弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人Aを懲役一年六月及び罰金三万円に、同Bを懲役一年及び罰金二
万円に処する。
     被告人両名に対し各三年間右懲役刑の執行を猶予する。
     被告人等において右罰金を完納することができないときは金千円を一日
に換算した期間その被告人を労役場に留置する。
     訴訟費用中第一審における国選弁護人鈴木重義に支給した分は被告人A、
同Cに支給した分は被告人Bの負担とし、原審及び当審における各国選弁護人に支
給した分は被告人両名の負担とする。
     本件公訴事実中第一審判決判示第一の(一)別紙第一取引(買)一覧表
記載の(8)(9)、同(四)並びに同第二の(二)(三)の事実につき被告人A
を、第一審判決判示第一の(一)別紙第一取引(買)一覧表記載の(8)(9)、
同(四)の事実につき被告人Bを免訴する。
         理    由
 被告人両名及び弁護人佐藤直敏の各上告趣意(後記)は、いずれも、量刑不当の
主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 しかし、職権で調査すると、本件公訴事実中、主文末項記載の事実については、
原判決後昭和二七年四月二八日政令第一一七号大赦令一条八七号により大赦があつ
たので、刑訴四一一条五号により原判決及び第一審判決を破棄し、同四一三条但書
により自ら判決をすることとし、同四一四条三三七条三号に則り、主文末項記載の
とおり右事実につき被告人両名に対し免訴の言渡をする。そして、その余の事実を
法律に照らすと、被告人両名の第一審判決判示第一の(一)(但し、同判決末尾添
付の別紙第一取引買一覧表中(1)ないし(7))及び(三)の各所為は昭和二七
年四月一二日法律第八八号四条により物価統制令三条四条三三条昭和二五年一月一
日物価庁告示第二号罰金等臨時措置法二条四条刑法六〇条に、同第一の(二)の所
為は食糧管理法九条三一条同法施行令一一条同法施行規則二九条罰金等臨時措置法
二条四条刑法六〇条に、被告人Aの第一審判決判示第二の(一)の所為は前記昭和
二七年法律第八八号四条により物価統制令三条四条三三条昭和二四年四月一四日物
価庁告示第二二五号罰金等臨時措置法二条四条に該当し、情状いずれも懲役及び罰
金を併科するのを相当と認め、物価統制令三六条食糧管理法三四条を適用し、以上
の被告人等の所為はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑について
は刑法四七条一〇条により犯情最も重いと認められる判示第一の(二)別表米大豆
輸送一覧表(4)の罪につき定められた刑に法定の加重を為し、罰金刑については
刑法四八条二項により各罰金額を合算し、いずれも、その刑の範囲内で、被告人両
名を主文二項記載の懲役及び罰金に処し、被告人両名に対しては犯情その懲役刑の
執行を猶予するのを相当と認め、刑法二五条により主文三項記載のとおりその刑の
執行を猶予し、被告人等において右罰金を完納することができないときは、刑法一
八条により主文四項記載のとおり労役場留置の言渡を為し、訴訟費用は刑訴一八一
条により主文五項記載のとおり被告人等をして負担せしむべきものとする。
 よつて、主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 井本台吉出席。
  昭和二八年六月一二日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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