弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人稲田進五、同山口信夫の上告理由第一点について。
 所論は、原判決が本件報酬金算出の基礎となるべき訴訟物すなわち本件農地の価
額について、被上告人が別件訴訟において上告人の代理人として本件農地の坪当り
時価を金五〇〇〇円位と陳述した一事により、これを坪当り金五〇〇〇円と認定し
たのは、採証法則に違反し、審理不尽の違法あるを免れないという。しかし、訴訟
代理人の陳述そのものを証拠とするのではなく、別件訴訟において訴訟代理人が或
る事項を陳述したという事実を、本件訴訟において事実認定の資料に供することは、
なんら違法とはいえない。所論はひつきよう、原審の専権に属する事実認定の非難
に帰するから、採用できない。
 同第二点について。
 所論は、本件報酬債権は選択債権であるから、債務者たる上告人が選択権を行使
したか否かについて判示することなく、土地の価額に相当する金員の支払を命じた
原判決には、理由不備の違法があるという。しかし、原判決の確定するところによ
れば、上告人および被上告人間の報酬契約は、判示行政訴訟が上告人の勝訴に確定
するかまたは勝訴の見込がないことに確定したときは、この時期に期限が到来した
ものとし、その時期までに権利移動の制限の解除されない場合には、勝訴の場合は
履行期到来当時の訴訟物価額の二割、その他の場合には訴訟物価額の二割未満の範
囲内で、相当の報酬を受ける趣旨であつたところ、右行政訴訟の確定した昭和三〇
年四月三〇日当時は、いまだ農地の権利移動の制限があつて、被上告人に所有権を
移転することは殆んど困難であつたというのであるから、所論のように債務者たる
上告人において選択権を有していたものとしても、本件報酬金債権は訴訟物たる本
件農地の価額の二割について存在するに至つたことが明らかである。従つて、原判
決に所論違法はなく、論旨は採用できない。
 同第三点について。
 所論は、本件のように訴訟物の価額を以て報酬を定める場合には、特約のない限
り当該報酬契約締結時を基準として算定するのが相当であるのに、特約の存在を認
定しないで本件報酬の額を判決確定時を基準として定めるべきであるとした原判決
は、経験則に違反するというが、そのような経験則があるものとはいえず、却つて
原判決は、本件報酬契約は前記第二点に対する判断に説示のとおり、判示行政訴訟
が勝訴に確定したときに期限が到来したものとして、その時期までに本件農地につ
き権利移動の制限が解除されない場合には、勝訴の場合は右履行期到来当時の訴訟
物価額の二割相当の報酬を受ける趣旨であつたというのであり、原判決挙示の証拠
によれば、原審の右事実認定判断は、首肯するに足りる。その他所論は、原審の認
定しない事実を主張して、原審の事実認定を非難するに帰するから、採用できない。
 同第四点について。
 所論は、本件報酬契約の趣旨について原判決の事実認定判断を争うけれども、そ
の理由のないことは、前記第二点および第三点に対する判断に説示したところによ
り明らかである。また所論は、本件農地の二割の引渡を請求につき判断を遺脱した
違法があるというが、本訴は、本件農地の二割に相当する部分の引渡を請求してい
るものではなく、本件農地の価額の二割に相当する金員を報酬としてその支払を求
めているのみであつて、所論のように予備的請求をなすものではないから、論旨は、
被上告人の主張を誤解した結果、前提を誤つたものであつて、採るに足りない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    横   田   正   俊

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