弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中九〇日を本刑に算入する。
         理    由
 弁護人中根洋一の上告趣意第一の一について。
 爆発物取締罰則が現行憲法施行後の今日においてもなお法律としての効力を保有
しているものであることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和二三年(れ)
第一一四〇号同二四年四月六日大法廷判決・別集三巻四号四五六頁、昭和三二年(
あ)第三〇九号同三四年七月三日第二小法廷判決・刑集一三巻七号一〇七五頁、昭
和四六年(あ)第二一七九号同四七年三月九日第一小法廷判決・刑集二六巻二号一
五一頁参照)、所論の憲法三一条、七三条六号但書違反の主張は、理由がない。
 同第一の二(一)について。
 爆発物取締罰則三条に定める刑が残虐な刑罰といえないのみならず(最高裁昭和
二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三日大法廷判決・刑集二巻七号七七七頁参
照)、同条所定の行為に対し所定のような法定刑を定めることは、立法政策の問題
であつて憲法適否の問題ではないから(最高裁昭和二三年(れ)第一〇三三号同年
一二月一五日大法廷判決・刑集二巻一三号一七八三頁、昭和三六年(あ)第一一六
八号同三七年九号一八日第三小法廷判決・裁判集刑事一四四号六四一頁、前掲昭和
四七年三月九日第一小法廷判決参照)、所論の憲法三六条違反の主張は、理由がな
い。
 同第一の二(二)について。
 爆発物取締罰則一条にいう「治安ヲ妨ケ」るの概念が不明確なものといえないこ
とは、当裁判所の判例とするところであり(前掲昭和四七年三月九日第一小法廷判
決参照)、所論の憲法一九条、二一条、三一条、三八条違反の主張は、前提を欠き、
刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 同第二について。
 所論は、単なる法令違反の主張であり、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあた
らない。
 所論に鑑み職権により判断するに、爆発物取締罰則の文言及び趣旨を考慮すると、
同罰則三条の罪が成立するためには、治安を妨げ又は人の身体財産を害する目的を
もつて、爆発物又はその使用に供すべき器具を製造、輸入、所持又は注文すること
を必要とし、かつ、それをもつて足り、製造などをする者が、自ら直接その爆発物
などを使用する意思であると、他人に交付して使用させる意思であるとを問うもの
ではないと解するのが、相当である。
 同第三について。
 所論が引用する判例(最高裁昭和二八年(あ)第二八七八号同年一一月一三日第
二小法廷判決・刑集七巻一一号二一二一頁、大審院大正七年(れ)第四九二号同年
五月二四日判決・刑録二四輯六一三頁、名古屋高裁金沢支部昭和三〇年九月二七日
判決・高刑集八巻一〇号一二八四頁、東京高裁昭和四八年一二月二五日判決・高刑
集二六巻五号六二八頁)は、いずれも所論のように、爆発を起すために必要な雷管
などの器具が装備されていなければ爆発物といえない旨を判示している趣旨とは解
されないから、所論の判例違反の主張は、前提を欠き、その余の所論は、単なる法
令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあたらない。
 所論に鑑み職権により判断するに、爆発物取締罰則三条及び五条において、爆発
物と「其使用ニ供ス可キ器具」とが別々に取締の対象とされている規定の文言など
を考慮すると、同罰則にいう爆発物は、理化学上の爆発現象を惹起するような不安
定な平衡状態において、薬品その他の資料が結合した物体であつて、その爆発作用
そのものによつて公共の安全をみだし又は人の身体財産を害するに足りる破壊力を
有するものであることを要し、かつ、それをもつて足り(最高裁昭和二九年(あ)
第三九五六号同三一年六月二七日大法廷判決・刑集一〇巻六号九二一頁、昭和二八
年(あ)第二八七八号同年一一月一三日第二小法廷判決・刑集七巻一一号二一二一
頁参照)、雷管その他の起爆装置が装備又は準備されていることを要しないものと
解するのが、相当である。
 よつて、刑訴法四〇八条、刑法二一条により、裁判官全員一致の意見で、主文の
とおり判決する。
  昭和五〇年四月一八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊

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