弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
     当審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人佐野虎一の控訴趣意は同人作成名義の控訴趣意書と題する末尾添附の書面
記載の通りである。これに対し当裁判所は左の通り判断する。
 <要旨>しかし仮りに被告人がAと内縁の夫婦関係があつて、被告人に夫権乃至他
人に侵害せられない一種の権利があり、これをBが侵害したから同人に対し
一定金額の損害賠償請求があつたとしても、権利の行使として即ちその権利の存在
を認識しこれを真に実行する意思を以てする場合は格別、権利の存在を認識し、こ
れを正当に行使する意思なくして他人を脅迫して金員を交付させたときは恐喝罪の
成立があるものと為すのが正当である。本件において被告人等において所論権利の
存在を認識し、これを真に実行する意思を以て本件行為をしたことは記録に肯定し
難い。また共謀の点についても原判決の認定に過誤はない。故に原判決が被告人を
恐喝罪の共同正犯として処断したのは正当である。なお諸般の情状を考量すると原
判決の刑の量定は失当でない。論旨は何れも理由がない。
 仍て刑事訴訟法第三九六条第一八一条に則り主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 石井文治 判事 鈴木勇)

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