弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人堤牧太同松尾菊太郎の上告趣意は後記書面のとおりである。
 第一点について。
 所論は刑訴三九二条二項が控訴審の職権調査義務を規定したものであるという当
裁判所の判例と反する独自の見解を前提とし、且つ原判決と異なる事実認定に立つ
て、原判決の判例違反を主張するのであるが、かかる理由は、原審において主張さ
れず、従つて判断もされなかつたのであるから、論旨はこの点においてすでに適法
な上告理由にあたらない(昭和二四年新(れ)第四九〇号同二五年五月一八日第一
小法廷決定、集四巻五号八二六頁、昭和二五年(あ)第二一二一号同二六年三月二
七日第三小法廷決定、集五巻四号六九五頁参照)。 また原判決の認めた第一審判
決は、三一名の所在不明の事実及び四名の他行中で配給停止中である事実を認定し、
これに基いて判示犯罪事実を認定したのであるから、所論引用の判例は本件に適切
でない(所論引用判例集一九五六頁参照)。
 第二点について。
 所論は、法令違反又は量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。
 よつて刑訴四〇八条に従い全裁判官一致の意見をもつて主文のとおり判決する。
  昭和二七年四月二二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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