弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 本件上告の理由は末尾添附別紙記載の通りであつてこれに対する判断は次のとお
りである。
 第一点について。
 しかし所論準備書面が提出されたことは同準備書面が記録に編綴されている事実
によつて明らかであるが、提出後の口頭弁論において右準備書面に基いて主張事実
を陳述した形跡がないから右準備書面記載事実を陳述したとはいえない。そして所
論昭和二三年二月二七日の口頭弁論調書によれば上告人は裁判長の釈明に対し「第
一段には控訴人と被控訴人との間に成立した本件不動産の保管に関する契約履行を
求めるものである」と記載されてあるように上告人は本訴請求は本件不動産の保全
に関する契約を原因とするものである旨を主張するのであつて、本件不動産の所有
権に基くものであると主張するものでないことは明白である、上告人は右裁判長の
釈明に対する上告人の陳述は結局本訴請求は所有権に基く趣旨であると主張するが、
文理上左様な意味に解釈することはできないから原審において上告人は、本件不動
産の保全契約を請求原因とするものと判断したことは当然であつて何等法則違背は
ない、従つて原判決において上告人は本訴請求は本件不動産の所有権に基くもので
あると主張した旨を摘示しないからとして所論の如き判断遺脱の違法はなく、論旨
は理由がない。
 第二点について。
 しかし所論甲第一一号乃至第一三号証の成立については当事者間に争なく、かか
る書証を提出者である控訴人(上告人)の不利益に判断しかえつて被控訴人(被上
告人)の利益に判断したとしても証拠は共通であり取捨判断は事実審たる原審の自
由裁量にまかせられているのであるから其判断にして経験則に反しない限り何等違
法とはならない、そして右各号証の記載に徴し原審の判断に経験則違背ありとは認
められない。
 さらに論旨は原審において控訴人の為したる弁論再開申請を許可しなかつたこと
を非難するが、弁論を再開すべきか否かは原審の専権に属するところであつて、本
件については、再開の必要なしと認め右申請を許可しなかつたのであり且つ其不許
可については何等違法があるといえないから論旨は理由がない。
 第三点について。
 記録を徴するに、被上告人は昭和二〇年二月一三日の準備手続において同一九年
一二月六日附準備書面に基いて陳述し且つ同二一年一月二八日の口頭弁論において
右準備手続の結果を陳述したことは所論の通りである。しかし所論被上告人提出の
右準備書面第五項(イ)には「売買土地に対する第一順位の抵当権 前記D銀行よ
り金四五〇円借入の残債務)を被告において代位支払する事」とあり同項(ハ)に
は「土地代金二〇〇〇円より前記代位支払金及相殺金額を差引たる残額は売買によ
る所有権移転の際支払ふ事」とあつて右代位支払をすることは本件土地売買代金二
〇〇〇円支払の為めの一方法と為すことを契約した旨を記載したものであることを
窺い知ることができるのであつて右記載を法律的に解釈すれば右代位弁済によつて
生じた被上告人の求償権を以て本件土地売買代金と対当額において相殺する意味を
表明したものと解すべきであり被上告人が昭和二三年二月二七日の原審口頭弁論に
おいて釈明したところも右と同一趣旨であり且つ原判決事実摘示において第一審判
決の事実摘示を明確にしたところとも符合するものであること記録上明白であつて、
被上告人の主張には所論の如き変更のあつたものとはいえないから所論の如き審理
不尽はなく論旨は理由がない。
 第四点について。
 按ずるに原告(上告人)は昭和二〇年一一月七日の第一審口頭弁論期日において
被告(被上告人)本人の訊問を求むる旨申出で(被告本人の訊問申出は被告からも
申出でたものである)第一審裁判所は右申出にもとづき被告本人を訊問し控訴人(
上告人)は昭和二一年一〇月七日の原審口頭弁論期日において右第一審における証
拠調の結果を援用したものであることは記録上明白である。そして上告人は其後の
口頭弁論において右証拠調の結果を援用しない旨を申立てた形跡は記録上認められ
ないからこれを援用した旨を原判決が摘示したことは当然であつて何等誤りはない。
次に原判決は上告人主張の本訴請求原因たる事実は証拠上これを認めることができ
ないと判断したものであり、それだけでも上告人の請求は排斥をまぬかれないもの
である。被上告人の主張事実を認めた原判決はいわば蛇足不要の判示であるからこ
れについて仮令違法があつたとしても判決主文に影響がない。故に此点に関する論
旨は上告の理由とならない、論旨は理由がない。
 第五点について。
 本論旨は結局原審の自由裁量にまかせられている証拠の取捨判断並に事実認定に
ついて非難するにすぎないから採用しがたい。そして記録を精査するに原審におけ
る証拠の取捨並に事実の認定には実験則其他の法則に違背があることは認め難い論
旨は理由がない。
 よつて民事訴訟法第八九条同第九五条同第四〇一条により主文の通り判決する。
 以上は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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