弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを懲役四月に処する。
     被告人B、同C、同Dを各罰金二五、〇〇〇円に処する。
     被告人B、同C、同Dが右各罰金を完納することができないときは、金
五〇〇円を一日に換算した期間、当該被告人を労役場に留置する。
     被告人Aに対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
     被告人Aから金一〇、〇〇〇円を、被告人Cから金五、〇〇〇円をそれ
ぞれ追徴する。
     被告人B、同C、同Dに対し、いずれも公職選挙法第二五二条第一項の
規定する選挙権および被選挙権を有しない期間を二年間に短縮する。
     原審の訴訟費用中証人Eに支給した分を四分し、各その一を被告人四名
の各負担とし、証人F、同G、同Hに支給した分は被告人Aの負担とし、証人Iに
支給した分は被告人Bの負担とし、証人Jに支給した分は被告人Dの負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、東京高等検察庁検事中村次郎が差し出した新潟地方検察庁検
察官検事正大越正蔵名義の控訴趣意書および弁護人鈴木喜三郎が差し出した控訴趣
意書、補充趣意書、弁護人松木弘が差し出した控訴趣意書(控訴趣意書訂正申立)
に記載してあるとおりであり、検察官の控訴趣意書に対する答弁は弁護人鈴木喜三
郎が差し出した答弁書に記載してあるとおりであるから、いずれもこれを引用し、
これらに対して当裁判所は次のように判断をする。
 弁護人松木弘の論旨竝びに弁護人鈴木喜三郎の論旨のうち事案誤認および法令違
反の主張について。
 <要旨>甲が、乙から某候補者を当選させる目的で他の選挙運動者または選挙人に
選挙費用、報酬または投票報酬等の趣旨で供与させる資金として金員の交付
を受けるにとどまるときは、乙の交付罪および甲の受交付罪が成立するも、それが
発展して甲が乙の意を体して右金員を他に供与したときは、甲、乙の共謀による供
与の共同正犯(公職選挙法第二二一条第一項第一号、刑法第六〇条)が成立し、乙
の交付罪および甲の受交付罪(各同法第二二一条第一項第五号第一号)はこれに吸
収されて別罪として成立しないものと解すべきである。記録を精査すれば、被告人
Aは、K連盟新潟県支部連合会の事務主任者で、原判示第一の一の後段のように、
昭和三七年七月一日施行の参議院議員通常選挙に際し、K連盟の推薦候補として同
年六月七日全国区から立候補した日高広為の新潟県下における選挙運動者である
が、Eから、右選挙の選挙人で、同候補者の選挙運動者であるK連盟L支部連合会
傘下の各支部の事務主任者等に対し、同候補者に当選を得しめる目的の下に投票竝
びに投票取纏等の選挙運動の報酬として一人当り五、〇〇〇円をそれぞれ供与され
たい旨の依頼を受け、現金合計二五、〇〇〇円の交付を受け、その意を体して、原
判示第一の二の(一)の(1)ないし(4)、(二)のように、同候補者に当選を
得しめる目的の下に投票竝びに投票取纏等の選挙運動の報酬として、同候補者の選
挙運動者である被告人C、同D、同BおよびF、Gに対し、それぞれ現金五、〇〇
〇円を供与したことを認めることができるから、右は、被告人AとEとの共謀によ
る供与の共同正犯となり、被告人Aの受交付罪は右供与罪に吸収されて別罪として
成立しないものというべきである。ところが、原判決は、被告人Aに対し、右被告
人C等五名に対する供与罪の成立を肯認したうえ、更に、右Eからの受交付罪をも
別罪(併合罪)としてその成立を肯認しているから、右は法令の解釈適用を誤り、
その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるというべきであつて、論旨は理由
があり、この点において原判決中被告人Aに関する部分は破棄を免れない。 (そ
の余の判決理由は省略する)
 (裁判長判事 加納駿平 判事 河本文夫 判事 清水春三)

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