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平成18年(ネ)第184号実用新案権侵害差止等請求控訴事件(原審・大阪地方
裁判所平成16年(ワ)第6262号)
判決
控訴人(1審被告)株式会社サンファミリー
訴訟代理人弁護士千田適
同奥村太朗
同徳村初美
補佐人弁理士浅谷健二
被控訴人(1審原告)株式会社ラッキーコーポレーション
訴訟代理人弁護士深井潔
補佐人弁理士上野康成
同辻本一義
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
2被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1本件は,原判決別紙イ号物件目録記載の物件の本体部分の意匠が,被控訴人
の有する後記意匠権に係る登録意匠と類似し,控訴人のするその製造販売が同
意匠権を侵害すると主張して,控訴人に対し,意匠法37条1項に基づき,同
物件の製造販売の差止めを求めるとともに,意匠権侵害の不法行為に基づき,
損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
原審は,上記差止めと損害金360万円及びこれに対するに遅延損害金の
支払を求める限度で被控訴人の請求を認容したので,控訴人が控訴を提起し
た。
2本件の争いのない事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,後記3のと
おり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決第2の1ないし3に
記載のとおりであるから,これを引用する。
3当審における当事者の主張
(控訴人の主張-争点()(物品の類否)について)1
()物品の類否の判断基準1
物品の類否は,以下のように定まるもので,その判断も一般需要者を基
準とするものではない。すなわち,
ア意匠登録の出願人は,権利の付与を求める意匠を明らかにする願書と
図面を特許庁に提出するが,このうち願書に記載されている「意匠に係
る物品」欄と「意匠に係る物品の説明」欄の2つの記載内容により,出
願人が権利を要求する「物品」の内容が特定される。特許庁では「意,
匠に係る物品」欄と「意匠に係る物品の説明」欄の2つの記載内容によ
り「物品」がどの分類に属するかを決める。分類は,特許庁において,
予め用途別に定められており,仮に出願書類からどの分類に属するか不
明な場合,物品が明確となる書類・現物等の提出を求め,必要に応じて
「意匠に係る物品」の名称を変更させる。
イこのようにして物品の分類が決まると,出願書類は,その分類の審査
を担当する担当審査官に届けられ,出願日順に審査される。その際,同
一物品及び類似物品の範囲で,図面に記載された意匠(形状模様などの
モチーフ)と同一又は類似のものがあるか否かを審査する。そして,同
一・類似物品間において,つまり同一分類に属する物品や異種分類であ
ってクロスサーチの対象となっている物品間に同一・類似の意匠が存し
ない場合,登録査定がなされる。そして,登録意匠の意匠公報には,願
書の「意匠に係る物品「意匠に係る物品の説明「図面」が掲載され,」」
どの分類で審査したか,どの分類について権利が発生したかを明らかに
する「分類」が掲載される。
ウこうして登録された「登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添付
した図面に記載され又は願書に添付した写真,ひな形若しくは見本によ
り現された意匠に基いて定めなければならない(意匠法24条。つま」)
り,願書の記載以外の資料によって,意匠に係る物品の内容,言い換え
れば物品の用途・機能を特定してはならず,権利発生後に他の資料によ
って登録意匠の範囲が狭くなったり広くなったりすることはない旨明瞭
に定められている。以後,明らかな誤記でない限り,補正は,権利内容
を変更する要旨変更として一切認められない。
()本件登録意匠に係る「化粧用パフ」の用途,機能について2
ア「パフ」とは,おしろいやファンデーション等を顔に塗布するための
ものを意味し,それ以外の意義はない(乙7〔昭和61年発行の「外来
語の起源」第7版,8〔平成15年発行の「化粧品事典。この点は,〕」〕)
平成2年発行のデイリーコンサイス英和・和英辞典(乙30)や平成1
7年発行の英和化粧品用語集(乙29)に「」の訳として「化粧,(puff
用)パフ」と記載されていることからも明らかである。
イそして「化粧用パフ」は,化粧料の「塗布」のための用具として周,
知であり(周知・慣用技術集。乙31,洗顔の用途は含まない。)
そうであるからこそ「意匠に係る物品」を「化粧用パフ」とする数,
々の登録意匠においても「意匠に係る物品の説明」欄に特段の記載が,
されていないのである(乙32~46)。
ウ甲13ないし15の「化粧用パフ」はいずれも「説明」欄に膚の清,
浄・拭き取り等と記載してあるため,初めてそうした用途が認められる
のであり,パフ全般にそのような用途が認められるわけではない。
エインターネット上の広告を物品の類否判断の資料として使用すること
は,意匠法24条の「登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添付し
た図面に記載され又は願書に添付した写真,ひな形若しくは見本により
現された意匠に基いて定めなければならない」に反する。仮にそうで。
ないとしても,インターネット上の広告(甲16~18,20~24,
26~28)は「洗顔パフ」と明記しており「パフ「化粧用パフ」と,」
は記載していない。のみならず,広告上「化粧用パフ」と「洗顔パ,
フ」は区別されており「化粧用パフ」に洗顔の用途があるとは記載さ,
れていない。かえって,インターネット上の広告においては「化粧用,
パフ」と「洗顔パフ」とは,明確に区別されている(乙47~61。)
オ被控訴人の実用新案登録出願の願書という意匠登録出願書類以外のも
。のを用いて意匠権の効力範囲を認定することは,意匠法24条に反する
カ結局「化粧用パフ」には,化粧料を塗布する以外の用途はなく,本,
件登録意匠公報(甲10)には,上記ウで述べたような記載が「意匠に
係る物品の説明」欄に存しない以上,本件登録意匠に係る物品には,洗
顔という用途は存しない。
()イ号物件の用途・機能について3
イ号物件は「クレンジング剤を顔全体に馴染ませた後,汚れの気にな,
る部分を中心に円を描くように擦るように洗ってください。顔面の凹凸に
よくフィットし,毛穴の汚れや角栓までスムーズに落とします「毎日の。」
洗顔時にご使用下さい(乙11。イ号物件に係る商品の台紙)とあるよ。」
うに,洗顔の際に用いる洗顔ブラシである。すなわち,イ号物件は拭くだ
けで取れない顔の汚れを洗い取る「洗顔用」であって,汚れを拭き取る
「化粧用」とは区別されるものである。
()本件登録意匠に係る物品とイ号物件の非類似について4
本件登録意匠にかかる物品とイ号物件とが,用途を異にしており,物品
が異なることは,次の点からも明らかである。
ア「化粧用パフ」がB7-11に属するのに対し,イ号物件は「洗顔ブラ
シ」であり意匠分類C4-12に属するものである(乙5,6,62。)
イ化粧用パフ(B7-11)と洗顔ブラシ(C4-12)は,相互に審査
(クロスサーチ)の対象外である。この両者では,出願書類を審査する
審査官も別人である(乙63。)
ウ乙13(膚洗浄用ブラシ)は「意匠に係る物品の説明」によれば「」,
「毛穴に残った黒ずみとなる汚れや角栓などを…落と」す用途に用いら
れ「顔等の複雑な凹凸にも柔軟に対応」するというものであって,イ,
号物件と同一の物品である。しかるに,乙13は,化粧用パフ(B7-
11)に分類されていない。仮にイ号物件が洗顔ブラシ(C4ー12)
ではないとしても,少なくとも化粧用パフ(B7-11)に属すること
はない。
(被控訴人の主張)
()物品の類否の判断基準について1
意匠法23条においては,物品の類否は,意匠の類否を判断するための
一要素にすぎず,その判断も,混同しやすい物品であるかどうかを基準と
してなされるべきである。
控訴人は,サーチ目的で作成された意匠分類に拘泥し,クロスサーチの
対象にならない物品は,即非類似の物品であるかのごとく誤解している。
意匠分類は,法的拘束力を有するものでなく,基本的には用途・機能によ
って分類されてはいるものの,実情に沿わないものもある。
()本件登録意匠に係る物品の用途・機能について2
パフが,洗顔を用途とする物品を示す一般語ないし専門用語として定着
していることは,甲13,20ないし28からも明らかである。パフは,
用い方によって化粧品の塗布にも洗顔にも使用され得るものであり,控訴
人主張のように「塗布」に用いられるものに限られるものではない。
()イ号物件の用途・機能について3
イ号物件に係る商品の台紙である乙11には「落ちにくいメイクや毛,
穴の汚れに!「オイルクレンジングに最適」との表示があり,メイク用」
,すなわち化粧用として使用されてるものであることが示されている。なお
オイルクレンジングの際には,クレンジングオイルが使用されるが,これ
は汚れを落とすとともに,その美容成分を皮膚に付与する目的で使用され
る化粧品の一種である(甲44。)
()本件登録意匠に係る物品とイ号物件の相違について4
争う。
第3当裁判所の判断
1原判決の引用
被控訴人の請求は,原判決第3の1ないし5記載のとおり,原判決主文1,
2項の限度で理由があると認める。
ただし,原判決第3の1()及び()(17頁15行目から18頁21行目)67
を次のとおり変更する。
「()上記(),()の事実に弁論の全趣旨を合わせて考慮すれば,従来,洗645
顔等は手を用いて行っていたところ,洗顔等の際の泡立てや汚れ除去の効
果においてスポンジや布の有効性が認識され,その形状としては,従前白
粉やファンデーション等の塗布に使用していた「パフ」の形状が最も使用
に適すると判断されたことにより,前記の各商品が「パフ」として宣伝さ
れ,販売されるに至っているものと認められる。そして,このような物品
の需要者(洗顔に少しでも関心を有する主として女性)において「パ,
フ」は,おしろいやファンデーション等を顔面等の皮膚に塗布するという
本来的用途・機能のほか,洗顔用品としての用途・機能を有するものと認
識されているものと認めることができ,本件登録意匠に係る物品とイ号物
件とは,少なくとも洗顔用具という点で,その用途が一致するものという
ことができる。
ちなみに,本件意匠権に係る意匠登録出願とほぼ同一時期に原告が出願
した考案の名称を「クレンジングパッド」とする登録実用新案(登録番号
第3099270号。なお,同考案は平成15年3月31日に出願された
が,その後同年7月16日に出願変更されたものである)は,その出願。
時期及び願書に添付した図面との共通性等に照らして本件登録意匠に係る
物品と同一の物を対象として出願されたものと解されるところ,その当初
の願書(甲6)に添付した明細書の【発明の属する技術分野】に「この発
明は,化粧落としの際に使用されるクレンジングパッドに関するものであ
る」との記載及び【発明が解決しようとする課題】に「そこで,この発。
明は,顔面の凹凸によくフィットし,毛穴の汚れや角栓までスムーズに落
とすことが可能なクレンジングパッドを提供することを課題とする」と。
の記載があることが認められる。そうすると,原告は,本件登録意匠に係
る物品「化粧用パフ」に上記化粧落としの用途・機能を有するものを含む
ものとして意匠登録出願をしたものと推認され,このことは,洗顔に少し
でも関心を有する女性等の一般需要者の有する認識を反映しているものと
考えられる。
()そうすると,イ号物件は,その用途の点で本件登録意匠に係る物品と7
一致し,機能の点でも同一であるか又は類似するから,本件登録意匠に係
る物品と同一又は類似するといえ,その本体部分の意匠であるイ号意匠が
本件登録意匠と類似するときは,前記の一般需要者に混同を生じさせるお
それがあるというべきである。したがって,以上の認定説示に反する被告
の主張は採用することができない」。
2当審における当事者の主張について
()物品の類否の判断基準について1
控訴人のいう物品の類否判断の基準がどのようなものであるかは必ずし
も判然としないが,その主張内容,殊に「同一・類似物品間において,つ
まり同一分類に属する物品や異種分類であってクロスサーチの対象となっ
ている物品」という部分があることにかんがみると,分類一覧表上の同一
分類に属するものが「同一物品,異種分類に属するがクロスサーチの対」
,象となっているものが「類似物品」とするというもののようであり,かつ
一般需要者を判断基準としてはならず,意匠法24条の趣旨に従い,意匠
登録出願の願書の記載以外の資料によってこれを判断してはならないとい
うのである。
しかしながら,分類一覧表は,意匠登録出願の審査に当たる審査官が,
出願意匠と同一又は類似の意匠をサーチする便宜のために作成されたもの
にすぎず,同分類表はもとより法的拘束力を有するものでもないから,こ
れへの属否等によって物品の類否を判断することが相当とはいえない。ま
,た,意匠法23条は,意匠権の効力を,登録意匠と同一のもののみならず
これに「類似する意匠」すなわち登録意匠に係る物品と同一又は類似の物
品につき一般需要者に対して登録意匠と類似の美感を生ぜしめる意匠にも
及ぼすものとしていること(最高裁判所昭和49年3月19日第3小法廷
判決・民集28巻2号308頁参照)からすると,当然,判断主体は一般
需要者とすべきであると解されるし,願書の記載以外のものを資料として
判断してはならないとの点も,意匠法24条には「登録意匠の範囲は願,
書の記載及び願書に添附した図面に記載され…た意匠に基いて定めなけれ
ばならない」とされているものの「基いて」との文言に照らしても,願。,
書の記載等の意義を解釈するに当たって,他の資料を参酌することは当然
に許されるところと解される。
したがって,控訴人の主張()は採用できない。1
()本件登録意匠に係る物品の用途・機能について2
控訴人の主張()の趣旨は,結論的には,本件登録意匠に係る物品「化粧2
用パフ」は,化粧料を「塗布」するものに限られる旨を主張するものと解
されるところ,控訴人がその根拠として指摘する点について,以下,順次
検討する。
ア控訴人は「パフ」には「おしろいやファンデーション等を顔に塗布,,
するためのもの」以外の意味はないと主張するが,既にみたとおり,そ
の判断主体は一般需要者と解すべきあり,これを,専門辞書や辞典等に
記載された意義に限定することは相当でなく,後にみるインターネット
,による広告等にみられる用法等も,一般需要者に周知のものである限り
参酌されるべきものである。
イ控訴人は「化粧用パフ」は,化粧料の「塗布」のための用具として,
周知であり,洗顔の用途は含まない旨主張し,乙31によれば,昭和5
5年3月4日に特許庁が発行した「周知・慣用技術集」には,周知・慣
用技術として「名称化粧用パフ「弾性合成樹脂(例えばウレタン,」,
等「化粧料の塗布及び伸ばしを楽して行うことができ,しかも浸透)」,
し易い練,液状の化粧料でも手指をよごすことなく効果的に塗布し得
る」との記載のあることが認められるが,これも「化粧用パフ」とい。,
う名称につき上記のような周知・慣用技術があるというにとどまり,上
記名称のものが,そのような内容のものに限定されることまでを示すも
のではない。そして「意匠に係る物品」を「化粧用パフ」とする登録,
意匠において「意匠に係る物品の説明」欄に特段の記載がされていな,
い(乙32~46)としても,そのことから直ちに「化粧用パフ」が,
「塗布」のための用具に限られるとまではいえない。
ウ上記と関連して,控訴人は,甲13ないし14の「化粧用パフ」等に
つき「意匠に係る物品の説明」欄に膚の清浄・拭き取り等と記載して,
あることによって初めてそのような意味を有するものと解すべき旨主張
するが「化粧用パフ」なる用語例が塗布用のものに使われることが多,
いことから,これらの「意匠に係る物品の説明」欄に,注意的に膚の清
浄・拭き取り等記載されたということはあり得るとしても,控訴人主張
のように,そのような記載がない限り「塗布」するものに限定されると
まで解すべき根拠はない。
エ控訴人は,引用に係る原判決中で援用されたインターネット上の広告
(甲16~18,20~24,26~28)は「洗顔パフ」と明記して
おり「パフ「化粧用パフ」とは記載していないと主張するが,上記各,」
書証は「パフ」と呼ばれる物品が洗顔の用途にも用いられていること,
を示すための証拠として被控訴人によって提出されたものであるから
,「化粧用パフ」と記載されていなかったとしても当然にすぎず(ただし
甲28には「スーパー洗顔パフ」の欄の下に「草木染めのお化粧パフ」
の欄があり「お化粧を落とした後に優しくマッサージしてください」,
として記載されている。また,他のインターネット上の広告(乙47。)
~61)においては「化粧用パフ」と「洗顔パフ」とは明確に区別さ,
れているとも主張するが,仮にそうであるとしても,乙47ないし61
に関する限りであって,既にみたように「化粧用パフ」なる用語が洗,
,浄等の用途の物品に使われている例もみられる以上,これらの乙号証も
「化粧用パフ」を化粧料を塗布するものに限定して解すべき根拠となる
ものではない。
オまた,登録意匠の効力範囲を認定する上で,インターネット上の広告
や実用新案公報の内容を用いることが意匠法24条に反する旨の控訴人
の主張が採用できないことは,()において既にみたとおりである。1
カ以上の点からすれば「化粧用パフ」には,化粧料を「塗布」する以,
外の用途はないとか,本件登録意匠公報(甲10)に上記ウで述べたよ
うな記載が「意匠に係る物品の説明」欄に存しない以上,本件登録意匠
に係る物品には,洗顔という用途が存しないということのできないこと
も明らかである。
したがって,控訴人の主張()も採用できない。2
()イ号物件の用途・機能について3
控訴人は,イ号物件に係る商品の台紙である乙11の「クレンジング剤
を顔全体に馴染ませた後,汚れの気になる部分を中心に円を描くように擦
るように洗ってください。顔面の凹凸によくフィットし,毛穴の汚れや角
栓までスムーズに落とします」等の記載から,イ号物件が拭くだけでは。
取れない汚れを取るための「洗浄用」であるとして,単に拭き取るだけの
「化粧用」とは異なる旨の主張をしているが,そのような違いがあったと
しても,その故に非類似の物品と認めることはできないし,他方,被控訴
人も主張するように,乙11には「落ちにくいメイクや毛穴の汚れ,
に!「オイルクレンジングに最適」との記載があることが認められ,イ」
号物件がメイク(化粧)用としても使用されることがあることがうかがわ
れるところである。
()本件登録意匠に係る物品とイ号物件の相違について4
控訴人は,化粧用パフと洗顔ブラシが意匠分類との関係で非類似と解さ
れるべきことについて,控訴人の主張()アないしウの点を指摘しているが,4
指摘の点から直ちに,異なる物品といえないことは()で説示した点から明1
らかである。
3小括
その他,原審及び当審における当事者提出の各準備書面記載の主張に照らし,
原審及び当審で提出,援用された全証拠を改めて精査しても,引用に係る原判
決を含め,当審の認定,判断を左右するほどのものはない。
第4結論
以上によれば,被控訴人の本件請求中,控訴人に対しイ号物件の製造販売等
の差止めを求める部分はすべて理由があり,意匠権侵害の不法行為に基づく損
害賠償請求は,360万円の支払及びこれに対する平成17年1月31日から
の遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。これと
同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
(平成18年3月24日口頭弁論終結)
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官若林諒
裁判官小野洋一
裁判官長井浩一

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