弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人堀井久雄の上告理由(上告状に記載た部分を含む)は後記書面のとお
りである。
 上告理由第一点及び第二点について。
 原判決は、被上告人が昭和二〇年一月二二日上告人との売買契約により耕作の目
的に供するため本件二筆の農地所有権の譲渡を受け、同年五月一二日これが引渡を
受けたという事実を認定し、この理由をもつて、本件農地所有権の取得は地方長官
の訴可を受けないでも有効であるという趣旨の判示をしていることは所論のとおり
であり、また當時農地所有権の移動を規制した法規は、臨時農地管理令(以下單に
管理令という)の七条の二(以下單に右規定という)であつたことは論旨の指摘す
るとおりである。ところが原判決には右規定の適用を示した記載がなく、またその
論旨をうかがうに足る記載も認められないから、原判決は果して右規定についてい
かなる判断をしたか明らかでない。よつて職権をもつて原判決の認定した事実に右
規定を適用すると、被上告人が本件農地の所有権を取得するには、当時地方長官の
許可を受くべきものであつたが、被上告人はその許可を受けなかつたことが認めら
れる。従つて被上告人の本件農地所有権の取得は、地方長官の許可がなくとも有効
であるかどうかを判断しなければならないわけである。そこで農地所有権等の移動
を規制する法令の変遷をたどつて見ると、先ず、国家総動員法に基く勅令である管
理令の七条の二は、昭和一九年三月二五日勅令第一五一号により加えられた規定で
あつて、ただ單に「……地方長官ノ許可ヲ受クベシ」と定めてあるに過ぎないので
あるが、この規定は農地調整法第一次改正(昭和二〇年一二月二八日法律第六四号)
により廃止されると同時に(附則四条)、新たに設けられた五条は、農地所有権等
の移動は地方長官又は市町村長の認可を受けなければ効力を生じない旨を明らかに
すると共に、除外例として六条三号に耕作の目的に供する場合を定めたのである。
次いで農地調整法第二次改正(昭和二一年一〇月二一日法律第四二号においては、
その四条において農地所有權等の移動は地方長官の許可又は市町村農地委員会の承
認がなければこれを爲すことができないと定めると共に、前記除外例を廃し且つ改
正法律施行前にこの除外例に当る契約であつても、当該農地の引渡及び移轉登記の
いずれもが完了していないものについては、なお右四条を適用する旨を定めたので
ある(附則二項)。これらの経緯によつて管理令の性質、その七条の二の文理並び
にこれに相當する農地調整法中の各改正規定の趣旨等を合せ考えるときは、管理令
當時の地方長官の許可は、農地を耕作地として確保するために取締の目的をもつて
設けられた規定であると解すべく、従つて農地の売買契約によつてその所有權を取
得した者が、地方長官の許可を受けなかつたからといつて、それだけの理由で売買
契約が必しも當然無効となるものではなく、また所有権の取得は効力を生じ得ない
ものでないと解するを相当とする。それゆえ被上告人は本件農地の売買契約につき
地方長官の許可を得なかつたけれども、その故に当然本件農地の所有権を取得する
ことができないものではなく、また他にその取得を無効とする事由も認めることは
できない。
 本件に関する判断は以上の説明に盡きるのであるから、原判決の判示理由の中に
耕作の目的に供するためとか引渡を受けたことを挙げているのは、当時施行されて
いた法令に副わざる無用の説明であり、これを非難する論旨もまた的のないのに矢
を射るに帰するのであるから、これについて判断を与えるかぎりでない。すなわち
原判決には以上のような不備があるけれども結論は正当であつて論旨は結局採用す
ることはできない。その他の論旨は原審の事実認定を非難するのであつて、上告の
適法な理由と認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    木   村   善 太 郎

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