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判決言渡平成19年1月30日
平成18年(行ケ)第10214号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成19年1月18日
原告株式会社アクティブ
訴訟代理人弁護士矢野千秋
被告特許庁長官
中嶋誠
指定代理人阿部寛
同芦原康裕
同岡田孝博
同内山進
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が不服2003−10929号事件について,平成18年4月4日に
した審決を取り消す。
第2事案の概要
原告は,後記特許の出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これに対す
る不服の審判請求をしたが,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,その
取消しを求めた事案である。
第3当事者の主張
1請求の原因
(1)特許庁における手続の経緯
原告は,平成12年4月12日,名称を「外壁清掃方法,外壁塗装方法お
よび外壁施工方法」とする発明につき特許出願(以下「本願」という。公開
特許公報は特開2001−292934号〔甲15)をし,その後平成〕。
15年3月10日にも,特許請求の範囲の記載等を変更する補正(甲4。以
下「本件補正」という)をしたが,特許庁が拒絶査定をしたため,平成1。
5年6月13日,これに対する不服の審判請求をした。
特許庁は,上記審判請求を不服2003−10929号事件として審理し
た上,平成18年4月4日「本件審判の請求は,成り立たない」との審,。
決をし,その謄本は平成18年4月18日原告に送達された。
(2)発明の内容
本件補正後の特許請求の範囲は,請求項1∼3から成るところ,その請求
項1の発明(以下「本願発明」という)の内容は,下記のとおりである。
(甲4。下線部は補正に係る部分。。)

「ロープの一端側を壁面の上方に取り付け,前記ロープの他端側を壁面に沿っ
て垂らし,作業者の安全帯に取り付けて使用するロリップ(登録商標)を前
記ロープにスライド可能に取り付け,前記ロリップ(登録商標)を前記ロー
プに沿って降ろしながら,前記ロリップ(登録商標)により作業者が支持さ
れた状態で洗浄器具により壁面を清掃することを特徴とする外壁清掃方
法」。
(3)審決の内容
ア審決の内容は,別添審決写しのとおりである。
その要点は,本願発明は,下記刊行物に記載された発明及び周知の技術
に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,特許法29条2
項により特許を受けることができない,としたものである。

刊行物1:実願昭54−146996号(実開昭56−65051号)
のマイクロフィルム(乙4。ここに記載された発明を以下「引
用発明1」という)。
刊行物2:実用新案登録第3036143号公報(乙8。ここに記載さ
れた発明を以下「引用発明2」という)。
イなお審決は,上記判断に当たり,引用発明1の内容と,同発明1と本願
発明との一致点及び相違点を次のとおり認定した。
<引用発明1>
「吊下ロープ(1)の一端側を外壁面の上方に取り付け,該吊下ロープ
(1)の他端側を壁面に沿って垂らし,作業用ゴンドラ(3)に備えら
れた牽引機構(2)が前記ロープ(1)にスライド可能に取り付けられ,
作業用ゴンドラ(3)を前記ロープ(1)に沿って昇降させながら,作
業用ゴンドラ(3)に乗った作業者が外壁面の外装を行う外壁面外装方
法」。
<一致点>
「ロープの一端側を壁面の上方に取り付け,前記ロープの他端側を壁面に
沿って垂らし,作業者が該ロープに沿って移動しながら外壁面に対して
作業を行う作業方法」である点。。
<相違点1>
本願発明は,作業者の安全帯に取り付けて使用するロリップ(登録商
標)をロープにスライド可能に取り付け,前記ロリップ(登録商標)を
前記ロープに沿って降ろしながら,前記ロリップ(登録商標)により作
業者が支持された状態で作業を行うのに対して,引用発明1は,作業用
ゴンドラに備えられた牽引機構がロープにスライド可能に取り付けられ,
作業用ゴンドラをロープに沿って昇降しながら,作業用ゴンドラ(3)
に乗った作業者が作業を行う点。
<相違点2>
本願発明は,作業者が洗浄器具により壁面を清掃する外壁清掃方法で
あるのに対して,引用発明1は,作業者が外壁面の外装を行う外壁面外
装方法である点。
(4)審決の取消事由
しかしながら,審決は,相違点1の判断を誤ったものであるから,違法
として取り消されるべきである。
ア本願発明の構成及び作用効果
本願発明の構成は,前記のとおりであり,本来安全装置であるロリップ
を昇降用に転用するものである。そして本願発明は,かかる構成により,
外装施工の期間を短縮し施工費を抑えるという効果を有する。すなわち足
場を組んだりゴンドラを使用する等の必要がないことから工期も工事費も
4分の1程度に抑えることができ,多くの注文例が原告に殺到しており,
本願発明の工法を模倣する業者が相次いでいる。
本願発明がシンプルな構成であることから,いわば後知恵的に想到容易
としてはならない。それだけ容易でこれだけ効果的なものなら,ずっと以
前からロリップを使った作業方法が実施されていたはずであるからである。
また本願発明は,その構成からも明らかなように,垂直状態での実施に
限定されるものではなく,凹凸のある斜面,凹凸のない斜面,垂直面のい
ずれに対しても実施可能である上,作業者はいずれの場合も両足を踏ん張
った状態で力を込めて作業が可能であり,作業効率が向上する。これらの
効果は,後記ウ,エの乙3∼9のいずれにもないものである。
イ審決は「…引用発明2に接した当業者は,作業者の安全帯に取り付け,
て使用するロリップ(登録商標)により作業者を支持することができるこ
とは容易に理解できることである。したがって,当業者であれば,作業者
の支持手段として,引用発明1の作業用ゴンドラ(3)及び牽引機構
(2)に代えて引用文献2(判決注,刊行物2)に記載の胴締めベルト及
びロリップ(登録商標)を採用し,本願発明の相違点1に係る発明特定事
項とすることは当業者が容易に想到し得たことである(4頁9行∼1。」
5行)とする。
しかし,引用発明1で吊り下げているのはゴンドラであり,牽引機構は
ゴンドラを支えているのである。そして作業者はそのゴンドラに乗って作
業する。これに対し,本願発明で吊り下げているのは作業者であり,ロリ
ップは作業者を支えているのであるから,構成も要求される各部の強度も
全く異なっており,さらに,作業者の行える作業の種類や範囲も大きく異
なっている。
また,ロリップの強度は作業者が万一落下したとき作業者を支持するに
足りる強度を保持しているはずであるが,そうであるからと言って,異な
った用途,すなわち常時ロリップによって作業者を支えて作業を行うこと
に転用できるとはいえないし,ましてそれを全く構成も効果も異なるゴン
ドラと牽引機構に転用することを想到することは困難である。
ウ被告は,乙3∼5(特開2000−41907号公報〔乙3,刊行物〕
1〔乙4,特開平4−226617号公報〔乙5)を提出する。しか〕〕
し,これらは,本願発明と構成も作用効果も全く異なっている。すなわち,
乙3∼5は,いずれもゴンドラを用いて外壁施工を実施するものであり,
ゴンドラの設置に労力と時間を要し,施工期間の短縮や施工費の抑制に限
界がある。また作業現場までゴンドラを運搬せねばならず,運搬が困難な
奥地や岩場では実施が困難である。さらに,吊り下げ式のゴンドラである
ため,ほぼ垂直面でしか実施できず,凹凸のある斜面では全く実施不可能
である。
エまた被告は,乙6∼9(特開平10−280672号公報〔乙6,実〕
開平7−28570号公報〔乙7,刊行物2〔乙8,特開平1−24〕〕
9073号公報〔乙9)を提出する。〕
しかし,乙6には,足踏み式の吊り下げロープ用昇降移動装置が開示さ
れているが,これは本願発明と昇降移動装置という点が共通するだけであ
って構成は全く異なっており,構成上,凹凸のある斜面等では使用不可能
であり,ロリップを使用するものでもない。また,乙7∼9は,いずれも
落下事故防止のための安全器具に関わるものであり,本願発明と構成も作
用効果も全く異なる。
2請求原因に対する認否
請求原因(1)∼(3)の各事実は認めるが,同(4)は争う。
3被告の反論
審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
(1)本願明細書(甲1,15,4)の記載によれば,本願発明は,従来の建物
の周囲に足場を組み上げ,足場に上がって清掃,塗装または外壁施工を行う
方法では,足場を新たに組み上げるために施工期間がかかるとともに労働コ
ストが嵩み,結果として清掃等に要する施工費が高くなることから,外壁清
掃方法において,施工期間を短縮し,施工費を抑えることを課題とし,この
課題を解決するために,本願発明の構成を採用し,これにより,足場を組み
上げる必要をなくし,足場の組み上げに要していた施工期間を短縮するとと
もに労働力を削減することができ,外装の施工費を抑えることができるとい
う作用,効果を奏する発明であるといえる。
(2)一方,引用発明1の外壁面外装方法は,作業用ゴンドラを吊下ロープに沿
って昇降させながら作業用ゴンドラに乗った作業者が外壁面の外装を行うも
のであって,本願発明と同様に,足場を組み上げる必要がなくなり,足場に
組み上げに要していた施工期間を短縮するとともに労働力を削減することが
でき,外装の施工費を抑えることができる発明であるといえるから,本願発
明とは課題及び作用,効果が共通する。
また,引用発明1は,作業者の安全のために,吊下ロープにより作業用ゴ
ンドラを介して作業者を吊下する発明であるが,そもそも,ロープにより作
業者を吊下しながら高所作業する方法は従来から周知技術であり,作業者の
支持手段として,作業者の身体に巻き付ける帯や,作業者が座るようになっ
ているサドル,台など様々なものがあることもよく知られている(特開昭5
9−72354号公報〔乙10,実公昭50−11719号公報〔乙1〕
1,実願昭46−27385号(実開昭47−27228号)のマイクロ〕
フィルム〔乙12,特開昭49−9822号公報〔乙13〕参照。〕)
そうであれば,引用発明1において,足場を組み上げることなくビル等の
外壁面の作業を行うために,ロープに吊下する作業者の支持手段として作業
用ゴンドラ以外の支持手段,すなわち,作業者を支持できるものであればど
のような支持手段を採用してもよいことは,当業者であれば容易に理解し得
ることである(特開平11−350718号公報〔乙14〕の【従来の技
術】欄参照。)
(3)そして,引用発明2の作業者の安全帯に取り付けて使用するロリップが作
業者を支持できることは,その使用目的,機能からみて,当業者にとって自
明である。また,ロリップがロープに沿って可動であることは周知技術(特
開平10−280672号公報〔乙6(特に段落【0017,特開平1〕】)
−249073号公報〔乙9〕参照)であり,ロリップを,万が一の場合だ
けでなく,高所作業において常に作業者を支持する手段として用いることも
知られている(特開平10−280672号公報〔乙6(特に段落【00〕
17。】))
そうすると,作業者の支持手段として,引用発明1のロープに沿って昇降
する作業用ゴンドラ(3)等に代えて,引用発明2の作業者の安全帯に取り
付けて使用するロリップを採用して本願発明の相違点1に係る発明特定事項
とすることは,当業者が容易に想到し得たことというべきである。
(4)原告が主張する本願発明の作用効果は,引用発明1,2及び周知技術から
予測される範囲のものであって,格別なものではない。
なぜなら,上記周知技術であるロープにより作業者を吊下しながら高所作
業する方法(前記乙10∼13参照)は,その機能からみて,凹凸のある斜
面,凹凸のない斜面,垂直面で実施可能であり,また,作業者はいずれも両
,足を踏ん張った状態で力を込めて作業が可能であることも明らかであるから
作業者の支持手段として引用発明2の作業者の安全帯に取り付けて使用する
ロリップを採用した場合においても,本願発明と同様の作用,効果を奏する
ことは当業者であれば容易に予測できるからであり,また,引用発明1及び
上記周知技術であるロープにより作業者を吊下しながら高所作業する方法
(前記乙10∼13参照)は,いずれも足場を組み上げることなくビル等の
外壁面の作業を行うものであるから,本願発明と同様に,工期を短縮し,施
工費を低く抑えることができるからである。
第4当裁判所の判断
1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯,(2)(発明の内容,(3)(審決))
の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,原告主張の取消事由について判断する。
2取消事由について
(1)原告は,審決が「…引用発明2に接した当業者は,作業者の安全帯に,
取り付けて使用するロリップ(登録商標)により作業者を支持することがで
きることは容易に理解できる」から,作業者の支持手段として,引用発明1
の作業用ゴンドラ(3)及び牽引機構(2)に代えて刊行物2に記載の胴締
めベルト及びロリップ(登録商標)を採用し,本願発明の相違点1に係る発
明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである(審決4頁9
行∼15行,としたのは誤りであると主張するので,検討する。)
(2)ア本願発明の特許請求の範囲は,第3の1(2)記載のとおりであり,その
発明の詳細な説明(甲1,15,4)には次の記載がある。
(ア)発明の属する技術分野
「本発明は,外壁清掃方法…に関する(段落【0001)。」】
(イ)従来の技術
「従来,建物の外壁の清掃…を行う場合,建物の周囲に足場を組み上げ,
足場に上がって清掃,塗装または外壁施工を行うのが一般的である」。
(段落【0002)】
(ウ)発明が解決しようとする課題
「しかしながら,建物を新築する場合には,既に足場を組み上げてある
ため,足場に上がって外壁塗装や外壁施工を容易に行うことができるが,
建物施工後の清掃,修繕の場合には,足場を新たに組み上げるために施
工期間がかかるとともに労働コストが嵩み,結果として清掃等に要する
施工費が高くなるという問題点があった(段落【0003)。」】
「本発明は,このような従来の問題点に着目してなされたもので,建物
の外壁の清掃…の施工期間を短縮するとともに,それらの施工費を抑え
ることができる外壁清掃方法…を提供することを目的としている」。
(段落【0004)】
(エ)課題を解決するための手段
「上記目的を達成するために,本発明に係る外壁清掃方法は,ロープ
の一端側を壁面の上方に取り付け,前記ロープの他端側を壁面に沿っ
て垂らし,作業者の安全帯に取り付けて使用するロリップ(登録商
標)…を前記ロープにスライド可能に取り付け,前記ロリップを前記
ロープに沿って降ろしながら,前記ロリップにより作業者が支持され
た状態で洗浄器具により壁面を清掃することを特徴とする(段落。」
【0005)】
「本発明に係る外壁清掃方法では,…足場を組み上げる必要がなく,足
場の組み上げに要していた施工期間を短縮するとともに労働力を削減す
ることができ,清掃の施工費を抑えることができる(段落【000。」
6)】
(オ)発明の効果
「本発明に係る外壁清掃方法…によれば,建物の外壁の清掃…の施工期
間を短縮するとともに,それらの施工費を抑えることができる(段。」
落【0016)】
イ以上の各記載によれば,本願発明は,従来の建物の周囲に足場を組み上
げ,足場に上がって清掃を行う方法では,足場を新たに組み上げるために
施工期間がかかるとともに労働コストが嵩み,結果として清掃に要する施
工費が高くなることから,外壁清掃方法において,施工期間を短縮し,施
工費を抑えることを解決することを課題とし,この課題を解決するために
本願発明の構成を採用し,これにより,足場を組み上げる必要をなくし足
場の組み上げに要していた施工期間を短縮するとともに,労働力を削減し,
清掃の施工費を抑えるという作用効果を奏する発明であるということがで
きる。
(3)ア一方,刊行物1(引用発明1,乙4)には,以下の記載がある。
(ア)「作業用ゴンドラは,ビルディング外壁面の外装などを行う目的で,
吊下ロープを介して外壁面に沿って昇降される…(明細書2頁4行∼」
6行。)
(イ)「…2本の平行な吊下ロープ(1(1)に,両側の牽引機構),
(2(2)を介して昇降可能なように吊下された作業用ゴンドラ),
(3)上に載置される本案防護壁は,…上下フレーム(7(7)を),
それぞれ設け,…この上下フレーム(7(7)の中間部に設けた支),
柱(10)の内側には,保持具(9)が設けられ,…この保持具(9)
に前記吊下ロープ(1)がそれぞれ挿通される。…前記保持具(9)に
それぞれ作業用ゴンドラ(3)の吊下ロープを挿通することにより,支
持枠(8)は作業用ゴンドラ(3)に対し前後並びに側方に変位するこ
となく,作業用ゴンドラ(3)と共に牽引機構(2(2)の駆動に),
より昇降する(明細書2頁12行∼3頁13行)。」
イ以上の各記載によれば,引用発明1の外壁面外装方法は,作業用ゴンド
ラを吊下ロープに沿って昇降させながら作業用ゴンドラに乗った作業者が
外壁面の外装を行うものであって,本願発明と同様に,足場を組み上げる
必要がなく,足場の組み上げに要していた施工期間を短縮するとともに労
働力を削減することができ,外装の施工費を抑えることができる発明であ
るということができる。
(4)ア以上の(2),(3)によれば,本願発明と引用発明1とは,課題及び作用
効果が共通し,これを具体化する手段(相違点1)が相違するというべき
である。
そこで,相違点1について検討するに,刊行物2(乙8)には以下の記
載がある。
(ア)「本案は,建設現場などの高所作業者が墜落防止のために腰部に装
着する安全帯の改良に関するものである(段落【0001)。」】
(イ)「従来の建設現場で使用する安全帯として,…ロープが1本の一般
的な安全帯がある。この安全帯は,一端にバックルを設けた胴締めベ
ルトの1個所にリング止めによりD形リングを移動自在に固定し,該
D形リングにロープを介してフックを取付けた構造のものである」。
(段落【0002)】
(ウ)「従来の安全帯を使用する場合は,足場が有り,その足場に添って
水平親綱等が設備されているところでは問題なく使用できるのである
が,足場が無く,構造物間を移動する場合,あるいは水平親綱の張設
方向が違うところでは,ロープを掛け代えなければならない,この時
に無防備状態となり,この様な時に墜落災害が発生していた。
…初めからD形リングではなく,ロープ結着のためのみの穴を持つ
環で良いのではないかという考えもあるが,これでは,構造物に添っ
て垂下された親綱に嵌合した墜落防止用安全器(例えば,ロリップ
(登録商標)に結合したフック10…が,安全帯と結合できない問題)
があり,1本ロープの場合はD形リングを用いるのが普通であった」。
(段落【0003)】
イ以上の各記載によれば,引用発明2には,建設現場などの高所作業者が,
構造物に添って垂下された親綱に嵌合したロリップ(登録商標)に結合し
たフックを腰部に装着した安全帯と結合させて使用し,同ロリップが,高
所作業者が落下しないように支持することが開示されていることが認めら
れる。
(5)また,本願発明の出願時(平成12年4月12日)には,以下の点が周
知技術であったことが認められる。
ア高所作業者の支持手段につき
(ア)特開昭59−72354号公報(乙10)には,以下の記載がある。
・「この発明は,建物などの高所から垂下したロープに沿って昇降す
る場合に使用するロープ昇降用ステップに関するものである(1。」
頁右欄11行∼13行)
・「いま,垂下ロープAにセットしたロープ昇降用ステップの一対の
支持アーム6に足をかけてこれを押し下げると,各支持アーム6はピ
ン5を中心に揺動するので,そのアーム6に形成した加圧片部7がロ
ープAの方向に移動し,一対の加圧片部7でロープAを挟持すること
ができ,ロープAに対してステップを固定することができる。そこで,
この支持アーム6に体重をあずけ,次にロープチャック21をロープ
Aに沿って引き上げたのち,そのロープチャック21とロープAとの
係合位置に体重をかけ,足の甲を支持アーム6の下側に位置させて上
記アーム6を引き上げると,支持アーム6がピン5を中心に上記の逆
方向に揺動して加圧片部7がロープAから離反し,ロープAの挟持を
解除する。このため,支持アーム6を足の甲で引き上げることにより,
垂下ロープAに沿ってロープ昇降用ステップを引き上げることができ,
上記ステップを所定位置まで上げたのち前記と同様に支持アーム6を
押し下げ,これに体重をかけることでロープ昇降用ステップの引き上
げ量に対応する距離だけロープAに沿って上昇することができる」。
(2頁右下欄1行∼3頁左上欄2行)
・「なお,支持アーム6から足を離すと,支持アーム6の加圧片部7
はバネ8の弾力でロープAに押し付けられるので,ロープ昇降用ス
テップは下降しない。また,ウエブ2の両端に足をかけて下向きに
加圧すると,ロープ昇降用ステップがロープに沿って下降するよう,
バネの弾力ならびに加圧片部7のロープに対する係合角度が規制さ
れている。この結果,ロープAに沿った下降も容易に行なうことが
できる(3頁左上欄3行∼11行)。」
以上によれば,乙10には,高所作業者が,ロープチャック21と支
持アーム6,及びウエブ2を操作してロープAを上昇乃至下降すること
が記載されていることが認められる。
(イ)実公昭50−11719号公報(乙11)には,以下の記載がある。
・「本考案は建造物の壁面に沿って比較的短時間で行なわれる簡単な
作業か,或いは足場を設置出来ないような個所で施工する作業に使用
することを目的とした簡単な構造の跨座式吊作業装置に係るものであ
る(1頁1欄14行∼18行)。」
・「…本考案にては,作業目的場所の上部からウインチを備えた昇降
座を吊下げてこれに作業員が跨座搭乗してウインチを操作することで
任意位置に昇降出来るようなした…吊作業装置を提供せんとするもの
である(1頁1欄24行∼29行)。」
・「…昇降座Aは建物Bの上部に設置した吊腕Cに…上端を結着され
た二本の吊索Dにて吊設されるのであり,その吊索Dは並行して昇降
座Aの主柱1上部に付設された滑車10と11を経てウインチ5のロ
ープ車5a,5bにS字状に巻巡らせて垂下させ,該ウインチのロー
プ車5a,5bに巻掛け係合せしめることにより吊り下げられるので
ある。
…これを用いて作業を行なうには,先づ目的作業壁面上部に吊腕C
を定置せしめてこれより吊索Dを垂下させ,この吊索Dを滑車10,
11を巡ってウインチ5のロープ車5a,5bに所定の順序で巻掛け
て昇降座Aを吊下げ,然る後作業者はこの昇降座Aのサドル2上に座
して安全バンド7にて腰部を縛り,ウインチに対座する…。そこでウ
インチ5のハンドル9を回動してロープ車5a,5bを正転駆動すれ
ば,吊索D(判決注「吊索C」は誤記と認める)が繰込まれて昇,。
降座Aは昇上し,…繰込まれた吊索は順次下方に繰出されるのである。
そして目的位置に到達すればウインチ駆動を停止し昇降座Aに跨座し
たまま目的作業を行えばよく…下降するにはレバー8を引くことによ
って…自重でもって下降するのであり,レバー8の引付け力を除くと
直ちに逆転防止機構が復帰作動してロープ車の遊転を阻止し,昇降座
Aは任意位置に停止出来るのである(1頁2欄17行∼2頁3欄。」
14行)
以上によれば,乙11には,建造物の壁面に沿って作業をする際に用
いる,ウインチ9を回動すると,そのロープ車5a,5bが吊索Dを巻
掛けて昇降座Aが上昇し,レバー8の操作によりロープDを下降する作
業装置が記載されていることが認められる。
(ウ)実願昭46−027385号(実開昭47−27228号)のマイ
クロフィルム(乙12)には,以下の記載がある。
・「この考案は,宙吊作業台の改良に係る。
高い所から吊下して上昇下降し乍らビルの外側,煙突等の塗装作業等
を行うための宙吊作業台としては,…従来…ベルト16’により吊下
された作業台の本体14’に腰掛けた作業者が両手に物を持ち乍ら両
足で壁面との間隔を適当に保って作業を行っていた…(1頁下7行」
∼2頁1行)
・「…この作業台を使用する場合は…本体14に腰掛けた作業者が足
先で壁面を突張り乍ら内管6を引き出し車輪9を上下に向けて壁面に
接触させ蝶ネジ5を堅く締着すれば,本体14は壁面に対し常に一定
の適当間隔を保持するので足で突張る必要なく楽な姿勢で能率的に作
業を行うことができる。又ゴム輪9が壁面に接触しているので本体1
4の上昇,下降は円滑に行われる(3頁9行∼17行)。」
以上によれば,乙12には,高い所から吊下して上昇下降しながらビ
ルの外側,煙突等の塗装作業等を行うための宙吊作業台において,その
作業台にゴム輪9を設けることにより楽な姿勢で作業ができるようにす
ることが記載されていることが認められる。
(エ)特開昭49−9822号公報(乙13)には,以下の記載がある。
・「…高所の作業,建設…等に於いて,従来吊り足場,又はゴンドラ
等の吊機械による作業が行われているも,…非能率的で危険性も,と
もなった作業方法であった。
本発明は,軽便,軽量,小型なロープ手動昇降装置乃至はロープ手
動降下器を2組連結使用するに於いて,上下,左右,全方向(判決注,
「全方行」は誤記と認める)へ自在に宙吊移動(を)なし,其の儘停。
止定着宙吊作業し得る事を特徴とし…た宙吊作業法である。…(1」
頁左欄11行∼右欄5行)
・「…ロープの上方先端を適所の支持部に固定し,ロープをV字状に
垂下しロープ手動昇降装置1及1’にそれぞれ巻装し連結なし,ロー
プ昇降装置1に掛合なした腰掛安全バンド4…をゴムバンド11で体
着し,吊体荷重に掛り図1の状態に宙吊し目的作業地点に向って移動
なし,停止,定着,宙吊作業するものである(2頁左欄6行∼1。」
2行)
以上によれば,乙13には,高所の作業,建設等において,腰掛安全
バンド4を体着してロープ宙吊り作業を行う際,ロープ支持部間で左右
に移動できるようにすることが記載されていることが認められる。
(オ)特開平11−350718号公報(乙14)には,以下の記載があ
る。
・「従来の技術】一般に,作業用ゴンドラは従来から種々の形式の【
ものが提案されている。例えば,図4に示すように建物の屋上に固定
レール1を設け,この固定レール1の上に自走装置2を置いて,自走
装置2から伸びた腕3の先にワイヤー4を垂らし,ワイヤー4の先に
ゴンドラ5を吊るす形式のものが知られている。また,図5に示すよ
うに,建物の屋上からロープ6を垂らし,このロープ6の先端に直接
作業者がぶら下がり,建物壁面の作業を行うものである。また,図6
に示すものでは,建物の屋上に仮設のハンガー7を設け,ハンガーの
腕の先にワイヤー4を垂らし,このワイヤー4にゴンドラ5を吊り下
げる形式のものも提案されている。更に,図7に示すように,パンタ
グラフ式に高さの調整できる高所作業車8を使用して建物の壁面等で
作業をするものも提案されている(段落【0002)。」】
以上によれば,乙14には,作業者の支持手段としてゴンドラ,高所
作業車を用いる方法のほか,建物の屋上からロープ5を垂らし,このロ
ープの先端に直接作業者がぶら下がり,建物壁面の作業を行うことが記
載されていることが認められる。
(カ)以上の(ア)∼(オ)によれば,本願発明の出願当時(平成12年4月
12日,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を)
有する者)において,高所作業をする際にロープにより作業者を吊り下
げる方法があること,その際の作業者の支持手段としては,作業者の身
体に巻き付ける帯や,作業者が座るようになっているサドル,台など様
々なものがあり,他の安全器具を用いずにこれらの支持手段のみで作業
者をロープに吊り下げて高所作業を行うことが周知の技術であったこと
が認められる。
イロリップにつき
(ア)特開平10−280672号公報(乙6)には,以下の記載がある。
「本発明は,建物や崖等の高所から吊下したロープ(以下,登攀ロープ
という)に取付けて人的操作することにより,任意の位置での停止を。
含み昇降移動可能に構成された吊下ロープ用昇降移動装置に関する」。
(段落【0001)】
「図1に示すように,吊下ロープ用昇降移動装置(X)の構成において,
ロープ保持具(1;1a,1b)は,上下二段に離間して設けられ,本体内に
登攀ロープ(R)を挿通し,ロック状態で一方向(通常は上昇方向)に
摺動可能に取着されている(段落【0016)。」】
「ここで,ロープ保持具(1)については,公知の金具〔例えば,藤井
電工(株)製の78ロリップ(登録商標〕を転用することができ)
る(段落【0017)。」】
(イ)特開平1−249073号公報(乙9)には,以下の記載がある。
「従来,柱上安全帯を使用して電柱を昇降するには,看板等支障物が
あると,まず,補助ロープを足場釘に取り付け,本ロープを取り外し
看板等の支障物をかわしていたが,本発明の昇降安全ロープを使用す
る場合には,地上から操作棒等で昇降安全ロープのフックを,吊線ま
たはSSケーブル等に引っ掛け,さらに昇降安全ロープに,一般に市
販されている一方向にのみ可動し,他方向にはロックが掛かる,通称,
SSロリップ(PAT:SSRORIP,FUJII.DENKO)を装着し,このSSロリッ
プに補助ロープを取り付け,昇降安全ロープを通常,命綱として使用
する(2頁左下欄3行∼14行)。」
),ウ以上のア,イによれば,本願発明の出願当時(平成12年4月12日
当業者において,高所作業をする際にロープにより作業者を吊り下げる方
法があり,作業者を支持する手段として帯,サドル,台など様々なものが
あり,他の安全器具を用いずにこれらの支持手段のみで作業者をロープに
吊り下げて高所作業を行うことが周知の技術であったところ,ロリップ
(登録商標)はロープに沿って可動であり,高所作業においてロープに沿
って昇降する昇降移動装置のロープ保持具として用いることも既に周知の
技術であったと認められる。
」,なお原告は,甲14(原告作成の「ロリップ使用状況説明)を提出し
上記イ(ア)の段落【0017】の記載が誤っている可能性が高いとするが,
その主張の当否はともかく,ロリップ(登録商標)を高所作業においてロ
ープに沿って昇降する昇降移動装置のロープ保持具として用いるという技
術思想が開示されていること自体が左右されるものではない。
(6)そうすると,当業者は,高所作業をする際の作業者の支持手段として作
業用ゴンドラが開示された引用発明1に,墜落防止用のロリップ(登録商
標)が開示された引用発明2を適用するに際し,上記(5)ウに記載した周知
技術を参酌することにより,他の安全器具を用いずにそれのみで作業者を支
える支持手段として様々なものがあり得る中で,作業用ゴンドラ(3)等と
技術的に価値が同等のものとして,上記ロリップを採用することは容易に想
到できるというべきである。
したがって,作業者の支持手段として,引用発明1のロープに沿って昇降
する作業用ゴンドラ(3)等に代えて,引用発明2の作業者の安全帯に取り
付けて使用するロリップを採用して本願発明の相違点1に係る発明特定事項
とすることは,当業者が容易に想到し得たことであると認められるから,こ
れと同旨の審決の判断に誤りはなく,取消事由は理由がない。
(7)原告の主張に対する補足的説明
ア原告は,本願発明は,凹凸のある斜面・凹凸のない斜面・垂直面で実施
可能であり,さらに,作業者はいずれも両足を踏ん張った状態で力を込め
て作業が可能であり,作業効率が向上する,また,安全装置であるロリッ
プを昇降用に転用することにより,足場を組んだりゴンドラを使用する等
の必要がないことから工期も工事費も4分の1程度に抑えることができる
ものであり,多くの注文例が原告会社に殺到し,本願発明の工法を模倣す
る業者が相次いでいると主張する。
しかし,そもそも上記(2)に説示したように,本願発明は,従来の建物
の周囲に足場を組み上げてその外壁の清掃を行う方法では,足場を組む必
要があることから施工期間,施工費がかかることを技術的課題とし,これ
を本願発明の構成を採用することにより解決したと把握されるものであっ
て,それ以上に,本願明細書(甲1,15,4)において,凹凸のある斜
面等での使用等について開示されているものではない。したがって,この
ような本願明細書(甲1,15,4)において何ら開示されていない事項
を,本願発明の格別な作用効果ということはできないと解するのが相当で
ある。このことは,仮にロリップを用いることにより工期も工事費も4分
の1程度に抑えることができ,多くの注文例が原告会社に殺到し,本願発
明の工法を模倣する業者が相次いでいるとしても,何ら左右されるもので
はない。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
イ次に原告は,引用発明1で吊り下げているのはゴンドラであり,牽引機
構はゴンドラを支え,作業者はそのゴンドラに乗って作業するのに対し,
本願発明で吊り下げているのは作業者であり,ロリップは作業者を支えて
いるのであるから,構成も要求される各部の強度も全く異なり,作業者の
行える作業の種類や範囲も大きく異なっている,ロリップの強度は作業者
が万一落下したとき作業者を支持するに足りる強度を保持しているはずで
あるが,そうであるからといって,異なった用途,すなわち常時ロリップ
によって作業者を支えて作業を行うことに転用できるとはいえないし,ま
してそれを全く構成も効果も異なるゴンドラと牽引機構に転用することを
想到することは困難である,と主張する。
しかし,作業者の支持手段が,ゴンドラであるかロリップであるかとい
うことは,上記のとおり,本願発明と引用発明1との相違点1として認定
の上,判断したところである。また,作業者の支持手段がゴンドラである
場合とロリップである場合とにより,構成,要求される各部の強度,作業
者の行える作業の種類や範囲が異なっているとしても,上記(5)ア,イの
各周知技術の内容に照らせば,上記(6)で説示したとおり,当業者が,作
業用ゴンドラ(3)等と技術的に価値が同等のものとして,上記ロリップ
を採用することに容易に想到できることに変わりはない。すなわち,上記
(5)ウに記載したように,ロリップ(登録商標)を,高所作業においてロ
ープに沿って昇降する昇降移動装置のロープ保持具として用いることが既
に周知の技術であった以上,同ロリップを常時作業者を支えるために用い
ることは既に知られていたといわなければならないし,たとえ昇降移動装
置を介してであっても,ロリップにより常時作業者を支えることが知られ
ていた以上,これを,常時作業者を直接的に支持する手段として,ゴンド
ラと牽引機構に代えて用いるという技術思想に想到することは容易である
というほかない。
原告の上記主張は,採用することができない。
ウ次に原告は,乙3∼5(特開2000−41907号公報〔乙3,刊〕
行物1〔乙4,特開平4−226617号公報〔乙5)は,いずれも〕〕
ゴンドラを用いて外壁施工を実施するものであり,ゴンドラの設置に労力
と時間を要し,施工期間の短縮や施工費の抑制に限界がある,また作業現
場までゴンドラを運搬せねばならず,運搬が困難な奥地や岩場では実施が
困難である,さらに,吊り下げ式のゴンドラであるため,ほぼ垂直面でし
か実施できず,凹凸のある斜面では全く実施不可能である,と主張する。
しかし,ゴンドラを用いて清掃等の外壁施工を行う方法が,具体的に現
場で用いようとする際に原告の指摘するような問題点を有するとしても,
上記(3)に説示したように,ゴンドラによっても本願発明と同様に足場を
組み上げる必要をなくし施工期間や施工費を抑えることができる以上,本
件の作業者の支持手段としては,ゴンドラとロリップが同価値の技術思想
であることを左右することはできない。また,ゴンドラが仮に凹凸のある
斜面等で実施が困難であるとしても,上記アに説示したとおり,このよう
な事項を本願発明の格別な作用効果ということができない以上,ゴンドラ
とロリップが上記のように技術思想として同価値のものとみる妨げにはな
らない。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
エさらに原告は,乙6∼9(特開平10−280672号公報〔乙6,〕
実開平7−28570号公報〔乙7,刊行物2〔乙8,特開平1−2〕〕
49073号公報〔乙9)について,乙6には,足踏み式の吊り下げロ〕
ープ用昇降移動装置が開示されているが,これは本願発明と昇降移動装置
という点が共通するだけであって構成は全く異なっており,構成上,凹凸
のある斜面等では使用不可能であり,ロリップを使用するものでもない,
また,乙7∼9は,いずれも落下事故防止のための安全器具に関わるもの
であり,本願発明と構成も作用効果も全く異なる,と主張する。
しかし,たとえ乙6の昇降移動装置が本願発明のロリップと構造的に異
なるものであったとしても,上記アに説示したように,本願発明は,従来
の建物の周囲に足場を組み上げてその外壁の清掃を行う方法では,足場を
組む必要があることから施工期間,施工費がかかることを技術的課題とし,
これを本願発明の構成を採用することにより解決したと把握されるもので
あって,それ以上に,本願明細書(甲1,15,4)にロリップの各部分
の具体的構造が開示され本願発明の要旨になっているものではない。そう
すると,乙6の昇降移動装置と本願発明のロリップとの具体的構造の差異
をもって,乙6から把握される,ロリップ(登録商標)がロープに沿って
可動であり,高所作業においてロープに沿って昇降する昇降移動装置のロ
ープ保持具として用いるという周知の技術思想を,引用発明2を引用発明
1に適用する際に参酌できない理由とすることはできない。
また,乙7∼9が,いずれも落下事故防止のための安全器具に関わるも
のであったとしても,上記(6)に説示したように,当業者は,高所作業を
する際の作業者の支持手段として作業用ゴンドラが開示された引用発明1
に墜落防止用のロリップ(登録商標)が開示された引用発明2を適用する
に際し,上記(5)ア(ア)∼(オ)の,作業者の支持手段として,作業者の身
体に巻き付ける帯や,作業者が座るようになっているサドル,台など様々
なものがあり,他の安全器具を用いずにこれらの支持手段のみで高所作業
を行うことが周知の技術であったことを参酌することができるものである。
そして,当業者は,上記イに説示したように,上記ロリップがロープに沿
って可動であり高所作業において常時作業者を支えるために用いることが
知られていた以上,これを常時作業者を直接的に支持する手段として,ゴ
ンドラと牽引機構に代えて用いることは容易に想到できるというべきであ
る。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
3結論
以上によれば,原告主張の取消事由は理由がない。よって,原告の本訴請求
は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官中野哲弘
裁判官森義之
裁判官田中孝一

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