弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成23年(受)第1490号損害賠償等請求事件
平成25年3月22日第二小法廷判決
主文
1原判決中,上告人ら敗訴部分を破棄する。
2前項の部分につき,被上告人らの控訴を棄却する。
3控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。
理由
上告代理人井上正信,同岡林幸雄の上告受理申立て理由第3について
1本件は,土地区画整理事業の施行地区内の土地を上告人らから売買により取
得した被上告人らが,売買後に土地区画整理組合から賦課金を課されたため損害を
被ったと主張して,上告人らに対し,瑕疵担保責任に基づく賦課金相当額の損害賠
償等を求める事案である。上記売買の当時,被上告人らが賦課金を課される可能性
が存在していたことをもって,上記土地に民法570条にいう瑕疵があるといえる
か否かが争われている。
2原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)被上告人らは,上告人らから,次のとおり,第1審判決別紙物件目録記載
1ないし3の土地をそれぞれ売買により取得し,その頃,その引渡しを受け,移転
登記を経由した(以下,上記各土地を併せて「本件各土地」といい,上記各売買を
併せて「本件各売買」という。)。
ア被上告人X1及び同X2は,平成10年9月27日,上告人Y1から,上記
物件目録記載1の土地を代金2400万円で購入した。
イ被上告人X3,同X4及び同X5は,平成10年3月15日,A,上告人Y2
及び同Y3から,上記物件目録記載2の土地を代金2250万円で購入した。
ウ被上告人X6は,平成9年4月27日,A,上告人Y2及び同Y3から,上
記物件目録記載3の土地を代金1415万円で購入した。
(2)本件各売買の当時,本件各土地は,B土地区画整理組合(以下「B組合」
という。)が施行する土地区画整理事業の施行地区内に存しており,仮換地の指定
を受けていた。
(3)B組合は,平成10年10月から保留地の分譲を開始したが,販売状況は
芳しくなかった。そこで,B組合は,平成13年11月28日,事業に要する経費
に充てるため,総額24億円の賦課金を組合員に課する旨を総代会において決議
し,さらに,平成14年1月,上記総代会の日においてB組合の組合員である者を
賦課対象者とすることなどを内容とする賦課金徴収細則を定める旨を総代会におい
て決議した。
(4)被上告人らは本件各土地を取得したことによりB組合の組合員となってい
たことから,B組合は,被上告人らに対し,平成14年11月29日付け賦課金額
通知書を送付して,次のとおり賦課金を請求した。
被上告人X1276万7501円
同X2118万6071円
同X3233万2181円
同X4186万5744円
同X546万6436円
同X6261万2246円
3原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,被上告人らの瑕
疵担保責任に基づく損害賠償請求を一部認容した。
本件各土地について賦課金が発生する可能性は,本件各売買の当時,抽象的な域
を超え具体性を帯びていたといえる状況にあり,それが平成13年以降に具体化し
たといえるのであって,賦課金が多額であることを考慮すると,本件各売買の当
時,賦課金が発生する可能性が存在していたことをもって,本件各土地には瑕疵が
あると解するのが相当である。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
前記事実関係によれば,B組合が組合員に賦課金を課する旨決議するに至ったの
は,保留地の分譲が芳しくなかったためであるところ,本件各売買の当時は,保留
地の分譲はまだ開始されていなかったのであり,B組合において組合員に賦課金を
課することが具体的に予定されていたことは全くうかがわれない。そうすると,上
記決議が本件各売買から数年も経過した後にされたことも併せ考慮すると,本件各
売買の当時においては,賦課金を課される可能性が具体性を帯びていたとはいえ
ず,その可能性は飽くまで一般的・抽象的なものにとどまっていたことは明らかで
ある。
そして,土地区画整理法の規定によれば,土地区画整理組合が施行する土地区画
整理事業の施行地区内の土地について所有権を取得した者は,全てその組合の組合
員とされるところ(同法25条1項),土地区画整理組合は,その事業に要する経
費に充てるため,組合員に賦課金を課することができるとされているのであって
(同法40条1項),上記土地の売買においては,買主が売買後に土地区画整理組
合から賦課金を課される一般的・抽象的可能性は,常に存在しているものである。
したがって,本件各売買の当時,被上告人らが賦課金を課される可能性が存在し
ていたことをもって,本件各土地が本件各売買において予定されていた品質・性能
を欠いていたということはできず,本件各土地に民法570条にいう瑕疵があると
いうことはできない。
5これと異なる原審の上記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反がある。論旨は上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決中,上告人
ら敗訴部分は破棄を免れない。そして,被上告人らの請求は理由がなく,これを棄
却した第1審判決は結論において是認することができるから,上記部分に関する被
上告人らの控訴を棄却すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官千葉勝美裁判官竹内行夫裁判官小貫芳信裁判官
鬼丸かおる)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛