弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人上田信雄の上告理由第二点について。
 論旨は、商法二六二条は表見代表取締役が直接代表取締役名義でした行為につい
ても適用されるべきであるのに、表見代表取締役たる訴外Dが直接被上告会社の代
表取締役Eの名義を以て約束手形を振り出した本件において同法条の適用がないと
した原判決には、同法条の解釈適用を誤つた違法があるという。
 よつて案ずるに、原判決は、訴外Dが被上告会社の営業部門を担当する代表権の
ない取締役であつて、職務遂行の必要上常務取締役の名称を使用することを許され
ており、営業経費の支払について、代表取締役E或は専務取締役Fの承認を得たう
え、右Eの委任に基づき、かねて保管を託されていた代表取締役Eの記名印等を用
い、記名押印を代理して、約束手形を振り出していたこと、および本件約束手形は、
訴外Dが右Eの委任を受けず、また会計担当者をも経由することなくして、直接に
代表取締役Eの記名押印を代理して訴外Gに宛てて振り出し交付したものであるこ
とを認定し、訴外Dが手形面上に常務取締役の名称を使用し或は手形外で常務取締
役であることを表明して本件手形を振り出した事実がなく、また、訴外Gがかかる
事実の存在により訴外Dの肩書を信頼したものであることを認め得ないから、本件
につき商法二六二条を適用する余地はないものと判断していることが明らかである。
しかし、会社名義で振り出された約束手形につき、手形面上に会社代表者として表
示されている者に代表権はあるが、右代表者の記名押印をした者に代表権がない場
合であつても、会社が後者に対して常務取締役等会社を代表する権限を有するもの
と認められる名称を与えており、かつ、手形受取人が右後者の代表権の欠缺につき
善意であるときは、右後者がいわゆる表見代表取締役として直接自己の氏名を右手
形面上に表示した場合と同様、会社はその責に任ずべきものと解するのを相当とす
る。従つて、前記認定の事実関係のもとにおいて、もし本件手形の受取人である訴
外Gが訴外Dの代表権の欠缺につき善意であつたとすれば、当然商法二六二条の適
用を考慮すべきであるのに、原審がこの点を審理することなく、本件は同法条の適
用を論ずべき場合にあたらないと判断して、上告人の主張を排斥したのは、同法条
の解釈適用を誤つた違法があるものというべく、右違法は判決に影響を及ぼすこと
が明らかであるから、爾余の論旨に対する判断をまつまでもなく、原判決は破棄を
免がれない。
 しかして、本件は、叙上の点につきなお審理を尽くす必要があるものと認められ
るから、本件を原審に差し戻すこととし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員
の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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