弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人の控訴を棄却する。
     原審および当審における訴訟費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人三木仙太郎の上告理由第三点の(リ)および上告代理人水野東太郎外
二名の上告理由第四点について。
 農地法施行法は、自作農創設特別措置法(以下たんに自創法という。)を廃止す
るとともに、その二条一項一号において、自創法六条五項の規定による公告のあつ
た買収計画にかかる農地については、なお従前の例によつてこれを買収する旨を定
めている。そして、自創法は、農地の買収は買収計画の承認があれば買収令書を交
付してこれを行なう旨(九条一項本文)を規定するにとどまり、農地法一一条のご
とく、とくに「遅滞なく」令書を作成・交付すべき旨を命じた規定を設けていない
が、自創法のもとにおいても、買収令書の交付または公告は、買収計画の公告・承
認後遅滞なく行なわなければならないことは、農地改革の急速な実現を図らんとす
る同法の目的に徴して、疑いを容れないところであり、しかも、自創法による買収
と農地法による買収とでは、買収の要件・対価が異なり、自創法による買収の方が
農地法による買収よりも被買収者にとつて不利益であることが明らかである。した
がつて、農地法施行法二条一項一号の規定に基づき、自創法の規定による公告のあ
つた買収計画にかかる農地について従前の例により買収することができるのは、買
収計画の公告・承認後遅滞なく買収令書を交付する場合とか、買収計画の公告・承
認後遅滞なく買収令書の交付または公告がなされたが、それが法定の要件を欠く違
法のものであつたため、当該交付または公告の瑕疵を補正する意味で、後日重ねて
買収令書の交付を行なう場合(当裁判所昭和三三年(オ)第三〇八号昭和三六年三
月三日第二小法廷判決、裁判集(民事)四九号三一頁参照)に限られ、したがつて、
買収計画の公告・承認後遅滞なく買収令書の交付または公告が行なわれた事跡がな
いにもかかわらず、「買収の時期」より十余年も経過して後に、農地法施行法の右
規定に依拠し、あらたに買収令書を交付して買収処分をするがごときことは、とう
てい許されないものと解するのが相当である。
 いま、原判決の確定した事実によれば、徳島市齊津地区農地委員会は、昭和二五
年一〇月一八日、上告人所有にかかる本件農地について、自創法の規定により、買
収計画を樹立し、これを公告・縦覧に供し、県農地委員会は右計画を承認し、知事
は、買収令書の交付または公告をすることなく(本件において同法九条一項但書に
よる公告がなされていないことは記録上も明らかである)、同年一二月二日を「買
収の時期」とする買収の手続をしたが、本訴が提起されるに及んで、昭和三九年六
月二三日、農地法施行法二条一項一号の規定に基づき、前記昭和二五年一二月二日
を「買収の時期」とする買収令書を上告人に交付した、というのである。
 されば、本件買収令書の交付は無効であるというべく、これを有効と認めた原審
の判断に農地法施行法二条一項一号の違背ありとする論旨は理由があり、原判決は、
その余の上告理由について判断を加えるまでもなく、破棄を免れない。そして、右
買収令書の交付によつてなされた買収処分の無効確認を求める本訴請求を認容すべ
きことは、以上の説示によつて明らかであり、第一審判決は叙上と理由を異にする
が、昭和二五年一二月二日を買収の時期とする本件買収処分の無効を確認するもの
として、その結論を同じくするから、被上告人のした控訴は、けつきよく理由なき
に帰し、これを棄却すべきである。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法四〇八条、三九六条、三八四条、九六
条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    大   隅   健 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛