弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人登政良の上告理由について。
 被上告人から本件土地を賃借した訴外株式会社Dは同地上に本件建物を建築した
が、これを借地権とともに訴外Eに譲渡し、Eはさらに上告人に右建物および借地
権を譲渡した。ところが、被上告人は右借地権の譲渡を承諾せず、上告人に対し建
物收去土地明渡の訴訟を提起した。しかし、訴訟中、上告人は被上告人に対し本件
建物を収去して本件土地を昭和三〇年一月末日に明け渡す、被上告人は上告人に対
し右同日まで本件土地を賃貸する旨を骨子とする裁判上の和解が成立した。その際、
上告人が本件建物の買取請求権を留保した形跡はない。以上が原審の確定した事実
関係である。原審は、右事実関係のもとにおいては、上告人は買取請求権を放棄し
たものと判断したのである。
 しかし、本件和解の趣旨が、被上告人において借地権の譲渡を承諾し、これによ
り被上告人と株式会社D間の本件土地賃貸借契約関係が、その同一性を維持したま
ま、同会社からEを経て上告人に承継され、上告人対被上告人間の契約関係として
存続するにいたつたことおよび該賃貸借契約の期間が昭和三〇年一月末日までであ
ることを確認するにあつたものとすれば、上告人には借地法一〇条所定の建物買取
請求権はない反面、右賃貸借契約が一般の土地賃貸借である限り、契約期間満了の
際同法四条二項により借地人に認められる建物買取請求権は、上告人が本件和解に
おいてこれを留保したか否かを問わず、上告人に認められると考えるべき理である。
 また本件和解の趣旨が、被上告人において借地権の譲渡を承諾せず、ただ上告人
の建物収去土地明渡義務について、昭和三〇年一月末日までその履行を猶予すると
いうにあつたとすれば、本件和解において約定された本件土地賃貸借契約は、その
期間の比較的に短期であることと相俟つて、一時使用の賃貸借たる性質を帯びるや
も計り難く、そうとすれば、借地法四条二項の建物買取請求権は問題となる余地は
ないが、他面において、被上告人が上告人に本件土地を一時賃貸することを約諾し
ても、上告人の前示借地権譲受に対し全面的に承諾を与えたものでないという事態
にして変りがない以上、上告人が本件和解において建物買取請求権を留保した形跡
がないからといつて、当然に、借地法一〇条の建物買取請承権までが認められない
こととなると考えるべき理由は見出し難い。
 これを要するに、本件和解が叙上いずれの趣旨に出でたものであるにせよ、和解
において建物買取請求権を留保した形跡がないという一事により、上告人には借地
法四条二項または一〇条所定の該権利がないと判断すべき理由はなく、いわんや、
上告人が該権利を放棄したと判断するには、これを首肯するに足るいつそう明確な
事情を俟たなければならない筋合である。されば、原審が前掲経緯により成立した
本件和解において上告人が建物買取請求権を留保した形跡がないという事実を確定
したのみで、直ちに、これを放棄したものと判断したことは、法律行為の解釈を誤
り、延いて理由不備の違法か審理不尽に陥つたものといわざるをえない。論旨は結
局理由があり、原判決は破棄を免れない。
 よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
 裁判長裁判官池田克は退官につき署名押印することができない。
            裁判官    河   村   大   助

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