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裁判例


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主文
1第2事件原告の訴えのうち,処分行政庁が平成17年7月29日付けで
同原告に対してした同原告を合併法人とする被合併法人P1ファイナンス
株式会社の平成15年4月1日から平成16年1月4日までの事業年度に
係る法人税の更正処分(ただし,平成19年6月6日付け異議決定及び平
成20年8月29日付け更正処分により一部取り消された後のもの)のう
ち所得金額21億7757万3840円を超えない部分及び納付すべき税
額6億4925万4600円を超えない部分の取消しを求める部分を却下
する。
2原告らのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1第1事件
処分行政庁が平成17年7月29日付けで第1事件原告に対してした同原告
の平成15年4月1日から平成16年3月31日までの連結事業年度に係る法
人税の更正処分(ただし,平成19年6月6日付け異議決定により一部取り消
された後のもの)のうち連結欠損金額512億5743万0744円を超える
部分及び翌期へ繰り越す連結欠損金額977億4477万5176円を超える
部分を取り消す。
2第2事件
処分行政庁が平成17年7月29日付けで第2事件原告に対してした同原告
を合併法人とする被合併法人P1ファイナンス株式会社の平成15年4月1日
から平成16年1月4日までの事業年度に係る法人税の更正処分(ただし,平
成19年6月6日付け異議決定及び平成20年8月29日付け更正処分により
一部取り消された後のもの)のうち所得金額21億6264万0462円を超
える部分及び納付すべき税額6億4477万4700円を超える部分並びに無
申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月6日付け異議決定及び平成
20年8月29日付け変更決定処分により一部取り消された後のもの)を取り
消す。
第2事案の概要
本件は,連結親法人である第1事件原告(以下「原告ホールディングス」と
いう)が,同原告を連結親法人とする連結納税グループの連結納税の承認を。
受け,平成15年4月1日から平成16年3月31日までの連結事業年度(以
下「本件連結事業年度」という)に係る法人税の連結確定申告書(以下「本。
件連結確定申告書」という)を提出し,第2事件原告(以下「原告ファイナ。
ンス」という)が,同原告を合併法人とする被合併法人P1ファイナンス株。
式会社(以下「被合併法人ファイナンス」という)の平成15年4月1日か。
ら平成16年1月4日までの事業年度(以下「本件単体事業年度」という)。
に係る法人税の確定申告書及び修正申告書(以下「本件単体修正申告書」とい
う)を提出したところ,処分行政庁が,東京国税局の職員による調査に基づ。
き,①原告ホールディングスに対しては,被合併法人ファイナンスから譲り受
(「」。)(「」。)けたP2株式会社以下P2というの株式以下P2株式という
の譲受価額が時価に比して低額であり,当該譲受価額と時価との差額は受贈益
として益金の額に算入される等として更正処分をし,②原告ファイナンスに対
しては,被合併法人ファイナンスが原告ホールディングスに譲渡した上記P2
株式の譲渡価額が時価に比して低額であり,当該譲渡価額と時価との差額は,
譲渡価額を構成し益金の額に算入される一方,寄附金に該当して損金の額に算
入されるものの,当該寄附金の額のうち損金算入限度額を超える部分の額は損
金の額に算入されない等として更正処分及び無申告加算税賦課決定処分をした
ため,原告らが上記各処分はいずれも違法であるとして,その取消しを求めて
いる事案である。
1関係法令等の定め
()法人税法1
ア22条2項
内国法人の各事業年度の所得の金額計算上当該事業年度の益金の額に算
入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無
償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取
引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
イ37条
内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち,一
定の方法により計算した金額を超える部分の金額は,当該内国法人の各事
業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない(3項。ただし,平
成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。。)
上記寄附金の額は,寄附金,拠出金,見舞金その他いずれの名義をもっ
てするかを問わず,内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与
又は無償の供与をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産
のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時におけ
る価額によるものとし(7項,内国法人が資産の譲渡をした場合におい)
て,その譲渡の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額(時価)
に比して低いときは,当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈
,()。与をしたと認められる金額は寄附金の額に含まれるものとする8項
()連結納税基本通達(平成15年2月28日付け課法2−3,課審4−72
国税庁長官通達。ただし,平成17年12月26日付け課法2−14ほかに
よる改正前のもの。以下「連基通」という)及び法人税基本通達(昭和4。
4年5月1日付け直審(法)25国税庁長官通達。ただし,平成17年12
。「」。)月26日付け課法2−14ほかによる改正前のもの以下法基通という
ア連基通8−1−23及び法基通9−1−13は,非上場株式で気配相場
のないものにつき法人税法33条2項(ただし,平成17年法律第21号
による改正前のもの。以下同じ)の規定を適用する場合の事業年度(連。
結事業年度を含む以下同じ終了の時における当該株式の価額は()。。),1
売買実例のあるものについては,当該事業年度終了の日前6月間において
売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額,()公開途上に2
ある株式で,当該株式の上場に際して株式の公募又は売出しが行われるも
の(上記()に該当するものを除く)については,金融商品取引所(証1。
券取引所又は日本証券業協会)の内規によって行われる入札により決定さ
れる入札後の公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価
額,()売買実例のないものでその株式を発行する法人と事業の種類,規3
模,収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの(上記()2
。),,に該当するものを除くについては当該価額に比準して推定した価額
()上記()から()までに該当しないものについては,当該事業年度終了413
の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了の
時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認めら
れる価額によるものと定めている。
イ連基通8−1−24及び法基通9−1−14は,非上場株式で気配相場
のないもの(上記ア()及び()に該当するものを除く)について法人税12。
法33条2項の規定を適用する場合において,事業年度終了の時における
当該株式の価額につき,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直
資56,直審(資)17国税庁長官通達。ただし,平成18年10月27日
付け課評2−27ほかによる改正前のもの。以下「評基通」という)17。
8から189−7までの例によって算定した価額によっているときは,課
税上弊害がない限り,所定の条件を付してこれを認めるものとし,この条
件の一つとして,評基通185本文に定める1株当たりの純資産価額の計
算に当たり,評基通186−2により計算した評価差額に対する法人税額
等に相当する金額は控除しないこと(連基通8−1−24(),法基通93
−1−14())を定めている。3
()評基通3
ア評基通185は,非上場株式で気配相場のないもの(取引相場のない株
式)に係る1株当たりの純資産価額は,課税時期における各資産を同通達
に定めるところにより評価した価額の合計額(以下「課税時期における相
続税評価額による総資産価額」という)から課税時期における各負債の。
金額の合計額及び評基達186−2により計算した評価差額に対する法人
税額等に相当する金額(以下「法人税額等相当額」という)を控除した。
金額を課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とすると定め
ている。
イ評基通186―2は,法人税額等相当額は,次の①の金額から②の金額
を控除した残額に42%(清算所得に対する法人税,事業税,都道府県民
税及び市町村民税の税率の合計に相当する金額)を乗じて計算した金額と
すると定めている。
①課税時期における相続税評価額による総資産価額から課税時期におけ
る各負債の金額の合計額を控除した金額
②課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各
資産の帳簿価額の合計額(ただし,現物出資等受入れ差額を加算した価
額)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額
2前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨
により容易に認められる事実)
()原告ホールディングス及び同社による完全支配関係があるすべての内国1
法人12社(原告ファイナンス(当時の商号は「P3株式会社)を含む)」。
は,法人税法4条の2の規定に基づき,本件連結事業年度を最初の連結事業
年度とし,原告ホールディングスを納税義務者として法人税を納めることに
つき国税庁長官の承認を受けるため,同法4条の3第1項の規定に基づき,
,,,国税庁長官に対し平成14年12月24日連結納税の承認の申請を行い
国税庁長官から平成15年5月29日上記申請について承認を受けた同,,(
承認は,本件連結事業年度の開始の日である同年4月1日以後の期間につい
て,その効力を生じた(乙1,2。。)。)
()P2は,平成15年5月1日,被合併法人ファイナンス(当時の商号は2
「P4株式会社)の投資組合運営事業に関する営業(投資事業組合財産の」
運用及び管理並びにその付帯・関連業務に関する営業)を承継するために,
同被合併法人からの分割により設立され,同被合併法人は,同日,P2の発
行済株式の全部(2000株のP2株式)を取得するとともに,商号を「P
1ファイナンス株式会社」に変更した。P2は,国内外のライフサイエンス
(バイオテクノロジー)分野等を中心としたベンチャー企業に対する投資・
育成並びに投資事業組合の設立及び投資事業組合財産の管理・運用等を事業
内容とし,中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律(ただし,平
成16年法律第34号による改正前のもの。現在の法律名は「投資事業有限
責任組合契約に関する法律)に基づき契約が締結された中小企業等投資事業」
有限責任組合であるP5投資事業有限責任組合(以下「P5」という)に係る。
持分(以下「P5持分」という)等の複数の投資事業有限責任組合の組合。
持分等を保有していた(P5の総財産に対するP2の持分(P5持分)の割
合は35分の8であった。なお,P2株式は,非上場株式であり,気配相。)
場ないし独立当事者間の適当な売買実例がなく,公開の途上になく,同社と
,,。(,事業の種類規模収益の状況等において類似する法人もなかった甲7
10,乙10,11,13,弁論の全趣旨)
()P5は,平成14年12月31日時点において,がん治療薬の開発に関3
連する事業を目的とするいわゆるバイオベンチャー企業であるP6株式会社
(以下「P6」という)発行の株式(以下「P6株式」という)400株。。
等を保有し,同日現在における貸借対照表及び附属明細書において,同株式
()。の価額を1億5500万円1株当たり38万7500円と計上していた
P6は,平成15年6月13日,その発行済みの株式1株を50株とする株
,,,式分割を行いP5が保有するP6株式の株数は2万株となったがP5は
同月30日現在におけるP5の貸借対照表において,別表1の<A>①のとお
り,P6株式の価額を1億5500万円(1株当たり7750円),同表の<
A>②のとおり,P6株式以外の資産に係る資産額を12億4448万77
94円,同表の<A>③のとおり,資産合計額を13億9948万7794円
と計上し,同表の<A>④のとおり,負債額を0円と計上した上,同日現在に
おけるP5の出資口数別貸借対照表(以下,上記P5の貸借対照表と併せて
「P5貸借対照表」という)において,別表1の<A>⑥のとおり,P2の。
。(,P5持分を3億1988万2912円と計上していた乙13ないし16
87,91,弁論の全趣旨)
()P2は,上記()のとおり,P5貸借対照表においてP2のP5持分が43
3億1988万2912円と計上されていることを基礎として(別表1の<
C>⑦,平成15年9月30日現在におけるP2の貸借対照表(以下「P2)
貸借対照表」という)において,別表1の<C>⑧のとおり,P5持分以外。
,,の資産に係る資産額を23億1727万9269円同表の<C>⑨のとおり
,,資産合計額を26億3716万2181円と計上し同表の<C>⑩のとおり
。()負債額を19億6578万1867円と計上していた乙11ないし14
()P6は,P7株式会社(以下「P7」という)を上場主幹事会社とし5。
て,普通株式株券を株式会社P8(以下「P8」という)へ上場すること。
を計画し,平成15年10月31日,同社から上場の承認を得て,同年11
月18日から同月25日までの間ブック・ビルディング(上場前の公募等に
係る投資者の需要状況の調査)を行った上,同月26日,公募増資等の価格
を1株当たり100万円と決定した。P6の普通株式は,同年▲月▲日,P
8に上場されたが,上場日の翌日である同月▲日の初値は240万円であっ
た(甲27,乙19ないし22,91)。
()原告ホールディングスは,平成15年2月1日,被合併法人ファイナン6
スの発行済株式の全部を取得するとともに,上記()のとおり,P6の公募5
増資等の価格が1株当たり100万円と決定された同年11月26日の前日
である同月25日,同被合併法人から,P2発行に係るP2株式2000株
を6億7500万円(1株当たり33万7500円)で購入した(以下「本
件株式売買」という。これによって,P2は,本件連結事業年度終了の日。)
の翌日である平成16年4月1日,原告ホールディングスの連結子法人とな
ったなお原告ホールディングス及び被合併法人ファイナンスは上記()。,,4
のとおり,P2貸借対照表上の純資産価額が6億7138万0314円(別
表1の<C>⑪。P2貸借対照表上の資産額26億3716万2181円(別
表1の<C>⑨)と負債額19億6578万1867円(同表の<C>⑩)との
差額)であることを基礎として,本件株式売買に係る上記P2株式の譲受価
額(6億7500万円)を決定した(乙3,6,7,8,9,12,弁論。
の全趣旨)
()処分行政庁が原告らに対してした各処分の経緯は,別表2「原告ホール7
ディングスに対する本件連結更正処分の経緯」及び別表3「原告ファイナン
スに対する本件単体更正処分等の経緯」記載のとおりであり,具体的には次
のとおりである。
ア原告ホールディングスが,本件連結事業年度に係る法人税の連結確定申
告書(本件連結確定申告書)を提出したところ,処分行政庁は,同原告が
被合併法人ファイナンスから譲り受けたP2株式の譲受価額が時価に比し
て低額であり,当該譲受価額と時価との差額は受贈益として益金の額に算
入される等として,平成17年7月29日付けで,同原告の本件連結事業
年度に係る法人税につき連結欠損金額427億1385万7511円とす
る更正処分をした(甲1,2)。
これに対し,原告ホールディングスは,平成17年8月9日に上記更正
処分を不服として東京国税局長に対して異議申立てをしたところ,東京国
,,,税局長から平成19年6月6日付けで上記更正処分の一部を取り消し
連結欠損金額457億5250万5129円とする決定を受け(以下,同
「」。),決定による一部取消し後の上記更正処分を本件連結更正処分という
,,さらに同年7月2日に国税不服審判所長に対して審査請求をしたものの
審査請求がされた日の翌日から起算して3月を経過しても裁決がされなか
ったため,同年12月14日,第1事件の訴えを提起した(なお,同原告
は,その後の平成20年1月4日,上記審査請求を取り下げた(甲6。)。
ないし8,顕著な事実)
イ原告ファイナンスは,平成16年1月5日,被合併法人ファイナンスを
吸収合併したことにより,同被合併法人が解散し,その結果,法人税法14
条11号及び15条の2第1項3号に基づき,本件連結事業年度開始の日
(平成15年4月1日)から上記合併の日の前日(平成16年1月4日)
までの期間が同被合併法人の事業年度(本件単体事業年度)とみなされた
ことから,同被合併法人に係る権利義務を包括的に承継した者として,同
被合併法人の本件単体事業年度に係る法人税につき,法定申告期限後であ
る平成16年4月6日に所得金額1億5181万8517円,納付すべき税
額4152万8100円とする確定申告書を,同年9月16日に所得金額21
億7757万3840円,納付すべき税額6億4925万4600円とす
る修正申告書(本件修正申告書)をそれぞれ提出したところ,処分行政庁
は,平成17年7月29日付けで,上記確定申告及び修正申告に係る無申
告加算税賦課決定処分をするとともに,同日付けで,同被合併法人が原告ホー
ルディングスに譲渡したP2株式の譲渡価額が時価に比して低額であり,当
該譲渡価額と時価との差額は,譲渡価額を構成し益金の額に算入される一
方,寄附金に該当して損金の額に算入されるものの,当該寄附金の額のう
ち損金算入限度額を超える部分の額は損金の額に算入されない等として,
所得金額96億0415万9645円,納付すべき税額28億7723万04
00円とする更正処分及び無申告加算税3億3419万5500円とする
賦課決定処分をした(甲3ないし5,弁論の全趣旨)。
これに対し,原告ファイナンスは,平成17年8月9日に上記更正処分
等を不服として東京国税局長に対して異議申立てをしたところ,東京国税
,,,局長から平成19年6月6日付けで上記更正処分等の一部を取り消し
所得金額62億1568万2127円,納付すべき税額18億6068万
7300円とし,無申告加算税1億8171万4500円とする異議決定
を受け,さらに,同年7月2日に国税不服審判所長に対して審査請求をし
たものの,審査請求がされた日の翌日から起算して3月を経過しても裁決
がされなかったため,同年12月14日,第2事件の訴えを提起した(な
お,原告ファイナンスは,その後の平成20年1月4日,上記審査請求を
取り下げた。第2事件の訴えの提起後,原告ファイナンスは,処分行政。)
庁から,同年8月29日付けで,上記更正処分等の一部を取り消し,所得
金額56億7341万6725円,納付すべき税額16億9800万75
00円とする更正処分及び無申告加算税を1億5731万2500円とす
る変更決定処分を受けた(以下,上記異議決定及び同日付け更正処分によ
り一部取り消された後の平成17年7月29日付け更正処分を「本件単体
更正処分」といい,上記異議決定及び平成20年8月29日付け変更決定
処分により一部取り消された後の平成17年7月29日付け無申告加算税
賦課決定処分を「本件単体賦課決定処分」といい,本件単体更正処分と本
件単体賦課決定処分とを併せて「本件単体更正処分等」といい,本件連結
更正処分と本件単体更正処分等とを併せて「本件各処分」という(甲。)。
9の1ないし3,同10,11,乙86,顕著な事実)
3税額等の計算の基礎となる金額及び計算方法等
()被告が本件訴訟において主張する原告らの所得(欠損)金額,納付すべ1
き税額及び無申告加算税の額等は,別紙1「本件連結更正処分の根拠及び計
算」及び別紙2「本件単体更正処分等の根拠及び計算」のとおりであり,本
件の本案の争点(後記4()ウ)に関する部分を除き,税額等の計算の基礎2
となる金額及び計算方法に争いはない。
()また,上記()の前提として,被告は,本件訴訟において,P5貸借対21
照表上,P2がP5を通じて保有するP6株式の価額が時価に比して低額に
計上されていたため,これを基礎として算出されたP2の保有するP5持分
に係る資産額及び本件株式売買に係るP2株式の譲受価額は,時価に比べて
低額に定められたが,本来は,P6株式の適正な時価を基礎として本件株式
売買当時のP2の純資産価額を算定し,それを参酌して通常取引されると認
められる本件株式売買当時のP2株式の価額(時価)を算定すべきである旨
主張し,その算定方法について,(ア)P2の純資産価額を算定するに当たっ
ては,(a)P2の保有するP5持分に係る資産額(P5持分の純資産価額)
に,(b)P2のP5持分以外の資産に係る資産額を加えた額から,(c)P2
の負債額を減ずるとし,(イ)上記(ア)(a)のP5持分の純資産価額を算定す
るに当たっては,(a)P5の保有するP6株式に係る資産額に,(b)P5の
P6株式以外の資産に係る資産額を加えた額から,(c)P5の負債額を減じ
て得られた額(P5の総財産に係る純資産価額)に,(d)P2の持分割合(3
5分の8)を乗ずるとし,具体的には,上記(ア)(b)のP5持分以外の資(Ⅰ)
産に係る資産額(別表1の<D>⑧)及び同(c)の負債額(同表の<D>⑩)に
ついてはP2貸借対照表に計上・記載された額を基礎とし上記(イ)(b),,(Ⅱ)
のP6株式以外の資産に係る資産額(別表1の<B>②)及び同(c)の負債額
(同表の<B>④)については,P5貸借対照表に計上・記載された額を基礎
とするが,上記(ア)(a)のP5持分に係る資産額及び上記(イ)(a)のP6(Ⅲ)
株式に係る資産額については,P6株式に係る資産額を時価である200億
円(1株当たり100万円。別表1の<B>①)と計上し,これに基づきP5
持分に係る資産額(同表の<B>⑥及び<D>⑦)を計上した上,P2の各純資
産価額を算定すべきである旨(その結果,P5持分及びP2の各純資産価額
は,それぞれ,同表の<B>⑥及び<D>⑪のとおりになる旨)主張している。
これに対し,原告らは,(α)被告が本件株式売買当時のP2の純資産価額
を算定する過程で,上記(ア)(b)のP5持分以外の資産に係る資産額及び同
(c)の負債額につき,P2貸借対照表に計上・記載された額を基礎とするこ
と,上記(イ)(b)のP6株式以外の資産に係る資産額及び同(c)の負債額に
つき,P5貸借対照表に計上・記載された額を基礎とすることについては,
争っておらず,(β)P2株式の評価額の適否の前提としてのP2がP5を通
じて保有しているP6株式の評価額の適否後記4()ウ(ア)上記(ア)(a)(。2
及び(イ)(a)の各価額の評価の適否)及びP2株式の評価における法人税額
等相当額の控除の要否(後記4()ウ(イ))のみを争っている(なお,原告ホ2
ールディングス及び被合併法人ファイナンスは,前記前提事実(),()及34
び()のとおり,P5貸借対照表及びP2貸借対照表に基づき算定された純6
資産価額を基礎として,本件株式売買に係るP2株式の譲受価額を決定して
おり,この価額に基づき,本件連結確定申告書及び本件修正申告書の作成・
提出がされている。。)
4争点
()本案前の争点1
本件単体更正処分のうち修正申告額を超えない部分の取消しを求める訴え
の適法性
()本案の争点2
ア売買実例に関する調査等の手続上の取消事由の有無
イ理由付記の不備の有無
ウP2株式の評価額の適否
(ア)P6株式の評価額の適否
(イ)P2株式の評価における法人税額等相当額の控除の要否
5争点に関する当事者の主張の要旨
()争点()(本件単体更正処分のうち修正申告額を超えない部分の取消し11
を求める訴えの適法性)について
(被告の主張の要旨)
(。),納税者が自ら行った申告修正申告を含むの誤りを是正するためには
国税通則法(以下「通則法」という)23条の規定による更正の請求によ。
,,らなければならないところ更正処分のうち申告額を超えない部分について
更正の請求の手続を経ないで取消しを求める訴えは,訴えの利益がなく,不
適法であるというべきである。
本件では,原告ファイナンスは,処分行政庁に対し,平成16年9月16
日,本件単体事業年度の法人税につき,所得金額21億7757万3840
円及び納付すべき法人税額6億4925万4600円とする修正申告をし,
その後,更正の請求をしていないから,原告ファイナンスの請求のうち,原
告ファイナンスが申告により自ら確定させた部分の取消しを求める訴えは,
訴えの利益がなく,不適法であるというべきである。
(原告ファイナンスの主張の要旨)
争わない(平成21年2月19日付け原告準備書面()第1項。6)
()争点()ア(売買実例に関する調査等の手続上の取消事由の有無)につ22
いて
(原告らの主張の要旨)
更正・決定処分は,通則法24条等にかんがみ,税務署長の適切な調査及
びその調査に基づく適切な事実認定に基づいてされるべきであって,十分な
調査及びそれに基づく適切な事実認定に基づかない更正・決定処分は,それ
自体を取消事由として取り消されなければならない。連基通8−1−23
()及び法基通9−1−13()は,法人税法33条2項の規定を適用して22
非上場株式で気配相場のないものについて評価損を計上する場合に,当該株
式に連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()に定める売買実例11
がない場合に限り,公開途上にある株式で,当該株式の上場又は登録に際し
て株式の公募又は売出しが行われるものについて,入札後の公募等の価格等
を参酌して通常取引されると認められる価額によるべき旨定めていること
ろ,処分行政庁は,本件株式売買に係るP2株式の価額の評価の前提として
P2がP5を通じて保有するP6株式の1株当たりの価額を評価するに当た
り,P6には第三者に対し本件株式売買に先立つ平成15年7月31日に同
社発行の普通株式820株を1株当たり30万円で取得させた実例以下本(「
件第三者割当」という)があり,この事実はP6が公表している有価証券。
届出書等にも明確に記載されていたのであるから,本件第三者割当の存在を
認識し又は容易に認識し得たにもかかわらず,本件第三者割当が連基通8−
1−23()及び法基通9−1−13()に定める売買実例に該当するか否11
かの調査を怠り又は本件第三者割当に関する判断を遺漏し,連基通8−1−
23()及び通達9−1−13()を適用して,P6株式を1株当たり1022
0万円と判断した上で本件各処分をした。また,原告ホールディングスは,
平成17年7月29日に本件各処分に係る各原処分がされた後の同年12
月,麻布税務署の担当者に対して本件第三者割当について証拠書類を示して
説明をしたにもかかわらず,処分行政庁がこれらの証拠書類を検討せず各処
分を維持し続けたことは甚だしく違法である。
したがって,本件各処分は,調査懈怠・事実欠落・判断脱漏といった重大
な違法事由を有しており,結果として各処分がその実体要件を満たしている
か否かを検討するまでもなく,取り消されるべきである。
(被告の主張の要旨)
更正は調査により行うものとされている(通則法24条)が,調査が不十
分であること自体は,更正処分の取消原因とならないというべきであって,
調査の手続が刑罰法規に触れ,公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を
超えて濫用にわたるなど重大な違法を帯び,何らの調査なしに更正処分をし
たに等しいものとの評価を受ける場合に限り,当該処分の取消原因となるも
のと解されるところ,処分行政庁は,東京国税局調査官がP7及びP6に対
して本件第三者割当に関する調査を行った上で本件各処分をしているから,
原告らの主張は失当である。
()争点()イ(理由付記の不備の有無)について32
(原告らの主張の要旨)
青色申告に対する更正の際には,更正通知書に更正の理由を付記しなけれ
ばならず(法人税法130条2項,付記すべき更正の理由は,例文的・抽)
象的なものでは足りず,更正の原因となる事実,当該事実への法の適用及び
結論について,その評価判断の過程を具体的に示す必要があり,理由付記が
不備である場合には,更正処分の実体的適法性を問うまでもなく,そのこと
自体が取消原因たる瑕疵となり,更正処分は取り消されなければならない。
本件では処分行政庁は連基通8−1−23()及び通達9−1−13(),,22
を適用してP6株式を1株当たり100万円と判断するに当たって,本件各
処分に係る各原処分の各通知書(以下「本件各通知書」という)に,本件。
第三者割当が連基通8−1−23()及び通達9−1−13()の売買実例11
に該当しない旨の評価判断を行った過程を付記すべきであったにもかかわら
ず,本件各通知書には上記過程が一切記述されていないため,本件第三者割
当がいかなる評価を受けたのかを知ることができず,違法な本件各処分につ
いての防御権を害されたから,本件各処分は,理由付記の不備を理由に取消
しを免れない。
(被告の主張の要旨)
法人税法130条2項が,連結確定申告に係る連結所得金額の計算につい
て,青色申告に係る所得金額の計算と同様,更正通知書にその更正の理由を
付記することを義務付けた趣旨は,連結法人の帳簿書類には高い信頼性が与
えられていることから,そのような法定の帳簿組織による正当な記載に基づ
くものである以上,その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを
納税者に保障した趣旨にかんがみ,更正処分庁の判断の慎重,合理性を担保
してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立
ての便宜を与えることにあるというべきである。そして,本件は,帳簿書類
の記載自体を否認するのではなく,P2株式についての原告らの評価を否認
するものであり,このような場合,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての
便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に更正の根拠を具体的に
明示するものである限り,同項の要求する更正理由の付記として欠けるとこ
ろはないと解されるところ,本件各通知書には,処分行政庁がP6株式の1
株当たりの価額を100万円と認定した根拠が具体的に記載されており,本
件株式売買において取引した価額が時価に比して低いと認められる理由及び
P2株式の取得時又は譲渡時の価額(時価)の計算過程についても記載され
ているから,何ら不備があるとはいえない。
()争点()ウ(P2株式の評価額の適否)について42
アP6株式の評価額の適否
(被告の主張の要旨)
(ア)連結法人が無償又は低い価額で有価証券を譲り受けた場合の対価の
額の算定は,連基通2−3−4,8−1−18,8−1−23及び8−
1−24によることとなり,当該連結法人に無償又は低い価額で有価証
,,,券を譲渡した場合の対価の額の算定は法基通2−3−49−1−8
9−1−13及び9−1−14によることとなる。
(イ)P2株式は,連基通8−1−23()ないし()及び法基通9−113
−13()ないし()のいずれにも該当しないことから,その価額は,13
連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()により,1株当た44
りの時価純資産価額を参酌して通常取引されると認められる価額によっ
て算定すべきこととなる。
(ウ)そして,P2はP5を通じてP6株式を保有していたところ,P6
株式は,本件株式売買当時,P8への上場が承認され,株式の公募又は
売出しが行われており,公開途上にある株式に該当するから,その価額
は,連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()により,証券22
取引所の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の
価格等を参酌して通常取引されると認められる価額により算定される。
P6は,①P8上場に当たり,株式の公開価格をブック・ビルディング
方式で決定することとし,その仮条件価格を1株当たり75万円ないし
100万円と決定した(以下「本件仮条件価格」という)ことから,。
P6株式の通常取引されると認められる価額の算定に当たっては,本件
仮条件価格を参酌することが相当であるが,②P6株式に係るブック・
ビルディングで申告された需要の相当数が仮条件の上限価格(100万
円)に集中していた状況,③P8開設後,本件株式売買が行われた平成
15年11月25日の前日までの間に,P8に上場された銘柄で仮条件
価格及び公開価格が判明したもののうち,公開価格がブック・ビルディ
ングの仮条件価格の上限で決定されたものは,その約8割に及ぶこと,
④本件株式売買が行われた日の翌日にはP6株式の公募増資等の価格は
1株100万円と公表されていること,⑤P6は,本件株式売買が行わ
れたのと同日における新株予約権の行使に関して所轄税務署に提出した
調書(乙90の別添2)に,同日時点のP6株式の1株当たりの価額を
100万円と記載して提出しており,P6自らが本件株式売買が行われ
た当時のP6株式の価額を1株当たり100万円と評価していること,
⑥P6株式の上場日である平成15年▲月▲日の翌日に成立した上場後
の初値は240万円であること等からすれば,本件仮条件価格を参酌し
て通常取引されると認められる価額も,その上限の1株当たり100万
円と評価すべきである。
そして,P6株式の価額が1株当たり100万円であることを前提と
した上,P5のP6株式以外の資産に係る資産額及び負債額につきP5
貸借対照表を基礎として,P2のP5持分の純資産価額を算定すると,
48億5588万2919円(別表1の<B>⑥)となり,この資産額を
前提とした上,P2のP5持分以外の資産に係る資産額及び負債額につ
きP2貸借対照表を基礎として,P2の純資産価額を算定すると,52
億0738万0321円となり(別表1の<D>⑪,これは本件株式売)
買当時のP2株式の時価に相当するところ,原告ホールディングスが本
件株式売買により被合併法人ファイナンスから譲り受けたP2株式の譲
受価額(6億7500万円)は上記時価に比して低額というべきである
から,(a)原告ホールディングスの本件連結事業年度に係る法人税につ
いては,当該譲受価額と時価との差額(45億3238万0321円)
は受贈益として益金の額に算入され,(b)被合併法人ファイナンスの本
件単体事業年度に係る法人税については,当該譲渡価額と時価との差額
(45億3238万0321円)は,譲渡価額を構成し益金の額に算入
される一方,寄附金に該当して損金の額に算入されるものの,当該寄附
金の額のうち損金算入限度額を超える部分の額は損金の額に算入されな
いこととなる。
(エ)原告らは,1株30万円で売却した売買実例(本件第三者割当)に
基づきP6株式の価額を決めるべきであると主張するが,これは,第三
者割当であって,取引の法的性質上「売買(民法555条)といえな,」
い上,本件増資における割当ては,P6の特別利害関係者等や取引先に
対してされた第三者割当であるところ,第三者割当は,株主割当や公募
(時価発行)の方法によることのできない特段の事情がある場合に行わ
れるのが通例であり,第三者割当による場合の株式の発行価格は,割当
て時点における当該株式の経済的価値を反映するものとはいい難く売,「
買実例」とはいえないことは明らかである。
(原告らの主張の要旨)
(ア)P6株式については,本件株式売買の約5か月前である平成15年
7月31日に,P6からP7等3社に対し,1株当たり30万円で合計
820株(売買代金の総額2億4600万円)が売却されており(本件
第三者割当,これは連基通8−1−23()及び法基通9−1−13)1
()の売買実例に該当するから,本件株式売買当時のP6株式の価額は1
30万円と評価すべきである。売買は,売主が財産権を移転し,買主が
代金の支払をすることを要素とする契約であるところ,本件第三者割当
も売買に該当することは明らかである。
また,この価額が合理的であることは,①P6の取締役会で,開発研
究投資のために必要な資金を調達するため,1株30万円での第三者割
当による新株発行が決議されていること,②平成15年9月ないし10月
ころ証券取引所への上場を行ったP6と類似会社といえる他社の公募価
格も27万円ないし35万円であったこと,③P6としては,証券取引
所への上場時の価格をできるだけ高くするために,上場に先立つ本件第
三者割当の価格についてもできるだけ高く設定することを望む一方,買
入れ側にとっても受入れ可能な価格とするため,双方の対立する利害を
調整した結果,本件第三者割当の価格が30万円と設定されたこと,④
P5を通じてP6の大株主であったP2は,本件第三者割当当時,新株
引受権の割当てを受けていないし,1株当たり30万円で第三者割当を
行うことにも反対しなかったことからすると,P2は,当時,この価額を
割安とは考えていなかったとうかがわれること,⑤P6は,平成15年
7月31日には,その従業員に対し,1株当たり30万円で新株引受権
を付与しているが,P6の取締役等は同様の新株引受権の付与を受けて
いないことからも,取締役等が,当時,この価額を割安と考えていなか
ったことがうかがわれること,⑥本件第三者割当に当たって,有利価格
発行をするための株主総会の決議はされておらず,P6の他の株主から
新株発行の差止め請求もされていないこと等から裏付けられる。
したがって,連基通8−1−23(),()及び及び法基通9−1−12
13(),()の定めにより,P6株式の当時の評価額は,売買実例の12
株価である1株30万円というべきである。
(イ)P8における公開価格が判明した58件のうち,公開価格がブック
・ビルディングの仮条件価格の上限で決定されたものは,その約8割で
あったということは,残る約2割がブック・ビルディングの上限ではな
かったということであり,本件株式の合理的経済人である売主と合理的
経済人である買主がブック・ビルディングの上限(100万円)で本件
株式を売買したことが証明されたとは必ずしもいえない。
したがって,連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()が22
適用されるとしても,裁判で求められる証拠による事実認定の要請から
は,P6株式の当時の評価額は,保守的にみて,本件仮条件価格の下限(7
5万円)であると評価すべきである。
イP2株式の評価における法人税額等相当額の控除の要否
(原告らの主張の要旨)
(ア)連基通8−1−24()及び法基通9−1−14()は,非上場株33
式で気配相場のないものにつき評基通178から189−7までの例に
より価額の算定をするに当たって,評基通185本文に定める1株当た
りの純資産価額の計算に当たり,評基通186−2により計算した評価
,,差額に対する法人税額等相当額を控除しないものとしているがこれは
評価の対象となる会社が資産を処分して清算することなく事業を継続的
に営むため,評価差額について法人税の課税が発生しないことを根拠と
して,評価の対象となる会社の株価の算出に当たって評価差額に対する
法人税額等相当額を控除しないと定めているものと解される。
これに対し,P2は,本件株式売買の時点において,平成16年4月
1日に原告ホールディングスを親連結法人とする連結子法人となること
が確実であり,その前日である同年3月31日時点で,時価評価資産の
評価差額に対する法人税の納税義務が発生することが確定的であって,
事業の継続性を前提としておらず,現にP2は当該納税義務を履行して
もいるので,上記のとおりの法人税額等相当額を控除しない根拠の前提
が本件では欠けているというべきであるから,P2株式の価額を評価す
るに当たっては,その資産の評価差額に対する法人税額等相当額を控除
すべきである。
(イ)また,株式売買の約4か月後に当該株式の発行会社が買主の連結納
税グループに参加することにより,買主に当該株式の評価差額に対する
法人税等が発生することが確実であるという状況においては,合理的な
経済人である限り,売主も買主も当該評価差額に対する法人税額等相当
額を控除した額を当該株式の価額とすると考えられるから,1株当たり
の純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額(連基通8
−1−23()及び法基通9−1−13())は,法人税額等相当額を44
控除して算定した1株当たりの純資産価額であると解するのが通常の取
引における当事者の合理的意思に合致する。
(被告の主張の要旨)
(ア)原告らは,P2株式の譲受価額について,連基通8−1−23及び
法基通9−1−13に基づいて評価する方法を自ら選択しているのであ
って,そもそも連基通8−1−24及び法基通9−1−14の評価方法
によっていないのであるから,P2株式の評価に当たり,連基通8−1
−24()及び法基通9−1−14()が適用されるか否かの問題は生33
じない。この点を措くとしても,評基通185が,評基通評価差額に対
する法人税額等相当額を控除することとしているのは,相続財産が株式
である場合には,株式の所有を通じて会社の資産を所有することとなる
のに対し,個人事業主はその事業用資産を直接所有することから,この
ように事業用財産の所有形態が異なることを経済的に同一の条件の下に
置き換えた上で評価の均衡を図る必要があることによるものであって,
原告らが主張するように,評価の対象となる会社が事業を継続するか否
か,連結加入評価損益(法人税法61条の12第1項(ただし,平成1
8年法律第10号による改正前のもの。以下同じ)に規定する他の内。
国法人(法人税法4条の3第10項又は第11項のみなし承認によって
連結子法人として連結納税グループに加入する内国法人)が連結加入直
前事業年度終了の時に有する時価評価資産の評価益又は評価損をいう。
。),以下同じに対する法人税額等の納税義務が発生するか否かによって
連基通8−1−24()及び法基通9−1−14()が適用されるか否33
かが決まるわけではない。そして,評基通186−1に係る評価差額に
対する法人税額等相当額と法人税法61条の12第1項に係る連結加入
評価損益に対する法人税額等は,制度の趣旨,評価すべき時点,評価す
べき資産,計算過程及び税率等を異にするものであるから,P2が連結加
入評価損益に対する法人税額等を納税する義務があるか否かにかかわら
ず,連結加入評価損益に対する法人税額等と全く異なる評基通評価差額
に対する法人税額等相当額を控除すべきという原告らの主張は失当であ
る。
(イ)そして,本件株式売買時において,P2に連結加入評価損益に対す
る法人税額等の納税義務が発生することが確定的であるとはいえない
上,一般的に,株式売買時においては,連結加入評価損益に対する法人
税額等が生ずるか否か判断することができず,また,当該法人税額等を
合理的に計算することも不可能であるから,本件株式売買時において,
取引当事者間で当該法人税額等として控除すべき金額につき客観的に合
理性を有する金額で合意が形成されていたとは考えられないので,P2株式の
客観的交換価値の算定に当たって,連結加入評価損益に対する法人税額
等を控除することが合理的であるとは認められない。
(ウ)したがって,前記ア(被告の主張の要旨)のとおり,P2がP5を
通じて保有するP6株式の時価は,1株当たり100万円と評価するの
が相当であるから,P5保有のP6株式(2万株)の時価合計は200
億円となり,これを前提にP2株式1株当たりの時価純資産価額等を算
定し,それを参酌して通常取引されると認められる本件株式売買におけ
るP2株式の時価は,P2株式の時価純資産価額52億0738万03
21円となる。
第3当裁判所の判断
1争点()(本件単体更正処分のうち修正申告額を超えない部分の取消しを求1
める訴えの適法性)について
()税法上申告納税制度を採る法人税の納税義務者において自らの申告修1,(
正申告を含む)に係る税額が過大であるとしてこれを是正するためには,。
法定の期間内に法定の手続である更正の請求(通則法23条)をすることが
必要とされており,本来,納税義務者による自らの申告に係る税額の是正は
専ら更正の請求によって図られるべきであって(更正の請求の排他性,更)
正の請求という税法の定めた特別の手続を経ることなしに申告に係る税額を
超えない部分についてまで更正処分の取消しを訴求することは,申告内容の
錯誤が客観的に明白かつ重大であって税法の定めた方法以外にその是正を許
さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がな
い限り,許されないものと解される(最高裁昭和38年(オ)第499号同
39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照。し)
たがって,更正処分のうち申告額を超えない部分の取消しを求める訴えは,
,,適法な更正の請求の手続を経ていない場合には上記特段の事情がない限り
不適法であるというべきである。
()本件では,原告ファイナンスは,処分行政庁に対し,平成16年9月12
6日,本件単体事業年度の法人税につき,所得金額21億7757万384
0円及び納付すべき法人税額6億4925万4600円とする修正申告を
し,その後,法定の期間内に更正の請求をしておらず,本訴においても,争
点()については争わないとし,上記特段の事情についての主張・立証をし1
ていないので,原告ファイナンスの訴えのうち,本件単体更正処分のうち所
得金額21億7757万3840円を超えない部分及び納付すべき税額6億4
,,925万4600円を超えない部分の取消しを求める部分は不適法であり
却下を免れない。
2争点()ア(売買実例に関する調査等の手続上の取消事由の有無)について2
()税務署長が更正処分をするに当たっては,調査がされることをその手続1
上の要件としているが(通則法24条,税務調査の手続は,租税の公平及)
び確実な賦課徴収のために課税庁が課税要件の内容を構成する具体的事実の
存否を調査する手段として認められた手続であって,その調査により課税標
準の存在が認められる限り課税庁としては課税処分をしなければならないの
であり,また,更正処分の取消訴訟においては客観的な課税標準の有無が争
われ,これについて実体的な審査がされるのであるから,調査の手続の瑕疵
は,原則として更正処分の適法性に影響を及ぼすものではなく,例外的に,
調査の手続が刑罰法規に触れ,公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を
超えて濫用にわたるなど重大な違法を帯び,何らの調査なしに更正処分をし
たに等しいものとの評価を受ける場合に限り,その処分の取消事由となるも
のと解するのが相当である。
()そして,証拠(乙91)によれば,本件の税務調査に従事した東京国税2
局調査第四部調査第53部門国税調査官(当時)P9は,平成16年11月こ
ろ,P7の公開引受部の担当者からP6株式のP8への上場の日程,公募増
資等の価格の決定方法等について聴取を行った際,P6が第三者割当を行っ
た事実を把握したことから,同年12月15日,P6に対する反面調査を行
い,同社管理部長から,P6が平成15年7月31日に1株当たり30万円
の発行価額で行った本件第三者割当につき説明を受け,本件第三者割当が連
基通8−1−23()及び法基通9−1−13()の「売買実例」に該当す11
るか否かの検討も行ったものの「増資」は「売買実例」には該当しないと,
解されることから,上記各通達の定めの適用はないとの結論に至り,その結
果,本件各更正処分が行われたことが認められる。
()上記()によれば,本件においては,本件第三者割当に関する調査が欠32
落していたとはいえず,本件の全証拠によっても,他に調査の手続が刑罰法
規に触れ,公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を超えて濫用にわたる
など重大な違法を帯び,何らの調査なしに更正処分をしたに等しいものとの
評価を受けるような事情の存在を認めるに足りないし,また,売買実例に関
する事実認定の欠落又は判断の脱漏があったともいえないから(なお,本件
第三者割当の売買実例該当性に係る処分行政庁の実体的な判断の適否につい
ては,後記4()イ(ア)参照,本件各処分は調査懈怠・事実欠落・判断脱2)
漏といった手続上の瑕疵を理由に取り消されるべきであるとの原告らの主張
は理由がない。
3争点()イ(理由付記の不備の有無)について2
()本件のように青色申告に係る法人税について更正処分をする場合には,1
更正通知書に更正の理由を付記すべきものとされている(法人税法130条
2項)ところ,帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合においては,
単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく,そのような更正をし
た根拠を帳簿の記載以上に信憑力のある資料を摘示することによって具体的
に明示することを要するが,帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正
をする場合においては,その更正は納税者による帳簿の記載を覆すものでは
ないから,更正通知書に付記された更正の理由が,そのような更正をした根
拠について帳簿の記載以上に信憑力のある資料を摘示するというものでない
としても,処分庁の恣意の抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の
趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り,法の要求する
理由の付記として欠けるものではないと解するのが相当である(最高裁昭和5
6年(行ツ)第36号同60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号
850頁参照。)
()そして,本件連結更正処分及び本件単体更正処分は,いずれも,帳簿書2
類の記載自体を否認しているものではなく,帳簿書類の記載の前提となる事
項であるP2株式の価額の評価についての判断を原告らの申告と異にするこ
とを理由として行われたものである。
そこで検討するに,本件連結更正処分及び本件単体更正処分に係る各更正
通知書(甲2,5)には,本件株式売買につき,取引した価額が取得時又は譲
渡時の価額(時価)に比して低いものと認められる理由として「P5が保有,
しているP6株式会社(以下「P6」といいます。)の株式を調査した結果,①
平成15年10月31日P10よりP8への上場承認を受けたこと,②平成
15年11月14日に,ブック・ビルディングの仮条件の価格が750,0
00円から1,000,000円として公表されたこと,③平成15年11
月17日「株式の募集及び売出しのお知らせ」の法定広告がされたこと,④
平成15年11月25日ブック・ビルディングが終了し,平成15年11月
26日に公募等の価格が1株あたり1,000,000円に決定し公表され
たこと,からP6株式は公募等が行われる公開途上にあり,平成15年11
月25日における当該株式の1株当たりの価額は1,000,000円が相
当であると認められること」との記載に加え,P2株式の取得時又は譲渡。
時の価額(時価)の計算過程が具体的に記載されているので,上記各更正通
知書には,本件株式売買において取引した価額が時価に比して低いと認めら
れる理由の具体的な説明及びP2株式の取得時又は譲渡時の価額(時価)の
具体的な計算過程が記載されているといえるから,上記()の理由付記制度1
の趣旨目的を充足する程度に更正の理由が具体的に明示されており,法の要
求する理由の付記として欠けるものではないというべきである。
以上によれば,本件各処分は理由付記の不備を理由に取り消されるべきで
あるとの原告らの主張は理由がない。
4争点()ウ(P2株式の評価額の適否)について2
()ア連基通8−1−23及び法基通9―1―13は,法人税法33条2項1
の規定を適用して非上場株式で気配相場のないものについて評価損を計上
する場合に,当該株式につき売買実例の有無,その公開の途上にあるか否
か,その発行法人と事業の種類,規模,収益の状況等が類似する法人の有
無に応じて価額を決める(連基通8−1−23()ないし(),法基通913
―1―13()ないし())とともに,当該株式に売買実例がなく,その13
公開の途上になく,その発行法人と事業の種類,規模,収益の状況等が類
似する法人がないときは,事業年度終了の時における当該株式の価額は,
当該事業年度終了の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人
の事業年度終了の時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取
引されると認められる価額による旨を定めている(連基通8−1−23
(),法基通9―1―13()。もっとも,連基通8−1−23()及び444)
法基通9―1―13()のような一般的,抽象的な評価方法の定めのみに4
基づいて株式の価額を算定することは困難であり,他方,評基通の定める
非上場株式の評価方法は,相続又は贈与における財産評価手法として一般
的に合理性を有し,課税実務上も定着しているものであるから,これと著
しく異なる評価方法を法人税の課税において導入すると,混乱を招くこと
となる。このような観点から,連基通8−1−24及び法基通9―1―1
4は,評基通の定める非上場株式の評価方法を,原則として法人税課税に
おいても是認することを明らかにするとともに,この評価方法を無条件で
法人税課税において採用することには弊害があることから,評基通185
が定める1株当たりの純資産価額の計算に当たり,評基通186−2によ
り計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しないもの
とするなどの条件を付して採用することとしている。
イそして,(ア)(a)そもそも,相続税及び贈与税の課税価格計算の基礎と
なる財産の評価に関する基本的な取扱いを定めた評基通の185が,1株
当たりの純資産価額の算定に当たり法人税額等相当額を控除するものとし
ているのは,非上場株式で気配相場のないもの(取引相場のない株式)に
関して1株当たりの純資産価額を算定するに当たって,課税時期における
相続税評価額による総資産価額から課税時期における各負債の金額の合計
額を控除した金額を基礎に相続税及び贈与税の課税価格を計算したので
は,個人が財産を直接所有し,支配している場合と,個人が当該財産を評
価の対象となる会社を通じて間接的に所有し,支配している場合との評価
の均衡を図ることができず,人の死亡及び贈与によって財産が移転する機
会にその財産に対して課される相続税及び贈与税の課税価格の計算の妥当
性を欠く結果となることから,この均衡を図るべく,評価差額(課税時期
における相続税評価額による総資産価額からこの総資産価額の計算の基と
した各資産の帳簿価額の合計額を控除した額)に対する法人税額等相当額
を控除するものとしたと解されるところ,(b)連基通8−1−24及び評
基通9−1−14の定める法人(連結法人を含む。以下同じ。)につき法人
税法33条2項の規定を適用して非上場株式で気配相場のないものについ
て評価損を計上すべく事業年度終了の時における当該株式の価額の評価を
行う場面においては,法人税の課税対象となる法人が評価の対象となる会
社の所有する財産を直接所有し,支配している場合を想定してこれとの均
衡を図る必要があるとは考えられず,上記(a)の法人税額等相当額を控除
する趣旨が妥当しないことに加えて,(イ)上記のとおり,連基通8−1−
23()及び法基通9−1−13()が一般的,抽象的な評価方法を定め44
ているにとどまるため,連基通8−1−24及び法基通9−1−14は,
これを具体化する等の観点から,一定の条件を付した上で評基通185を
採用していると解されることからすると,その採用に当たっても,連基通
8−1−23()及び法基通9−1−13()の定める内容と性質上相容44
れない事項については除外するのが合理的であると考えられるところ,上
記各通達の当該各()の定めにおいては「1株当たりの純資産価額等を4,
参酌して通常取引されると認められる価額」をもって,評価損の計上に当
たっての価額とする旨定められており,株式を有償の契約で取引する場合
には,相続及び贈与の場合とは異なり,通常,株式を発行している会社の
更なる事業拡大,利益・配当の増加及びこれらに伴う将来転売する際の株
価の上昇等に対する予測等を前提として価額交渉が行われた上で売買価額
が決められ,取引時点における純資産価額に将来の株価上昇への予測等を
織り込んだ数額を上乗せする事例も少なくないと考えられる一方,純資産
価額から取引時点における当該会社に課される法人税額等相当額を控除す
るのが必ずしも一般的であるとは考えられないことにかんがみ,上記「1
株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」を
算定する際に,一律に法人税額等相当額を控除することは,上記各通達の
当該各()の定める内容と性質上相容れないものといわざるを得ないこと4
に照らすと,連基通8−1−24()及び法基通9−1−14()が,上33
記のとおり,事業年度終了の時における当該株式の価額の評価に関して,
評基通185の定める1株当たりの純資産価額の計算に当たり,評基通1
86−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控
(,除しないとの条件を付したことには合理性があるものと考えられるなお
法基通については,平成12年課法2−7による平成12年6月28日付
け改正により9−1−14()が設けられて法人税課税における1株当た3
りの純資産価額の評価に当たり法人税額等相当額を控除しないことが明文
で定められ,また,連基通については,平成15年2月28日の制定当初
から同旨の明文の定めが設けられていたところであって,同年11月25
日の本件株式売買の時点では,一般の納税義務者にとって,連基通及び法
基通において,評基通185の定める株式の1株当たりの純資産価額の算
定方法のうち法人税額等相当額を控除する部分が,法人税課税における株
式の評価に当てはまらないことは既に明らかになっていたというべきであ
り,この点からも,同日の本件株式売買の時点において,連基通8−1−
24()及び法基通9−1−14()の合理性が裏付けられるということ33
ができる。。)
ウしたがって,評基通185が定める1株当たりの純資産価額の算定方式
を法人税課税においてそのまま採用すると,相続税や贈与税との性質の違
いにより課税上の弊害が生ずる場合には,これを解消するために修正を加
えるべきであるところ,このような修正をした上で同通達所定の1株当た
りの純資産価額の算定方式にのっとって算定された価額は,一般に通常の
取引における当事者の合理的意思に合致するものとして,連基通8−1−
23()及び法基通9―1―13()にいう「1株当たりの純資産価額等44
」,を参酌して通常取引されると認められる価額に当たるというべきであり
そして,このように解される連基通8−1−23()及び8−1−24並4
びに法基通9−1−13()及び9−1−14の定めは,法人の収益,寄4
附金等の額を算定する前提として株式の価額を評価する場合においても合
理性を有するものとして妥当するというべきである(上記につき,最高裁
平成16年(行ヒ)第128号同18年1月24日第三小法廷判決・裁判
集民事219号285頁参照。なお,同判決の事案は,上記平成12年の
法基通の改正前及び上記平成15年の連基通の制定前の事案であったた
め,法人税額等相当額の控除の有無に関しては,上記イと当該事例の結論
を異にしている。。)
エ(ア)P2株式は,非上場株式であり,気配相場や独立当事者間の適当な
売買実例がなく,その公開の途上になく,同社と事業の種類,規模,収
(),益の状況等において類似する法人はなかった前記前提事実()から2
連基通8−1−23()及び8−1−24並びに法基通9−1−134
()及び9−1−14に基づき,本件株式売買の日におけるP2株式の4
「1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価
」(),,額時価を評価した上P2株式に係る本件株式売買に関する収益
寄附金等の額を算定することには合理性があるというべきである。
(イ)そして,評基通185に基づき(ただし,上記イ及びウのとおり,
評基通186−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当す
る金額は控除しない,P2に関して各資産の価額から各負債の金額の。)
合計額を減じて本件株式売買当時の純資産価額を算定するに当たって
は,(a)前記第2の3()のとおり,本件株式売買当時のP2の純資産2
価額を算定する過程で,P5貸借対照表及びP2貸借対照表に計上・記
載された額を基礎とすることに当事者間で争いがない各資産(P2のP
5持分以外の資産及びP5のP6株式以外の資産)及び各負債(P2及
びP5の各負債)については,上記額を基礎とすることには合理性があ
り,(b)当事者間で争いのあるP5持分に係る資産額及び同額算定の前
提として算定されるべきP2がP5を通じて保有するP6株式に係る資
産額については,まず,P6株式は,前記前提事実()のとおり,本(Ⅰ)5
件株式売買が行われた平成15年11月25日当時,同年10月31日
にP8への上場の承認を受けて同年▲月▲日にP8へ上場すべく公募が
行われていることから,公開途上にある株式で,当該株式の上場に際し
て株式の公募が行われるもの(連基通8−1−23()及び法基通9−2
1−13())に該当するところ,連基通8−1−24及び法基通9−2
1−14は,連基通8−1−23()及び()並びに法基通9−1−112
3()及び()に該当する非上場株式については,評基通の定める評価12
方法を法人税課税において是認する対象から除外していることにかんが
みると,連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()又は連基11
通8−1−23()及び法基通9−1−13()に基づきP6株式を評22
価することには合理性があり(なお,本件では,前記第2の5()のと4
おり,上記各通達の当該各()又は()の定めに基づきP6株式の価額12
(Ⅱ)(Ⅰ)を算定することについては,当事者間で争いがない,次に,上記。)
のとおり評価したP6株式の価額(P5の保有するP6株式に係る資産
額)にP5のP6株式以外の資産に係る資産額(P5貸借対照表に計上
・記載された額)を加えた額からP5の負債額(P5貸借対照表に計上
)()・記載された額を減じて得られた額P5の総財産に係る純資産価額
にP2の持分割合(35分の8)を乗じてP5持分の純資産価額を算定
することには合理性があり,(c)P2の本件株式売買当時の純資産価額
については,上記(b)のとおり算定されたP2のP5持分に係る資産(Ⅱ)
額(P5持分の純資産価額)にP2のP5持分以外の資産に係る資産額
(P2貸借対照表に計上・記載された額)を加えた額からP2の負債額
(P2貸借対照表に計上・記載された額)を減じて算定することに合理
性があるというべきである。
したがって,上記(a)ないし(c)の算定方法により得られた本件株式
売買当時のP2の純資産価額は,一般に通常の取引における当事者の合
理的意思に合致するものとして,連基通8−1−23()及び法基通94
―1―13()にいう「1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引4
されると認められる価額(時価)に当たるというべきであり,この価」
額(時価)に基づきP2株式に係る本件株式売買に関する収益,寄附金
等の額を算定することには合理性があるというべきである。
オそこで,以下,上記の観点を前提として検討する。
()争点()ウ(ア)(P6株式の評価額の適否)について22
ア前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が
認められる。
(ア)P6は,遅くとも平成15年初めころまでに,証券取引所への上場
を計画し,P11株式会社に依頼して,上場のための調査・準備等を実
施させたものの,同社はP6の代表取締役の希望する上場初日の時価総
額を達成できるだけの計画を立案できなかったことから,同社を上場主
幹事とはしないことを決め,同年6月ころ,P7を上場主幹事として,
P8への上場を計画した(甲27)。
(イ)P6は,平成15年7月15日開催の取締役会において,P7に対
して330株,P12投資事業組合(投資業を目的とするP13株式会
社が業務執行組合員となっている投資事業組合)に対して330株,P
14株式会社(P6の取引先であり情報サービス業を目的とする会社)
に対して330株を,いずれも1株当たり30万円で,第三者割当によ
る新株発行を行う旨の決議を行い,同月31日,上記決議に基づき,第
三者割当を行った(本件第三者割当(甲20,21,27))。
(ウ)株式会社P15は,有価証券の新規上場,上場管理,上場廃止その
他有価証券の上場に関して必要な事項を有価証券上場規程で定めてお
り,同規程の細則として,同規程に基づき,有価証券上場規程施行規則
が定められている。有価証券上場規程施行規則において,①新規上場申
請者は,上場前の公募等(上場申請日から上場日の前日までの期間にお
ける内国株券等の公募又は売出し。2条3項15号)を行う場合には,
ブック・ビルディング(同規則に定めるところにより行う上場前の公募
等に係る投資者の需要状況の調査。同項23号)又は競争入札による公
募等のいずれかの手続を行うものとされ(233条,②新規上場申請)
者及び元引受取引参加者(公募又は売出しに関し元引受契約を締結する
金融取引業者である取引所の取引参加者。2条3項26号)は,ブック
・ビルディングを行う場合には,ブック・ビルディングにより把握し(Ⅰ)
た投資者の需要状況に基づき,上場日までの期間における有価証券の相
場の変動により発生し得る危険及び需要見通し等を総合的に勘案して,
公開価格(上場前の公募等の価格。同項9号)を決定し(234条1項
1号,新規上場申請者の財政状態及び経営成績並びに有価証券に対)(Ⅱ)
する投資に係る専門的知識及び経験を有する者の意見その他の公開価格
の決定に関し参考となる資料及び意見を総合的に勘案し,公開価格に係
る仮条件(投資者の需要状況の調査を行うに際して投資者に提示する価
(Ⅲ)(Ⅰ)格の範囲等をいう)を決定する(243条1項)とともに,上記。
により公開価格を決定した場合には,直ちに当該公開価格及び決定の理
由等を書面により公表すべきものとされ(234条2項,③元引受取)
引参加者は,上記②の定めにより公開価格に係る仮条件を決定した場(Ⅲ)
合には,直ちに当該仮条件及び決定の理由等を書面により公表すべきも
のとされている(243条2項(乙22))。
(エ)P6は,上場承認を受けた平成15年10月31日付けで「公募,
新株式発行並びに株式売出しに関する取締役会決議のお知らせ」を公表
したが,その概要は次のとおりである(乙19)。
a発行新株式数普通株式8000株
b発行価額未定
c募集方法発行価格での一般募集とする。
d引受の方法一般募集とし,P7ほか10社に全株式を買取引受
。,(),させるなお本募集における価格発行価格は
今後の取締役会において決定する発行価額以上の価
格で仮条件を提示し,当該仮条件に基づいて需要状
況等を勘案した上で,平成15年11月26日に決
定する。
(オ)P6は,平成15年11月14日付けで,要旨次の内容が記載され
ている「公募新株式の発行価額及びブックビルディングの仮条件決定の
お知らせ」を公表したが,その概要は次のとおりである(乙20)。
a発行価額1株につき63万7500円
b仮条件75万円から100万円(本件仮条件価格)
c需要の申告期間平成15年11月18日から同月25日まで
d仮条件の決定理由仮条件は,事業内容,経営成績及び財政状態,
事業内容の類似性の高い公開会社との比較,価
格算定能力が高いと推定される機関投資家等の
意見及び需要見通し,現在の株式市場の状況,
最近の新規公開株に対する市場評価及び上場日
までの価格変動リスク等を総合的に勘案して決
定した。
(カ)P6は,上記(オ)cのとおり,平成15年11月18日から同月2
5日までブック・ビルディングを実施した上,同月26日,公募増資等
の価格を1株当たり100万円と決定した。P6が同日付けで公表した
「公募増資等の価格決定及びオーバーアロットメントによる株式売出し
の株式数決定のお知らせ」と題する文書には,公募増資等の価格を上記
のとおり決定した理由として75万円以上100万円以下の仮条件本,(
件仮条件価格)によりブック・ビルディングを実施したところ,①申告
された総需要株式数が公開株式数1万7000株を十分に上回る状況で
あったこと,②申告された需要件数が多数にわたっていたこと,③申告
された需要の相当数が本件仮条件価格の上限価格に集中していたことか
ら,公開株式数以上の需要が見込まれる価格として,現在の株式市場の
状況,最近の新規公開株に対する市場評価及び上場日までの期間におけ
る価格変動リスク等を総合的に勘案して,上記価格を決定した旨記載さ
れている(乙21)。
(キ)P8が開設された平成11年11月11日から本件株式売買が行わ
れた平成15年11月25日の前日までの間,P8に上場された株式の
銘柄数は,他市場上場済みのものを除き67件であり,そのうち仮条件
,,価格及び公開価格が判明したものは58件であるが当該58件のうち
46件(79.3%)の公開価格がブック・ビルディングの仮条件価格
の上限で決定されている一方,2件(3.4%)の公開価格がブック・
ビルディングの仮条件価格の下限で決定されている。また,本件株式売
買が行われた平成15年11月25日以後,平成20年5月31日まで
の間にP8に上場され,ブック・ビルディング方式によって公開価格の
決定がされた171件のうち,公開価格が仮条件価格の上限で決定され
たものは,165件(96.5%)である一方,下限で決定されたもの
は2件(1.2%)にとどまる(乙23,88。。)
イそこで,前記前提事実及び上記アの認定事実を踏まえ,以下,前記()1
に沿って検討する。
(ア)a前記()エのとおり,評基通185に基づきP2に関して各資産1
の価額から各負債の金額の合計額を減じて本件株式売買当時の純資産
価額を算定するに当たりP6株式について連基通8−1−23(),,1
及び法基通9−1−13()又は連基通8−1−23()及び法基通12
9−1−13()に基づき評価することには合理性があるところ,原2
告らは,本件第三者割当は,連基通8−1−23()及び法基通9−1
1−13()の売買実例に該当するから,本件株式売買当時のP6株1
式の価額は30万円と評価すべきである旨主張する。
bそこで検討するに,第三者割当は,株式会社が特定の第三者に対し
て行う新株発行であり,発行価額いかんによっては旧株主に経済的不
利益を及ぼすので,引受人にとって発行価額が特に有利な場合には株
主総会の特別決議による承認が要求され(平成17年法律第87号に
よる改正前の商法280条の2第2項,特別決議による承認を経て)
いないときは発行条件の通知・公告が要求され(同法280条の3の
2,280条の3の3第1項,株式会社が法令若しくは定款に違反)
し又は著しく不公正な方法によって株式を発行し,これにより株主が
不利益を受けるおそれがある場合に,株主から会社に対し新株発行の
差止めを請求することができ(同法280条の10,新株発行に法)
律的瑕疵がありそのためにその効力を認め得ない場合に,株式会社の
法律関係の画一的確定等を図るべく,株主,取締役等から会社に対し
新株発行無効の訴えを提起することができる(同法280条の15)
など,新株発行が株式会社の組織に関する事項で,株主の地位に大き
な影響を及ぼす事柄であること等にかんがみ,売買とは全く異なる法
的規律が定められているほか,割当て時点において,いまだ株式が発
行されておらず,所定の払込期日までに発行価額の全額の払込みをし
た者が,当該期日の翌日から株主となるものと法定される(同法28
0条の7及び9参照)など,株式の発生及び権利移転の仕組み等の観
,。点からも私人間の自由な取引である売買とは全く異質なものである
また,第三者割当は,新株発行の諸方法の一つであり,一般に,引受
人との関係強化を目的とする場合,会社の業績が不振なため特定の大
株主以外による募集株式の引受けが期待できない場合等,株主割当又
は公募の方法によれない特別の事情があるときに行われるのが通例で
あるとされており,その発行価格は,必ずしも割当て時点の当該株式
の市場価値を反映するものとはいい難い。そして,法人税法上も,①
,,法人が有価証券の売買を行った場合当該有価証券の譲渡損益の額は
同法61条の2第1項の規定により,譲渡に係る対価の額から譲渡に
係る原価の額を控除して計算するのに対し,法人が第三者割当を行っ
た場合には,当該増資により払い込まれた金銭の額は,同法22条2
項及び5項の規定により,資本等取引から生じたものとして,所得の
金額の計算上,益金の額に算入されず,所得の金額の増減とはならず
(第三者割当に係る払込金は有価証券の譲渡損益の課税対象とされて
いない,②有価証券の売買とは異なり,第三者割当により払い込ま。)
れた金銭の額は,同法61条の2第1項の規定の適用がなく,同法2
条16号及び17号(ただし,平成18年法律第10号による改正前
のもの)の規定により,資本の金額又は資本積立金額として処理され
ることとなるなど,第三者割当に係る払込金は,売買代金とは全く異
なる取扱いがされている。
以上のとおり,第三者割当と売買とは私法上の法的性質を本質的に
異にするものであり,上述の第三者割当を巡る状況も相まって,第三
者割当に係る株式の発行価格自体も割当て時点の当該株式の市場価値
を反映するものとはいい難い上,税法上も全く異なる規律に服するも
のであることにかんがみると,連基通8−1−23()及び法基通91
−1−13()の「売買実例」には第三者割当は含まれないものと解1
するのが相当である。したがって,本件第三者割当に連基通8−1−
23()及び法基通9−1−13()の適用があることを前提として11
その発行価格である1株当たり30万円をもってP6株式の価額と評
価すべきであるとする原告らの主張は理由がない。
cこの点に関し,原告らは,1株当たり30万円という価額の評価が
合理的であることは,①P6の取締役会で,開発研究投資のために必
要な資金を調達するために,1株30万円での第三者割当による新株
発行が決議されていること,②平成15年9月ないし10月ころ証券
取引所への上場を行ったP6と類似会社といえる他社の公募価格も2
7万円ないし35万円であったこと,③P6としては,証券取引所へ
の上場時の価格をできるだけ高くするために,上場に先立つ本件第三
者割当の価格についてもできるだけ高く設定することを望む一方,買
入れ側にとっても受入れ可能な価格とするため,双方の対立する利害
,,を調整した結果本件第三者割当の価格が30万円と設定されたこと
④P5を通じてP6の大株主であったP2は,本件第三者割当当時,
新株引受権の割当てを受けてもいないし,1株当たり30万円で第三
,,,者割当を行うことにも反対しなかったことからするとP2は当時
,,この価額を割安とは考えていなかったとうかがわれること⑤P6は
平成15年7月31日には,その従業員に対し,1株当たり30万円
で新株引受権を付与しているが,P6の取締役等は同様の新株引受権
の付与を受けていないことからも,取締役等が,当時,この価額を割
安と考えていなかったことがうかがわれること,⑥本件第三者割当に
,,当たって有利価格発行をするための株主総会の決議はされておらず
P6の他の株主から新株発行の差止め請求もされていないことから等
から裏付けられる旨主張するので,念のため検討する。
まず,上記①及び③の主張について検討するに,前記aのとおり,
一般的に,第三者割当は,引受人との関係強化を目的とする場合等,
株主割当又は公募の方法によれない特別の事情があるときに行われる
のが通例とされていることに加えて,前記ア(イ)のとおり,本件第三
者割当の引受人は,数か月後に予定していた上場に係る主幹事会社,
取引先等であることにかんがみると,上記各主張に係る事情があるか
らといって,本件第三者割当の価額をもって本件株式売買当時のP6
株式の価額と評価することが合理的であるということはできない。次
に,上記②の主張について検討するに,原告らが類似会社と主張する
会社とP6との類似性を裏付ける的確な証拠はない上,上場の際の公
募価格は,各会社の事業内容,経営成績,財政状態等の多様な要素に
応じて決まることにも併せかんがみると,上記主張は理由がない。そ
して,上記④ないし⑥の主張について検討するに,仮に原告ら主張の
ような主観的(上記④及び⑤)ないし概括的(上記⑥)な事情が認め
られるからといって,本件第三者割当の価額をもって本件株式売買当
時のP6株式の価額と評価することが客観的・具体的な価額の評価と
して合理的であるということはできない。
d以上のとおり,本件第三者割当は,連基通8−1−23()及び法1
基通9−1−13()に定める「売買実例」に該当せず,他に,P61
発行の株式につき上記各通達の当該各()の要件を満たす売買実例も1
証拠上見当たらない以上,P6株式につき上記各通達の当該各()の1
定めに基づき評価することはできないというべきである。
(イ)aそして,前記前提事実()のとおり,P6株式は,本件株式売買5
が行われた平成15年11月25日当時,同年10月31日にP8へ
の上場の承認を受けて同年▲月▲日にP8へ上場すべく公募が行われ
ていたことから,公開途上にある株式で,当該株式の上場に際して株
式の公募が行われるものに該当するところ,上記(ア)で検討したとお
り,連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()の定めに基11
づき評価することはできないから,本件株式売買に係るP2株式の評
価の前提として行うP6株式の評価については,連基通8−1−23
及び法基通9−1−13に基づく場合には,上記各通達の当該各()2
の定めを根拠として,金融商品取引所(証券取引所又は日本証券業協
会)の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の
価格等を参酌して通常取引されると認められる価額により行うことが
合理的であると解される。
bそこで,P6株式の評価額について検討するに,株式会社P15の
有価証券上場規程施行規則によれば,P6が公開価格の決定に当たり
採用したブック・ビルディング(上場前の公募等に係る投資者の需要
状況の調査)を行う場合には,新規上場申請者の財政状態及び経営成
績並びに有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者
の意見その他の公開価格の決定に関し参考となる資料及び意見を総合
的に勘案して公開価格に係る仮条件を決定する(243条1項)もの
とされており(前記ア(ウ),この規律に従い,P6は,同社株式の)
ブック・ビルディングに係る仮条件につき,事業内容,経営成績及び
財政状態,事業内容の類似性の高い公開会社との比較,価格算定能力
が高いと推定される機関投資家等の意見及び需要見通し,当時の株式
市場の状況,最近の新規公開株に対する市場評価及び上場日までの価
格変動リスク等を総合的に勘案して75万円以上100万円以下本,(
件仮条件価格)と決定した(前記ア(オ))ことからすると,本件仮条
件価格は,価格算定能力が高いと推定される機関投資家等の意見及び
需要見通し並びに株式市場の当時の状況及び最近の新規公開株への評
価等を勘案したものである以上,その当時における客観的な価格帯を
表しているものと解され,本件仮条件価格の決定が本件株式売買の約
10日前に行われていることも併せ考えると,P6株式の通常取引さ
れると認められる価額の算定に当たっては,本件仮条件価格を連基通
8−1−23()及び法基通9−1−13()に定める「金融商品取22
引所の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の
価格等」として参酌することが相当であると解される。そして,(a)
P6は,本件株式売買の翌日である平成15年11月26日に公募増
資等の価格を1株当たり100万円と決定の上これを公表したが,上
記価格は,75万円以上100万円以下の仮条件(本件仮条件価格)
によりブック・ビルディングを実施したところ,申告された総需要(Ⅰ)
株式数が公開株式数1万7000株を十分に上回る状況であったこ
と,申告された需要件数が多数にわたっていたこと,申告された(Ⅱ)(Ⅲ)
需要の相当数が本件仮条件価格の上限価格に集中していたことから,
公開株式数以上の需要が見込まれる価格として,現在の株式市場の状
況,最近の新規公開株に対する市場評価及び上場日までの期間におけ
る価格変動リスク等を総合的に勘案して,決定されたものであること
(前記ア(カ),(b)P6の普通株式株券は,同年▲月▲日,P8に)
上場されたが,上場日の翌日である同月▲日の初値は本件仮条件価格
(),の上限を大幅に上回る240万円であったこと前記前提事実()5
(c)P8の開設後,平成20年5月までの間にブック・ビルディング
方式によって公開価格を決定した事例の大半(合計229件のうち2
11件(約92.1%)が,仮条件価格の上限で価格の決定がされ)
ており,その下限で価格の決定がされた事例はごく僅少(合計229
件のうち4件(約1.7%)のみ)にとどまること(前記ア(キ),)
(d)P6は,がん治療薬の開発に関連する事業を目的とするいわゆる
バイオベンチャー企業であるところ,本件株式売買が行われた平成1
5年11月25日当時,新興株式市場であるP8において,バイオ関
連銘柄の株式が好況で,同月27日付けP16新聞に「人気が過熱し
てきた」との報道記事が掲載されていたこと(甲27,乙87)に加
えて,(e)P6は,同月25日(本件株式売買の日)における新株予
約権の行使に関して,同日時点のP6株式の1株当たりの価額を10
0万円と記載した調書を平成16年1月31日までに所轄税務署に提
出しており(乙90の別添2。所得税法228条の2,同法施行規則
97条の2,P6自らが本件株式売買が行われた当時のP6株式の)
価額を1株当たり100万円と評価していることを総合的に考慮すれ
ば,本件仮条件価格を参酌して通常取引されると認められる価額は,
その上限である1株当たり100万円と評価するのが相当であると解
される。
cこの点に関し,原告らは,予備的な主張として,P6株式の価額を
本件仮条件価格の下限である1株当たり75万円と評価すべき旨主張
するが,上記(a)ないし(e)の諸事情を総合的に考慮すれば,上記主
張は理由がないものといわざるを得ない。
(ウ)したがって,本件株式売買当時のP6株式の価額(時価)は,1株
当たり100万円と評価するのが相当である。
()争点()ウ(イ)(P2株式の評価における法人税額等相当額の控除の要32
否)について
ア(ア)原告らは,P2は,本件株式売買の時点において,平成16年4月
1日に原告ホールディングスを親連結法人とする連結子法人となること
が確実であり,その前日である同年3月31日時点で,時価評価資産の
評価差額に対する法人税の納税義務が発生することが確定的であって,
事業の継続性を前提としていないので,評価対象の会社が事業を継続す
ることを根拠として,評基通186−2により計算した評価差額に対す
る法人税額等相当額は控除しない旨定める連基通8−1−24()及び3
法基通9−1−14()の前提を欠いているから,P2株式の価額を評3
価するに当たっては,その資産の評価差額に対する法人税額等相当額を
控除すべきである旨主張する。
(イ)そこで検討するに,前記()のとおり,P2株式の価額の評価は,1
連基通8−1−23()及び8−1−24並びに法基通9−1−134
()及び9−1−14に基づき行うのが合理的であると解されるとこ4
ろ,①連基通8−1−24()及び法基通9−1−14()は,評基通33
185本文に定める1株当たりの純資産価額の計算に当たり,評基通1
86−2により計算した評価差額に対する法人税額等相当額は控除しな
いものとする旨明文で定めており,これは,(a)1株当たりの純資産価
額の算定に当たり法人税額等相当額を控除する旨を定めた評基通185
の趣旨が法人税課税における評価においては妥当しないこと,(b)評基
通185は,連基通8−1−23()及び法基通9−1−13()を具44
体化する等の観点から一定の条件を付した上で採用されているものであ
り,その採用に当たっては上記各通達の当該各()の定める内容と性質4
上相容れない事項が除外されることが合理的であることなどにかんがみ
ると,合理性のある取扱いであると解されることからすると,原告らの
上記主張は上記各通達に明文のない例外を創設するものであって「事,
業の継続性の有無」という抽象的かつ曖昧な基準によって上記各通達に
明文のない例外を創設することには,課税実務の安定的・公平な運用の
観点から疑問がある上,②評基通185が,1株当たりの純資産価額の
算定に当たり法人税額等相当額を控除するものとしているのは,個人が
財産を直接所有し,支配している場合と,個人が当該財産を会社を通じ
,,て間接的に所有し支配している場合との評価の均衡を図るためであり
評価の対象となる会社が現実に解散されることを前提としていることに
よるものではないと解されること(前掲最高裁平成16年(行ヒ)第12
8号同18年1月24日第三小法廷判決参照)に照らすと,評価の対象
となる会社の事業の継続性の有無を基準として法人税額等相当額の控除
の有無を決することには合理性がないというべきである。
(ウ)この点に関し,原告らは,連結子法人として連結納税グループに加
入する他の内国法人は,法人税法61条の12第1項に基づき,連結加
入直前事業年度終了の時に有する時価評価資産について,その事業年度
の所得金額の計算上,連結加入評価損益を益金の額又は損金の額に算入
するものとされているところ,株式価額の評価の対象となる会社が連結
子法人として連結納税グループに加入する他の内国法人である場合に
は,同項に基づき課税される以上,1株当たりの純資産価額の算定に当
たっては,評基通185に基づき評基通186−2により計算した法人
税額等相当額を控除すべき旨主張するものとも解される。しかし,①法
人税法61条の12第1項は,(a)連結加入直前事業年度の終了時に,
(b)時価評価資産を有する法人が資産の含み損又は含み益を連結納税グ
ループに持ち込むことによる租税回避を防止する等の趣旨で,(c)みな
し承認によって連結子法人として連結納税グループに加入する法人に対
し連結加入直前事業年度終了時に有する各資産のうち時価評価資産固,(
定資産,土地,有価証券,金銭債権及び繰延資産のうち一定のもの。同
法61条の11第1項(ただし,平成18年法律第10号による改正前
のもの,同法施行令122条の12第1項参照)を時価評価し,その)
評価益又は評価損を当該事業年度の益金又は損金に計上すべき旨を定め
るものであるのに対し,②評基通185及び186−2は,(a)相続税
の課税時期に,(b)個人が財産を直接所有し,支配している場合と,個
人が当該財産を評価の対象となる会社を通じて間接的に所有し,支配し
ている場合との評価の均衡を図る趣旨で(前記()イ,(c)非上場株1)
式で気配相場のないもの(取引相場のない株式)に係る1株当たりの純
資産価額は,相続税評価額による総資産価額から各負債の金額の合計額
及び法人税額等相当額(課税時期における相続税評価額による総資産(Ⅰ)
価額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額から,
課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各(Ⅱ)
資産の帳簿価額の合計額(ただし,現物出資等受入れ差額を加算した価
額)から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を控除
した残額に,42%(清算所得に対する法人税,事業税,都道府県民(Ⅲ)
))税及び市町村民税の税率の合計に相当する金額を乗じて計算した金額
を控除した金額を,課税時期における発行済株式数で除して計算した金
額とする旨を定めるものである(前記第2の1()。そうすると,法3)
人税法61条の12第1項と評基通185及び186−2とは,制度の
趣旨及び内容(計算過程を含む)が全く異質なものであることはもと。
より,評価の時点につき,連結加入直前事業年度の終了時(法人税法6
)()1条の12第1項と相続税の課税時期評基通185及び186−2
とで異なり,評価の対象となる資産につき,時価評価資産のみ(法人税
法61条の12第1項)と評価の対象となる会社の全資産(評基通18
5及び186−2)とで異なり,評価の結果としての税額の増減の内容
につき,時価評価に係る評価益又は評価損に係る法人税額のみ(法人税
法61条の12第1項)と評価差額に係る法人税のみならず事業税,都
道府県民税及び市町村民税の合計に相当する額(評基通185及び18
6−2)とで異なるなど,評価の方法も共通する点はほとんど皆無であ
るといわざるを得ず,結局,法人税法61条の12第1項に基づき連結
子法人であるP2に課税がされることをもって,P2の株価の評価額か
ら評基通185に基づき法人税額等相当額を控除することの根拠と解し
得るものではないというべきである。
イ(ア)また,原告らは,本件株式売買の約4か月後に当該株式の発行会社
が買主の連結納税グループに参加することにより,買主に当該株式の評
価差額に対する法人税等が発生することが確実であるという状況におい
ては,当該評価差額に対する法人税額等相当額を控除した額を1株当た
りの純資産価額と解するのが通常の取引における当事者の合理的意思に
合致する旨主張する。
(イ)そこで検討するに,法人税法61条の12第1項所定の連結加入評
価損益に対する法人税額等は,同項に規定する他の内国法人が連結加入
直前事業年度終了の時に有する時価評価資産の時価の金額等によって決
せられるところ,P2は,平成16年4月1日に原告ホールディングス
の連結子法人となった(前記前提事実())ため,連結加入評価損益に6
対する法人税額等は,その前日である平成16年3月31日時点におけ
る時価評価資産の時価によって決せられる一方,本件株式売買は,これ
より約4か月前の平成15年11月25日に行われているため,同日時
点で,平成16年3月31日時点におけるP2の時価評価資産の時価を
算定することは,本来の時価の概念としては不可能である上,事実上こ
れを予測することも極めて困難である。また,連結加入評価損益は,そ
れ自体を分離して独立して法人税の課税がされるものではなく,連結加
入直前事業年度における他の益金の額又は損金の額と合算したところの
所得金額の全体に対して法人税の課税がされるものであるから,仮に本
件株式売買時において将来の時価評価資産の時価を予測できたとして
も,連結加入直前事業年度終了の時までに生ずる所得金額(又は欠損金
額)の全体の予測ができない以上,連結加入評価損益に対する法人税額
。,,等を算出することは不可能であるそうすると本件株式売買の時点で
P2が平成16年3月31日に連結加入評価損益に対する法人税額等の
納税義務を負うことが確実であったとはいえず,仮に,納税義務を負う
ことが相応の蓋然性をもって予測できたとしても,その額を合理的に算
定することは不可能であるといわざるを得ないところ,このように合理
的な算定が不能の不確実な数額を考慮することは,通常の取引における
取引当事者の合理的意思に合致するものとはいえないというべきであ
る。
したがって,1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると
認められる価額を算定するに当たって連結加入評価損益に対する法人税
額等を控除すべきであるとの原告らの主張は理由がない。
ウ以上によれば,P2株式の評価に当たり法人税額等相当額を控除すべき
であるとの原告らの主張は理由がない。
()そして,前記()エ(イ)のとおり,同(イ)(a)ないし(c)の方法により41
算定された本件株式売買当時のP2の純資産価額に基づきP2株式に係る本
件株式売買に関する収益,寄附金等の額を算定することには合理性があると
ころ,上記方法によりP2の純資産価額を算定するに,(ア)P6株式につい
ては,前記()のとおり,1株当たり100万円と評価するのが相当である2
から,P6株式(2万株)に係る資産額は200億円となり(100万円×
2万株=200億円。別表1の<B>①,P5のP6株式以外の資産に係る)
資産額は12億4448万7794円(同表の<B>②。P5貸借対照表に計
上・記載された額)であり,負債額は0円(別表1の<B>④。同貸借対照表
に計上・記載された額)であるから,本件株式売買当時におけるP5の総資
産に係る純資産価額は212億4448万7794円となり(別表1の<B>
⑤,P5持分の純資産価額(P2のP5持分に係る資産額)は48億55)
88万2924円(×=)となり(な21,244,487,7948/354,855,882,924
お,被告の主張に係る同表の<B>⑥記載の48億5588万2919円との
差は,端数処理に基づくものと解される)となり,(イ)P2のP5持分に。
係る資産額は上記のとおり48億5588万2924円であり(なお,同表
の<D>⑦との差は,上記と同様,P5持分以外の資産に係る資産額は23)
億1727万9269円(同表の<D>⑧。P2貸借対照表に計上・記載され
た額)であり,負債額は19億6578万1867円(別表1の<D>⑩。同
貸借対照表に計上・記載された額)であるから,本件株式売買当時における
P2の純総資産額は52億0738万0326円(1株当たり260万36
90円)と算定される(なお,被告の主張に係る別表1の<D>⑪記載の52
億0738万0321円との差は,上記と同様,端数処理に基づくものと解
される。。)
したがって,上記のとおり算定されたP2の純資産価額を端数処理の差額
分下回る52億0738万0321円(被告主張の額)を時価としてP2株
式に係る本件株式売買に関する収益,寄附金等の額を算定することには合理
性があるというべきである。
5本件各処分の適法性
()以上によれば,原告ホールディングスが本件株式売買により被合併法人1
ファイナンスから譲り受けたP2株式の譲受価額(6億7500万円)は時
価52億0738万0321円に比して低額というべきであるから(a)(),
原告ホールディングスの本件連結事業年度に係る法人税については,当該譲
受価額と時価との差額(45億3238万0321円)は受贈益として益金
の額に算入され,(b)被合併法人ファイナンスの本件単体事業年度に係る法
人税については,当該譲渡価額と時価との差額(45億3238万0321
円)は,譲渡価額を構成し益金の額に算入される一方,寄附金に該当して損
金の額に算入されるものの,当該寄附金の額のうち損金算入限度額を超える
部分の額は損金の額に算入されないこととなり,上記(a)により算出した原
告ホールディングスの連結欠損金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額は,別
紙1「本件連結更正処分の根拠及び計算」のとおりであり,上記(b)により
算出した原告ファイナンスの所得金額及び納付すべき税額は,別紙2「本件
」(,単体更正処分等の根拠及び計算第1記載のとおりであると認められなお
争点()ウに関する部分を除き,計算の基礎となる金額及び計算方法につい2
ては,当事者間に争いがない,これらの各連結欠損金額並びに所得金額及。)
び納付すべき税額は,本件連結更正処分における原告ホールディングスの(Ⅰ)
連結欠損金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額(別表2「原告ホールディン
グスに対する本件連結更正処分の経緯」の区分「異議決定」の項目「連結欠
(Ⅱ)損金額」欄及び「翌期へ繰り越す連結欠損金額」欄記載の各金額)並びに
本件単体更正処分における原告ファイナンスの所得金額及び納付すべき税額
別表3原告ファイナンスに対する本件単体更正処分等の経緯の区分更(「」「
正・変更決定」の項目「所得金額」欄及び「納付すべき法人税額」欄記載の
各金額)とそれぞれ同一であるから,本件連結更正処分及び本件単体更正処
分はいずれも適法である。
()そして,上記()のとおり本件単体更正処分は適法であるところ,本件21
単体事業年度の法人税に係る期限内申告書の提出がなかったことについて通
則法66条1項に規定する正当な理由があるとは認められず,また,本件単
体賦課決定処分において無申告加算税の対象とされた税額の計算の基礎とな
った事実が本件単体更正処分前の確定申告及び修正申告における税額の計算
の基礎とされなかったことについて同条2項において準用する同法65条4
項に規定する正当な理由があるとは認められないから,原告ファイナンスの
本件単体事業年度の法人税に係る無申告加算税の額は,別紙2「本件単体更
正処分等の根拠及び計算」第2記載のとおりであると認められ,本件単体賦
課決定処分における無申告加算税の額(別表3「原告ファイナンスに対する
本件単体更正処分等の経緯」の区分「更正・変更決定」の項目「無申告加算
」),。税欄記載の金額と同一であるから本件単体賦課決定処分も適法である
第4結論
よって,本件訴えのうち,①原告ファイナンスの訴えのうち,本件単体更
正処分のうち所得金額21億7757万3840円を超えない部分及び納付
すべき税額6億4925万4600円を超えない部分の取消しを求める部分
は,不適法であるから却下し,②原告らのその余の訴えに係る請求は,いず
れも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件
訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり
判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官岩井伸晃
裁判官三輪方大
裁判官新宮智之
別紙1
本件連結更正処分の根拠及び計算
1連結所得金額(別表4<>欄)40
△457億5250万5129円(△」は欠損金額を表す。以下同じ)「。
上記金額は,次の()の金額に()の金額を加算し,()の金額を減算した金額123
である。
()本件連結確定申告書における連結所得金額(別表4⑭欄)1
△512億5743万0744円
上記金額は,本件連結確定申告書に記載された連結所得金額であり,別表4
①欄ないし⑬欄の各金額の合計額である。
()連結所得金額に加算すべき金額(別表4<>欄)59億4825万044231
1円
上記金額は,次のアないしタの金額の合計額である。
ア有価証券の受贈益計上漏れ額(別表4⑮欄)45億3238万0321円
上記金額は,原告ホールディングスが被合併法人P1ファイナンスから取
得したP2株式の取得時の価額(時価)である52億0738万0321円
(別表1<D>⑪)と,P2株式の購入価額である6億7500万円との差額で
あり,受贈益として益金の額に算入すべき金額である。
イ営業投資有価証券売上原価の過大計上額(別表4⑯欄)
3億7803万5836円
上記金額は,被合併法人ファイナンスが出資をしていた民法上の任意組合
(民法667条1項)及び中小企業等投資事業有限責任組合(中小企業等投
資事業有限責任組合契約に関する法律2条2項)並びに外国におけるこれら
に類するもの(以下,これらを併せて「本件各組合等」という)の組合員。
が負担すべき損失の金額であるところ,原告ファイナンスは本件連結事業年
度において営業投資有価証券売上原価として損金の額に算入したが,本件連
結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
ウ租税公課のうち損金の額に算入されない金額(別表4⑰欄)
1154万2784円
上記金額は,原告ファイナンスが本件連結事業年度において租税公課とし
て損金の額に算入した金額のうち,本件各組合等の組合員が負担すべき租税
,。公課の金額であり本件連結事業年度の損金の額に算入されない金額である
エ為替差損のうち損金の額に算入されない金額(別表4⑱欄)
2288万9703円
上記金額は,原告ファイナンスが本件連結事業年度において為替差損とし
て損金の額に算入した金額のうち,本件各組合等の組合員が負担すべき為替
差損及び為替差益の金額であり,本件連結事業年度の損金の額に算入されな
い金額である。
オ投資損失引当金の損金不算入額(別表4⑲欄)3億7093万4449円
上記金額は,原告ファイナンスが本件連結事業年度において「投資事業組
合持分投資損益損失引当金」として損金の額に算入した金額であるが,本件
連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
カ損金の額に算入されない外国法人税額(別表4⑳欄)
5億0296万6219円
上記金額は,原告ホールディングスがその他特別損失として損金の額に算
入した金額のうち,本件連結事業年度前の各事業年度の法人税の確定申告書
において外国税額控除の規定の適用を受けることとした外国法人税に相当す
る金額であり,本件連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
キ売上げの計上漏れ額(別表4<>欄)3429万8107円21
上記金額は,連結子法人が本件連結事業年度の翌連結事業年度の売上げに
計上した金額のうち,本件連結事業年度の売上げに計上すべき金額であり,
本件連結事業年度の益金の額に算入すべき金額である。
ク当期仕掛品受注超過額の加算漏れ額(別表4<>欄)1000万000022

上記金額は,原告ホールディングスが本件連結事業年度において「当期仕
掛品受注超過額」として連結所得金額に加算すべき金額9億0026万87
24円と,本件連結確定申告書で加算されている金額8億9026万872
4円との差額であり,本件連結事業年度の連結所得金額に加算すべき金額で
ある。
ケ支払手数料のうち損金の額に算入されない金額(別表4<>欄)23
2341万1809円
コ消耗品費のうち損金の額に算入されない金額(別表4<>欄)24
1818万6760円
サ特別損失のうち損金の額に算入されない金額(別表4<>欄)25
3086万6668円
上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。
(ア)繰延資産の償却超過額2146万6668円
上記金額は,原告ホールディングスが本件連結事業年度においてその他
特別損失として損金の額に算入したレジャークラブの入会金の金額230
0万円のうち,法人税法32条(ただし,平成16年法律第14号による
改正前のもの。以下同じ)の規定により計算した償却限度額153万3。
332円を超える部分の金額であり,本件連結事業年度の損金の額に算入
されない金額である。
(イ)社員寮の原状回復費用の額940万0000円
上記金額は,原告ホールディングスがその他特別損失として損金の額に
算入した金額のうち,社員寮として賃借している建物の本件連結事業年度
後の原状回復に要する費用であり,本件連結事業年度の損金の額に算入さ
れない金額である。
シ減価償却超過額(別表4<>欄)518万3783円26
上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。
(ア)株式会社P17に係る金額254万8388円
上記金額は,同社が租税特別措置法(ただし,平成18年法律第10号
による改正前のもの。以下「措置法」という)68条の15第1項の規。
定の適用があるとして減価償却資産の特別償却額として損金の額に算入し
た金額であるが,同社は同条の規定の適用を受けられないことから,本件
連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
(イ)株式会社P18に係る金額263万5395円
上記金額は,同社が前期損益修正損として損金の額に算入した金額であ
るが,本件連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
ス貸倒引当金の繰入限度超過額(別表4<>欄)195万4989円27
上記金額は,P19株式会社(以下「P19社」という)が措置法68。
条の59第1項の規定の適用があるとして貸倒引当金の繰入額として損金の
額に算入した金額であるが,同社は同条の規定の適用を受けられないことか
ら,本件連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
セ退職給与引当金の損金不算入額(別表4<>欄)91万6006円28
上記金額は,原告ファイナンスが,本件連結確定申告書において「退職給
与引当金」として損金の額に算入した金額663万8154円のうち,本件
連結事業年度の損金とすべき金額572万2148円を超える部分の金額で
あり,本件連結事業年度の損金の額に算入されない金額である。
ソ雑収入の計上漏れ額(別表4<>欄)82円29
タ交際費等の損金不算入額(別表4<>欄)468万2925円30
上記金額は,次の(ア)ないし(ウ)の金額の合計額である。
(ア)支払手数料のうち交際費等に該当する金額180万0000円
上記金額は,原告ホールディングスが支払手数料として損金の額に算入
した金額のうち,P20の種別変更及び名義書換手数料として支出した金
額であり,交際費等に該当することから,連結所得金額に加算すべき金額
である。
(イ)会議費のうち得意先等の接待に要した費用285万7141円
上記金額は,次のa及びbの金額の合計額である。
aP19社の会議費のうち得意先等の接待に要した費用
137万4312円
,,上記金額はP19社が会議費として損金の額に算入した金額のうち
得意先等の接待に要した費用として支出した金額であり,交際費等に該
当することから,連結所得金額に加算すべき金額である。
bP21社の会議費のうち得意先等の接待に要した費用
148万2829円
,,上記金額はP21社が会議費として損金の額に算入した金額のうち
得意先等の接待に要した費用として支出した金額であり,交際費等に該
当することから,連結所得金額に加算すべき金額である。
(ウ)交際費等に係る控除対象外消費税額等2万5784円
上記金額は,原告ファイナンスが,平成16年6月11日にした,平成
15年4月1日から同16年3月31日までの課税期間(以下「原告ファ
イナンス平成16年3月課税期間」という)の消費税等に係る修正申告。
(以下「原告ファイナンス平成16年3月課税期間消費税等修正申告」と
いう)により増加した交際費等に係る仕入税額控除をすることができな。
い仮払消費税額等(以下「控除対象外消費税額等」という)の金額であ。
り,当該金額が支出交際費等の額に加算されることから,増加した交際費
等の損金不算入額として,連結所得金額に加算すべき金額である。
()連結所得金額から減算すべき金額(別表4<>欄)4億4332万482339
6円
上記金額は,次のアないしキの金額の合計額である。
ア営業投資有価証券売上高の過大計上額(別表4<>欄)32
4億1291万1588円
上記金額は,原告ファイナンスが本件連結事業年度において営業投資有価
証券売上高として益金の額に算入した本件各組合等の組合員が分配を受ける
べき利益の金額であり,本件連結事業年度の益金の額に算入されない金額で
ある。
イ損金の額に算入される売上原価の額(別表4<>欄)2277万159733

上記金額は,P22社が本件連結事業年度の翌連結事業年度の売上原価に
計上した金額のうち,前記()キの売上げの計上漏れ額に対応する売上原価2
の金額であり,本件連結事業年度の損金の額に算入される金額である。
ウ損金の額に算入される特別損失の額(別表4<>欄)196万774134

上記金額は,原告ホールディングスが建物賃貸借契約を中途解約したこと
により支出した違約金4132万2580円のうち,仮払消費税等として計
,,上した金額であり当該違約金は消費税法上の仕入税額控除の対象とならず
特別損失の金額が過少に計上されていることから,本件連結事業年度の損金
の額に算入される金額である。
エ還付法人税等として益金の額に算入されない金額(別表4<>欄)35
281万8500円
上記金額は,P19社が益金の額に算入した,法人税,法人都民税及び法
人市民税の還付金の金額の合計額であり,本件連結事業年度の益金の額に算
入されない金額である。
オ事業税の損金算入額(別表4<>欄)8万2200円36
上記金額は,日本橋税務署長が平成17年7月29日付けでした,P19
社の平成14年4月1日から同15年3月31日までの事業年度(以下「P
19社平成15年3月期」という)の法人税の更正処分(以下「P19社。
平成15年3月期法人税更正処分」という)に伴い納付することとなる事。
業税相当額であり,本件連結事業年度の損金の額に算入される金額である。
カ減価償却超過額のうち損金の額に算入される金額(別表4<>欄)37
159万0000円
上記金額は,原告ファイナンスが合併(適格合併)により被合併法人ファ
イナンスから移転を受けた減価償却資産に係る減価償却超過額のうち,本件
連結事業年度の損金の額に算入される金額である。
キ雑損として損金の額に算入される金額(別表4<>欄)38
118万3200円
上記金額は,原告ファイナンスが原告ファイナンス平成16年3月課税期
間消費税等修正申告により新たに納付すべきこととなった消費税等の額であ
り,本件連結事業年度の損金の額に算入される金額である。
2翌期へ繰り越す連結欠損金額(別表4<>欄)922億3984万95641
1円
上記金額は,法人税法81条の9第1項(ただし,平成16年法律第14号に
よる改正前のもの)により本件連結事業年度の翌期以降の連結事業年度において
損金の額に算入される連結欠損金額であり,同条2項1号に基づき,原告ホール
ディングスの平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度に発
生した欠損金額464億8734万4432円に,上記1の連結欠損金額457
億5250万5129円を加算した金額である。
以上
別紙2
本件単体更正処分等の根拠及び計算
第1本件単体更正処分の根拠及び計算
1所得金額(別表5⑱欄)56億7341万6725円
上記金額は,次の()の金額に()の金額を加算し,()の金額を減算した金123
額である。
()申告所得金額(別表5①欄)21億7757万3840円1
上記金額は,本件単体修正申告書に記載された所得金額である。
()所得金額に加算すべき金額(別表5⑨欄)93億2896万5867円2
上記金額は,次のアないしキの金額の合計額である。
ア有価証券譲渡益計上漏れ額(別表5②欄)45億3238万0321円
上記金額は,被合併法人ファイナンスが平成15年11月25日に原告
ホールディングスに対して譲渡したP2株式の時価52億0738万03
21円(別表1<D>⑪)と,P2株式の譲渡価額6億7500万円との差
額であり,法人税法22条2項の規定により,本件単体事業年度の益金の
額に算入すべき金額である。
イ寄附金の損金不算入額(別表5③欄)44億5416万1137円
上記金額は,後記()アの金額のうち,法人税法37条3項の規定によ3
り,損金算入限度額を超えるものとして本件単体事業年度の損金の額に算
入されない金額(別表6)である。
なお,別表6の「所得金額仮計」は,上記()の金額に本件単体事業年1
度における欠損金の損金算入額6741万6145円を加算し,後記3の
金額を控除した後の金額22億4097万2707円に,上記ア,後記ウ
ないしキの金額をそれぞれ加算し,後記()の金額を減算した金額である3
(法人税法施行令73条2項参照。)
ウ営業投資有価証券売上高の計上漏れ額(別表5④欄)
2億7718万8312円
上記金額は,本件各組合等の組合員である被合併法人ファイナンスが分
配を受けるべき利益金額であり,本件各組合等の計算期間の終了の日が本
件単体事業年度に属するものであることから,本件単体事業年度の益金の
額に算入すべき金額である。
エ租税公課のうち損金の額に算入されない額(別表5⑤欄)
36万4244円
,,上記金額は後記()ウの租税公課のうち道府県民税利子割の額であり3
本件単体事業年度の損金の額に算入されない金額である。
オ損金の額に算入されない投資損失引当金等の繰入額(別表5⑥欄)
3399万3582円
上記金額は,本件各組合等の組合員である被合併法人ファイナンスが負
担すべき投資損失引当金等の繰入額であり,本件単体事業年度の損金の額
に算入されない金額である。
カ減価償却超過額(別表5⑦欄)3074万0000円
上記金額は,被合併法人ファイナンスが支払手数料として損金の額に算
入したソフトウエアの取得に要する費用3180万円のうち,法人税法3
1条(ただし,平成16年法律第14号による改正前のもの)の規定によ
り計算した償却限度額106万円を超える部分の金額であり,減価償却超
過額として本件単体事業年度の損金の額に算入されない金額である。
キ交際費等の損金不算入額(別表5⑧欄)13万8271円
上記金額は,交際費等に係る控除対象外消費税額等の金額であり,交際
費等の損金不算入額として,本件単体事業年度の損金の額に算入されない
金額である。
()所得金額から減算すべき金額(別表5⑰欄)58億3312万29823

上記金額は,次のアないしキの金額の合計額である。
ア寄附金として損金の額に算入される金額(別表5⑩欄)
45億3238万0321円
上記金額は,上記()アの金額のうち,被合併法人ファイナンスが,原2
告ホールディングスに対して実質的に贈与をしたと認められる金額であ
り,本件単体事業年度の費用の額に該当することから,寄附金として本件
単体事業年度の損金の額に算入される金額である。
イ営業投資有価証券売上原価の計上漏れ額(別表5⑪欄)
3億6030万7528円
上記金額は,本件各組合等の組合員である被合併法人ファイナンスが負
担すべき損失金額であり,本件各組合等の計算期間の終了の日が本件単体
事業年度に属するものであることから,本件単体事業年度の損金の額に算
入すべき金額である。
ウ租税公課の計上漏れ額(別表5⑫欄)162万2945円
上記金額は,本件各組合等の組合員である被合併法人ファイナンスが負
担すべき租税公課の金額であり,本件各組合等の計算期間の終了の日が本
件単体事業年度に属するものであることから,本件単体事業年度の損金の
額に算入すべき金額である。
エ益金の額に算入されない投資損失引当金等の戻入額(別表5⑬欄)
5億3796万7530円
上記金額は,本件各組合等の組合員である被合併法人ファイナンスが分
配を受けるべき投資損失引当金等の戻入額であり,本件単体事業年度の益
金の額に算入されない金額である。
オ雑損失の計上漏れ額(別表5⑭欄)565万5862円
上記金額は,被合併法人ファイナンスの平成15年4月1日から平成1
6年1月4日までの課税期間の消費税等の更正処分に伴い還付を受ける消
費税等と課税仕入れ等に係る消費税等との差額13円と,控除対象外消費
税額等565万5849円との合計額であり,本件単体事業年度の損金の
額に算入すべき金額である。
カ退職給与引当金として所得金額に過大に加算された金額(別表5⑮欄)
579円
上記金額は被合併法人ファイナンスが本件単体修正申告書において退,「
職給与引当金(厚生年金基金」として所得金額に加算した金額534万)
5736円と,所得金額に加算すべき金額534万5157円との差額で
あり,本件単体事業年度の所得金額に過大に加算された金額である。
キ株式譲渡原価計上漏れ額(別表5⑯欄)3億9518万8217円
上記金額は,別表7のとおり,被合併法人ファイナンスが本件株式売買
に係る譲渡原価の額とした7億0196万1155円と,税務上の譲渡原
価の額とすべき10億9714万9372円との差額であり,株式譲渡原
価として本件単体事業年度の損金の額に算入される金額である。
2所得金額に対する法人税額(別表5⑲欄)17億0202万4800円
上記金額は,上記1の所得金額(通則法118条1項の規定により1000
円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に法人税法66条1項(ただし,平
成18年法律第10号による改正前のもの)に定める税率(ただし,経済社会
の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する
法律16条1項による置き換え後のもの)を乗じて計算した金額である。
3法人税額から控除される所得税額等(別表5⑳欄)401万7278円
上記金額は,法人税法68条1項(ただし,平成18年法律第10号による
改正前のもの)の規定により所得に対する法人税の額から控除される金額であ
り,本件単体修正申告書に記載された金額と同額である。
4納付すべき税額(別表5<>欄)16億9800万7500円21
上記金額は,前記2の金額から上記3の金額を差し引いた金額(通則法11
)。9条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた後のものである
5既に納付の確定した本税額(別表5<>欄)6億4925万4600円22
上記金額は,本件単体修正申告書に記載された納付すべき法人税額である。
6差引納付すべき税額(別表5<>欄)10億4875万2900円23
上記金額は,前記4の金額から上記5の金額を差し引いた金額であり,本件
単体更正処分により原告ファイナンスが新たに納付すべき法人税額である。
第2本件単体賦課決定処分の根拠及び計算
通則法66条(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。以下
同じ)1項の規定に基づく金額1億5731万2500円。
上記金額は,上記第1の6の差引納付すべき税額10億4875万円(通則
法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に
100分の15の割合(通則法66条1項に規定する割合)を乗じて算出した
金額である。
以上

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