弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決が本件につき刑法第二五条第二項を適用した部分を破棄する。
         理    由
 検事総長佐藤藤佐の非常上告申立理由は後記のとおりである。
 被告人が前に禁錮以上の刑に処せられその執行猶予中罪を犯したときは、一般に、
これに対し刑の執行猶予を言い渡すことは許されないのであつて(刑法二五条一項)、
ただ、被告人に対し一年以下の懲役又は禁錮を言い渡す場合に限り再び執行猶予を
言い渡し得るに過ぎない(同条二項)こと、いうまでもないから、判決において、
被告人を懲役一年に処し、これに対し再度の執行猶予を言い渡すなら別であるが、
被告人の罪状が懲役二年に値するものとして被告人に対し懲役二年を言い渡しなが
らその執行を猶予する言渡をすることは刑法二五条に違反するものといわなければ
ならない。
 本件記録を調べてみると、原裁判所である長野地方裁判所松本支部は昭和三一年
一〇月一一日右被告人及び被告人Aに対する詐欺被告事件について、「右被告人両
名は共謀の上、昭和三一年五月一八日頃諏訪市a町b番地B有限会社において、同
会社代表取締役Cに対しD新聞社の外交員でないのに、ある様に装い「D新聞社の
者だが新聞を継続して取つて貰い度い」と申向け、同人をしてその旨誤信せしめ、
因て即時同所において同人より新聞購読料名下に金額二〇〇〇円、同人振出、支払
場所、長野県E信用組合の小切手一枚を受取り之れを騙取した外、同三〇年二月三
日頃より同三一年六月二日頃までの間(別紙一覧表記載の如く)前後六五回に亘り、
D新聞社又はF新聞社の社員でないのに、ある様に装い、新聞購読方を申入れ被害
者を欺罔し、新聞購読料名下に合計九九、〇〇〇円を各騙取したものである。」と
の事実を認定し、これに対し刑法二四六条一項、六〇条、四五条、四七条、一〇条、
二五条、二五条ノ二第一項後段、刑訴法一八一条一項但書を適用し、主文において
被告人両名をいずれも懲役二年に処する、但し右裁判確定の日から三年間何れも右
刑の執行を猶予する、被告人Gを保護観察に付する」との旨の判決を言い渡し、右
判決は上訴期間の徒過により昭和三一年一〇月二六日確定するに至つたこと明白で
あり、原判決はこの擬律中で単に刑法二五条を適用する旨を示し同条二項を適用す
る旨を明示していないけれども、後記の如く前科があり、現に執行猶予中である事
実を認定しながら、右刑の執行猶予を言い渡しているのであるから同条二項を適用
した趣旨を判示したものと解すべきであり、なお記録によれば、被告人Gは昭和二
八年一二月二四日豊島簡易裁判所において窃盗、横領罪により「懲役一年に処する。
未決勾留日数中一〇〇日を右本刑に算入する、但し本裁判確定の日から三年間右本
刑の執行を猶予する。」旨の判決言渡を受けこの判決はその後確定し、本件松本支
部での審判当時は同被告人はこの懲役刑の前科を有しこれにつき刑の執行猶予中で
あつたこと、そしてこのような前科及び執行猶予判決のあつたことについては原審
第三回公判で右被告人についての各前科調書、身上取調書等の取調があり原判決が
この前科と判決のあつたことを認定した趣旨であることも原判決がその擬律中で刑
法二五条ノ二第一項後段を適用した趣旨に照らし推認することができる。
 してみれば、被告人が豊島簡易裁判所において窃盗、横領罪により昭和二八年一
二月二四日言い渡された懲役一年、但し三年間執行猶予の右確定判決により刑の執
行猶予中であることを本件原確定判決が認めながら擬律の部分において刑法二五条
二項、二五条ノ二第一項後段を適用し被告人に対し「被告人Gを懲役二年に処する。
但この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。被告人Gを保護観察に付す
る。」との主文を言い渡したことは原判決の審判が刑法第二五条第二項の趣旨に違
反するものというのほかなく、従つて、原判決が同条同項を適用した部分は破棄を
免れない。但し、原判決は被告人のため不利益なものではないから刑訴四五八条一
号本文に従い主文のとおりその違反した部分のみを破棄すべきものとし、裁判官全
員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 安平政吉出席
  昭和三二年七月二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    高   橋       潔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛