弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人河野春吉、同三好剛三郎の上告理由第一点および第二点について。
 論旨は、要するに、自作農創設特別措置法は、土地区画整理施行済みの土地につ
いては、その買収を予定していない(少なくとも、現に耕作されているからといつ
て、直ちにこれを同法所定の農地ということはできない。)のであり、そうでない
としても、土地区画整理事業の完成に対する都道府県知事の認可については、同法
五条四号を準用して買収除外の指定の効力を認めたものと解すべきであるから、原
判決が、西宮市a町b番畑一反一畝一四歩(以下、本件土地という。)が同法三条
による買収の対象となり、かつ、同法五条四号の適用の対象となる農地であると解
したうえ、同法五条四号による県知事の指定がないとの理由で上告人の主張を斥け
たのは、法律の解釈を誤つたものであつて違法である、というのである。
 しかし、旧都市計画法(大正八年法律三六号)一二条による土地区画整理事業は、
所有者の意思にかかわりなく当該土地を宅地とすることを適当と認めて施行される
ものであるけれども、右整理事業により、必ずしも施行区域内のすべての土地が直
ちに宅地化されるものではない。また、同条二項の準用する耕地整理法によれば、
同法三〇条三項に基づく都道府県知事の認可は、当該整理事業が完了した後に行な
われる換地処分に対しその効力を完成するためにされる行為であるに過ぎない。し
たがつて、自作農創設特別措置法は、右換地処分に対する認可後の整理施行区域内
の土地についてもその適用が否定されるものではないと解するのが相当である。そ
して、本件土地が買収当時同法所定の農地ではなかつたとはいえないとした原判決
(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の認定判断は、挙示の証拠に照ら
し、正当として是認することができる。原判決が、土地区画整理施行済みの土地に
つき単純に現に耕作されていることのみをもつて同法所定の農地であるとするもの
でないことは、その判文上明らかであるのみならず、論旨が引用する最高裁判所昭
和三二年一〇月八日第三小法廷判決(民集一一巻一〇号一七二六頁)は、行政処分
取消請求事件に関するものであり、買収処分の効力の有無が争われている本件とは
事案を異にし、適切でない。また、耕地整理法三〇条三項に基づく都道府県知事の
認可に直ちに自作農創設特別措置法五条四号による都道府県知事の指定の効力を認
めることができないことは、前述したところから明らかである。
 ところで、同法五条四号は、旧都市計画法一二条一項の規定による土地区画整理
を施行する土地についても、都道府県知事の指定する区域内にあるものについては
自作農創設特別措置法三条による買収をしない旨規定しているのであるが、右指定
をすべき場合については、同法五条五号による指定の場合とは異なり、なんら客観
的基準は示されていないのであつて、右都道府県知事の指定は、都市計画上の要請
と自作農創設上の要請との調整の観点からする自由裁量行為であると解するのが相
当である(最高裁判所昭和二八年二月二〇日第二小法廷判決、民集七巻二号一八〇
頁参照)。したがつて、兵庫県知事が同法五条四号に基づく指定をすることなく本
件土地を買収した処分が、その故に直ちに違法であるということはできない。
 結局、論旨は採用することができない。
 同第三点について。
 論旨は、土地区画整理完成の認可によつて表示された宅地としての利用を増進す
べき国の意思に覊束されて、本件土地については、当然自作農創設特別措置法五条
五号による買収除外の指定をしなければならず、したがつてまた買収することは許
されないのに、右指定をせず、あえて買収したのであるから、その瑕疵は重大かつ
明白であるとして、原判決のこの点の判断の違法を主張する。
 しかし、耕地整理法三〇条三項に基づく都道府県知事の認可があつた後の整理施
行区域内の土地についても自作農創設特別措置法が適用されるものと解すべきこと、
および右認可の性質は前示のとおりであるから、右認可があつたというだけで、直
ちに同区域内の土地について同法五条五号による買収除外の指定をしなければなら
ないものではなく、また、これを買収してはならない覊束を生ずるものではない。
そして、原判決挙示の証拠によれば、本件土地につき同法五条五号による除外指定
をしないでした買収処分に重大かつ明白な瑕疵があつたとは認められないとした原
判決の認定判断は、正当として是認することができる。所論は、ひつきよう、独自
の見解に立つて原審の判断を非難するものであつて、採用することができない。
 同第四点について。
 所論は、原判決には行政処分の当然無効に関する法理の適用を誤つた違法がある
と主張するが、その理由のないことは、前述したところから明らかである。論旨は
採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    関   根   小   郷

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