弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成27年5月14日判決言渡
平成26年(行ケ)第10203号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成27年4月28日
判決
原告ザ,トラスティーズオブプリンストン
ユニバーシティ
訴訟代理人弁理士阿部達彦
増本要子
赤井吉郎
沖田壮男
被告特許庁長官
指定代理人鈴木肇
吉野公夫
相崎裕恒
田中敬規
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1原告の求めた裁判
特許庁が不服2012-318号事件について平成26年4月18日にした審決
を取り消す。
第2事案の概要
本件は,特許出願に対する拒絶査定不服審判請求の不成立審決に対する取消訴訟
である。争点は,進歩性判断(相違点の認定・判断)の誤りの有無である。
1特許庁における手続の経緯
原告は,名称を「ハイブリッド混合プラナーヘテロ接合を用いた高効率有機光電
池」とする発明につき,平成17年4月12日を国際出願日として特許出願(特願
2007-508564号,請求項の数32)をし(パリ条約による優先権主張平
成16年4月13日(本願優先日)・米国,平成16年8月4日・米国,国際公開W
O2005/101523,国内公表特表2007-533163号),平成23
年5月31日に手続補正をしたが,同年8月30日付けで拒絶査定を受けた。(甲3)
原告は,平成24年1月6日,拒絶査定不服審判請求をし(不服2012-31
8号),平成25年4月23日,誤訳訂正書による手続補正(本願補正,請求項の数
24)をした。(甲4)
特許庁は,平成26年4月18日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審
決をし,その謄本は,同年5月7日,原告に送達された。
2本願発明の要旨
本願補正後の請求項1に係る発明(本願発明)は,次のとおりである。(甲4)
「フォトンを吸収することにより光電流を生成する装置であって,
第1電極と;
第2電極と;
前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた光活性領域と;を備え,
該光活性領域は,
フォトンを吸収することによりエキシトンを生成する第1光活性有機層であっ
て,小分子有機アクセプター材料と小分子有機ドナー材料の混合を備え,0.8特
徴的電荷輸送長以下の層厚を有する第1光活性有機層と;
フォトンを吸収することによりエキシトンを生成する第2光活性有機層であっ
て,前記第1光活性有機層に直接接触すると共に,前記第1光活性有機層の小分
子有機アクセプター材料の非混合層を備え,さらに0.1光吸収長以上の層厚を有
する第2光活性有機層と;を備え,
前記第1及び第2光活性有機層によってフォトンを吸収することにより生成さ
れたエキシトンが,前記光電流に寄与する電子とホールとに分離する,装置。」
3審決の理由の要点
(1)引用発明の認定
H.L.WONGほか著「高効率バルクヘテロ接合光起電力デバイス用の低-バンド-ギ
ャップ,昇華性レニウム(Ⅰ)ジイミン錯体(Low-band-gap,sublimablerhenium
(Ⅰ)diiminecomplexforefficientbulkheterojunctionphotovoltaicdevi
ces)」(APPLIEDPHYSICSLETTERS,米国,2004.04.05発行,VOLUME84,
NUMBER14,pp.2557-2559)(甲1〔甲5・甲6・乙1も同じ。〕,引用文献)
には,次の発明(引用発明)が記載されている。
「ITO/CuPc/Re-DIAN:C60/C60/Alの多層バルクヘテロ接合で構成されたデ
バイスである多層太陽電池。」
(2)一致点の認定
本願発明と引用発明とを対比すると,次の点で一致する。
「フォトンを吸収することにより光電流を生成する装置であって,
第1電極と;
第2電極と;
前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた光活性領域と;を備え,
該光活性領域は,
フォトンを吸収することによりエキシトンを生成する第1光活性有機層であっ
て,小分子有機アクセプター材料と小分子有機ドナー材料の混合を備える第1光
活性有機層と;
フォトンを吸収することによりエキシトンを生成する第2光活性有機層であっ
て,前記第1光活性有機層に直接接触すると共に,前記第1光活性有機層の小分
子有機アクセプター材料の非混合層を備える第2光活性有機層と;
を備え,
前記第1及び第2光活性有機層によってフォトンを吸収することにより生成さ
れたエキシトンが,前記光電流に寄与する電子とホールとに分離する,
装置。」
(3)相違点の認定
本願発明と引用発明とを対比すると,次の点が相違する。
「本願発明では,第1光活性有機層が0.8特徴的電荷輸送長以下の層厚を有し,
第2光活性有機層が0.1光吸収長以上の層厚を有するのに対して,引用発明では,
これらの層の層厚が特定されない点」(相違点)
(4)相違点の判断
①本願優先日当時において,混合層である光活性層は数10nm程度の相当薄
いものとして認識されていたものと認められるから,引用発明における第1光活性
有機層(Re-DIAN:C60)についても,設計上相当程度薄いものとすることは,当
業者が当然考慮することといえ,その層厚を,0.8特徴的電荷輸送長以下との要件
を満たす程度のものとすることは,格別の困難を要するものではない。
②引用文献には,引用発明における第2光活性有機層(C60)の層厚として1
0nm,すなわち0.1光吸収長程度の層厚が示されるところであるから,第2光活
性有機層の層厚を0.1光吸収長以上との要件を満たす程度のものとすることに格
別の困難を要するものとは認められない。
③相違点に係る本願発明の層厚は,設計上好適な条件を定めたものと認められ
るところであり,かかる条件を定めることにより,当業者の予測可能な域を超える
といった技術的意義が生じるものとは認められない。
(5)審決判断まとめ
本願発明は,当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものであ
るから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
第3原告主張の審決取消事由
1取消事由1(一致点・相違点の認定の誤り)
(1)第1光活性有機層
審決は,引用発明の「Re-DIAN:C60」に含まれる「Re-DIAN」及び「C60」
が,それぞれ,本願発明の小分子有機ドナー材料及び小分子有機アクセプター材料
に相当し,その結果,引用発明の「Re-DIAN:C60」が,本願発明の第1光活性有
機層に相当する旨の認定をする。
しかしながら,引用発明の「ITO/CuPc/Re-DIAN:C60/C60/Al」中でドナー
材料として機能しているのは,「CuPc」であり,隣接する「Re-DIAN」は,光増
感剤として機能しているだけであるから,「Re-DIAN」は,本願発明の小分子有
機ドナー材料に相当しない。したがって,引用発明の「Re-DIAN:C60」が,本願
発明の第1光活性有機層に相当することもない。
その理由は,次のとおりである。
①引用文献には,「Re-DIAN」が光増感剤として機能することが明示されて
おり(2557頁左欄24~27行目),引用発明のデバイスは,[1]ドナー層とし
て機能する「CuPc」で励起子が生成され[2]「Re-DIAN:C60」中の「Re-DIA
N」が「CuPc」で生成された励起子の貯蔵部として機能し,さらに,[3]「Re-DI
AN」が,これらの励起子を,アクセプター層として機能する「C60」に移動させる
との3つのコンポーネントで構成されている。
②引用文献には,光増感剤には,長寿命の三重項励起状態を形成する材料が光
増感剤として使用されること,長寿命の三重項励起状態を形成する材料を使用する
理由は,この材料が励起子の長寿命化を可能にし,励起子がアクセプター層に達し
たときの励起子解離を可能にするためであることの記載がある(2557頁左欄1
2~23行目)。
そうすると,引用発明において「Re-DIAN」を使用している理由は,長寿命の
三重項励起状態を形成するためであり,これは,電荷の輸送よりも長時間を要する
エネルギーの輸送のためといえる。しかし,これにより,ドナーである「CuPc」
とアクセプターである「C60」との接触が減少し,かえってドナーである「CuPc」
の効率が悪くなっており,装置効率は,本願発明と比べて非常に低い(引用文献の
2558頁のTABLEⅠ.,本願明細書の【0070】参照)。この効率の低さから理
解されるように,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活性有機層
のように,ドナー材料とアクセプター材料とが混合されたバルクヘテロ接合として
装置効率の改善に寄与しているとは考えられず,「Re-DIAN」は,ドナー材料と
しては機能していない。
なお,「CuPc」は,混合層ではないから,本願発明の第1光活性有機層に相当す
ることはない。
(2)第2光活性有機層
審決は,引用発明の「C60」が,本願発明の第2光活性有機層に相当する旨の認
定をする。
しかしながら,引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層に相当する
ものではない。
その理由は,次のとおりである。
上記(1)のとおり,引用発明の「Re-DIAN」は第1光活性有機層に相当するもの
ではないから,引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層のように第1
光活性有機層に「直接接触する」ことがない。また,引用発明の「C60」は,本願
発明の第2光活性有機層のように,「第1光活性有機層の小分子有機アクセプター材
料の非混合層を備え,さらに0.1光吸収長以上の層厚を有する」ものではない。
(3)小括
以上のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」及び「C60」は,それぞれ,本願
発明の「第1光活性有機層」及び「第2光活性有機層」に相当するものではないか
ら,これらを相当するものとして導かれた審決の一致点・相違点の認定には,誤り
がある。
2取消事由2(相違点の判断の誤り)
(1)第1光活性有機層の層厚
審決は,「引用発明における第1光活性有機層(Re-DIAN:C60)についても,
設計上相当程度薄いものとすることは,当業者が当然考慮することといえ,その層
厚を,0.8特徴的電荷輸送長以下との要件を満たす程度のものとすることに格別の
困難を要するものとは認められない。」と判断する。
しかしながら,次のとおり,審決の判断は誤りである。
①上記1(1)のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活
性有機層に相当しない。
②本願発明は,混合層である第1光活性有機層の層厚を特徴的電荷輸送長とい
う形式で規定することにより,最適な層厚を適宜決定することを可能とした。しか
しながら,引用文献には,そのような技術思想はない。
③周知例として用いられた,J.Drechselほか著「単一または複数のPIN構造に
基づく高効率有機太陽電池(Highefficiencyorganicsolarcellsbasedonsin
gleormultiplePINstructures)」(ThinSolidFilms,米国,2004.03.22発
行,vol.451-452,pp.515-517)(甲2)に開示された構造は,「ZnPc:C60」と,
光活性層ではない「n-C60」とを含むものであり,本願発明とは異なる構成を有し,
その動作原理も異なるほか,本願発明の第1光活性有機層の層厚(0.8特徴的電荷
輸送長以下)に関する技術的思想を開示するものではない。
(2)第2光活性有機層の層厚
審決は,「第2光活性有機層の層厚を0.1光吸収長以上との要件を満たす程度の
ものとすることに格別の困難を要するものとは認められない」と判断する。
しかしながら,次のとおり,審決の判断は,誤りである。
①上記1(2)のとおり,引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層に
相当しない。
②引用文献には,「C60」の層厚の単なる一例(10nm)が開示されているだけ
であり,本願発明の第2光活性有機層の層厚(0.1光吸収長以上)に関する技術的
思想は一切開示されていない。
(3)発明の作用効果
審決は,「相違点に係る本願発明の層厚は,設計上好適な条件を定めたものと認め
られるところであり,かかる条件を定めることにより,当業者の予測可能な域を超
えるといった技術的意義が生じるものとは認められない。」と判断する。
しかしながら,次のとおり,審決の判断は誤りである。
本願発明は,所定の第1光活性有機層と第2光活性有機層とを備えることにより,
装置の効率を大幅に改善するという引用発明にはない格別な作用効果を奏する。具
体的には,引用発明で達成される装置の効率ηPの最大値は0.48%であるのに対
し(2558頁TABLEⅠ.及び右欄28~30行目),本願発明のハイブリッドヘ
テロ接合電池の効率ηPは,5.0±0.2%であり,引用発明に開示された装置の
効率を大幅に上回るものである(【0070】【図15】)。
そして,引用発明は,本願発明のように層厚に関する基準に従うことで効率が改
善することを教示するものではない。
そうすると,本願発明は,当業者の予測可能な域を超える技術的意義を生じるも
のである。
(4)小括
以上のとおり,相違点に係る本願発明の構成は,当業者が,格別の困難を要する
ことなく設計上適宜なし得る程度のものではなく,当業者の予想を超える効果を生
じる。
したがって,審決の相違点の判断には,誤りがある。
第4被告の反論
1取消事由1(一致点・相違点の認定の誤り)に対して
(1)第1光活性有機層
引用発明の「Re-DIAN:C60」に含まれる「Re-DIAN」は,小分子有機ドナー
材料であり,「C60」は,小分子有機アクセプター材料であるといえる。したがって,
引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活性有機層に相当する。
その理由は,次のとおりである。
①引用発明はバルクヘテロ接合で構成されたデバイスであるところ,バルクヘ
テロ接合とは,ドナー(電子供与性の)材料とアクセプター(電子受容性の)材料
とが混合されて構成されるものである(国際公開WO03/075364号〔乙2〕,「有機
太陽電池の現状と展望」(応用物理第71巻第4号(2002)pp.425-428〔乙3〕,G.
Yu.ほか著「ポリマー光電池:内部ドナー-アクセプターヘテロ接合のネットワークによって
高められた効率(PolymerPhotovoltaicCells:EnhancedEfficienciesviaaN
etworkofInternalDonor-AcceptorHeterojunctions)」(SCIENCEVOL.
27015DECEMBER1995pp.1789-1791)〔乙4〕)。
②引用発明の「Re-DIAN:C60」に含まれる2つの材料のうち,「C60」は,
アクセプター材料である(甲1の2558頁左欄14~23行目)。
したがって,「Re-DIAN」は,ドナー材料となる。
③本願発明の小分子有機材料とは,分子量が十分に画定しているものを指すも
のであるところ(本願明細書【0004】),「Re-DIAN」は,分子量が画定した
分子であるとともに,有機化合物(炭素を含む化合物)であることは明らかである
から(引用文献の2557頁FIG.1),小分子有機材料といえる。
また,「C60」も,分子量が画定している分子であって,有機化合物であるから,
小分子有機材料ということができる。
④引用文献の2557頁FIG.1には,「Re-DIAN」が可視光域に吸収スペクトル
を有する旨が示されており,さらに,引用文献の2558頁右欄23~26行目に
は,「Re-DIAN」及び「C60」が,フォトンを吸収することを前提として,低い吸
収や「Re-DIAN:C60」の励起子(エキシトン)解離の制限により性能が貧弱にな
る旨が記載されているから,引用文献には,「Re-DIAN」」及び「C60」が,フォ
トンを吸収することによりエキシトン(励起子)を生成することが示されていると
いえる。
なお,引用文献は,「CuPc」を材料としたバルクヘテロ接合を開示していないか
ら,「Re-DIAN」が光増感剤として機能するからといって,「Re-DIAN:C60」に
おいて励起子解離が生じなくなるわけではない。
(2)第2光活性有機層
引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層に相当する。
その理由は,次のとおりである。
上記(1)②のとおり,引用発明の「C60」は,アクセプター材料であるといえ,本
願明細書の記載(【0027】)からも,この点は明らかである。また,上記(1)のと
おり,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活性有機層に相当する
ものであるから,引用発明の「C60」は,「Re-DIAN:C60」に直接接触する層で
ある。そして,上記(1)③のとおり,引用発明の「C60」は,小分子有機アクセプタ
ー材料であり,非混合層でもある。
(3)小括
以上のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」及び「C60」は,それぞれ,本願
発明の第1光活性有機層及び第2光活性有機層に相当するから,審決の一致点・相
違点の認定には,誤りはない。
2取消事由2(相違点の判断の誤り)
(1)第1光活性有機層の層厚
①上記1(1)のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活
性有機層に相当する。
②本願発明において,第1光活性有機層が0.8特徴的電荷輸送長以下の層厚の
ものであることの技術上の意義は,複数の因子の妥協の結果である(【0042】)。
しかるに,引用文献の記載(2559頁右欄7~16行目)からも明らかなよう
に,デバイスを構成する各層の厚さを最適化することは,当業者が設計上当然考慮
することである。そして,そのような最適化の結果である層厚の具体的な値として,
引用文献には,「Re-DIAN:C60」混合層の層厚を50nmとすることが(255
8頁左欄10~21行目),甲2には,「ZnPc:C60」を30nmの薄い活性層とす
ることが記載されており(516頁右欄9~11行目),混合層である光活性層の層
厚を最適化すると数10nm程度の相当薄いものとなることが示されている。
そうすると,引用文献の「Re-DIAN:C60」の層厚を,0.8特徴的電荷輸送長
以下程度のものとすることには,格別の困難を要しない。
③本願優先日当時において,混合層である光活性層であれば,それは数10n
m程度の相当薄いものとして認識されていたのであり,そのことは,光活性層の構
造に依るものではない。
(2)第2光活性有機層の層厚
①上記1(2)のとおり,引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層に
相当する。
②本願明細書は,第2光活性有機層の例として,「C60」の光吸収長を,450
nmの波長に対して1000Åとしているところ(【0027】),引用文献には,
引用発明における第2光活性有機層(C60)の層厚として10nm(1000Å),
すなわち,0.1光吸収長程度の層厚が示されているから,第2光活性有機層の層厚
を0.1光吸収長以上との要件を満たす程度(10nm以上程度)のものとすること
には,格別の困難を要しない。
(3)発明の作用効果
相違点に係る本願発明の第1光活性有機層及び第2光活性有機層の層厚は,複数
の因子の中の妥協の結果定められたものであって(【0027】【0042】),当業
者の予測可能な域を超えるといった技術的意義が生じるものとはいえない。
(4)小括
以上のとおり,引用発明において,相違点に係る本願発明の構成とすることに格
別の困難性はなく,また,相違点に係る本願発明の構成とすることによって,当業
者の予想可能な域を超える効果が生じるものでもない。
したがって,審決の相違点の判断には,誤りはない。
第5当裁判所の判断
1認定事実
(1)本願発明について
本願明細書(甲3,4)の記載によれば,本願発明は,次のとおりのものと認め
られる。
本願発明は,高効率有機光電池装置に関するものである(【0001】)。
有機オプトエレクトニクス装置は,作製するのに用いられる多くの材料が比較的
廉価であるため,無機の装置よりコスト的に有利となる可能性を秘めており,また,
柔軟性等の有機材料特有の特性のために,フレキシブル基板上での作製等の特有の
用途に適しているが(【0003】),より高効率の有機光電池が必要とされる(【0
008】)。
そこで,この高効率化のために,本願発明の装置は,①第1電極と,②第2電極
と,③第1電極と第2電極との間に挟まれた光活性領域とを備え,光活性領域は,
④フォトン(光子)を吸収することによりエキシトン(励起子)を生成する光活性
有機層であって,小分子有機アクセプター材料と小分子有機ドナー材料の混合を備
え,0.8「特徴的電荷輸送長」(混合層において電子又は正孔が進む平均距離)以
下の層厚を有する(【0042】)第1光活性有機層と,⑤フォトンを吸収すること
によりエキシトンを生成する光活性有機層であって,第1光活性有機層に直接接触
するとともに,第1光活性有機層の小分子有機アクセプター材料の非混合層であっ
て,0.1「光吸収長」(入射光強度が1/e又は約37%に低減する長さ)以上の層
厚を有する(【0027】)第2光活性有機層とを備えるものであり,⑥第1光活性
有機層の小分子有機ドナー材料においてフォトンを吸収することにより生成された
エキシトンが,小分子有機ドナー材料とのヘテロ接合の界面に到達した際に解離し,
光電流に寄与する電子と正孔とに分離する装置である(【0022】)。
本願発明では,短いエキシトン拡散長の制限を克服するために,第1光活性有機
層を,小分子有機アクセプター材料と小分子有機ドナー材料の混合からなるバルク
へテロ接合として電力変換効率ηPを改善するとし(【0011】【0012】),そ
の層厚を,フォトンの吸収を増大するための厚い層の要求とエキシトンの再結合を
回避するための薄い層の要求を含む複数の因子の中の妥協として,0.8特徴的電荷
輸送長以下とした(【0042】)。
また,本願発明では,光電流に大きく寄与するために,第2光活性有機層の層厚
を,0.1光吸収長以上とした(【0027】)。
(2)引用発明について
ア引用文献の記載
甲1には,次の記載がある(訳文は,乙1,1の2による。)。
「多層太陽電池(multilayerphotovoltaicdevices)の二種類を作製した。最初のタイプは,
銅フタロシアニン(CuPc)とフラーレンが,それぞれ正孔及び電子輸送分子として使用された,
ITO/CuPc/Re-DIAN/C60/Alの多層ヘテロ接合デバイスであった。第二のタイプは,Re
-DIANとC60が同じ層で一緒に共蒸着された,ITO/CuPc/Re-DIAN:C60/C60/Alの多層
バルクヘテロ接合で構成されたデバイスであった(図1)。このタイプのデバイスでは,C60
分子は,励起子が形成されれば,より効率的に電子を捕獲することができる。CuPc,Re-D
IAN(又はRe-DIAN:C60混合層)及びC60の層厚は,それぞれ,10,50,及び10
nmで維持された。20Ω/sqのシート抵抗を持つITOガラススライドがアノードとして使
用され,アルミニウム(厚さ=40nm)がカソードとして使用された。」(2558頁左欄10
~23行目)
図1
(2557頁)
イ引用発明の認定
上記記載によれば,引用発明は,次のとおりのものと認められる。
「ITO/CuPc/Re-DIAN:C60/C60/Alの多層バルクヘテロ接合で構成され
たデバイスである多層太陽電池。」
2取消事由1(一致点・相違点の認定の誤り)について
(1)第1光活性有機層
原告は,「Re-DIAN」は,本願発明の小分子有機ドナー材料に相当しないから,
引用発明の「Re-DIAN:C60」が,本願発明の「第1光活性有機層」に相当するこ
ともない旨を主張するので,以下,検討する。
アバルクヘテロ接合の観点から
上記1(2)イのとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,バルクヘテロ接合で構
成されているところ,次の刊行物に記載されているとおり,バルクヘテロ接合が,
ドナー材料とアクセプター材料とを混合して形成したものであることは,当業者の
技術常識と認められる。
①乙2
「有機光電変換素子においては電子供与性の有機半導体(ドナー)と,電子受容性の有機半
導体(アクセプター)を組み合わせ,いわゆるヘテロジャンクション構造を作ることが,高
効率化のために必要である。…ドナー性の導電性ポリマーとアクセプター性のフラーレン誘
導体を混合したいわゆるバルクへテロジャンクションが提案…され…」(明細書1頁下から7
~1行目)
②乙3
「5.有機薄膜太陽電池(BulkHeterojunction型)
この太陽電池の原型は,電子供与体と電子受容性の有機分子を均一に混合した薄膜を異種
電極で挟んだもので,非常にシンプルな構造をしている」(427頁左欄3~6行目)
③乙4
「したがって,相互貫入し相分離されたD-Aネットワーク複合物…が理想的な光起電力材
料であるように思われる・・・。…複合物内のどんな個所もD-A界面の数ナノメートル内に
あるので,そのような複合物は“バルクD-Aヘテロ接合”材料である。」(1789頁中央
欄11~21行目)
そして,「C60」がアクセプター材料であることは,当業者の技術常識である(こ
の点については,当事者間に争いはない。)。そうすると,引用発明の「Re-DIAN:
C60」において,一方の「C60」がアクセプター材料として機能するのであれば,他
方の「Re-DIAN」がドナー材料として機能するものであることは明らかである。
イ束縛エネルギーの観点から
(ア)引用文献の記載
引用文献には,次の記載がある。
①「ここで,我々は,光増感剤(photosensitizer)としてのクロロトリカルボニルレニウ
ム(I)ビス(フェニルイミノ)アセナフテン(Re-DIAN)錯体を用いた太陽電池の製造
について報告する。」(2557頁左欄24~27行目)
②「Re-DIANの最高被占分子軌道(HOMO)と最低空分子軌道(LUMO)の準位…は,
それぞれ-5.9,-3.7eVと決定され,これにより,HOMO-LUMOで与えられるギャップ
Egapは,2.2eVとなる。光電プロセスにおいて励起子が解離するために,ドナーとアクセプ
ターである物質のバンドオフセットが励起子の束縛エネルギーより大きくなければならな
い。」(2558頁左欄23行~右欄2行目))
③「吸収スペクトルにおけるバンド端から,Re-DIANの光学バンドギャップEoptは,2.
0eVであると測定される。励起子の束縛エネルギーは,Egap-Eopt=0.2eVであると評価され
る。」(2558頁右欄3~6行目)
④「錯体の最低三重項MLTC励起状態は,C60部分によって10


-1
の速度定数で失活さ
れる。」(2558頁右欄8~10行目)
⑤「このデバイスのηpは0.03%であると算出された。比較的貧弱な性能はRe-DIAN/C60接合の
励起子解離の制限と,Re-DIANによるC60より低い吸収に起因するだろう。」(2558頁
右欄22~26行目)
(イ)検討
上記(ア)②には,励起子の解離に必要な束縛エネルギーに関する記載があり,さら
に,同③で,「Re-DIAN」のギャップEgap(2.2eV)と「Re-DIAN」の光学的バ
ンドギャップEopt(2.0eV)の差から,励起子の束縛エネルギーを0.2eVと算出し
ている以上,この励起子は「Re-DIAN」において生成されたものであることは明
らかである。そして,同④には,錯体である「Re-DIAN」の最低三重項MLTC
励起状態がC60部分によって失活したとの記載があり,「Re-DIAN」で生成され
た励起子が,「C60」によって解離されたことを意味するものと理解される。そうす
ると,同③には,励起子の解離で生じた電子が「C60」を急速に移動することにつ
いて記載されているものと理解できる。
以上によれば,引用発明の「Re-DIAN:C60」における「Re-DIAN」は,「C60」
に電子を供与するドナー材料として機能し,同「C60」は,電子を受容するアクセ
プター材料として機能しているものと認められる。
ウ原告の主張に対して
原告は,「Re-DIAN」は,①励起子の長寿命化を可能にし励起子の貯蔵,移動
に関する機能を有する光増感剤としてのみ作用し,②本願発明と比較すると効率が
非常に低いからドナー材料としての作用は有していない旨を主張する。
しかしながら,上記(1)にて認定判断のとおり,「Re-DIAN」がドナー材料とし
て採用され,その旨の機能をしていることは明らかであるところ,①三重項励起で
生成された励起子であっても,バルクヘテロ接合界面で電子と正孔とに解離するも
のであるから,「光増感剤(photosensitizer)」であることと,ドナー材料であるこ
ととは両立し,また,②本願発明と比較して「Re-DIAN」の効率が低いとしても,
そのことがドナー材料として機能しないことに直結するものではないから,その主
張は,いずれも採用することができない。
エ小括
本願発明における有機小分子材料とは,「高分子材料(一般に分子量が十分に画定
していない。)ではない有機材料」をいうものである(【0004】)ところ,引用発
明の「Re-DIAN」及び「C60」は,いずれも分子量が確定した有機化合物である
から,小分子有機材料に該当する。また,「Re-DIAN」はドナー材料,「C60」は
アクセプター材料であり,「Re-DIAN:C60」が混合層であることは明らかである。
したがって,「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活性有機層に相当する。
(2)第2光活性有機層
上記(1)のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」は,本願発明の第1光活性有機
層に相当し,前記1(2)イのとおり,引用発明の多層太陽電池の積層構造から,「C6
0」が「Re-DIAN:C60」に直接接触していることは明らかである。
したがって,引用発明の「C60」は,本願発明の第2光活性有機層に相当する。
なお,原告は,引用発明の「C60」の層厚が0.1光吸収長以上でないから,本願発
明の第2光活性有機層に相当しない旨を述べるが,引用発明の「C60」の層厚は,
別途,相違点として認定されるものであって,層厚が0.1光吸収長以上ないことを
理由として,引用発明の「C60」が第2光活性有機層に相当しなくなるものではな
い。
(3)まとめ
以上のとおり,引用発明の「Re-DIAN:C60」及び「C60」は,それぞれ,本願
発明の第1光活性有機層及び第2光活性有機層に相当するから,その旨を認定して
された審決の一致点・相違点の認定には,誤りはない。
よって,取消事由1は,理由がない。
3取消事由2(相違点の判断の誤り)について
(1)「第1光活性有機層」の層厚
原告は,引用文献や甲2には,本願発明の第1光活性有機層の層厚を0.8特徴的
電荷輸送長以下とするような技術思想は開示されていない旨を主張するので,以下,
検討する。
ア刊行物の記載
(ア)引用文献
引用文献には,次の記載がある。
「結論としては,シンプルな構造を持つ効率的な多層バルクヘテロ接合光起電力デバイ
スは,ローバンドギャップ及び良好な加工性を持つクロロトリカルボニル・レニウム・
ジイミン錯体に基づいて作製された。活性層は,真空昇華により共蒸着されたレニウム
錯体及びフラーレンの混合から成る。レニウム錯体は両方の光増感剤として働き,バイ
ポーラの電荷輸送特性を示す。デバイスの各層の厚さ及び製造を最適化し,さらに洗練
されたデバイスにより,改良された性能も達成可能である。」(2559頁右欄7~16
行目)
(イ)乙3
乙3には,次の記載がある。
「5.有機薄膜太陽電池(BulkHeterojunction型)
この太陽電池の原型は,電子供与体と電子受容性の有機分子を均一に混合した薄膜を異種
電極で挟んだもので,非常にシンプルな構造をしている」(427頁左欄3~6行目)
「この太陽電池は,作製が容易であり,高温での焼成過程を含まず,高価な導電性ガラス基
板も必要なく,大量生産が可能という有機物の特徴を最大限にいかせるデバイスとして注目
される。問題としては,励起子の拡散長,膜抵抗増大のために膜厚を100nm以上にでき
ないため光吸収効率の向上が難しい点であり,10μm(100倍!)の膜厚で光吸収効率
を稼ぐ色素増感型太陽電池と対照的である。」(427頁左欄下4行~右欄5行目)
イ検討
引用文献には,前記1(2)アのとおり,「Re-DIAN:C60」層の厚さを50nmに
することが記載されているほか,上記ア(ア)のとおり,デバイスの各層の厚さを最適
化すれば性能の向上も達成可能である旨の記載がある。
そして,学会誌の技術解説記事である乙3には,電子供与体と電子受容性の有機
分子を均一に混合した薄膜,すなわち,混合層を異種電極で挟んだ構造のバルクヘ
テロ接合型の有機薄膜太陽電池において,励起子の拡散長に従い,混合層の膜厚を
一定以上にはできないとの記載があり,また,この記載は,ドナー材料,アクセプ
ター材料として具体的にどのような材料を用いた場合のものであるかを特定するも
のではないから,この乙3に示されるとおり,混合層の膜厚に励起子の拡散長に依
存する上限値が存することは,当業者にとっての周知の事項であったものと認めら
れる。
以上によれば,混合層である第1光活性層(「Re-DIAN:C60」)の厚さの上限値
を,光吸収率の向上と励起子の再結合回避の観点から,励起子の拡散長に相当する
特徴的電荷輸送長を指標として決することは,当業者が適宜に行う最適化条件の決
定にすぎないといえる。
ウ原告の主張に対して
原告は,引用文献や甲2には,本願発明における特徴的電荷輸送長という観点か
ら最適な層厚を決定する技術思想はない旨を主張するが,上記イのとおり,励起子
の拡散長を指標として層厚の上限値を決定することは,周知の事項であったと認め
られる。そうすると,これを本願発明のように拡散長の平均距離に対する割合を基
準としてみても,格別のこととは認められないのであり,本願発明の技術思想が周
知の事項と異なるとは認められない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
エ小括
以上によれば,引用発明における第1光活性有機層(「Re-DIAN:C60」)の層厚
を,0.8特徴的電荷輸送長以下とすることを容易想到とした審決の判断には,誤り
はない。
(2)第2光活性有機層の層厚
原告は,引用文献には,本願発明の第2光活性有機層の層厚を0.1光吸収長以上
とするような技術思想は開示されていない旨を主張するので,以下,検討する。
ア刊行物の記載
引用文献には,前記1(2)ア及び上記(1)ア(ア)のとおり,次の記載がある。
「CuPc,Re-DIAN(又はRe-DIAN:C60混合層)及びC60の層厚は,それぞれ,10,
50,及び10nmで維持された。」(2558頁左欄19~21行目)
図1
(2557頁)
「デバイスの各層の厚さ及び製造を最適化し,さらに洗練されたデバイスにより,改良
された性能も達成可能である。」(2559頁右欄8~10行目)
イ検討
引用文献には,上記(ア)のとおり,「C60」の厚さを10nmにすることが記載され
ているところ,本願発明にいう「光吸収長」は,本願明細書によれば,「C60」にお
いては,450nmの波長に対して1000Åとされているから(【0027】),0.
1光吸収長は,100Å(10nm)であり,引用文献に記載された「C60」の層
厚は,「0.1光吸収長」となっている。他方,本願明細書には,「C60」の層厚を「0.
1光吸収長」以上としたことによる特有の効果は記載されていない。
以上によれば,非混合層である第2光活性有機層(「C60」)の層厚を,光吸収の
増大の観点から「0.1光吸収長」以上とすることは,格別の困難を要せず,当業者
が適宜に行う最適化条件の決定にすぎないと認められる。
ウ原告の主張に対して
原告は,引用文献には,本願発明における「光吸収長」という観点から最適な層
厚を決定する技術思想はない旨を主張する。
しかしながら,「C60」の層厚が光吸収によって生成する励起子の増加に影響する
ことは技術的に明らかであり,そして,本願明細書には,第2光活性有機層の層厚
を,光吸収長を基準として決したことの特有の効果についての記載はないのである
から,光吸収長を指標として層厚を決定しても,最適化条件の決定に当たり随意の
パラメータを採用したものにすぎず,格別のこととは認められない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
エ小括
以上によれば,引用発明における第2光活性有機層(「C60」)の層厚を,0.1光
吸収長以上とすることを容易想到とした審決の判断には,誤りはない。
(3)発明の作用効果
原告は,本願発明は,当業者の予測可能な域を超える効果を有する旨を主張し,
その根拠として,本願発明の実施例と引用発明の効率を比較する。
原告が,高い効率であると主張する太陽電池は,本願明細書に実施例として記載
された「インジウム錫酸化物/150ÅCuPc/100ÅCuPc:C60(1:1重量比)/350ÅC60
/100Åバンクロプイン/1000ÅAg」という構造のものである(【0040】【005
6】【0068】)。
しかしながら,本願発明では,第1光活性有機層を小分子有機アクセプター材料
と小分子有機ドナー材料との混合層とし,第2光活性有機層を第1光活性層有機層
の小分子アクセプター材料の非混合層で形成されるとの限定がされているのみであ
り,小分子有機アクセプター材料と小分子有機ドナー材料の具体的な形成材料まで
は限定されていない。したがって,任意の小分子有機アクセプター材料や小分子有
機ドナー材料で装置を形成しても,本願発明の層厚を採用することのみによって,
上記実施例の構造と同等の効率ηPを達成できることを裏付ける根拠は何ら開示さ
れておらず,このことを裏付ける技術常識があるともいえない。
原告は,上記実施例の特有の効果と引用発明の効果とを対比して,発明の効果の
顕著性を主張しているにすぎないのであり,本願発明の層厚の基準を採用した実施
例とそうでない比較例を対比するものではないから,相違点に係る構成を有するこ
とによる効果の顕著性についての主張立証をしているとはいえない。そうすると,
その主張を採用することはできない。
したがって,本願発明に当業者の予測可能な域を超える効果があるとはいえない
とした審決の判断には,誤りはない。
(4)まとめ
以上(1)~(3)のとおり,審決の相違点の判断には,誤りはない。
したがって,取消事由2は,理由がない。
第6結論
よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとお
り判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
清水節
裁判官
中村恭
裁判官
中武由紀

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛