモジュラーユニットによって通話可能とされるものではないなどと主張する
しかし,上記(2)オには,モジュール31がモデム部37や無線トランシーバ3
6を含むことが記載されており,これによって,本件訂正発明の「アンテナにより
受信される受信信号をスピーカから音声として出力する通話用音声信号に変換する
第1の変換機能」と「マイクに入力される音声が変換された通話用音声信号を前,
記アンテナから出力する送信信号に変換する第2の変換機能」の少なくとも一部に
相当する機能が実現されることが認められる。そして,刊行物4には,遠隔通信又
は通話に必要な各要素について,それぞれいずれに配置されているか明示的に記載
されておらず,刊行物4において「モデム部(modemsection」が具体的に何を意)
味しているかも明確ではないから,当該記載から,モジュラーユニットが果たす機
能を限定的に解釈することはできない。
また,上記(3)において検討のとおり,引用発明4において,モジュラーユニッ
トを交換するだけでAMPS規格にもDECT規格にも対応できることは,モジュラーユ
ニットがそれを装着することで電子機器に通話のための機能を付与していると解す
ることができ,特に,DECT規格に対する信号処理には,ADPCM音声符号化処
理が含まれると解されるから,刊行物4の「モジュラーユニット」は通話のための
音声変換機能を提供するものではないとはいえず,ノートブック300及び携帯電
話309がモジュラーユニットによって通話可能とされるものでないともいえな
い。
(5)したがって,審決の引用発明4Bの認定に誤りがあるとの原告の主張は採
用できず,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(引用発明2に引用発明4Bを適用して本件訂正発明を構成でき
るとする相違点4の認定及び判断の誤り)について
(1)まず,原告は「引用発明4は,もともと電子機器が異なる通信規格に対応で,
きるようにすることを目的とするものであり,モジュラーユニットは音声変換機能を
有していない」と主張する。
しかし,前記1のとおり,原告の上記主張は採用できない。
(2)アまた,原告は「カートリッジ(基本部)に含まれる前記電子回路が有す,『
る前記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約する
だけで』通話を可能とするかどうか不明な点」が,周辺部及びパソコンに装着された。
ときを意味するのであれば,相違点4の認定は誤っている。パソコンに装着されたと
きには通話不可能であって,不明ではない」と主張する。そこで,以下検討する。。
イ刊行物2(甲2)には,次の記載がある。
(ア)「0004】したがって,本発明の目的は,本来の携帯電話器として使用できると共【
に,携帯電話器が有する無線通信機能に着目して,無線通信機能を有する部分を他の電子機器
と組み合わせて使用可能な携帯電話器ユニットを提供することにある」。
(イ)「0016】次に,図5を参照して,本発明の携帯電話器ユニット10の使用例を説【
明する。図5(a)は,携帯電話器ユニット10を本来の携帯電話器(PHS)として使用す
る場合を示す。この場合,基本部12はバッテリパック14が取り付けられた周辺部14に取
り付けられて用いられる。
【0017】携帯電話器として用いる場合を概略すると,キースイッチ(プッシュボタン)
42を用いて無線通話を行う相手の電話番号を押す。このとき,LCD40は電話番号を表示
する。キースイッチ42で入力された電話番号データは基本部12のPCMCIAI/F58
を介して音声/データセレクタ66に転送され,チャンネルコーデック54によって送信デー
タに組み立てられ変復調モデム52によって変調され,RFモジュール50を介してアンテナ
24によって無線によって送信される。
【0018】電話回線が接続されると,以後,通常の携帯電話器と同様な動作が行われる。
即ち,通話の送信では,マイク44から入力された音声は基本部12のPCMCIAI/F5
8を介して音声/データセレクタ66に転送され,音声/データセレクタ66からADPCM
56に転送され,そこで,音声は圧縮され,チャンネルコーデック54に転送され,チャンネ
ルコーデック54によって送信データに組み立てられ変復調モデム52によって変調され,R
Fモジュール50を介してアンテナ24によって無線によって送信される。
【0019】一方,通話の受信では,アンテナ24で受信した音声信号は,RFモジュール
50で処理され,その後変復調モデム52によって復調され,チャンネルコーデック54によ
って受信データとして分解され,ADPCM56によって伸張され,音声/データセレクタ6
6に転送され,次に,基本部12のPCMCIAI/F58を介して周辺部14のスピーカ3
8に転送され,音声として出力される」。
(ウ)「0020】図5(b)は,携帯電話器ユニット10をパソコン70と共に使用する【
例を示す。例えば,パソコン70で作成したデータを他の電子機器(パソコンを含む)に無線
送信することや,他の電子機器(パソコンを含む)からのデータを無線受信することに使用で
きる。この場合,基本部12は周辺部14と分離され,パソコン70に設けられたPCMCI
A規格のコネクタに接続される。その後,携帯電話器の無線通信機能を用いて無線でデータを
送受を行う。
【0021】例えば,パソコン70からのデータの送信では,パソコンからのデータは,基
本部12のPCMCIAI/F58を介して音声/データセレクタ66に転送され,音声/デ
ータセレクタ66からチャンネルコーデック54に転送され,チャンネルコーデック54によ
って送信データに組み立てられ変復調モデム52によって変調され,RFモジュール50を介
してアンテナ24によって無線によって送信される。
【0022】一方,他の電子機器からのデータの受信では,アンテナ24で受信した音声信
号は,RFモジュール50で処理され,その後変復調モデム52によって復調され,チャンネ
,,ルコーデック54によって受信データとして分解され音声/データセレクタ66に転送され
次に,基本部12のPCMCIAI/F58を介してパソコン70に入力される」。
(エ)「0023】図5(c)は,パソコン以外に本発明の携帯電話器ユニットを適用でき【
る例を示すためのものである。このように本発明の携帯電話器ユニットを適用できるものとし
ては,テレビ,ステレオ,カラオケ,ビデオカメラ,産業機械設備,医療機器等があり,基本
的には,それらの電子機器がPCMCIAI/F(インターフェース)を有し,PCMCIA
規格のコネクタを備えていることが必要である」。
ウ上記イ(ア)によれば,引用発明2は,携帯電話器が有する「無線通信機能を
」,,有する部分を他の電子機器と組み合わせて使用可能とすることが認められまた
上記イ(イ)によれば,携帯電話器として用いられるときは,基本部12は周辺部1
4に取り付けられ,基本部12のADPCMコーデック56を利用して通話の送受
信が行われ,さらに,上記イ(ウ)によれば,携帯電話器ユニット10の基本部12
をパソコン70に設けられたPCMCIA規格のコネクタに接続して,携帯電話器
の無線通信機能を用いて無線でデータ送受信を行うことが記載されている。
,「」,したがって携帯電話器ユニットの基本部からなる無線通信機能ユニットは
「一つの無線通信機能ユニットが,前記周辺部及びパソコンに共通に使用され,前
記周辺部に装着されたとき,周辺部によって通話を可能にする一方,前記パソコン
に装着されたとき,パソコンで無線通信機能を使用可能にする無線通信機能ユニッ
ト」ということができる。
エ原告は,引用発明2の基本部12をパソコン70に装着したときには,通話
用音声信号の変換機能を有する基本部12のADPCMコーデック56は,音声/
データセレクタ66によって回路から切り離され,パソコン70が基本部12のA
DPCMコーデック56を使用して通話を行うことは不可能になるから,相違点4
の認定における「カートリッジ(基本部)に含まれる前記電子回路が有する前記『
第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用して,1つの回線を契約するだけ
で』通話を可能とするかどうか不明な点」が,周辺部及びパソコンに装着された。
ときを意味するのであれば,相違点4の認定は誤っており,パソコンに装着された
ときには通話不可能であって不明ではない,と主張する。
しかしながら,上記イ(ウ)のとおりの刊行物2の【0020】∼【0022】の
記載は,パソコン70に基本部12を接続し,携帯電話機の無線通信機能を用いて
無線でデータの送受信を行う場合を開示するものであって,パソコンのデータ送受
信の際にADPCMコーデック56を使用しないことは記載されているが,基本部
12を他の電子機器へ装着したときには,必ずADPCMコーデック56を使用し
ない回路構成となって,データの送受信のみを行うとは記載されておらず,また,
常にそのような回路構成を採用する技術的必然性も存在しないから,ADPCMコ
ーデック56を使用しない回路構成は,単に,無線でデータの送受信を行う場合に
採用される回路構成を示すものと解するのが相当である。
そして,刊行物2には,パソコン70に基本部12を接続し,携帯電話機の無線
通信機能を用いて通話を行う場合については特に言及されてはいないものの,基本
部12内にはADPCMコーデック56が存在している以上,このADPCMコー
デック56を用いる回路構成を採用して,通話を行うことが不可能であるとする理
由もないから,単に,データの送受信を行う場合にADPCMコーデック56を使
用していないことを根拠に,刊行物2に記載されている基本部12は「パソコン,
に装着されたときには通話不可能」と断定することはできず,引用発明2を「前記
パソコンに装着されたとき,パソコンによって通話を可能としない無線通信機能ユ
ニット」と認定することはできない。。
オ審決は,引用発明2につき,ADPCMコーデック56の利用の有無にかか
わらず,上記イ(ア)∼(ウ)の記載事項から「無線通信機能」の存在とパソコンでの,
使用を認定したものであって,無線通信機能ユニットについて「一つの無線通信,
機能ユニットが,前記周辺部及びパソコンに共通に使用され,前記周辺部に装着さ
,,,れたとき周辺部によって通話を可能にする一方前記パソコンに装着されたとき
パソコンで無線通信機能を使用可能にする」と認定した点に誤りはない。
また,刊行物2には,基本部12を他の電子機器へ装着したときに,その無線通
信機能を用いて通話を行うことも,行わないことも,明示的に記載されていないと
ころ,一般的な無線通信機能により通話を可能とすること自体は技術常識であるこ
とを勘案して,この点を不明とした相違点4の認定は,誤りであるということはで
きない。
カ原告は,引用発明2に引用発明4Bを適用しても本件訂正発明を構成するこ
とはできないと主張し,その理由として,①「引用発明4においては,ペン型コン
ピュータ313,ノートブック300及び携帯電話309が,モジュラーユニット
31を装着しないでも,それぞれ通話機能(音声変換機能)を有している。一方,
引用発明4Bの『モジュラーユニット』は,内部に『音声変換機能』を有するもの
ではない。そうすると,引用発明4Bの『モジュラーユニット』を引用発明2のパ
ソコン70に装着しても,パソコン70が通話可能になることはあり得ない,②。」
「刊行物4のペン型コンピュータ313等を刊行物2のパソコン70に適用した場
合,ペン型コンピュータ313等は,自身の内部の音声変換機能を有する回路(A
DPCMコーデックなど)を使用し,基本部12のADPCMコーデック56を使
用できるもので,本件訂正発明のように『電話送受信ユニット』の音声変換機能を
使って通話可能になるものではない。他方,仮に,刊行物2の基本部12のADP
CMコーデック56を使用するとした場合,PCMCIA58から出力される信号
はデジタル信号に変換されているので,このデジタル信号をペン型コンピュータ3
13等の内部の音声変換機能を有する回路(ADPCMコーデックなど)に入力し
ても処理することができないのであって,そもそも音声変換機能を直列に2つ接続
すること自体不可能である」などと主張する。。
しかしながら,前記1において検討したとおり,刊行物4には「一つの電話送,
受信ユニット(モジュラーユニット)が,スピーカ及びマイクを備えた複数の移動
体通信端末のスロットに交代して装着されることにより,装着された各々の移動体
通信端末において通話を可能にする電話送受信ユニット(モジュラーユニット」)
の技術(引用発明4B)が開示されていることが認められる。すなわち,刊行物「」
4に記載のモジュラーユニットには,それが装着されることで通話可能になるため
の機能(電話のシステム)が搭載されている。
また,刊行物4には,ペン型コンピュータ313等が,内部に音声変換機能を有
する回路(ADPCMコーデックなど)を有することは,何ら記載されていない。
したがって,原告が前提とする刊行物4記載の技術の認識には誤りがあり,この
誤った前提に基づく原告の主張は,採用することができない。
(3)そして,審決は,相違点4について,引用発明2と引用発明4Bは「一つ,
の無線送受信ユニットを,携帯電話やパソコンを含む通信端末に交代して装着可能
にする」技術であるという点で共通するとともに,引用発明2に引用発明4Bを適
用して「複数の移動体通信端末によって通話」を可能とすることに特段の阻害要因
は見当たらないと認定するとともに,通信回線の契約に関する常識等を踏まえ,引
用発明2に引用発明4Bを適用し,本件訂正発明のように「カートリッジに含まれ
る前記電子回路が有する前記第1の変換機能および前記第2の変換機能を使用し
て,1つの回線を契約するだけで前記複数の移動体通信端末によって通話を可能に
する」よう構成することは当業者が容易になし得ることであると,認定判断したも
のであって,この認定判断に誤りはない。
(4)なお,原告は,本件訂正前の請求項1に係る電話送受信ユニットが装着され
る本件訂正前の請求項2に係る移動体通信端末につき無効審判事件(無効2006
−80205号事件)において刊行物2及び4によっては進歩性なしと認められな
いと判断した審決(甲9)が確定していることを理由に「引用発明2に引用発明,
4Bを適用し,引用発明2のパソコンを,電話送受信ユニットが装着されて通話が可
能にされる移動体通信端末として構成」することが当業者に容易であると認定をする
ことは実質的に一事不再理の理念に反する,と主張する。
しかし,甲9によれば,上記事件の審決において有効性が認められたと原告が主
張する発明は移動体通信端末についてのものであり「電話送受信ユニット」に係,
る本件訂正発明とは別の発明であって,本件訂正発明に関する審決の判断を拘束す
るものではなく,原告の上記主張は理由がない。
(5)したがって,原告の主張は採用することができず,取消事由2は理由がな
い。
3取消事由3(相違点1についての判断の誤り)について
(1)原告は,審決が「携帯電話等に係る上記周知慣用技術を考慮すれば,引用発
明2の『基本部』の『電子回路』は,実質的に『表示部に表示する表示信号を生成す
る機能』を有すると解釈することが自然である(27頁23∼25行)とすることに」
対し「刊行物2には,基本部12が表示部に表示する表示信号を生成する機能を有し,
ていると『記載されていない』ことは明白であるから『自然である』というのであれ,
ば,引用発明2の電子回路は,表示部に表示する表示信号を生成する機能を有してい
ない,と認定判断することがむしろ自然である」と主張する。。
また,原告は,刊行物2(0017)には,キースイッチ42で入力された電話【】
番号は,そのままLCD40に表示されると記載されていることから,表示部として
のLCD40に対する表示信号を生成する機能は,移動体通信端末と認定された周辺
部14にあることになる,と主張する。
しかしながら,相違点1につき,審決は「発信者番号表示『着信表示』など,『』,
として,アンテナから受信した情報を表示することも周知慣用である(27頁1」
0,11行)として,アンテナから受信した情報の表示について検討しているもの
であって,キースイッチによる入力について述べるものではないから,原告の主張
は前提において審決と異なっており,採用することはできない。
(2)また,原告は「携帯電話等において『アンテナから受信した信号を表示す,
ることが周知慣用』であるとしても,それは携帯電話という移動体通信端末におい
。」てアンテナから受信した信号を表示することが周知慣用であるということである
とした上で「引用発明2について,審決は『周辺部14』を『移動体通信端末』,
と認定しているのであるから,上記周知慣用技術によれば『周辺部14にアンテ,
ナから受信した信号を表示する機能がある』と認定されることになる「基本部。」,『
の中の電子回路は,表示部に表示する表示信号を生成する機能を有する示唆がある
と言うべきである』と判断することは,上記周知慣用技術と矛盾する」と主張す。
る。
しかしながら,審決は「このような周知慣用技術において,移動体端末(携帯,
電話等)の内部回路が,操作部や移動体通信端末のアンテナから受信した情報を表
示部に表示できるよう,その表示信号を生成する機能を含むことは自明であるとこ
ろ,刊行物2の段落0008には『基本部12の内部には,画像,文章等のデータ
,』,『』,と音声を処理する処理部ととの記載があり前記内部回路である基本部は
『,』,『,』画像文章等のデータを処理する処理部を含むのであるから画像文章等
の必然的な利用形態を考えれば,処理して『表示信号を生成する』機能を有すると
いうことができ,このような『基本部』の機能は『電子回路』によって実現される
ことも技術常識であるから,刊行物2の『基本部』の中の『電子回路』は『表示,
部に表示する表示信号を生成する機能を有する示唆があると言うべきである2』。」(
7頁12∼22行)と述べ,基本部12における具体的処理に基づいて判断してお
り,しかも,刊行物2の図4及びその説明からすると,携帯電話器ユニット10の
うち,アンテナから信号を受信する機能は基本部12側にあることが認められるか
ら,周知慣用技術を刊行物2に記載の実施例に則して解釈し,刊行物2に記載の技
術を認定することに矛盾を生じるものではない。
そして,アンテナから受信した表示信号に着目すれば,アンテナから表示手段に
至る経路上に存在する引用発明2の「電子回路」が,実質的に表示部に表示する表
示信号を生成する機能を有すると解釈することが自然であって,審決の認定判断に
誤りはない。
(3)したがって,原告の主張は採用できず,取消事由は理由がない。
4取消事由4(相違点2についての認定及び判断の誤り)について
(1)「相違点2についての認定の誤り」をいう点について
ア原告は「引用発明2における『パソコン70』は,刊行物2の図5からす,
れば,明らかに,いわゆるディスクトップパソコンの形態が図示されているのであ
って,パソコン70をもって『移動体通信端末』と認定することは甲2の記載に反
している「したがって,引用発明2では『複数の移動体通信端末ではない』こ。」,
とが明らかであって,審決が,相違点2として『引用発明2では・・・複数の,,『
』』」。移動体通信端末かどうか不明であると認定したことは誤っていると主張する
イしかしながら,刊行物2(甲2)には,図5のパソコン70がディスクトッ
プパソコンであるとの説明は記載されておらず,また,図5を参照すると,パソコ
ン70のみならず,テレビ,ステレオ,ビデオカメラ等を示す図5(c)の装置も
同様に直方体形状に記載されているから,図5の(b(c)は概念図であると認),
められ,この図5(b)を根拠に「明らかに,いわゆるディスクトップパソコン,
の形態が図示されている」と認定することはできず,原告の主張は採用できない。
また,審決は,刊行物2の携帯電話機ユニット10の周辺部14を「移動体通信
端末」に相当すると認定しているものであり,相違点2の認定において,刊行物2
に記載されるパソコン70が「移動体通信端末」であることは直接的には基礎とし
ていないから,パソコン70の形態に関する原告の指摘は,審決の相違点2の認定
に影響を与えるものでもない。
(2)「相違点2についての判断の誤り」をいう点について
ア原告は,引用発明2において,刊行物4及び3に記載された技術を適用し,
わざわざ基本部12全体を保持するに適した形状に形成されているものではない
「スロット」としての「筒状の基本部保持部」に,基本部12全体が収納されるよ
うな形状に形成する必要性は存しない(組み合わせる動機付けがない,と主張す。)
る。
イそこで,引用発明2において「基本部12」と「筒状の基本部保持部」の,
形状について検討すると,刊行物2に記載されるスロットとしての「筒状の基本部
保持部」が,カートリッジとしての「基本部12」の一部を保持するに適した形状
に形成されたものであったとしても,刊行物2には,基本部と保持部の構造を刊行
物2の図1及び2に記載されたような形状とするべき技術的必然性については何ら
記載されておらず,刊行物2の図1及び2には,その一例としての形状の基本部1
。,,2と保持部とが記載されているにすぎないものと認められるまた刊行物2には
基本部と保持部の構造について,設計変更することを妨げる記載もない。
ウ一方,刊行物4の図14を参照すると,携帯電話309,ノートブック30
0及びペン型コンピュータ313という様々な形態の遠隔通信端末(移動体通信端
末)のそれぞれに,モジュラーユニットを収納することが開示されており,特に,
携帯電話309についてみると,携帯電話309にユニットとほぼ同形状のスロッ
トが形成されていることが見受けられるから,携帯電話309にユニットを装着す
るときも,ペン型コンピュータ313と同様にユニット全体が収納されるように装
着されることが示唆されているということができる。
また,刊行物3に記載されるような,無線送受信機能を有する装置を,電子機器
のスロットに装着する際,その匣体が全体的に収容される状態にすることによる外
観デザインの向上,携帯時の利便性の向上等の利点に触れた当業者であれば,刊行
物4に開示された,スロットにユニット全体が収納されるように装着される構造を
参照して,刊行物2に記載される基本部及び保持部の形状の双方を設計変更するこ
とは容易であり,この点についての技術的困難性は存在しない。
エそして,刊行物2には,保持部を基本部12全体が収納されるような形状と
することを妨げる技術的要因となる記載もないから,引用発明2における,カート
リッジとしての基本部がスロットとしての筒状の基本部保持部に部分的に収納され
るという構成に代えて,刊行物4及び3に記載の技術を適用し,本件訂正発明のよ
うに,カートリッジ(基本部)がスロット(保持部)に「全体が収納されるような
形状」とすることは,当業者が容易に想到し得ることであり,引用発明2に刊行物
4及び3に記載された技術を組み合わせるべき理由がないとの原告の主張は,採用
することができない。
オ原告は「刊行物3には携帯無線電話装置全体を収納することが記載されて,
,『』。」,いるだけでユニットなるものを収納することが記載されているわけではない
「この刊行物3に記載された携帯電話無線装置に対応する刊行物2の構成は,基本
。」「,部12を周辺部14に装着した携帯電話器ユニットそのものであるそうすると
刊行物3を引用発明2に適用すると,周辺部14を含む携帯電話器ユニットを移動
体通信端末ではないパソコン70に収納できるようにする構成が得られるだけであ
る」と主張する。
しかしながら,刊行物3に記載される携帯無線電話装置は,電話通信のための無
線送受信機能を有するものであり,かつ,カード挿入部に全体的に収容される状態
をもって装着可能とされる外形寸法をとる匣体を備えているものであるから,無線
送受信機能を有する一つのまとまった装置であり,一体のものとして取り扱うこと
が可能な構成単位であるから,当該装置を「ユニット」として認定することは,技
術常識を考慮すれば誤りということはできない。
,「」したがって刊行物3の携帯無線電話装置を無線送受信機能を有するユニット
として認定することに誤りはなく,刊行物3には「無線送受信機能を有するユニ,『
ットをパーソナルコンピュータ等の電子機器のスロットに装着する際,そのユニッ
トが全体的に収容される状態にすることにより,パーソナルコンピュータ全体を外
観的に優れたものにできるとともに,移動や向きの変更に際して取扱い易く,使い
勝手が良いものとする』技術」が開示されているとする審決の認定(16頁7∼1
1行)に誤りはない。
(3)したがって,原告の主張は採用することができず,取消事由4は理由がな
い。
5以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
よって,原告の請求は理由がないから,棄却されるべきである。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官
塚原朋一
裁判官
本多知成
裁判官
田中孝一

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