弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人大橋茹の上告理由第一点および同第二点について。
 原判決は、(1)上告人および被上告人間において、つぎの内容、すなわち、上告
人は被上告人に対し昭和四五年六月一日限り一七〇万円を支払うこと、被上告人が
D銀行またはE銀行より融資を受けるときは、同日以降において元金五〇〇万円の
限度で上告人がこれを引き受けること、被上告人は一七〇万円の支払を受けると同
時に本件建物につき上告人に所有権移転登記をすること、上告人は右登記と同時に
本件土地につき分筆登記手続のうえ被上告人に対し所有権移転登記手続をすること、
の裁判上の和解が成立した、(2)しかる後、被上告人が五〇〇万円の融資につきD
銀行F支店との間に借入の話をすすめてきたところ、右和解では、上告人が被上告
人のこの借入債務を引き受けることになつており、この借入を確定するためには銀
行との協議に上告人が加わることが必要であつたが、上告人が協議に協力的でなか
つたため、当事者と銀行間に十分の話合がされないまま推移していた、(3)一方、
上告人が和解に定める期限たる昭和四五年六月一日までに一七〇万円の支払をしな
かつたので、被上告人は、上告人に対し同月一七日到達の書面で一七〇万円を同月
二二日までに支払うべく、もし期日までに支払わないときは和解契約を解除する旨
の意思表示をした、(4)そこで、上告人は、同月二二日D銀行F支店長振出の金額
一七〇万円の小切手を持参して被上告人方を訪れ、被上告人に対し一七〇万円の準
備はできているから和解できめられた交換登記をしてもらいたい旨述べ、必要書類
に押印を求めたが、被上告人は債務引受もされていないから、登記には応じられな
いとして拒否したため、上告人は被上告人に持参の小切手を提示することなく帰宅
した、(5)そして、上告人は、一七〇万円を弁済(供託)したとして前記和解調書
正本により昭和四五年七月二日前記建物につき自己名義に所有権移転登記手続を経
由したとの事実を認定したうえ、右裁判上の和解によれば、上告人の一七〇万円の
支払および五〇〇万円の債務引受をすべき債務は上告人に先履行の義務を負担させ
ているものと解すべきであるとし、右事実によれば上告人が被上告人方へ前記小切
手を持参したとしても現実にこれを提示して受領をうながしていないから、和解条
項の一七〇万円につき履行の提供をしたことにならないとして、被上告人のした和
解契約の解除を有効と判断し、右解除の有効を前提として上告人のした(本件建物
についての)前記所有権移転登記の抹消登記手続を求める被上告人の請求を認容し
た一審判決を是認している。
 しかし、上告人の一七〇万円の支払および五〇〇万円の債務引受をすべき債務が
先履行である旨の原判決の判断は、ただちに是認することができない。すなわち、
まず、一七〇万円の支払義務についてみるに、前記裁判上の和解においては、右支
払は昭和四五年六月一日限りされるべき旨定められているが、他方、右和解におい
ては、被上告人は上告人から右一七〇万円の支払を受けると同時に本件建物につき
所定の登記手続をすべき旨、さらに、上告人は被上告人に対し本件建物についての
登記を受けると同時に本件土地につき所定の登記をすべき旨、定められているとこ
ろ、裁判上の和解の解釈は、特別の事情の存しないかぎり、文理に従い、かつ、条
項の全体を統一的にすべきものであるから、右和解で定められているところを総合
すれば、特別の事情の存しないかぎり、上告人の一七〇万円の支払義務および本件
土地についての登記義務と被上告人の本件建物についての登記義務が同時履行の関
係にあると解されるのである。つぎに、上告人の五〇〇万円の債務引受義務につい
てみるに、前記裁判上の和解の文言上ただちに上告人の右債務が被上告人の債務に
対し先履行の関係にあるものとは解することができない。原判決がなんら特別の理
由を示すことなく上告人の右両債務に先履行義務があるものと解したのは、契約の
解釈を誤つたか、または、その理由に不備があるものといわなければならない。
 のみならず、銀行振出小切手は取引界において通常その支払が確実なものとして
現金と同様に取り扱われるものであるから、特別の事情が存しないかぎり、債務者
が弁済のため右小切手を債権者方に持参してその受領を催告すれば、これを債権者
の面前に提示しなくても、現実に弁済の提供をしたものとみるのが相当である(最
高裁昭和二三年(オ)第四四号同年一二月一四日第三小法廷判決・民集二巻一三号
四三八頁、最高裁昭和三五年(オ)第二五二号同三七年九月二一日第二小法廷判決・
民集一六巻九号二〇四一頁参照)。したがつて、原判決が上告人において前記小切
手を現実に提示して受領をうながしていないことを理由として、現実の提供に当た
らないとした判断も是認することができないのである。
 してみると、その余の論旨について判断を示すまでもなく、原判決には法令解釈
の誤りまたは理由不備があるものというべきであつて、その違法は、原判決の結論
に影響を及ぼすことが明らかであり、本件はなお審理をつくす必要がある。よつて、
民訴法四〇七条一項により、原判決を破棄し、これを名古屋高等裁判所に差し戻す
こととし、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    坂   本   吉   勝
            裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    天   野   武   一
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己

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