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平成25年(受)第442号認知無効確認請求事件
平成26年3月28日第二小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人高洲昭孝の上告受理申立て理由について
1本件は,血縁上の父子関係がないことを知りながら上告人を認知した被上告
人が,上告人に対し,認知の無効確認を求める事案である。
2原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
被上告人は,平成14年2月▲日,上告人の母であるAと婚姻し,Aに請わ
れて,同日,上告人(平成3年▲月▲日生まれ)の認知(以下「本件認知」とい
う。)をした。上告人と被上告人との間には血縁上の父子関係はなく,被上告人
は,本件認知をした際,そのことを知っていた。
被上告人は,自ら購入したマンションの一室において,A及び上告人と共に
生活していたが,平成16年11月頃,同室から締め出されて別居するようにな
り,平成17年1月,Aの求めに応じて,協議離婚をするとともに同室をAに贈与
した。上告人と被上告人は,その後,ほとんど交流していない。
Aは,平成17年9月,被上告人以外の男性と再婚し,上告人は,同年10
月,上記男性と養子縁組をした。
3原審は,血縁上の父子関係がない場合において,認知者による認知の無効の
主張を認めても,民法785条の趣旨に反するものとはいえず,また,認知者も同
法786条の利害関係人に当たるとして,被上告人による本件認知の無効の主張を
認め,被上告人の請求を認容すべきものとした。
4所論は,認知者による認知の無効の主張を認めれば,無責任な認知を予防で
きなくなり,子の法的地位を不安定にするなどとして,血縁上の父子関係がないこ
とを知りながら本件認知をした被上告人がその無効の主張をすることは許されない
というのである。
5認知は,血縁上の父子関係を前提として,自らの子であることを認めること
により法律上の父子関係を創設する制度であると解されるところ,血縁上の父子関
係がないにもかかわらずされた認知は,認知制度の本来の趣旨に反するものであっ
て無効というべきである。そして,認知の効力について強い利害関係を有する認知
者自身について,このような理由による無効の主張を一切許さないと解することは
相当でない。また,血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知について
は,利害関係人による無効の主張が認められる以上(民法786条),認知を受け
た子の保護の観点からみても,あえて認知者自身による無効の主張を一律に制限す
べき理由に乏しく,具体的な事案に応じてその必要がある場合には,権利濫用の法
理などによりこの主張を制限することで足りるものと解される。認知者による血縁
上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制
限されると解することもできない。
したがって,認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした
認知の無効を主張することができるというべきであり,この理は,認知者が血縁上
の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない
(最高裁平成23年(受)第1561号同26年1月14日第三小法廷判決・民集
68巻1号登載予定参照)。
6以上によれば,被上告人は本件認知の無効を主張することができるとして,
被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は,正当として是認することが
できる。論旨は,採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官小貫芳信裁判官千葉勝美裁判官鬼丸かおる裁判官
山本庸幸)

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