弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由第一点ないし第六点について。
 一 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決の挙示する証拠に照らして首肯
するに足り、右事実関係は、
 (一) 上告人は弁護士であるところ、昭和三九年六月被上告会社より東京地方裁
判所昭和三五年(ワ)第九七二六号家屋明渡請求事件(原告D産業株式会社、被告
被上告会社、以下、これを甲事件という。)につき、また、亡Eより同裁判所昭和
三六年(ワ)第三三九二号所有権確認並びに土地建物所有権移転登記抹消登記手続
請求事件(原告E、被告D産業株式会社・F、以下、これを乙事件という。)につ
き、それぞれその控訴提起および控訴審における訴訟追行を目的とする訴訟代理を
受任して控訴を提起し、同年八月上告人とE、被上告会社(当時Eがその代表者)
らとの間において、「成功報酬は取得利益の二割とする。ただし、成功とは、勝訴、
和解、調停の成立をいう。E、被上告会社らが上告人の承諾をえないで和解、請求
の放棄、取下をし、または、他人に訴訟代理を委任し、もしくは、E、被上告会社
らの都合で上告人との間の委任契約を解除した場合には、委任事務処理の程度如何
にかかわらず成功とみなして右成功謝金全額を即日支払う。」旨の報酬契約がなさ
れたところ、右控訴事件が東京高等裁判所に係属中(同裁判所昭和三九年(ネ)第
一五二四号事件)、E、被上告会社らは、昭和四一年一〇月下旬上告人を介しない
で右事件の被控訴人であつたD産業株式会社との間で裁判外の和解をし、右控訴を
取り下げるに至つた。
 (二) 右報酬契約においては、無断の和解、取下の事由についてはなんらの限定
もされていないが、上告人が所属する弁護士会制定の弁護士報酬規定によれば、そ
の五条に、「依頼者が受任者の責によらない事由で解任し、あるいは無断で取下、
……和解等をなし……たときは成功と看做し……」とあつて、この規定は、所属弁
護士が必ず遵守すべきものとされている。
 (三) E、被上告会社らは、甲、乙両事件について、第一審でも上告人に訴訟代
理を委任し、委任当初から和解による解決をもはかるよう依頼したが、上告人は訴
訟の見通しにつき強気の見解を有し、第一審においては和解の機会をもつことなく、
E、被上告会社らは、右両事件につきほぼ全面的に敗訴したうえ、被上告会社は右
甲事件についての仮執行宣言付判決に基づく家屋占有による損害金債権の執行とし
てされた被上告会社の売掛金債権の差押につき、上告人に委任して保証を立てるこ
とを条件とする右執行の取消決定をえたが、上告人が該決定の発せられたことを被
上告会社に連絡しなかつたため、保証を立てる機会もないまま執行は続行され、そ
の結果、高額の売掛金債権の取立を受け、さらに、右仮執行宣言付判決による家屋
明渡の執行により工場操業停止のやむなきに至り、そのための損害が累積していく
立場に追い込まれ、また、控訴審における訴訟の結果について少なからぬ不安があ
つたので、Eは、上告人に対し再三和解による解決を依頼したが、上告人は、和解
の成立の機会があつたのにそのための努力をせず、むしろ、右依頼をかたくなに斥
けてきたものである(原判決理由参照)、
というのである。
 二(一) 右事実によれば、本件報酬契約においては、無断の和解、取下の事由に
ついてはなんらの限定もされていないが、前記弁護士報酬規定の定めと、委任にお
ける信義則とを考慮するならば、本件報酬契約においても、依頼者の無断の和解、
取下等が受任者の責に帰すべき事由によるものであるときは、いわゆるみなし成功
報酬の特約はその効力を生じないものと解するのが相当である。
 (二) しかるところ、上告人は、前記のような事情のもとに、E、被上告会社ら
から和解による事件の解決を依頼されたが、このような場合、上告人としては、た
とい控訴審で勝訴の見込みを持つていたとしても、敗訴の第一審に自ら関与したこ
とや、自己の手落もあつて前記執行によりE、被上告会社らが窮状に陥つたことに
思いを至し、いたずらに自己の主観的確信にこだわることなく、E、被上告会社ら
のため、早期に、かつ、できるかぎり有利な和解をはかるよう努めるべきものであ
り、ましてや、E、被上告会社らからの和解の依頼が再三に及び、また、和解成立
の機会もあつた以上、これに従い右の努力をするのが受任者の義務であるというべ
きであるのに、上告人は、右の努力をせず、むしろ、E、被上告会社らの和解の依
頼をかたくなに斥けてきたというのであるから、E、被上告会社らが、上告人を介
せず無断で和解、控訴の取下をするに至つたのもやむをえないことであり、このよ
うな場合は、E、被上告会社らの右無断の和解、取下は、上告人の責に帰すべき事
由によるものというべきであつて、本件みなし成功報酬の特約は、その効力を生じ
ない。したがつて、右特約に基づき成功報酬の支払を求める上告人の請求は、その
理由がない。
 これと同趣旨の原判決は正当として是認するに足り、その過程に所論の違法は認
められない。論旨は、採用することができない。
 同第七点ないし第九点について。
 所論の各点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照らして首肯す
るに足り、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、いずれも採用すること
ができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊

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