弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人鍵尾豪雄の上告理由第一点について。
 所論は、本件講契約は原判示の如く個別的講契約ではなく、組合的講契約であつ
たと主張して、原判決が上告人の錯誤の抗弁を排斥したことを非難するものである
けれども、原判決が本件講契約を個別的講契約である旨判示したことは、その挙示
の証拠関係、事実関係からこれを肯認し得、従つて上告人と被上告人ら(但B1を
除く。)間の本件講契約に基づく権利義務は、同人ら間に発生したものとして、右
錯誤の抗弁を排斥した原判決の判断は、正当として是認し得る。原判決に所論の違
法は存せず、論旨は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定並びにこれに
基づく正当な判断を非難するものであつて、採るを得ない。
 同第二点について。
 所論は、原判決が、被上告人B2、同B3の各債権につき、それぞれ一部弁済の
あつた事実を認定しながら、上告人に対し、各債権元本全額を被担保債権とする抵
当権設定登記を命じたことを非難するものである。しかし、本件抵当権設定登記手
続の請求は、判示(すなわち債権元本全額についての)抵当権設定契約に基づく履
行を求めるものであるから、所論の如く、その後被担保債権につき一部弁済があつ
ても、登記簿上に表示すべき被担保債権を特定する意味から、債権者はその債権全
額および利息金について抵当権設定登記手続を請求し得るものと解するのを相当と
する(しかし、勿論この場合にあつても、債権者は残存債権について支払をうけ得
るのみであることはいうまでもない。)。
 この点の論旨は採るを得ない。
 同第三点について。
 原判決の所論認定は、その挙示する証拠関係からこれを肯認し得るところである。
原判決に所論の違法は存せず、論旨は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の
認定を非難するに帰し、採るを得ない。
 同第四点について。
 所論は、本件控訴は上告人のみから申立てられたものであつて、被上告人B1、
同B4より附帯控訴の申立がないにもかかわらず、原審が原審における右両名の申
立にかかる仮執行の宣言を附したと主張するものであるけれども、仮執行に関する
控訴審の裁判に対しては、不服を申立てることを得ないことは、民訴法三七六条一
項の明定するところである。所論引用の判例は、本件に適切でなく、論旨は、不適
法であつて、採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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