弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件申立てを却下する。
申立費用は申立人らの負担とする。
○ 理由
(当事者の主張)
申立人らの申立ての趣旨および理由は、別紙申立書、反論書、申立補充書、申立再
補充書および申立補充書(第三および第四)の各要旨記載のとおりであり、被申立
人の意見は、別紙意見書、補充意見書(一)ないし(四)の各要旨記載のとおりで
あり、参加人の意見は、別紙意見書および補充意見書の各要旨記載のとおりであ
る。
(当裁判所の判断)
一 申立人適格について
1 行政処分の取消しの訴え(取消訴訟)を提起することができるのは、当該処分
の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られる(行政事件訴訟法第九
条)が、ここにいう処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者とは、行
政処分によつて権利または法律上保護に価する利益を侵害される者をいうのであつ
て、いやしくもそのような侵害を生ずる場合であれば、その者が処分の相手方であ
ると第三者であるとを問うことなく、これに取消訴訟の原告適格が認められるので
ある。本件においては、申立人らは、本件処分の相手方ではないけれども、次に説
示するように、本件処分によりその権利を侵害されるものということができるか
ら、申立人らは、本件処分の取消しを求める本案訴訟について原告適格を有し、し
たがつて、その執行停止申立てについても申立人適格を有するものである。
2 本件各疎明資料によれば、次の事実が一応認められる。
(一) 本件処分は、参加人の申請に基づき、被申立人が、昭和四八年六月二五
日、公有水面埋立法第二条によりなした、伊達市<以下略>および同<以下略>な
らびに国有鉄道用地の地先海面三万三、七九五・九〇平方メートル(以下、右海面
を本件埋立地という。)につき、参加人が同市内に建設を予定している火力発電所
(以下、伊達火力発電所という。)新設工事に伴う取水口、取水路、物揚場、荷置
場等の施設用地造成のため埋立を行なうことを免許する旨の処分であつて、右処分
には、埋立地を免許を受けた目的以外の目的に使用しようとするときは、あらかじ
め、知事の許可を受けなければならない旨および埋立に関する工事は、免許の日か
ら三〇日以内に着手し、昭和五〇年一二月三一日までにしゆん功するものとする旨
の付款が付されていること、参加人が右処分に基づいて実施する取水口外かく施設
建設工事は、本件埋立地の西側に位置するエントモ岬の東南側に沿う海面一帯に及
び、その範囲は約一二万平方メートルである(以下、この海面を本件工事海面とい
う。)こと、
(二) 別紙当事者目録申立人(一)記載の申立人ら(以下、伊達申立人らとい
う。)は、伊達市内(有珠地区を除く)に居住する漁民を構成員とする伊達漁業協
同組合(以下、伊達漁協という。)の正組合員であつて、同組合が本件工事海面を
含む伊達市内の有珠地区を除く地域の沿岸沿いの海域に有する第一種区画漁業権
(海区第四八号)および右海域の外側(沖合側)の海域に有する第一ないし第三種
共同漁業権(海共第一三五号)に基づき、同組合の定める漁業権行使規則により右
各海域で現実に漁業を営んでいること、
(三) 他方、別紙当事者目録申立人(二)記載の申立人ら(以下、有珠申立人ら
という。)は、伊達市内有珠地区に居住する漁民を構成員とする有珠漁業協同組合
(以下、有珠漁協という。)の正組合員であつて、同組合が有珠地区の沿岸沿いの
海域に有する第一種区画漁業権(海区第四七号)および右海域の外側(沖合側)の
海域に有する第一ないし第三共同漁業権(海共第一三四号)に基づき、同組合の定
める漁業権行使規則により右各海域で現実に漁業を営んでいること、(四) 右海
区第四七号が存する海域と海区第四八号が存する海域および右海共第一三四号が存
する海域と海共第一三五号が存する海域はそれぞれ相接しており、その境界線は、
エントモ岬の先端からほぼ西南方向(噴火湾の中心方向)に向かう直線であるこ
と、したがつて、右海区第四七号および海共第一三四号が存する海域のうち右境界
線付近の海域は、本件工事海面から至近距離にある(本件工事海面内にある取水口
設置予定地点からの最短距離はわずか四〇〇メートルあまりである。)こと、
(五) 本件処分に基づいて参加人が行なう埋立工事(以下、本件埋立工事とい
う。)においては、後記認定のように、本件工事海面内において投石およびしゆん
せつとこれによつて採取された土砂の沈澱池への注入が行なわれるが、これらの作
業を実施すると本件工事海面内においてかなりの海水汚濁を生ずること、
以上のとおり一応認められる。
3 ところで、漁業権は、一定の水面において排他的に一定の漁業を営むことがで
きる権利であつて、都道府県知事の免許によつて発生し(漁業法第一〇条)、物権
たる性質を有するものである(同法第二三条第一項)。そして、漁業権は、漁業協
同組合または漁業協同組合連合会に帰属し、その組合員たる漁民は、組合または組
合連合会の定める漁業権行使規則に従つて漁業を営む権利を有するにすぎない(同
第八条第一項第二項)。したがつて、漁業権自体は、組合員たる個々の漁民に帰属
するものではないが、組合員たる漁民が有する漁業を営む権利は、いわば漁業権の
行使の面に着目した権利であつて、それ自体法律上保護に価する内容を有し、単な
る事実上の利益ないし反射的利益とは区別されなければならない。しかして、さき
に認定した本件埋立工事の規模、態様および本件工事海面と申立人らが漁業を営む
各海域との位置関係からみれば、本件埋立工事によつて本件工事海面に汚濁を生じ
た場合、この汚濁が右海面の範囲内に止まらず、拡散して周辺の海域の海水までも
汚染するおそれがあることは、経験則に照らしこれを否定することができず、その
汚染が及ぶ範囲も、本件工事海面に接する前記海区第四八号の海域(伊達申立人ら
が漁業を営む海域)に止まるものとはにわかに断定できず、本件工事海面と至近距
離にある前記海区第四七号の海域(有珠申立人らが漁業を営む海域)にも及ぶおそ
れが全くないとはいえない。そして、これらの海域に汚染が及んだ場合には、その
程度によつては、各海域における申立人らの漁業に影響を及ぼし、漁獲の減少等の
被害を生ずるおそれがあるといえるから、結局本件処分によつて、申立人らの前記
各漁業を営む権利が侵害されるものというべきである。
4 被申立人は、本件処分の効力を争うことができるのは、公有水面埋立法第五条
に列記された者および競願者に限定されると主張するが、本件処分により申立人ら
の権利が侵害されるのである以上、申立人らにこれを争う適格を肯認すべきこと前
述のとおりであつて、これを被申立人らの右主張のように限定して解すべき根拠は
ない。
つぎに、被申立人は、本件処分自体によつては申立人らの権利または利益に何らの
影響もなく、また、埋立工事についても、現在の工事技術によれば海水の汚濁を防
止することが可能であるから申立人らには申立人適格がないと主張する、。なるほ
ど、本件処分は、参加人に対し、公有水面埋立の権利を設定するものであつて、処
分自体により申立人らの権利または法律上保護すべき利益につき直接の変動を生じ
させるものではない。しかし、行政処分によつて権利の設定を受けた者が、当該処
分につき本来予想された方法によりその権利を実現する場合に、これによつて、第
三者の権利または法律上保護すべき利益が侵害されるに至るときは、右権利または
利益の侵害は、結局当該行政処分によつて生ずる侵害にほかならないというべきで
あつて、かかる場合には、当該第三者に、右行政処分の効力を争う適格が認められ
ると解するのが相当である。そして、本件埋立工事は、参加人が、本件処分によつ
て設定を受けた公有水面の埋立に関する権利を本来予想された方法によつて実現す
るものにほかならないから、右工事によつて申立人らの権利につき前述の如き影響
がある以上、本件につきその申立人適格を肯認すべきことは当然である。また、右
工事から生ずる汚染については、工事の方法および技術のいかんによつて相当程度
軽減できるにしても、現時の技術水準をもつてすれば、本件埋立工事による海水汚
濁を本件工事海面以外にはいささかも及ぼすことなく埋立工事全部を実施できるも
のとは、本件全疎明資料によつても到底認めることができない。
被申立人は、さらに、本件埋立工事完成後における堤防等の諸施設が存在すること
から生ずる侵害および伊達火力発電所の操業に伴う取水、温排水等による侵害を根
拠としても、申立人らに申立人適格を肯定する余地がなく、また、環境権に対する
侵害を根拠としてもこれと同様である旨主張するが、前述のように、本件埋立工事
自体による侵害に基づいて申立人適格を肯認できるのであるから、右の点について
は判断のかぎりでない。
二 申立人らに回復困難な損害が生ずるかどうかについて
1 本件埋立工事による漁業被害について
本件各疎明資料によると以下の事実が一応認められる。すなわち、(一) 本件処
分による埋立の対象となつた公有水面の面積は三万三、七九五・九〇平方メートル
であるが、参加人の計画によれば、本件埋立工事は、参加人が建設する伊達火力発
電所の冷却用水取水のための取水口外かく施設建設工事の一環であつて、参加人
は、右公有水面を含むエントモ岬東南側海岸沿いの海面に、埋立護岸(延長四一
〇・〇メートルの東護岸および取付護岸とこれらに囲まれる埋立地)、延長一〇
九・〇メートルの東防波堤、取水口、取水路、物揚場、荷置場ならびに延長一六
五・〇メートルの西防波堤の各施設を築造するものであつて、右各施設で囲まれる
公有水面の面積は約一二万平方メートルにおよぶこと、
(二) 右取水口外かく施設の建設工事のうち、護岸および防波堤の工事は、まず
その基礎部分とするために多量の石材(捨石)を海中に投じて海底より積み上げ、
ついで、その上層の堤体傾斜面にコンクリート製の消波ブロツクを積み上げ、さら
に、天端部分に上部コンクリートを打設するものであるが、右工事は、昭和四八年
七月ころ開始され、同年一〇月末ころまでに東護岸および東防波堤工事について
は、天端部分のコンクリート打ちを除く大部分の工程を終了したこと、
(三) 右捨石工事につき、参加人の計画によれば、海中に投ずべき石材をあらか
じめ洗浄するというのであるが、参加人の実施した洗浄の方法は、トラツクの荷台
に石材を積んだままの状態で上から放水するものであつて、必ずしも万全の方法と
はいい難く、右洗石の効果がどの程度挙がつたかは明らかでないが、右捨石工事自
体による海底土砂のかく乱およびこれによつて生じた海水汚濁の範囲は比較的小規
模のものであつたこと、(四) 東護岸、取付護岸および取水口設備等の工事が終
了した後、これらに囲まれた海面の埋立が行なわれるが、右埋立工事は、取水口外
かく施設内であつて、取水口設置予定地付近から東西両防波堤設置予定地の先端付
近に至る海域の海底を吸込口にホイールカツターを取付けたポンプしゆんせつ船に
よつて水深七メートルにしゆんせつし、穿掘吸引した土砂を海水とともに埋立予定
地に流送する方法によつて行なわれるものであつて、その際、しゆんせつ船で吸引
された土砂は、四つの沈澱池に区画された埋立予定地の第一の沈澱池に排出され、
第一の沈澱池から溢れた海水は順次第二ないし第四の沈澱池に送られ、この間に徐
々に土砂が沈澱されて最後に第四の沈澱池の上澄みが溢流装置な経て外海へ放出さ
れること、そして、第一の沈澱池の容量が満たされたときは吸引された土砂は第二
の沈澱池に排出され、第二の沈澱池も満たされたときは第三の沈澱池に排出され、
かくして最後は第四の沈澱池に直接土砂が排出され、これを満たすことによつて埋
立を終了するが、この間において、しゆんせつを要する土砂の量が埋立に要する土
砂の量を上回るので、沈澱池に堆積した土砂の一部を陸揚げすること、しゆんせつ
にはいくつかの方法があるが、いずれによつても海底のかく拌を伴うから、これに
よつて海水に汚濁を生ずることは避けられないのであるが、右のホイールカツター
を用いるポンプしゆんせつによるときは、他の方法によるしゆんせつに比べれば海
底の土砂のかく乱をある程度緩和することができること、他方、沈澱池からの海水
の放出による汚濁のおそれについては、四つの沈澱池を設けたことにより、汚濁水
がこれを経由することによつて土砂の沈澱が反覆され、放出される海水の浄化に効
果があることは否定でぎないが、これによつて、外海における漁業に支障をきたさ
ない程度に海水が浄化されるとまでは認めることができず、まして、第一ないし第
三の沈澱池の容量が満たされた後に第四の沈澱池にしゆんせつされた土砂が直接排
出された場合、そこから放出される上澄みの海水が外海に支障をきたさない程度の
ものであるとは到底認め難いこと、(五) 以上の捨石およびしゆんせつ各工事に
あたつては、工事の進行状況にあわせて工事施行箇所をとり囲むように海水汚濁の
拡散を防止するためのシートが設置され、ことにしゆんせつ工事が行なわれる際に
は、工事が行なわれる海域全体を外海から遮断するシートのほかに、沈澱池からの
放出口をとり囲む小規模のシートをも設置する計画であり、参加人は、この計画に
基づき、昭和四八年八月一二日、東護岸および東防波堤工事の一部である前記捨石
工事を開始するにあたり、この工事海域をとり囲むシートを設置したうえで右工事
を施行したこと、しかし右シートは、同年一〇月二八日、しけのためその相当部分
が破損し、汚濁の拡散を防止する機能を失つたので、参加人はその後捨石工事の続
行を中止していること、右シートが海水中の浮遊懸濁物を遮断する能力について
は、シートの材質や設備全体の構造からみても、また、海面の表層および中層の浮
遊懸濁物の遮断については相当効果を発揮する旨の実験結果があり、さらに、海上
から海面を肉眼で見た場合に海水の濁りがシートであきらかに遮断されていると認
められた例もあるので、これらの点から考えても、海面が平穏な時には、表層およ
び中層においてかなりの効果を発揮するものとみられるが、荒天時におけるシート
の耐久性については前述した破損の例から考えても問題があり、さらに、シートの
底部は、海底に一定の間隔で設置されたコンクリートブロツクに長さ約一ないし
一・五メートルのワイヤロープを介してつながれているのみであつて、海底とシー
トの底部との間には間隙があり、ここからの海水の移動に伴う浮遊懸濁物の流動も
考えられるので、海底付近の層においては、表層および中層と同程度の遮断効果は
期待できないこと、
(六) 前記しゆんせつが行なわれる海域の海底は、大部分が砂質であり、部分的
に細かい砂ないし泥とみられる箇所も存在するが、ヘドロの堆積を推測させるよう
な状況はないこと、(七) 本件埋立地付近の海流は、噴火湾全体の大きな潮流と
しては年間を通じて南東流(時計廻り)が卓越しているとみられ、夏期においては
それが全体の約八〇パーセントを占める場合もあるが、沖合七〇〇ないし八〇〇メ
ートルより以浅の海域における沿岸流は複雑な様相を呈し、夏期においても北西流
(反時計廻り)を生ずる場合が南東流を生ずる場合よりも多いことがあり、また、
流れの方向も一様ではなく、わずかの位置の相違によつて流れの方向を異にし、流
れが沖から岸へあるいはその逆に向かつている場合もあること、
(八) 有珠申立人らの漁法は、沿岸部においてはノゾキ箱を利用するウニ、ナマ
コ、アワビ、ホタテ、昆布等の磯突き漁業とホタテ、ノリ、ワカメ、昆布、アワ
ビ、ウニ等の養殖漁業に大別され、海水が濁ると、磯突き漁業においては、視界が
狭くなるために操業に支障をきたすし、また、養殖漁業においても、その種付け作
業が困難となつたり、貝類および海藻類の成育が不良となるなどの影響を受けるこ
と、
以上のとおり疎明される。
以上の各事実によると、本件埋立工事の施行により、洗石、ポンプしゆんせつ、沈
澱池の設置等の汚濁防止方法の採用にもかかわらず、本件工事海面内の海水に汚濁
を生ずることは避け難く、しかも右汚濁は、海流の影響等による海水の移動により
拡散して本件工事海面の外側の海域に及び、その海水を汚染させるおそれがあるの
であつて、汚濁防止シートの設置もこの汚濁の拡散を防止するのに必ずしも万全で
はないというべきである。そして、本件工事海面外の海域における海水の汚濁が一
定限度以上に達した場合には、右海域における申立人らの漁業が被害を受けること
が予想されるから、結局本件埋立工事により申立人らの漁業に何らかの影響を及ぼ
す可能性を否定することができないというほかはない。しかし、前記捨石工事が施
行された過程において、同工事によつて生じた海水の汚濁が本件工事海面外の海域
にまで拡散して申立人らの漁業に影響を及ぼしたことを疎明するに足りる資料はな
く(この点に関し、本件資料中の有珠申立人らの作成による供述書のうちには、昭
和四八年秋になつて海中に濁りを生じたため磯突き漁業が困難になつた旨の記載が
存するものがあるが、右が本件捨石工事に起因するものかどうかは必ずしも明らか
でない。)、また、昭和四九年春以降に予定されているしゆんせつ工事によつて
も、これによつて生ずる汚濁により本件工事海面外の海域を汚染させる可能性があ
ることは否定できないにしても、その及ぶおそれのある海域は、本件工事海面の面
積および工事の方法から考えると必ずしも広範囲なものとは考えられないし、その
汚染が、申立人らの営む漁業に対し、将来にわたり漁業を営むこと自体を不可能に
するほどの壊滅的な打撃を与えるとか、長期間にわたり大幅な漁獲の減少を招くほ
どの程度にまで達するおそれがあるとは、全疎明資料によつても認めることができ
ない。しかも、本件処分には、昭和五〇年一二月三一日までに工事を終了すべき旨
の付款が付され、参加人の計画によれば、しゆんせつ工事に要する期間は、七か月
にすぎないのである。そして、かりに、申立人らが本件埋立工事の影響によりある
程度の漁獲の減少を生じ、もつて損害を蒙ることがあつても、右損害は、原則とし
て金銭賠償によつて償うことができる性質の損害であるといわなければならない。
これを要するに、本件埋立工事により、申立人らの営む漁業に影響があつても、そ
の程度、影響が及ぶ期間および回復の難易を綜合して考察すれば、未だその影響が
回復困難なものというに足りないのである。そうとすれば、結局、本件埋立工事に
もとづく海水の汚濁により、申立人らに対し、行政事件訴訟法第二五条第二項にい
う回復困難な損害を生ずるものということができない。
なお、申立人らは、前記捨石工事によつて本件埋立地付近に赤潮が発生した旨主張
するところ、本件疎明資料によれば、昭和四八年九月に噴火湾内に赤潮が発生した
ことが認められるが、この赤潮は、本件埋立地付近に局部的に生じたものではな
く、噴火湾一帯に大量に発生したものであつて、前記のごとき小規模の捨石工事と
右赤潮の発生との間に因果関係があるとは到底認められない。また、しゆんせつ工
事によつて海底の栄養塩等が浮上すると、これによつて赤潮が発生するとの見解が
あることは疎明資料によつて窺われるが、本件における程度のしゆんせつ工事によ
つても申立人らの漁業に影響を及ぼすほどの赤潮が発生するおそれがあるものと認
めるに足りる資料は存在しない。
2 本件埋立工事完成後の漁業環境の悪化について
申立人らは、本件取水口外かく施設が完成すると、防波堤等によつて生ずる返し波
により漁業が危険にさらされると主張するが、疎明資料によれば、防波堤は、その
位置および形状につき、返し波の発生をできるだけ少くするように考案されたもの
であり、また防波堤の外側の斜面には消波ブロツクを二層に積み上げることが計画
されていることが窺われるところ、右計画に則した施設が設けられた場合であつて
も、なお、これによつて申立人らの漁業に危険を及ぼすほどの顕著な返し波が生ず
るおそれがあるとの疎明は十分でなく、また、潮流および魚道の変化ならびに海底
の砂の移動についても、申立人らの主張する影響を生ずるといえるだけの疎明がな
い。したがつて、右の点についても、結局申立人らに回復困難な損害を生ずるもの
ということはできない。
3 取水および温排水による被害について
伊達火力発電所が完成し、操業が開始されると、本件埋立地の一画に設けられる取
水口から冷却用水がとり入れられ、これが温水となつて本件埋立地の東南約一キロ
メートルの海岸に設けられる排水口から海中に排出されることは本件疎明資料によ
つてあきらかである。そして、排出される温水は、周辺水域の水温に比べて夏は五
度C、冬は七度C高く、その量は毎秒二二立方メートルに達することが予想されて
いるのであるから、この温排水により、排水口の周辺の海域(伊達申立人らが漁業
を営む海域)における漁業が影響を受けることはあきらかであり、また排水口から
は若干の距離はあつても、取水または温排水により、有珠申立人らが漁業を営む海
域にも影響が及ぶおそれがないとはいえない。しかし、本件埋立工事の施行によつ
て生ずる損害ないしは本件埋立工事により設置される施設の存在自体から生ずる損
害については、これを本件処分によつて生ずる直接の損害ということができるが、
右の取水または温排水によつて生ずる損害については、これを本件処分によつて生
ずる直接の損害ということができず、行政事件訴訟法第二五条第二項にいうところ
の損害に該当しないと解するのを相当とする。けだし、本件埋立工事が行なわれな
いかぎり、伊達火力発電所の他の設備が完成しても、取水および排水が行なわれる
ことはないのであるから、この意味では本件処分と右取水および排水とは関連を有
するけれども、このような取水、排水の如きは、海面の埋立に通常伴うものではな
く、本件処分自体も、参加人に埋立の権限を付与したのみであつて、取水、排水の
許否に触れたものではないのであり、かつ、排水による海水の汚濁の防止について
は、行政庁による規制が別途に講じられるのであつて(一般には、水質汚濁防止法
によるが、同法第二三条第二項は、電気事業法第二条第七項に規定する電気工作物
からの排出水については、水質汚濁防止法に定める行政取締規定を適用しないこと
としているため、これについては電気事業法によることとなり、同法第四一条第三
項による工事計画の認可により電気工作物の設置自体について規制がなされるばか
りでなく、同法第四八条、第四九条により、その維持についても、電気事業者は、
一定の基準に適合させることを義務づけられ、これが遵守されないときは、通産大
臣は、電気工作物の使用の一時停止を命じ、またはその使用を制限することができ
るのである。)、取水または排水による影響については、むしろ、これらの行政庁
の処分と密接な関連があるというべきであるから、結局、本件処分は、取水または
排水による損害につき、直接の原因をなすものということができないからである。
4 本件埋立地の水面が消失することによる損害について
本件疎明資料によれば、本件埋立工事により、伊達申立人らの有する前記漁場のう
ち本件工事海面を含む約一二万五、〇〇〇平方メートルの海域が漁場としては、永
久に消滅することがあきらかである。しかしながら、本件疎明資料によると、右消
滅海域の面積は、同申立人らが漁業を営む海共第一三五号の海域の約四〇〇分の一
以下、同海区第四八号の海域の約二〇〇分の一以下にすぎず、しかも、右消滅海域
は、右海岸の近くにし尿処理場が建設されてその汚水が流入するようになつてから
は、よい漁場とはみられなくなり、同申立人らも近年においてはほとんど同海域を
漁場として利用していなかつたことが疎明され、これらの事実から考えると、同申
立人らの有する全漁場のうち右消滅海域の漁場が永久に消滅することをもつて、行
政事件訴訟法第二五条第二項にいう回復困難な損害を生ずるものということはでき
ない。
なお、申立人らは、右消滅海域が藻場として重要な意味を持つている旨主張する
が、右海域の藻場としての価値については疎明が十分でない。
5 環境権に対する侵害について
申立人らは、本件埋立工事により、本件埋立地およびその周辺一帯における景観、
自然環境等が破壊され、環境権が侵害される旨主張するが、申立人らのいう環境権
の内容がいかなるものであるかが既に問題であり、かりにこの点をしばらくおくと
しても、右埋立工事が、前述のとおり比較的小規模のものであり、また、本件埋立
地付近の海面および海岸一帯は、し尿処理場や工場および鉄道護岸の存在等によ
り、自然環境として噴火湾沿岸の各地方と比較して格段に良好であるとは必ずしも
いえないし、しかも、築造される東西の防波堤および埋立地上には、特に景観や自
然環境を損なうような構築物の建設が予定されているわけではない(これらは、い
ずれも疎明資料によつて窺われる。)から、本件埋立工事がもたらす景観や自然環
境への影響を目して回復困難な損害ということはできない。また、伊達火力発電所
の操業に伴う大気汚染による被害については、さきに温排水による被害について説
示したところと同じ理由により(ただし、大気汚染に対する行政庁の規制は大気汚
染防止法による。)、本件処分によつて生ずる直接の損害ということができない。
6 まとめ
以上の次第であるから、いずれの点からみても、本件処分により、申立人らに対
し、回復困難な損害を生ずるものということはできない。
三 以上によると、本件申立てはその余の点につき判断するまでもなく理由がない
からこれを却下し、申立費用について民事訴訟法第八九条、第九三条を適用して、
主文のとおり決定する。
(裁判官 橘 勝治 稲守孝夫 大和陽一郎)
申立人らの執行停止決定申立書の要旨
申立の趣旨
一、被申立人が昭和四八年六月二五日北海道電力株式会社に対し港湾第二九号指令
をもつてした伊達市<以下略>および<以下略>ならびに国有鉄道用地の地先海面
三三、七九五・九〇平方メートルの公有水面埋立免許処分の効力は、本案判決が確
定するまでこれを停止する。
二、申立費用は被申立人の負担とする。
との裁判を求める。
申立の理由
第一、被申立人は昭和四八年六月二五日、北海道電力株式会社に対し、伊達火力発
電所新設工事に伴う取水口、取水路、物揚場、荷置場等の施設用地造成のため申立
の趣旨一項の公有水面について、埋立免許を与え、同日から三〇日以内に埋立工事
に着手すべぎことを命じた。
第二、申立人目録日の申立人らは、伊達漁業協同組合の正組合員であり同目録
(二)の申立人らは有珠漁業協同組合の正組合員である。
伊達漁業協同組合は、申立の趣旨一項の本件公有水面を含む海域に第一種区画漁業
権(海区第四八号)および第一ないし第三種共同漁業権(海共第一三五号)を有す
る。
有珠漁業協同組合は、伊達漁業協同組合の漁場と隣接した海域に第一種区画漁業権
(海区第四七号)および第一ないし第三種共同漁業権(海共第一三四号)を有す
る。
申立人らはそれぞれ所属漁業協同組合の正組合員として、所属漁業協同組合の漁業
権行使規則により、前記各海域で漁業を営む権利を有する。
第三、本件埋立免許の違法性。
一、本件埋立免許は、本件公有水面に権利を有する者がないことを前提としている
が、伊達漁業協同組合は、本件公有水面に共同漁業権を有する。
1 被申立人は、北海道電力株式会社と伊達漁協との間に昭和四七年六月三〇日に
締結された漁業権一部消滅とその補償に関する協定により、同漁協の漁業権は一部
消滅したと認定しているものの如くであるが、右漁業権消滅に関する協定は無効で
ある。すなわち
2 伊達漁協では、昭和四七年五月三一日に開催された総会で、漁業権放棄を賛成
一〇三票、反対四三票で議決したが、この議決は次の理由で当然無効である。
(一) 水産業協同組合法五〇条は、漁業協同組合が漁業権を放棄するには、総会
で総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必
要とする旨定める。しかし、漁業を営む権利は、漁民にとつては生存の基礎をなす
生活権的財産権である。前記法律の規定は多数者により少数者の生活権を奪う結果
となることを認める点で、憲法二五条、二九条、三一条に違反し、無効である。
(二) 仮にそうでないとしても、漁業協同組合がその有する漁業権(またはその
一部)を放棄するには、水産業協同組合法五〇条による総会の特別決議だけでは足
りず、漁業権行使規則の変更の場合と同様特定区画漁業権または第一種共同漁業を
営む組合員のうち地元地区または関係地区内に住所を有するもの(本件の場合は伊
達漁業協同組合の組合員全員)の三分の二以上の書面による事前の同意が必要であ
ると解すべきである(漁業法八条三項、五項)。しかし、右伊達漁協の総会決議の
場合にはこの書面による同意がないから、本件漁業権一部放棄の決議は無効であ
る。
(三) 右伊達漁協の漁業権一部放棄の決議は、錯誤に基く意思表示であるから、
無効である。北海道電力株式会社伊達火力発電所建設に伴う漁業影響については、
昭和四六年七月、日本水産資源保護協会が伊達市から調査を依頼され、同年一二月
「中間報告」を発表した。中間報告は(1)温排水の拡散範囲について、七度温度
の高い温排水が毎秒二二立方メートル放出された場合、海水より一度温度が高くな
る表層水(一メートルの厚さ)は半径七八〇メートルの半円形の範囲をこえ分布す
ることはなく、潮流による移動を考慮しても、放水口から海岸線の左右に一、五〇
〇メートルの距離をこえることはない旨、(2)冷却水取水によるホタテガイ浮遊
幼生の減耗は四・六パーセント以下となる等、実際より影響が小さくなるとの誤つ
た見解を打出していた。伊達漁協の組合員の大部分は右中間報告を権威ある専門家
の正確な調査として受入れ、漁業への影響は、少ない旨誤信した結果、前記のよう
な決議に至つたものであり、この錯誤は意思表示の重要な部分に関するから決議は
民法九五条により、無効である。
二、本件公有水面の埋立により、有珠漁業協同組合は、その組合員の生活の基礎を
なす漁業権に重大な影響を受けるが、被申立人は本件埋立免許をするについては、
有珠漁協に告知聴問の機会を与えていない。本件埋立免許は、憲法二九条、三一条
に違反し、無効である。
本件公有水面の埋立により、有珠漁協の漁業権は次のような各種影響を受ける。
1 工事中の被害
本件埋立免許の対象は、面積三三、七九五・九〇平方メートルの公有水面である
が、北海道電力株式会社は、右公有水面を含むエントモ岬東側海岸沿いに、面積約
一二〇、〇〇〇平方メートルの取水口、取水路および資材陸揚げのための小型港湾
を築造する計画である。施工方法は、防波堤用の石材を海中に投入してこれを積上
げ、水路となる部分を水深約七メートルまでサンドポンプ方式で掘り下げ、汲み上
げた泥土を埋立に使用しようとするものである。この海域の海底には、長流川の汚
濁水中の滞留物、し尿処理場および志村化工、北海道糖業の各工場の廃水中の滞留
物等のヘドロの堆積が多い。このヘドロが石材の投入、海底の掘さく等によつて浮
上し、海水と混合してこの海域全体が汚濁する。
北海道電力株式会社は埋立工事にあたつては工事区域の外周を汚濁フエンスで囲み
汚濁水が工事区域外に流出するのを防止すると説明しているが汚濁フエンスは、汚
濁水の流出を完全に防ぐことはできない。
長和地先の接沿岸流は、北西流(北西に向う流れ、伊達漁業海域から有珠漁業海域
に向う流れ)が圧倒的に多いから、汚濁水はエントモ岬をこえて有珠漁協の海域に
流入する。
汚濁水は、養殖及び天然のホタテ、ウニ、アワビ、コンブ、ワカメ、ノリなどの漁
貝草類に泥土を付着させその成長を阻害するばかりでなく、窒息枯死させる。とく
に幼い種苗、種貝への影響が大きい。刺し網、定置網養殖施設自体も泥土が付着す
ると使用不能となる。
泥土が海底に堆積すると海況に変化を来す。エントモ岬からアルトリ岬までの間の
海域は有珠漁協の主力養殖漁場でありここの養殖漁業は壊滅的な被害を受けるおそ
れがある。また汚濁水で海水が濁ると磯突き漁業(のぞき箱で海底をのぞいて、や
すで、ウニ、ナマコ、ホタテなどをとる)も不可能となる。
2 工事完成後の漁業環境悪化
本件埋立による小型港湾が完成すると本件埋立部分の南側に東西にのびる長さ約五
一九メートルの護岸および防波堤とエントモ岬から南東に長さ約一六五メートルの
防波堤かできる。この護岸および防波堤は「返し波」をひき起し、エントモ岬周辺
における小型漁船の航行を困難にし、転ぷくの危険さえ生じる。
小型港湾の出現で海岸の地形が変るため、潮流に変化を来し漁道にも影響が生じ
る。
3 取水による被害
本件公有水面の埋立は、北海道電力株式会社の伊達火力発電所の冷却用水の取水
口、取水路、物揚場等の施設用地の造成を目的とする。取水する海水の量は毎秒二
二トン、一日約一九〇万トンに達する。冷却用に取水された海水は、タービンの復
水器を通るときの急激な温度上昇(八度ないし一四度)、かく乱、および塩素ガス
の混入(水器の内側に貝類が付着するのを防ぐため)により、その中に生存するプ
ランクトン類やホタテの稚貝(浮遊幼生)の大半が死滅する。ホタテの養殖は伊
達、有珠両漁協の有力な漁業対象であり、噴火湾は我国のホタテ種苗の唯一の供給
地である。プランクトンの減少は、これを餌にしている漁貝草類の生育に悪影響を
及ぼす。大量の海水の取水は、周辺の漁業資源を減少させる。たしかに、取水口は
伊達漁協に建設されるが、取水口と有珠漁協の漁場との距離はわずか四〇〇メート
ル程度であり、海水は常に流動しているものであるから、取水によつて有珠漁協の
漁場の漁業資源が減少するのは免れない。
4 温排水による被害
取水された海水と同し量の温排水が海中に放出される。温排水は タービンの復水
器を通るときに温度が上り、伊達火力発電所排水口では北海道電力株式会社の説明
によつても夏季五度C、冬季七度C海水より温度が高くなる。魚貝草類は、一般に
少しの温度差にも敏感に反応する。温排水の排水口は伊達漁協の漁場内に建設され
るが、その位置は有珠漁協の漁場から約一、六〇〇メートルしかはなれていないう
え、長和地先の接岸流は北西流が卓越しているから、温排水は有珠漁協の漁場に達
し、漁業環境に種々の悪影響をひき起す。室蘭地区水産業改良普及所が実施した苦
小牧共同火力発電所(昭和四六年五月運転開始、出力五〇万キロ)排水口地先海域
におけるホツキ貝資源調査によれば温排水放出前の昭和四五年一〇月の資源量にく
らべ、昭和四八年三月の資源量は約三二パーセントに減少し、そのうちとくに年令
五才以下の若令貝は、昭和四五年当時の約一一パーセントと著しく減少している。
公有水面埋立法五条は、公有水面に権利を有する者の範囲を公有水面の占有権者、
漁業権者、入漁権者、法令または慣習により公有水面より引水をし、または公有水
面に排水をする者と列記するが、以上述べた各種被害状況から考えると、有珠漁協
は、本件公有水面において引水または排水する者と同程度またはそれ以上重大な利
害関係を有し、公有水面埋立法によつて保護される資格があると解すべきである。
三、本件公有水面埋立の免許は、埋立による影響について十分な事前調査をしない
で、なされた。
公有水面の埋立は、単にそこで漁業を営むに影響を与えるだけでなく、自然を破壊
し、環境変化につながるものである。
被申立人は本件埋立免許にあたつては、事前に漁業および自然環境に与える影響に
ついて、十分な科学的調査を尽すべきであつたのにこれを怠つた。行政は環境保全
について責任を負う、環境権は手続面からみると行政に対し環境に影響を与える行
為をする場合には事前に充分な科学的調査をすることを義務づける。従つて本件埋
立免許は違憲無効である。
四、本件埋立免許は申立人らを含む住民の環境権を侵害し、公益性の原則にも違反
する。
1 本件公有水面の埋立は、北海道電力株式会社の伊達火力発電所の取水口等の施
設建設を目的とする。
同発電所は、出力七〇万キロワツト、使用重油のいおう含有率は、現在の公害防止
協定では一・七パーセント以下であり排出いおう酸化物の量は、脱硫装置の効果や
稼働率を考慮しないとすれば、年間約四七、〇〇〇トンであり、稼働率を七〇パー
セントとすれば三三、〇〇〇トンである。いおう酸化物、ばいじんおよびその複合
による大気汚染が必然的に発生し健康被害、農業被害、漁業被害を引き起す。
2 伊達地方は、北海道の西南部噴火湾に面し、支笏洞爺国立公園を含み冬期の積
雪も少なく、温暖で「北海道の湘南」「緑と太陽のまち」といわれている。気象条
件に恵まれ、昼夜の温度差が少なく、良質な土壌と相まつて農作物の作付種類も多
く、野菜の特産地である(北海道における早出し野菜の唯一の供給地である)。
漁業ではとくに有珠近海の底質は岩石で形成され、幾多の島に恵まれ、海澡の種類
が豊富で繁茂は他に類を見ない。コンブ、ワカメ、ノリ、ホタテ、ウニ、アワビ等
の養殖が盛んで噴火湾地域は急速に北方栽培漁業の基地に発展している。
伊達市には、ぜんそく児童のための有珠優健学園、精神薄弱者総合援護施設である
道立太洋の園、伊達赤十字病院等があり、北海道の保養地として、ぜんそく等に苦
しむ人々が保養療養に来ている。このような自然環境に恵まれた伊達地方を前記の
ような大規模な火力発電所による公害で汚染することは許されない。
3 電源の開発は、他にとりうる手段がある点で代替性があるが生命、健康は勿
論、自然環境も一度破壊されると、とり返しがつかない。自然破壊が進んでいる我
国では、良い自然を残すことこそ公益に合致する。
本件公有水面の埋立は、伊達火力発電所の建設工事の一環であり、これと一体をな
す関係にある。
第四、申立人らの以上の主張に対し、次のような反論があるかもしれない。本件公
有水面の埋立は、伊達火力発電所の取水口等の施設建設を目的とするから、土地収
用をすることができる事業のため必要な場合に該当し、公有水面埋立法四条三号に
より、権利者の同意がなくても、適法に埋立免許をすることかできる。しかし、こ
の見解は誤りである。私有財産権を収用するときは、たとえそれが公共の目的のた
め必要な場合であつても、必ず事前に利害関係人に告知聴聞の機会を与えなければ
ならないことは憲法二九条、三一条の要請である。公有水面埋立法の右条項は 私
有財産に属する漁業権等を権利者に告知聴聞の機会を与えずに収用することを認め
ていると解釈される限度で、違憲無効である。
第五、埋立工事の着手により、直ちに申立人らの漁場は悪影響を受け、とくに申立
人目録(一)の申立人らの漁場は埋立が完成すれば埋立部分について永久に消滅
し、原状回復は不可能となる。海岸のような自然環境も一度破壊されてしまうと元
に戻すことは著しく困難である。これらの損害を避けるため、緊急に本件埋立免許
処分の効力を停止する必要がある。
別紙、被申立人の意見書要旨及び当事者目録(省略)

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