弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中一〇〇〇日を本刑に算入する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 被告人本人の上告趣意について。
 所論は、結局第一審判決の事実誤認又は量刑不当を主張するに過ぎないもので適
法な上告理由となし難い。
 弁護人佐々木秀雄の上告趣意について。
 憲法三七条三項の権利は、被告人が自ら行使すべきもので、裁判所、検察官等は
被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければよいものである
ことは既に当裁判所大法廷の判例とするところである。(判例集三巻一一号一八五
八頁参照)従つて、被告人の弁護人を附する権利の行使を妨げたことの認められな
い原審の手続に同条項違反ありとの主張は、その前提を欠き採用できない。
 そして、記録によれば、本件では、被告人が自ら弁護人を選任せず且つその選任
の請求をもしなかつたので、昭和二四年八月一五日被告人本人に対し控訴趣意書を
同年九月一二日まで差出すべき旨の通知を為したところ、同年九月一〇日被告人は
自ら控訴趣意書を提出したが依然自ら弁護人を選任せず且つその選任の請求をもし
なかつたので、原審裁判長荻野益三郎は刑訴四〇四条、二八九条に則り同年九月一
九日弁護士Aを被告人の弁護人に選任し(記録一七三丁の(一)参照。国選弁護人
選任の原本は、弁護人本人に送付し、記録にはその写を添附するものであるから、
記録に写が添附され原本がないから弁護人の選任がないとの主張は採用できない。)、
同日同弁護士はこれを受諾し(同丁の(二)参照)、同月三〇日の公判期日には、
被告人並びに弁護人Aはいずれも出頭し、弁護人は被告人提出の控訴趣意書に基い
て弁論をした事実を認めることができる。(記録一七八丁参照)。所論は、右公判
期日の公判調書には「弁護人は、控訴趣意書に基いて弁論をした」と記載されてい
るだけで、A弁護人は控訴趣意書を提出していないから、その控訴趣意書に基いて
弁論できる筈がない。従つて、原審は、被告人Bのために弁論しないで判決したの
であると主張する。なるほど同公判調書には所論指摘のとおり記載され、また、A
弁護人提出の控訴趣意書が存在しないことは所論のとおりである。しかし、弁護人
は、必ずしも自ら控訴趣意書を提出しなければならないものではないし、ことに被
告人提出の控訴趣意書ある場合にこれを以て足るものと思料するときは、自ら趣意
書を提出せずに被告人提出の趣意書だけに基いて弁論しても少しも差支えないもの
である、そして、本件では、同弁護人は被告人提出の控訴趣意書では不充分である
から、自ら趣意書を作成するため又は弁論準備ための期日の延期若しくは審理の続
行を申立てたような形跡がないのであるから、前述のような訴訟の経過から見て、
A弁護人は被告人と共に公判廷に出頭し、被告人提出の控訴趣意書に基き弁論し且
つ同弁護人及び被告人は、これを以て充分なりとしたものと認めざるを得ない。
 しかも、原判決は、被告人Bの控訴趣意を掲げこれにつき詳細に判断を与えてい
るのである。従つて原審手続には、被告人並びに弁護人の弁護権の行使を不法に制
限した違法も認められない。(なお、判例集三巻八号一三〇七頁以下大法廷判決並
びに同五巻一二号二四一〇頁第三小法廷判決参照。)それ故、所論は、採用するこ
とができない。
 よつて、刑訴四〇八条に従い、なお、当審における未決勾留日数の本刑算入につ
き刑法二一条を適用し、当審における訴訟費用につき刑訴一八一条に則り、裁判官
全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二七年一二月一八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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