弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(1) 原判決を次のとおり変更する。
(2) 被控訴人が控訴人に対し平成13年5月7日付けでした行政文書開示決定
(北総総第91号により通知されたもの)のうち「自動車運転手の氏名及び印影」
及び「車両番号」を不開示とした部分を取り消す。
(3) 被控訴人が控訴人に対し平成13年5月7日付けでした行政文書開示決定
(北総総第92号により通知されたもの)のうち「平成12年度アルバイト出勤
簿」を不開示とした部分を取り消す。
(4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
 主文同旨
第2 事案の概要
1 控訴人は,被控訴人に対し平成13年4月3日付けで,行政機関の保有する情
報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条に基づいて「平成13年3月の
自動車運行管理簿」の開示請求をし,被控訴人は,同年5月7日付けで,同管理簿
の「自動車運転手の氏名及び印影」部分及び「車両番号」部分を不開示とし,それ
を除く部分を開示する旨の決定(以下「本件決定1」という。)をした。また,控
訴人は,被控訴人に対し同年4月3日付けで,同条に基づいて「平成12年度アル
バイト出勤簿」,「平成11年5月25日付(総会第33号はか1課合同事務運営
指針)『非常勤職員に対する通勤手当相当の給与の支給について』」及び「平成1
3年3月13日付事務連絡『平成13年度アルバイト賃金の配賦単価について』」
の各行政文書の開示請求をし,被控訴人は,同年5月7日付けで「平成12年度ア
ルバイト出勤簿」を不開示とし,その余の文書を開示する旨の決定(以下「本件決
定2」という。)をした。
 本件は,控訴人が本件決定1及び本件決定2のうち不開示決定部分をいずれも違
法であるとして,同各処分のうちそれぞれの不開示部分の取消しを求めた事案であ
る。
2 第1審裁判所は,(1)本件決定1について,①「自動車運転手の氏名及び印
影」欄は法5条1号の情報に該当し,かつ,イないしハの除外事由には該当しない
から,被控訴人が法6条1項及び2項により部分開示の義務を負うものではないと
し,②「車両番号」の記載は,法5条4号の不開示事由に該当するので,その余に
ついて判断するまでもなく,開示義務を負うものではないと判断し,(2)本件決
定2について,「平成12年度アルバイト出勤簿」は,法5条1号に掲げる不開示
事由に該当するので被控訴人に全部開示の義務はないものとしたが,氏名欄及び押
印欄中印影の氏名を表す部分並びに発令整理番号欄については,被控訴人に部分開
示義務がなく不開示とせざるを得ないものの,その余の部分については法6条2項
及び1項の適用により,被控訴人が部分開示を行う義務を負うものであると判断し
て,控訴人の本件請求をその限度で認容した。
3 前提事実,当事者の主張及び争点は,原判決の「事実及び理由」欄の第2の
2,4及び5(原判決2頁23行目冒頭から同19頁26行目末尾まで。なお,原
判決は同欄第2の3は欠番となっている。)と同じであるから,これを引用する。
4 控訴人の当審における補充主張
(1) 「自動車運転手の氏名及び印影」部分は,公用車を運転する当該公務員
が,いつ,どこで,どのような公務に従事していたかを明らかにする,公務員の職
務の遂行に係る情報であって,それを示し国民が知ることは,当該公務員の権利利
益ないしプライバシーが侵害されることはないことはもとより,法1条の趣旨に照
らしても重要である。
(2) 本件公用車は,本来の税務業務の遂行を補助すべく交通手段としての役割
を果たし,職務の遂行の一役を担っており,道路運送車両法(以下「車両法」とい
う。)19条に,自動車は自動車登録番号を見やすいように表示しなければ運行の
用に供してはならないとあることとの関連からみても,本件公用車の車両番号は,
本件公用車がいつ,どこで,どのような公務運行をしていたかが把握できる公務の
遂行に係る情報であって,納税者である国民がそれを知ることが,納税業務の機密
を侵害するということは考えられず,車両番号の周知と犯罪との因果関係をことさ
ら強調することは当を得ないことは明らかである。
(3) 公務アルバイトの勤務に係る情報は,公務情報であり,アルバイトが民間
人であろうと公務に従事している限り,当該アルバイトの出勤簿に係る氏名及び押
印は,当該アルバイトがいつ,どこで,どういう公務に従事していたかを示す情報
であり,それが開示されることによって,当該アルバイトの権利利益ないしプライ
バシーが侵害されるということは考えられず,国民がそれを知ることは,法1条の
趣旨の上からも重要な情報であり,公務遂行に係る情報である以上,公用自動車運
転手の氏名及び押印並びに車両番号と同様に,法5条1号ただし書イ及びハに該当
し,公開すべきである。
5 被控訴人の当審における補充主張
(1) 控訴人の主張は,第1審における主張の繰り返しに過ぎず,法5条1号の
立法趣旨及び同号ただし書ハの趣旨の正確な理解を欠く失当なものである。
(2) 控訴人は車両法19条を主張するが,自動車運行管理簿に記載されている
情報は,いつ,誰(運転手及び同乗者)が,どの公用車でどこに行ったかなどに関
する情報であって,車両法19条とは何らの関係もないし,同条は,運行目的等の
情報を公にすることを義務づけるものではないから,かかる制度が存在することは
情報公開の論拠とはなり得ない。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,「自動車運転手の氏名及び印影」欄及び「車両番号」の記載につ
いて被控訴人が開示義務を負うものではないとし,「平成12年度アルバイト出勤
簿」の氏名欄及び押印欄中印影の氏名を表す部分並びに発令整理番号欄を除く部分
については被控訴人が部分開示を行う義務を負うものであると判断する。その理由
は,原判決の「事実及び理由」欄の第3と同じであるから,これを引用する。
 控訴人は,「車両番号」の記載に関して,車両法19条で表示を義務づけている
点をとらえて,法令の規定によって公にすることが予定されているものであるなど
と主張する。
 車両法19条の法意は,車両の所有関係を明らかにし,その運行,整備等の安全
確保の状態を確認できるようにするため,車両の運行上自動車登録番号の表示をさ
せるものにすぎず,本件においては,公務の遂行状況の安全確保という別の観点か
ら法による車両番号の開示義務の有無を判断すべきである。車両法19条等から,
車両番号とその所有者,使用者等が既に公にされているものとしても,本件車両が
現金等の搬送,調査事務や徴収事務にも使用されていることにかんがみると,自動
車運行管理簿に記載されている車両番号を開示することが結果として本件車両の将
来の使用予定等の情報を漏らすことにつながるといえる。そうすると,前記引用に
係る原判決にあるように,これを公にすることによって「公共の安全と秩序の維持
に支障を及ぼすおそれがある」(法5条4号)と被控訴人が判断したのは合理的で
ある。
 したがって,車両法19条の規定の存在から,直ちに本件の自動車運転管理簿の
車両番号の記載も公にすることが予定されているとする控訴人の主張は相当とはい
えない。
 なお,その余の控訴人の主張も,原判決が不開示決定を相当とした部分を開示す
べき合理的理由となり得ない。
2 結論
 以上によれば,控訴人の本件請求のうち,本件決定2の「平成12年度アルバイ
ト出勤簿」の氏名欄及び押印欄中印影の氏名を表示する部分並びに発令整理番号の
各欄を除く欄を不開示とした部分については違法であるから,この限度で認容し,
その余はいずれも理由がないから棄却すべきであって,これと同旨の原判決は相当
である。
 よって,控訴人の本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第16民事部
裁判長裁判官 鬼頭季郎
裁判官 瀧澤泉
裁判官 任介辰哉

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