弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役4年に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,妻のAと共に,長年,娘のBの面倒を見てきた。被告人夫婦は,重度
の強迫性障害を有するBから生活全般について様々な制約を受けていたところ,被
告人は,平成20年頃から,事態を根本的に解決するにはBを殺害するしかないと
考えるようになった。平成28年1月頃,心臓に病を抱えていたAの体調が悪化し,
被告人は,同年2月の担当医師とのやり取りから,Aに医師の診察を受けさせなけ
れば,適切な薬の処方を受けられなくなる,処方された薬が切れる同年3月にAを
病院に連れて行くことをBが拒めば,Bを殺害するしかないと考えた。被告人は,
同月4日,病院に行こうとAに声をかけたが,Aがこれを拒んだので,BがAの外
出を許さなかったためであると考え,Bを殺害することを決めた。そこで,被告人
は,同月5日午前2時15分頃から同日午前3時過ぎ頃までの間に,札幌市a
区・・・・・北西側駐車場に駐車中の自動車内において,B(当時●●歳)に対し,
殺意をもって,頸部を手で絞め付けるなどし,よって,その頃,同所において,同
人を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害した。
(法令の適用)
罰条刑法199条
刑種の選択有期懲役刑
法律上の減軽刑法42条1項,68条3号
未決勾留日数の算入刑法21条
訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
被告人は,事前に自動車のシートを倒しておくなどの準備を整え,頃合いを見計
らって,抵抗する被害者を自動車に連れ込んで押し倒し,助けを求める被害者の姿
を見ながら,約30分間その首を絞め続けて殺害したのであって,強い殺意に基づ
く犯行である。被害者の生命が失われた結果が重大であるのはいうまでもない。
被告人は,30年以上にわたり,強迫性障害を治す意思がない被害者と生活を送
り,その面倒を見続けた中で,被害者との生活,妻や被害者の将来について悩み,
被害者を殺害するしかないとまで思い詰めたのであって,その経緯には理解できる
面がある。しかし,被告人は,被害者の問題について警察や行政機関に相談をした
ことはあったものの,被害者の意向に反してまで公的な支援等を受けようとは考え
ず,被害者を抱えたままの生活を送らなければならない状況を根本的に解決したい
と思うあまり,平成26年以降は被害者の問題を一人で抱え込み,社会の中で被害
者の病気とともに歩む道を選ばなかった。そして,体重が激減した被害者の健康状
態を少しでも改善するための治療を結局受けさせることもないまま,妻にすら相談
せずに被害者を殺害したのであって,その経緯を酌むべき事情として考慮するにも
限度がある。
以上の事情に加え,被告人が自首した上で素直に事実関係を認めていること,他
方で実の父親に殺された被害者の無念さと十分に向き合っているとは言い難いこと
などを考慮すると,被告人に対しては,刑の執行を猶予すべきではないが,減軽し
た上で,懲役4年の刑を科すのが相当である。
(求刑懲役7年)
平成28年7月15日
札幌地方裁判所刑事第2部
裁判長裁判官中桐圭一
裁判官結城真一郎
裁判官北島睦大

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